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伊国カンパーニャ地方のタウラージ村では1828年に植えられたセルピコ用のブドウ樹が接木をしないで180年近い今でも健在で1株当たり100kgもの収量を得るそうです

そこで質問です
19世紀後半にヨーロッパのブドウ樹を全滅させたと言われるフィロキセラ禍からこの地の多くのブドウ樹が免れた奇跡とも言える理由は何でしょうか?
地理、気候、土質、人間のとった対策、フィロキセラの特性などを中心に教えて下さい

また、樹には樹勢があり、古木ほど収量が減りますが、180年もの古木が100kg近い収量ができる理由、それほどまでに実を付けさせる理由、古木を引き抜かずに栽培してきた理由を教えてください

A 回答 (4件)

補足です。



今回参考意見にしたのは、「根の皮が厚い」「自根は台木よりも長生きする」というのは、きちんとしたソースを提示できないからです。

根の皮が厚いというのは葡萄の植物学者から聞いた話です。加えてアメリカ系独自の防御反応のようなものもあったような気がします。後者に関しては、接木したものはどうしても継目が弱くなりますので、そこでのトラクターなどによる物理的破壊、カビなどの侵入による壊死などが起こりやすく、フィロキセラという要素を除外すれば、確率的に自根のほうが長生きする要素が多いと言う意味でご理解ください。正確な比較試験のデータは持ち合わせていません。

台木についてですが、
1.Riparia 2.Berlandieri 3.Rupestris 4.Vinifera 5.Labrusca 6.Cordifolia 7.Solonis の単独もしくはかけあわせが主となります。数字が小さいほど使用頻度が高いものです。大雑把に書くと、Ripariaは湿地を好み穂木の樹勢は弱くなる、Berlandieriは発根が悪い、Rupestrisは穂木の樹勢が強くなる・・・などです。これらは台木に向いているというだけで、他の品種を台木にすることももちろん可能です。かけあわせになると大変な量になるので下記の植原葡萄研究所さんのHPをご覧いただければわかりやすいかと思います。

ヴィニフェラの血が入っていれば穂木との親和性や石灰耐性が強くなりますが、フィロキセラ抵抗性が落ちます。たとえばAXR1(かつてのカリフォルニア)、41B、Fercal(シャンパーニュなどで使用)などがあります。

参考URL:http://www.uehara-grapes.jp/
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この回答へのお礼

再度の回答ありがとうございます
台木の特性によりフィロキセラ耐性、穂木樹勢、接ぎ木親和性、耐寒性、耐乾性、石灰耐性、収量、熟期、品質等が異なるため、この選択が重要となるそうですね
土質、地理、気象条件などをよく見極めることが肝要なのでしょう
個人的にはシャルドネが一番好きで、フランス・ロワール地方の自然派ワインのドメーヌで僅かですがブドウ樹のオーナーをやってます
今のドメーヌが存続する限りはオーナーでいられる事でしょう
日本にも教えていただいた植原葡萄研究所のようなところがあるのが心強いです

>たとえばAXR1(かつてのカリフォルニア)、41B、Fercal(シャンパーニュなどで使用)・・・
このような専門用語を書籍で見かけることがあっても、こういう場で見かけることがなく、今回これを見ただけでも詳しい人が居るんだなと思い質問した甲斐がありました

>フィロキセラ禍からこの地の多くのブドウ樹が免れた奇跡とも言える理由は何でしょうか?
この質問のハッキリした答えは難しすぎますね  だからこそ奇跡なのでしょう
質問が解決したわけではありませんが、なんだかスッキリしたので締め切り御礼とさせていただきます
また質問する機会が有ればよろしくお願いします

お礼日時:2008/05/16 23:17

タウラージのその村がどのような状況なのかは知りませんが、フィロキセラに関してはいくつかの知見があります。

フィロキセラ繁殖の要因として、

1.適度に湿った土壌
フィロキセラは乾燥した土壌、とくに砂地のようなところでは繁殖しづらいということ(粘土含有率3%以上からリスク増、7%以上だと台木を使用すべき)、逆に湿地のような土地でも繁殖しづらい事が報告されています。後者の場合はあまり葡萄は植えられていないでしょうけれど・・・

