

ネット掲示板に、ある人が「古い耐震基準だと、例の偽装ビルよりももっと耐震性が低い」とカキコしていました。
本当でしょうか?
姉歯式マンションは、震度5程度で崩壊する可能性があるとのことですが、過去の基準では、震度5まで耐えればOKということになっていたのですか?
だったら、入居者に危険について正確に知らせた上で、本人が自己責任で住みたいというなら、それでいいような気がします。
少なくとも、取り壊し工事の日程が決まるまでは、自己責任でそこにいていい気もするのですが?
震度5って、通常の木造住宅なら大破する震度でしょうか?
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
元・建築構造屋です。
>「古い耐震基準だと、例の偽装ビルよりももっと耐震性が低い」
あのですね、アネハさんのやったことは、耐震計算の中の、一番重要な部分、「長期荷重」をわざと低く設定してしまったんですね。
長期荷重というのは法律で決まっているもので、要するに人・モノの重さです。
地震時に、この長期荷重にある決まった数値を乗じて建物をヨコから押してあげるんです。これが耐震計算の基本です。
この「長期荷重」が決まったのはおそらく関東大震災(1923年)の直後だと記憶しています。要するにその頃から変わっていない数値なんですね。先ほどの地震時の計算方法の大枠が決められたのもこの頃です。
その後、1980年(あたり)に建物のバランス等を考慮した計算方法が追加されたんです。
要するに昔に建てられたものでも、「耐震補強」を施せば何とかなるんです。
アネハさんがまずいのは、その根本である「長期荷重」を変えてしまったことでふにゃふにゃの建物にしてしまったんです。そういったものは耐震補強のしようがないんですね。
だから、どなたかが書いているように遡及適用がどうとかそういう問題ではありません。
>少なくとも、取り壊し工事の日程が決まるまでは、自己責任でそこにいていい気もするのですが?
いやあ、建物によるんでしょうが、自重で崩れる可能性も十分にありますからねぇ。本人がいいと言ってもちょっと無理だと思いますよ。もちろん、全部が全部なのかはわかりませんけど。
>震度5って、通常の木造住宅なら大破する震度でしょうか?
木造の筋交い計算が規定されたのは1950年。それ以降に建てられた物なら大丈夫ということになりますが、施工の良し悪し、老朽化は別問題ですね。
ちなみに何年かまえに木造にもバランスの計算が決まりました。これは多分、阪神大震災に耐えうるように定まったものですね。
お分かりになりますでしょうか。
>この「長期荷重」が決まったのはおそらく関東大震災(1923年)の直後だと記憶しています。要するにその頃から変わっていない数値なんですね。
日本は、けっこう昔から防災については考えていたんですね。
自重で崩壊する建物なら、近隣の人にも危険ですよね。
そういやインドかどっかで、外人向け高級マンションが突如崩れた、とかいうニュースがあったなぁ。
あれはインドのアネハさんが作ったんでしょうかね?
いまの基準では、木造でも阪神大震災クラスの揺れに耐えるんですね。
ちょっと安心しました。(でも、ちゃんと施工してあるのは何割かな?)
