No.1ベストアンサー
- 回答日時:
企業の価値の計り方は様々ですが、上場株の場合、現在の資産、ブランド、成長性、将来入ってくる利益等、様々な要件を考えて、投資家が売り買いします。
その結果ついた値段が「株価」ですよね。株価×発行済株式数=「時価総額」となります。時価総額は、上で述べたとおり、市場における企業の価値を表すものの一つです。
新株発行による株式価値の希釈化とは、上のような数式を考えればわかり易いですね。時価総額が企業価値で、これが一定だとすれば、新株を発行する=株式数が増えるということは、1株あたりの価格が下がるということです。
仮に株数が2倍になれば、理論的な株価は半分になります。
投資家は、新株を発行されると自分の持っている株の価値が下がるため、基本的には売ってしまいます。
企業にとっては資金調達の手段ですが、こういったことを考えて新株発行は慎重に行います。むしろ借入れで済ませたほうが株価に影響が少ないからです。
この回答へのお礼
お礼日時:2006/06/02 15:35
ご回答ありがとうございます。勉強になりました。
最後の「基本的には売ってしまいます」は、有望な会社であればそうでないケースもあるのでしょうね。
No.4
- 回答日時:
「実際に上がるか下がるか」というと、究極の正解は「需給次第」という当たり前の結論しかないので、「株価が下がる要素」としての稀釈化(希薄化の方が個人的には慣れているので以下では「希薄化」と書きます)が起こるかどうか、という観点からご説明します。
まず、純資産に注目すると、1株あたりの純資産(*)が100円の株で、新株が同じく100円で発行されたとすると、その瞬間の1株あたりの純資産に変化はありません。新株発行の替り金として受け取る現金がそのまま純資産の増加につながるからです。単純な例として、株が1株しか発行されておらず、その純資産が100円、新株も1株だけ発行、という会社を想定してもらえれば、わかると思います。新株発行前は、1株あたり純資産は100÷1=100円で、発行後は200÷2=100円です。新株発行価格が100円より低ければ1株あたりの純資産は減りますから、『希薄化』が起きます。100円より高ければ、1株あたりの純資産はむしろ増加します。
(*)時価ベースの純資産で、かつ投資家がそれを正しく把握できていると仮定します。
次に1株あたりの純利益を考えます。
上記の例で、1株あたりの純利益が10円の会社だったとします。(ROE=10円÷100円=10%)。1株増加した場合、同じROEになる為には、1株あたりの純利益が20円になればよいわけですが、実はこれが簡単ではありません。
無借金経営の会社を除き、銀行借入や債券など、株式以外の資金調達もしているのが普通ですが、ほとんどの場合、銀行借入や債券による資金調達のコストは、ROEより低くなっています。株への投資は、金を貸す事よりもリスクが高いので、投資家から見れば、ROE>債券利回りである事が当然だからです。
例えば、100億円の銀行借入に対して2%の利子を払い、その100億円と株主資本100億円を使って、10億円の税引き利益を上げていたとします。ROEは税引き後利益10億円÷株主資本100億円=10%です。
これは、銀行に利子(2億円)払う前には12億円の利益をあげていた事を意味します。つまり200億円の総資産は12÷200=6%の利回りを上げている状態です。
ここで便宜的に、株数は1株とし、更に1株100億円の新株を発行したとすると、株主資本は2株で200億円になります。ところが新たに株で調達した100億円は、株で調達したからといって、銀行から借りた100億円と使い勝手は基本的には変わりがありませんから、新たに調達した100億円から10%の利益を期待するのは難しく、むしろ今まで同じように、総資産に対する6%ぐらいの利回りとも考えられます。
結果、税引き後利益は6億円増えて、16億円にしかなりませんから、既存株主にとって、1株あたりの利益は10÷1+=10億円から16÷2=8億円に減った事になります。これが希薄化です。
希薄化が起きないようにするには、新たに調達する100億円から、これまでのROEと同じ10%の利回りを上げるか(これはかなり大変だろう)、あるいは銀行借入も行って、全体として10%のROEを維持するかのどちらかが必要です。新株の発行で調達した資金を、銀行借入の返済や債券の償還に充てる場合は、資産自体が変らない上に、今迄は法人税の計算上費用になっていた利払いを減らし、投資家に今までと同じROE(当然税引き後)を与えなくてはならないわけですから、ほぼ確実に希薄化がおきます。
以上をまとめると、希薄化が起こるかどうかは、純資産の点では発行価格次第、1株あたり利益の点では、調達した資金を充分に有効に使えるか次第、という事になります。(但し、発行価格が純資産価格を遥かに上回るものだった場合、純資産の観点からだけ見れば、既存株主にとって得なのですが、これは裏返せば、時価発行の場合は、株価が不当に高い値段で取引されていたという事でもあり、その後株価が下がれば、既存の株主は、本当は新株発行自体では得をしていたのに、株価が下がった事で損した気分になります。)
、
但し、「株主資本比率の変動は、ファンダメンタルズ・ヴァリューには影響を及ぼさない」という仮説もあり、それに従えば、新株を発行して借金の返済に充てると1株あたりの利益は希薄化するが、倒産の確率が減る事で相殺され、株価への悪影響は無い、という事になります。(法人税の影響は無視しての話)
後は蛇足ですが、
持ち合いが株のファンダメンタルズバリューにどういう影響を与えるかは80年代後半によく議論された話題ですが、上に述べたように、持ち合いで買った株から得られるリターンと、それまでのROEとの比較によって決まります。理論上は、持合だと必ず希薄化が起きるわけではありません。(但し、80年代は、時価会計もなく、持ち合いで買った株から得られる収益は、会計上は配当金しかなかったので、会計上はほとんどの場合希薄化がおきました。)
また、新株発行は、会社の純資産を必ず増やしますから、その他の条件をすべて無視した場合、純資産の増加分だけ、時価総額も増えます。増えなかったら、株価が割安になったといえます。
よって、時価総額が一定と仮定して、希薄化の議論はできません。
No.3
- 回答日時:
バブル経済のとき、このような新株発行が横行しました。
単純化し、会社がA・B2社しか上場していないとします。
A社が新株100億円分発行してそれをB社が引き受け、同じくB社が新株100億円分発行してA社が引き受けたとします。
株式会社がお互いに株式を引き受けあうと、お金が行って戻るだけで、資産は両社とも全く増えません。ところが株数だけは、増えることになります。
これが稀釈化です。
No.2
- 回答日時:
これは額面発行の場合と時価発行の場合とではそのメカニズムが違います。
額面50円の株が100円の値がついているときに倍額草紙を額面発行で行なうと、株価は75円になり、そこが出発点で株が取り引きされます。時価発行の場合は受給バランスが変らなければ株価は100円のままになります。そこで株がダブつけば下がるし、まだまだ有望と市場が判断すれば下がることはなく、上がることさえあります。
多くの新株発行のときは上記の間の割り当てが行なわれますからそのときの時価は次式で計算されます。
評価額=(時価+1株当り払い込み金額×割当率)/(1+割り当て率)
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