2.品種や葡萄の状態
フィロキセラはアメリカ系には葉に寄生し、ヴィニフェラは基本的に根に寄生します。アメリカ系の根に寄生できないのは、ただ単に根の皮が厚いからだそうです。抵抗性は20が最大だとすると、アメリカ系は16~18、ヴィニフェラはせいぜい1~2といったところです。抵抗性は品種、葡萄や土壌の状態でもある程度変わるとは思われますが、ヨーロッパ系のヴィニフェラであれば抵抗性はほぼないと考えて差し支えないと思います。甲州のようなアジア系ヴィニフェラに関しての知見はありません。

3.繁殖に適した環境
フィロキセラの天敵(人間も含めて)が存在すれば繁殖はたやすくありません。葡萄の栽培状況としては、アメリカ系葡萄とヴィニフェラを混植もしくは近くに植えるとよりフィロキセラの害を受けやすいそうです。

4.周辺環境からの侵入
自力、土の移動、風などに運ばれての侵入があります。

孤立している環境というのは確かにフィロキセラの害から守られるかもしれませんが、ロワールやシャンパーニュでも自根の古い樹がありますから、そう考えると土壌環境と言う要因は大きそうですね。とは言っても、タウラージがどれに拠るものかを判断することは私にはできません。

フィロキセラ対策として、ロマネコンティのように硫黄を土に噴射したり、畑を水で浸してフィロキセラを窒息死させると言う方法もありますが、結局は根絶できずに接木せざるを得ませんでした。今でも自根に挑戦する生産者は絶えませんが、大抵の畑は10年もすればフィロキセラにやられて葡萄は引き抜かれています。殺虫剤をもってしても根本的解決は難しいようです。

それから樹齢と収量ですが、樹一本で100kgと言っても密植度次第だと思います。かなり樹冠を大きくとれば不可能ではありません。ある程度の密植だとしたらこの収量は普通は考えられません。

自根ですと接木したものよりも長生きするのはわかりますが、フィロキセラが出ないほど水分の少ない土壌と言う事になりますと、葡萄への相応のストレスが想像できますから、健全な状態での長生きは簡単ではなさそうです。死んだ木から植え替えが進んでいって、いまだ何本か樹齢180年のものもあるという理解の方が自然な感じがします。とくに引き抜かないのは、普通の生産者であれば「まだ生きていて実がなるから」という理由が可能性大です。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます
私自身も調べて納得のいく回答が見つからないし、最後の回答者様から随分と日数がたち、そろそろ質問を締め切った方が良いのか考えていました
簡単に判るようなら世界各地の生産者や研究者は苦労しませんよね

>フィロキセラはアメリカ系には葉に寄生し、ヴィニフェラは基本的に根に寄生します。アメリカ系の根に寄生できないのは、ただ単に根の皮が厚いからだそうです

ヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラよりもアメリカ系が根の皮が厚いのを初めて知りました
アメリカ系のなかでも食用のヴィティス・ラブルスカのほかに、台木・苗木用として用いられるヴィティス・リパリア、さらにヴィティス・ルペストリスがあるようですが、これらの特性の違いについてもお判りでしたら教えて下さい
あ、この場合はあらたに質問をたてた方がいいのかな?


>それから樹齢と収量ですが、樹一本で100kgと言っても密植度次第だと思います。かなり樹冠を大きくとれば不可能ではありません。ある程度の密植だとしたらこの収量は普通は考えられません

タウラージ村もワイン産地である以上は、収量制限をして品質を高めるように努めていると思います
私が生活する当地も副産地ながらブドウ栽培されているので房がぶら下がる様は判ります
なので100kgは考えにくいですよね
密植具合だけでなく、まともに剪定しないような場合には収量100kgも夢ではない気がしますね
いつか伊国、仏国旅行する機会があればその答えを見つけたいです

昨年ですがタウラージ村産のワインではなく、南仏産のグルナッシュ種、樹齢140年物のワインを飲みました
私の感想は「濃い~」で、知人の感想は「アルコールの香りがするワインは初めてだ」などと言ってました
たぶん、深いところの根がミネラルをがっちり吸い上げて、生産者も奮闘した結果なのでしょうね

>自根ですと接木したものよりも長生きするのはわかりますが・・・
接木物が短命といのも初めて知りました
あらたに判った事があれば引き続きお願いします
たくさん教えていただきありがとうございました