詳しいご回答、ありがとうございました。

No.9
- 回答日時:
旧耐震基準にしろ、新耐震基準にしろ目標は変わっていません。
建築基準法の目標は2段階に設定しており、
1)建物が存在する期間に1度は発生するような大地震に対して無被害(許容応力度以下)
2)建物が存在する間に発生するかどうかわからないような巨大地震に対しては、建物に被害があっても買わないが、人命が損なわれないように、倒壊・層崩壊などしないこと
です。
2つの基準の違いが法制定時の技術・知見の差です。
旧耐震は主に関東大震災の数少ない資料を基になされた知見を元に制定されました。
その後発生した新潟地震(液状化が問題)、宮城県沖地震、十勝沖地震などいくつかの大地震被害などから得られた知見やその間の技術進歩を元に旧耐震基準を改正したのが新耐震基準です。
震度と構造計算の地震力は直接関係のあるものではないのですが、一般的には大地震というのは震度5程度、巨大地震というのは震度6強から7(新耐震制定時に7という震度や5,6の強弱の区別はなかった)と言われています。
ざっくりいうと震度5程度なら被害なし、震度6程度なら被害が出ても倒壊したりして人命が損なわれないことが目標になっていました。
旧耐震基準だと昔の知見では考えられていなかったことにより耐震性が結果として劣ってしまったということで、適法に設計されたものです。
このように法律が変わったために基準を満たさなくなったものを違法建築と区別するために既存不適格と呼びます。既存不適格は耐震診断をし、必要に応じて耐震補強をするように努力するように法律で定められていますが、建築基準法のように強制的な法律でなく、努力目標的な法律になっています。これは元々の法律・基準の設定が適当でなかったのが原因ですので、原則として強制的に診断・補強などをするようにはないからです(最近はこの既存不適格をどう対処していくかは大きな課題といわれています)。
また、基準は強制法ですので、必ず守らなければならない最低限の値を決めていて、それ以上のものは決めていません。
そのため、ギリギリで設計されたもの、余裕を見て設計したものなどコストの関連や設計者・発注者の目標により個別の建物ごとに変わります。
公共建築において耐震診断を行った結果旧耐震基準で設計されたものの中には半分程度の耐震性能しか有していないものも多く含まれていることが報告されています。同時に補強の必要のないものも数多くあることが報告されています。
また耐震診断の結果補強しても使用に耐えないとして使用が中止されたものもあります。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051205-00000 …
一方偽装事件は意図的に基準値を満足させない建物です。これは違法建築であり、不法行為によりなされた建物ですので、既存不適格建物と法律上の取扱が変わるのは当然のことです。
大変詳しいご回答ありがとうございます。お礼が遅くなり失礼しました。
>一方偽装事件は意図的に基準値を満足させない建物です。これは違法建築であり、不法行為によりなされた建物ですので、既存不適格建物と法律上の取扱が変わるのは当然のことです。
既存不適格とは違う、という点は納得いきますが、既存不適格でも「危険で補強工事もできない」と見做されたら、(御紹介URLの小学校のように)取り壊すわけですよね?
それとも、学校だからであって、個人所有のマンションなら、住むのをやめろとは言わないのでしょうか?
耐震基準の考え方については、よくわかりました。
で、コンクリート建物の法定耐用年数はたしか60年だから、「100年に1度以下」の地震がおきたら、倒壊して人が死ぬことがなければ、壊れてゴミになってもしかたない、という考え方でしょうか?
だったら、次の「関東大震災」の際には、新基準も含めて、大半のビルが倒れないまでも壊れるんでしょうか?
一気に首都圏の大半の建物が壊れたら・・・
ものすごい社会インフラの喪失ですよね。
人間は生き残れたとしても、日本経済はその損失に耐えられるのか。。。
非常に危うく思えてきました。
とても参考になりました。ありがとうございます。
No.8
- 回答日時:
回答にはなりませんが一点だけ。
旧耐震基準の建物→新耐震基準の建物より弱い→危険
と思われがちですが、本当は
旧耐震基準の建物→新耐震基準によるチェックが行われていない→新耐震基準におけるどの程度の耐力が有るか不明→危険な可能性がある
となります。
旧耐震基準の時代と今は考え方が違います。
計算手法もツールも違います。今はパソコンで簡単に求められる解析も、そろばんや計算尺ではできません。地震による建物の崩壊のメカニズムも不明だったこともあります。
で、旧耐震基準の建物は、耐震診断なりを行って必要なら耐震補強を行いましょう、となるのですが、なかなか実際には行われていないようですね。
旧耐震基準の建物でも、新耐震基準をはるかにオーバーする耐力を保持している建物もたくさんあります。
昔のほうが、コンクリート(の骨材)の材質が良かった、熟練工がいた、などの理由で今よりマシという意見もあります。
旧耐震基準と新耐震基準では、考え方自体が違うので、一概に旧耐震基準のほうが、危険だとも言い切れません。
確かに、新耐震基準で計算すれば、基準を満たさない建物が多いと思いますが、今回の構造偽装とは、全く次元の違う問題と思います。
なるほど~
新旧の耐震基準の違いがよくわかりました。
確かに、古いレンガ造りや初期のコンクリート建築なんか、阪神大震災にも無傷で耐えたのがたくさんありましたよね。
緻密な計算ができない時代のほうが、余裕をもって頑丈に作ったのかもしれないし。
ご回答ありがとうございました。お礼が遅くなりすいません。
No.6
- 回答日時:
いえ、旧耐震基準では震度5であれば倒壊しないという目標値でした。
つまり震度6だと倒壊するかも。例の物件は震度5ですら倒壊する危険があり、ひどいものは自重で倒壊する危険まで......
