熱流体解析ソフトを使用し始めて約1ヶ月の者です。
熱流体解析で日射条件を設定したいのですが、分からない部分について教えてください。
他の質問を検索したのですが、見つけられませんでした。以前の参考回答等がありましたら、そちらも教えて下さい。
ある文献を参考に検討しています。
算出したいと思っている値は、「快晴時の水平面天空日射量[W/m2]」で、以下の式で示してあります。(ベルラーゲの式)
ISH=0.5×I0×sinh(1-P^(1/sinh))/(1-1.4lnP)
ISH:快晴時の水平面天空日射量[W/m2]
I0:太陽常数[W/m2]=1350
h:太陽高度[rad]=78[°](理科年表より)
P:大気透過率=0.82(理科年表より)
以上の値を入力すると、ISH=95[W/m2]となり、1桁違うと思われます。
式に不具合点は無いでしょうか?
また、日射に関する熱解析を行う場合、自分は上記に示したベルラーゲの式からの算出を行おうとしていますが、別の設定方法等についても教えて下さい。
よろしくお願いします。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
siegmund です.
gay さん,take-1A さん,大変申し訳ありません.
用語を誤解していました.
地上においた水平面には太陽輻射が降り注ぎますが,
直接来る分(直達)と大気によって散乱されたのち地上に達する分とがあります.
前者を直達日射量,
後者を天空日射量,
両方あわせたものを全天日射量,
というようです.
私は,天空日射量=全天日射量,と誤解していました.
というわけで,No.3 の内容は全然ダメです.
take-1A さん,理解不足の者が批評がましいこと書きまして,大変失礼しました.
散乱がなければ(P=1)天空日射量はゼロのはずで,
質問のベルラーゲの式は確かにそうなっています.
私が No.1 (特に(b))で書いたのは直達部分を非常に簡単化したことになっています.
ちょっと間違いがありまして,
透過率を P とするとき直達部分の実効的透過率は P^(1/sin(h)) ですね.
1-(1-P)^(1/sin(h)} は間違いでした.
検索していたら
http://sakura-tyo.com/haysan/autoac-71.htm
というページを見つけまして,
私が考えたのはこのページの A-1 をうんと簡単化した状況のようです.
なるほどね~,
高度による大気質量の変化や太陽高度が低くなった時の大気の曲率も考慮しないといけないですか.
こりゃ,やっぱり素人にはなかなかわからん.
このページの B-1 の永田の式(水平面天空日射量の式)というのは
質問分のベルラーゲの式と同系統の式のようです.
http://sakura-tyo.com/haysan/autoac-7.htm
や
http://page.freett.com/almohandes/solrhelp/solar …
には計算プログラムがあるようです.
> I0=1350はベルラーゲの式を示している文献に掲載されていた値なのですが、理科年表等の別文献で探せていません。
> 引き続き調べてみます。
今私の手元にある理科年表は98年版ですが,天文の部の太陽の諸定数というところに
太陽定数は 1.37 [kW・m^(-2)] (すなわち,1370 [kW・m^(-2)])と記されています.
これは有名な定数ですので間違いはありません.
定数という名前が付いていますが結構変動する量なので,
最近は太陽全放射量と呼ばれることが多いようです.
お詫びに太陽定数の起源を書きまして,終わりにしたいと思います.
絶対温度 T の物体の表面からは単位時間単位表面積あたり σT^4 の輻射が発せられている
(Stefan-Boltzmann の法則)ことが知られています.
σは Stefan-Boltzmann 定数とよばれていて
σ = 5.67×10^(-8) [W・m^(-2)・K^(-4)] です.
この定数は量子力学が深く関与していて,σは Boltzmann 定数,Planck 定数,光速,の組み合わせで
表現できます.
さて,太陽半径を r としますと,表面積が 4πr^2 ですから,
太陽からの全輻射量は 4πr^2σT^4 [W] です.
これが地球の軌道半径 R の球面(面積 4πR^2) にばらまかれますから,
地球付近で見る輻射量は
4πr^2σT^4 / 4πR^2 = σT^4 (r/R)^2 [W・m^(-2)]
になります.
これに
T = 5800 [K] (太陽の表面温度)
r = 6.96 ×10^8 [m] (太陽半径)
R = 1.50 ×10^11 [m] (地球の軌道半径)
を入れますと,1400 [W・m^(-2)] くらいの値が出てきます.
ここのパラグラフだけは「自信あり」です.
自分の勉強にはなりましたが,
間違った回答を書きまして大変ご迷惑おかけしました.
知ったかぶりはいけませんね(^^;).
何度も回答頂き、ありがとうございます。
>私は,天空日射量=全天日射量,と誤解していました.
自分も理解が足りませんでした。
>http://sakura-tyo.com/haysan/autoac-71.htm
ここのHPは大変役に立ちそうです。
じっくり確認してみます。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
siegmund です.
take-1A さんのご回答拝見しました.
take-1A さんは質問文の式が正しいはずと述べられていますが,
No.1 の(b)で書きましたように,
質問文の式で P=1 (全部透過)としますと ISH = 0 になってしまいます.
したがって,質問文の式と記号の意味が全部正しいことはありえないと
思います.
P が透過率ではなくて吸収率というなら話はわかります.
質問者の gay さんが誤解された可能性もあります.
> 水平面天空ふく射量( IHS = 95 W/m2 )の値は、
> 夏期の東京近辺であれば、こんなものじゃないでしょうか。
東京における全天日射量の日積算値の年間平均観測値は
1.14×10^7 [J・m^(-2)・day^(-1)] です.
1日が86400秒ですから,1秒当たりに直しますと,上の数値を 86400 で割って
132 [W・m^(-2)] です.