お礼日時:2008/05/15 22:22

No.1です。

捕捉を。

>現在も古木が多いそうですが、それでも植え替えが行われているようですし
植え替えといっても村内という閉鎖系で苗木や台木を生産していたのではないでしょうか。
欧州のワイン・ブドウに対する熱意は大変なものがあるそうですから、新品種・新手法を頑なに拒んでいたのかもしれません。

>フィロキセラは自力で飛翔移動もできるようなので、
確かに、有翅型がある以上自力で飛翔することは当然です。また体が小さいほど風に乗りやすいですから、自力で長距離移動できずとも風に乗って長距離を移動することができます。
しかしながら、無事に到着できるか、到着先で繁殖できるかというと、次のような問題がでてきます。
1.無事に次の寄主に辿り着けるか。
 広食性であればリスクは低いでしょうが、狭・単食性であれば大きな障壁になります。
 そして地形と風向きによっては、辿り着くことすらできません。例えばウンカ類は毎年大陸南部から日本本土に、それこそ「雲霞群雲の如く」飛ばされてきますが、その逆は(人為的なもの以外)ありえません。
2.辿り着いた先で、無事に繁殖・越冬できるか。
 例えば前述のウンカ類は、日本本土で越冬することができません。
 辿りついても寄主が抵抗性を持っていたり、天敵・競合相手が数多くいたりするかもしれませんし、農地に農薬(別の病害虫を対象としながら偶然移入種にも有効な)が撒かれているかもしれません。
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この回答へのお礼

ありがとうございます
>無事に到着できるか、到着先で繁殖できるか
おそらく【様々な手段でたどり着いた。 しかし繁殖できなかった】なのでしょうか?
今日、ネットで砂質を嫌うとの記述を見つけました  そういえばタウラージ村の畑も砂質だそうです
繁殖できなかった理由とは?、、、当時は有効な化学農薬などなかったので、砂質などの環境にもヒントがあるような気がします
なぜ、砂質を嫌うのか  嫌う環境とは何かをもう少し調べてみますが、お判りでしたら引き続き教えて下さい

あのロマネ・コンティの財力を持ってしても1945年には接ぎ木による植え替えをしたそうなので、金と根気に弱いわけじゃなさそうですね(^^)

お礼日時:2006/08/20 11:02

フィロキセラは和名をブドウネアブラムシといい、ブドウの根回りや葉に寄生します。


日本国内に既に侵入・定着していますし、重要な害虫ですから、和名で検索すれば簡単に情報を集められます。

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世界に手を広げた欧州各国は、ブドウの新系統を得るために世界中からブドウを導入しました。
これにより、まずブドウうどんこ病が欧州に侵入します。慌ててこの病気に耐性を持つブドウを導入したところ、今度はフィロキセラが侵入してしまいました(1859)。フィロキセラへの耐性を持つブドウを導入したところ、更にブドウべと病が侵入してしまいました(1878)。
流石に懲りたのでしょう、「フィロキセラに対しとるべき措置に関する国際条約」が締結され(1881)、条約参加国(間)におけるブドウの管理・移動に厳しい条件が課されるようになりました。

質問の村のブドウは現在でも健全なのだろうと推測します。
おそらく村内や農園に1828頃以降に植えられたブドウが無く(新品種導入に伴う病害虫・ウイルスの移動が無く)、
更に村の周辺の広い範囲に野生寄主が無い(病害虫が自力で村にたどり着けない)のでしょう。
元々フィロキセラ等への耐性があったのかもしれません。
ひょっとすると、新品種導入を迷っている間に新病害虫が発覚して、「慌てて導入しなくてヨカッター」なのかもしれませんが。

いまでも収量が確保できている理由は判りかねます。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます
フィロキセラ禍には、19世紀当時様々な対策を試してみたものの効果が無く、結果的に耐性を持つ台木による接ぎ木が有効であるとなり、現在でも行われている事は様々な文献で読んでいましたが、今例のように稀に禍を免れた例があり、その理由を知りたかったのです

今例のタウラージ村では、現在も古木が多いそうですが、それでも植え替えが行われているようですし、フィロキセラは自力で飛翔移動もできるようなので、上手い説明がつきませんよね

そうなると
>元々フィロキセラ等への耐性があったのかもしれません
今回はこれが正解に近いのかも知れませんね

お礼日時:2006/08/19 15:24

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