耐震性という見方で考えると非常に幅があるしわかりにくいのですが、たとえば柱の鉄筋で現在120本必要なものが旧耐震基準では90本、ところが例の物件は60本と、旧耐震基準の法律すら満たさない項目が沢山あります。
だから危険なんです。
なるほど~ めちゃくちゃ柱が少ないんですね。
柱が半分だと、強度は4分の1?とか? もしかして8分の1ぐらい???
「震度5に耐える」と「震度5で崩壊」は、確かに大きな違いですね。
ご回答ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
いえ、耐震能力云々ではなく、もしも何か有った時に、それを知っていながら危険回避の指導をしなかった行政が悪い、という世論を回避する意味での退避勧告なんです。
危険ですから避難しなさいと言っているのではなく、自分たちが後で責められるから責任逃れの手は早く打っておこうという魂胆なんです。
ですから退避しろと命じるわりには、どこに?という問いかけに対して答えを持っていません。
公営住宅への転居を示唆する動きはありますが、まだ決定していませんから。
今の段階では、ホテルなどへ自主避難するだけで、その支払いはどうするの?というのは論じる事はされていませんので。
No.1
- 回答日時:
題名に対する私の回答:法律不遡及の原則 を、勉強してください。
2段に対する私の回答:然るべく。
3段に対する私の回答:法律施行後の瑕疵責任及び行政の責任があるので、自己責任を声高に主張して叫んでも、公共の福祉の観点から排斥される部分もあり得るでしょう。
4段に対する私の回答:貴方の思う「普通」と私の思う「普通」が必ずしも一致するとは限らないので具体的な例を挙げていただかなければ回答のしようがありません。
さっそくのご回答、ありがとうございます。
法律を知らないので見当はずれかもしれませんが、「法律不遡及」は、やったときに適法であった行為について責任を問えないということではありませんか?
古いビルがあって、そのビルを建てた時点では基準に合致していたら、それを壊せとは言えないのはわかります。
でも、国には国民の生命身体を護る義務がありますよね?
古いビルと姉歯ビルの耐震性能が、仮に同じであると仮定したら、片方のビルが「危険で住めない」ものなのに、もう一方は放置しておくのはおかしい気がして、いまいち納得できません。
4段落ですが、「耐震基準に会わせて作られた、手抜きや欠陥工事ではない新築の木造住宅」という意味で書きました。
ご回答ありがとうございました。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
関連するカテゴリからQ&Aを探す
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
賃貸 家が線路からどのくらいの...
-
新築なのに家が揺れる!?
-
建物間の開放通路
-
階段の上り下りで家が揺れます...
-
家が揺れる?
-
5年くらい傾いた家に住んでも...
-
家の手入れについて
-
業務施設とは大規模なもの?
-
一般診断 (建物の重さについて)
-
建築の確認申請が通ると、建築...
-
「向かいの家」「裏の家」
-
隣に新築が立つに当たりうちで...
-
住居問題の質問です。自宅の隣...
-
新築隣家の北向きの大窓に困っ...
-
隣地境界フェンスはどちらが作...
-
平均GLと斜線制限について
-
隣地業者が我が家の境界ブロッ...
-
盛り土で土地を非常に高くする...
-
同じ会社が南側に家を建て、日...
-
建蔽率目一杯で建てた後に物置...
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
賃貸 家が線路からどのくらいの...
-
新築なのに家が揺れる!?
-
5年くらい傾いた家に住んでも...
-
階段の上り下りで家が揺れます...
-
建物間の開放通路
-
家が揺れる?
-
新築木造3階建てが強風の度に揺...
-
建物の値段を教えてください昭...
-
一般住宅へのカーテンウォール...
-
地震の際 木造2階の建物で1階と...
-
台風の風で家が揺れました
-
西側道路日当たりについて
-
お家の周りをぐるっと回れない?
-
神戸北野の異人館物件を探して...
-
ヨーロッパに超高層ビルなどの...
-
一般診断 (建物の重さについて)
-
建築基準法42条2項道路のセッ...
-
免震の家 わざと揺れることで揺...
-
築30年の軽量鉄骨テラスハウ...
-
備え付けの家具等の保障期間は?
おすすめ情報