これは昼夜の効果,曇や雨の天候効果,季節による効果,
などが平均されたものです.
夏至の頃の快晴ですと輻射量が一番多いと思われますので,
132 [W・m^(-2)] の数倍(昼夜効果は2倍,天候効果も2倍くらいか?)
ないといけないはずで,95 [W・m^(-2)] ということはあり得ないと思います.
ここらへんは,質問者の gay さんが「1桁違う」と言われていることと符合します.
便乗で恐縮ですが,(1-1.4lnP) で割ることの理由をご存知の方がおられましたら,
ご教示下さい.
回答、ありがとうございます。
>132 [W・m^(-2)] の数倍(昼夜効果は2倍,天候効果も2倍くらいか?)
下記でも示しましたが、別文献によると実測値で、東京、7/22、快晴日、15時、161[W/m2]と示されています。
>便乗で恐縮ですが,(1-1.4lnP) で割ることの理由をご存知の方がおられましたら,
ご教示下さい.
この質問で、自分の参考にしているベルラーゲの式が合っているのかが確認できればうれしいです。
ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
べルラーゲの式 は、ご質問に書かれているとおりで正しい筈です。
水平面天空ふく射量( IHS = 95 W/m2 )の値は、夏期の東京近辺であれば、こんなものじゃないでしょうか。 もちろん、h,P および I0 の値によって多少変わるでしょうが ・・・
回答、ありがとうございます。
>べルラーゲの式 は、ご質問に書かれているとおりで正しい筈です。
確認された文献名を教えていただけますでしょうか?
>水平面天空ふく射量( IHS = 95 W/m2 )の値は、夏期の東京近辺であれば、こんなものじゃないでしょうか。
別文献によると実測値で、東京、15時、161[W/m2]と示されています。
>もちろん、h,P および I0 の値によって多少変わるでしょうが ・・・
I0=1350はベルラーゲの式を示している文献に掲載されていた値なのですが、理科年表等の別文献で探せていません。
引き続き調べてみます。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
物理屋の siegmund と申します.
熱流体や日射は全くの専門外で,ベルラーゲの式というのも初耳です.
というわけで,物理屋としての常識程度の回答ですので,
そのつもりでお読み下さい.
検算しましたが,質問文のベルラーゲの式に数値を入れますと,
確かに質問文の値になりますね.
太陽常数 I0 は大気圏外で太陽光に垂直な面が受けるエネルギー
(単位時間,単位面積当たり)です.
したがって,地表で地面に水平に置いた面が受けるエネルギーは
当然補正が要ります.
(a) 太陽光との角度補正.
太陽はいつも真上にあるわけではありませんから
(そもそも日本北回帰線より北に位置するので,
太陽が真上に来ることはない),
その分の角度補正が必要です.
太陽高度を h とすれば sin(h) を掛ければよいのは質問の式の通りですが,
h は場所,季節,時刻によって当然変化します.
gay さんは h=78°とされていますが,
これは東京付近での夏至の時の南中高度ですね.
どういう状況を考えるかに依りますが,
夏至の頃のの昼頃に話を限るのでなければ,適当な平均操作が必要です.
東京付近の冬至では南中高度は32°くらいです.
(b) 大気による吸収.
大気透過率を P=0.82 として,質問文のベルラーゲの式に
(1-P^(1/sin(h)))/(1-1.4lnP)
という因子があります.
1-1.4lnP はちょっと意味が分かりませんので置いとくとして,
(1-P^(1/sinh)) はどうも変です.
吸収が全くない(全部透過,すなわち P=1)とすると,
この (1-P^(1/sinh)) の因子はゼロになってしまいます.
吸収効果は本来は透過率の P を掛ければよいわけです.
ところが,太陽光が垂直ではなく斜めに来ると(つまり,太陽高度 h≠90°)
大気中を光が長く通過することになりますので,
それだけ余分に吸収されます.
1-P が垂直入射の場合の吸収率で,
今は本来の通過距離より 1/sin(h) 倍長く大気中を通過していますので,
吸収率は (1-P)^(1/sin(h)) です.
したがって,太陽高度 h の場合の透過率は
1-(1-P)^(1/sin(h)) です.
つまり,質問文のベルラーゲの式の因子
{1-P^(1/sinh)} は
{1-(1-P)^(1/sin(h)} としなければならないと思います.
(1-1.4lnP) の方も修正が要るのかも知れませんが,
この因子の起源が私にはわかりませんので,
ここはノーコメントです.
(c) 頭の因子 0.5
この 0.5 は昼夜の効果を表しているのではないかと思いますが,
そうすると(a)で h=78°と固定してしまった方針と矛盾します.
つまり,夏至南中などの瞬間に話を限るのなら,0.5 は不要です.
一方,1日当たりの平均値などを考えるのでしたら,
因子 0.5 は必要で,その他に太陽高度の日変化
(つまり,日の出と日の入りでは当然h=0°)
の効果を平均しないといけません.
どちらにするかは gay さんのやりたいことによると思います.
(d) 理論式(?)から求めずに,測定値を使うのも一つの手と思いますが,
いかがでしょうか.
太陽常数(定数)は最近は太陽全放射量と呼ばれることが多いようです.
結構変動する量ですので.
一見して気づいたことだけとりあえずコメントしました.
回答、ありがとうございます。
自分の計算が間違っていないことが確認できて、まず一つスッキリしました。
以前、参考文献の式があっているのか、著者にメールで連絡してみたのですが、反応がありませんでした。
やはり、式の一部が違っていそうですね。siegmundさんの様に自分で導き出せるようになれれば良いのですが・・・。
始めは、理科年表から引用する方法にて作業を進めていたのですが、少し掘り下げてみようとしてつまづいてしまいました。
大変、参考になりました。
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