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今、X線を照射して、各角度におけるピークを見つけて、Bragg角を見つける実験をしています。しかし、少し疑問に思う箇所があるので質問させて頂きたい次第です。

KClとKBrのBragg角を見つけているのですが、どちらも同じ結晶構造です。しかし、Bragg Peakにおいて、同じ結晶構造を持つKBrに見られる反射が、なぜKClでは見られないのでしょうか??自分的には同じ結晶構造だからほぼ同じBragg Peakが見られると思っていたのですが…

どなたかこの理由や原理を教えていただけないでしょうか?お願いします。

A 回答 (5件)

No.1です。

KClとKBrは同じNaCl結晶なので、格子定数の違いを除けば同じ(hkl)指数のピークが観測されるはずですね。

ですが、K^+イオンでの原子散乱因子(原子ごとのX線の散乱強度で、X線の波長や散乱角に依存しますが、とりあえず一つの原子では一定とします。)をf_K、Cl^-イオンの原子散乱因子をf_Clとしますと、Brag Peakにはその強度がf_K+f_Clに対応するピークと|f_K-f_Cl|に対応するピークとがあります。つまりK^+での散乱X線とCl^-での散乱X線とが強めあう場合と弱めあう場合があるということです。

X線がどのように結晶中で散乱されるかといいますと、トムソン散乱と呼ばれる、各原子の電子の電場との相互作用によって散乱されます。そしてその強度は原子のもつ電子の数にほぼ比例します。

K^+イオンとCl^-イオンは電子数がどちらもArと同じ数なので、原子散乱因子f_Kとf_Clはほぼ同じになります。ですので、KClでは強度がf_K+f_Clになるピークのみが観測され、|f_K-f_Cl|に対応するピークはほとんど見えません。

一方KBrでは、Br^-イオンの電子数はKrと同じでK^+イオンとは差があるので、原子散乱因子にも差があります。なので|f_K-f_Br|の強度のピークも観測できます。ですが、KBrの場合でもほぼ一つおきに強いピークと弱いピークが現れていると思います。(たしか)

以上のことは結晶構造因子というのを計算すると(単位格子の原子の並び方さえわかっていれば計算できます)、どの(hkl)指数のピークがどの程度の強度で観測されるかわかるので、ほぼすべて説明できます。
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補足しておきますね。


先ほどの式を見ていただくと、
全て奇数の時は、偶数の時と比較して強度が弱くなりそうですよね。
普通高角側に行くにつれてだんだん強度が弱くなっていくものですが、
(理由は原子散乱因子が高角ほど小さくなるからなのですが)

偶数のもの、奇数のものでは、式の違いもあり
強度が大きく違ってしまっているはずです。
(和をとるか差をとるかで大きく違いますよね。)

 例;KBrの(111)面は一番低角側に出るのに次の(200)と比較してすごく小さいはずです。

この事を考えると、
KBrの相対的に小さめのピークたち(正確には奇数の面)
がKClでは見えなくなっているはずです。
どうでしょうか?
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岩塩型(NsCl型)の場合観測される強度Iは


構造因子Fと言うものを計算すると分かるのですが、

hklが全て偶数の時、I ∝ (f- + f+)^2
hklが全て奇数の時、I ∝ (f- - f+)^2
hklが偶奇混合の時、I = 0

となります。
f-はアニオンの原子散乱因子(X線を散乱させる能力)
f+はカチオンの原子散乱因子
です。

原子散乱因子は電子の数に大きく影響を受けます。
kz1975さんの解説の通り、
hklが全て奇数の面の回折は、
KClの場合アニオンカチオンの電子配置が
ともにAr型のため等しくなってしまい
回折ピークが消滅してしまいます。

したがって、KBrのように通常の岩塩型はhklが偶数のみ又は奇数のみの面を観測できるのに対し、
 例;(111),(200),(220),(311),(222),(400),(331),…
KClのようにアニオンカチオンの電子配置が同じになってしまうものはhklが偶数のみのものしか観測できないわけです。
 例;(200),(220),(222),(400),(420),…

原子散乱因子の事、構造因子の事、強度の事、その他の事で疑問点がございましたらまた質問してみてください。
答えられる範囲で答えますんで。
頑張ってくださいね。
僕も今学生実験で学生に教えているので、
どういうことが分からないのか興味ありますし、
教える練習にもなるので~
楽しく実験してくださいね。
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まず、測定試料はどういうものでしょうか?


1.配向性の無い試料、粉末や焼結体などの場合
 見えるべきピークは全て見えるはずです。予想されるグラッグ角(2θ)付近を測定していますか?X線がよく使われるCuKαだとして、2θ角度で、KClなら28.39度、40.54度などに強いピークが現れるはずで、KBrなら27.02度、38.59度付近に同様のピークが出るはずです。
 それでも、KClのみ見えないとすれば、試料の設置位置がおかしくてX線がちゃんと当たっていないなど、実験上のミスが考えられます。
 原子散乱因子の違いは、この両物質では、絶対強度の比較には影響しますが、ピークが見えないような差は無いはずです。

2.単結晶試料の場合
 おそらく使用装置は通常の粉末用のX線回折装置と思われるので、単結晶を測定しようとすると、試料を丁寧に試料ホルダー面と平行にした上で、さらに試料の角度(θ)を調整しないと全くピークが見えないことが有ります。
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原子散乱因子、結晶構造因子などの意味を調べてみてください。

簡単には原子散乱因子とは、原子ごとのX線の散乱強度、結晶構造因子とは、単位格子あたりで散乱度を(hkl)で表したものです。

原子散乱因子が主に何で決まるかがわかり、NaCl構造での結晶構造因子を求められればわかるはずです。

調べてもわからないようであれば、補足します。他の方が答えて下さるかもしれませんが。

この回答への補足

すいません…調べてみたのですが分からなかったので、補足お願いしてもよろしいでしょうか…??

補足日時:2005/10/29 02:42
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