No.4ベストアンサー
- 回答日時:
あ、ごめんなさい。
>生きているものと思って
って書いていましたね。
ということは、私の書いた1番目の前提は成立しませんね。
さて、この場合ですが、
「生きていると思うのは無理ない」=「第三者が見ても死んでいるようには見えない」
ということでいいでしょうか?
その場合は、いちおう通説の線で書きますと、
「その『殺す』という行為によって、(生きているはずの)相手が死ぬであろうことは
本人も予測できるし、一般にも予測し得る」
という前提のもとで
「相手を死なせる行為に出たが、(実際には既に死んでいたことにより)死なせるという結果が発生しなかった」
ので、
「殺人未遂罪」
になります。
上記の「一般にも予測しうる」が成立するために
「生きていると思うのは無理ない」=「第三者が見ても死んでいるようには見えない」
という前提が必要なんです。
誰が見ても明らかに死んでいるのに、犯人だけが思い込みで「殺そう」としても、
そりゃ一般的に見て端から無理なことをやろうとしているわけですから、
殺人未遂も成立しません。(よくわら人形の呪い殺しで説明される「不能犯」ってやつです)
昨日に引き続き、お礼が遅くなり申し訳ありません。再度のご丁寧な回答、本当にありがとうございます。
質問したケースでは、被害者は、加害者(A氏とします)が「殺す」直前に、別の人によって絞殺されていました。
しかし、衣服等に隠れてその跡が見えなかったこともありA氏はそのようなこと露思わず、事故死に見せかけて被害者を「殺し」ました。
ですので、おそらく「殺人未遂罪」になるようですね?このような場合でも「殺人未遂」になるとは大変意外でしたが、ご説明を読むと納得いきます。
また不能犯についても初めて知りました。本当に勉強になりました。法律の奥の深さを垣間見た気がします(^_^;)ありがとうございました!
No.10
- 回答日時:
この問題は、不能犯だけでなく、錯誤も問題になります。
まず、最初のご質問は、生きている人を殺そうと思って、つまり、殺人の故意で、致命的な打撃を与えるという行為をしたという場面です。
1)もし被害者が生きていれば、殺人の故意で、客観的にも殺人の実行行為をしたことになるので、殺人罪になります。
2)被害者が実際は死んでいても、一般人からみて生きているように考えられた場合は、殺人の実行行為と評価されるので、殺人の故意で、殺人の実行行為をしたが、結果は発生しなかったということで、殺人未遂になります。
3)被害者が明らかに死んでいたがその人は気がつかなかったというような場合は、殺人の故意で、客観的には死体損壊の実行行為をしたことになり、これは事実の錯誤の問題となり、構成要件の一致する範囲で、死体損壊罪で処罰されます。ただし、致命的な打撃を加える行為ではなく、毒物を飲ませる行為などは、客観的にみて死体損壊罪の行為にはならないので、死体損壊罪も成立せず無罪となります。
次に、2番目の質問は、死んでいることが分かっているのですから、行為者に人を殺そうという殺人の故意がありません。殺人の故意が無いのですから、殺人罪の不能犯の問題とは無関係です。
死んでいる人を車で轢くような行為は、そのような行為をすれば死体が損壊されると分かっているのですから死体損壊罪の故意があり、その上で、客観的にも死体損壊行為をしているのですから、文句なしに死体損壊罪が成立します。
utamaさん、ご回答ありがとうございました。お礼が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。
大変分かりやすくまとめていただき、ありがたいです。
補足質問をした時点では、確かに不能犯の問題とごっちゃにして考えておりました。
しかし、死んでいることが分かっていて故意に傷つけた場合は、不能犯とは別問題で死体損壊罪になるのですね。
非常によくわかりました。ありがとうございました!
No.9
- 回答日時:
>「既に死んでいることが明らかに分かっている場合」の話です。
「死体損壊罪」が当てはまる、という理解でよろしいのでしょうか?
それとも、これもあくまで呪いの人形と同じような扱いになるのでしょうか
殺人罪については不能犯としても、生死の限界は科学的認定をするとしても一定の幅がありグレーの部分も有ります。
死体損壊罪についてですが、客体が死んでいたかについては医学的に判断されます。既に射殺されていた者に日本刀で切りつけた被告人に対し、「行為の性質上結果発生の危険が無いとはいえないから、同被告人の行為は不能犯と解すべきでない」と、殺人未遂と判示した判例(広島高判昭和36年7月10日)もあります(具体的危険説から導かれています)が、既に死んでいるということが明らかな場合、死体損壊罪に該当すると考えられる場合もあります。
再度のご丁寧な回答、どうもありがとうございました。またしてもお礼が遅くなってごめんなさい。
へぇ、挙げていただいたような事例があったんですね。これは殺人未遂になったのですか…
「死体損壊罪に該当すると考えられる場合もあります」とのことで、考え方や重点の置き所によって判決が変わるということなんでしょうね。
司法試験は超難関資格ということですが、この質問だけでもその一端がわかるような気がします(^_^;)
No.8
- 回答日時:
No.1さんへの補足への回答が、まさに私がNo.3で書いた内容です。
「殺す」という行為は必ずしも死体を損壊させる行為とは一致しませんから
(たとえば毒を盛るとかでは死体は損壊しないですよね)
行為の態様によって死体損壊罪が成立するかしないかが決まります。
nep0707さん、またしてもご丁寧なご回答をいただきまして、本当にありがとうございます!
わぁぁ、やはり#3で頂いたご回答の内容をきちんと理解しておらずに再質問してしまっていましたね~~!ごめんなさい!!
今回のご回答と、改めて#3を読み返すと、今度こそばっちり(だと思います)理解できました!
実は最初、「『殺す』行為と死体を損壊する行為は必ずしも一致しない」ところが理解が及ばなかったため、追加質問をしたのですが、「たとえば毒を盛るとかでは死体は損壊しない」で納得いたしました。
なるほどなるほどそういうケースですね。なんというか…「死体」「殺す」(書いていて少し怖いですが^_^;)等と一口に言っても、法律という視点でみると様々な状態、条件を勘案するんですねえ。
本当に奥が深いんですね。
No.7
- 回答日時:
こんにちは
「行列のできるナントカ相談所」みたいですね。
ワタシも加えてください。
これは、未遂か不能犯かの話で出てくるテーマです。
死んでいる人は、もう殺せないので殺人も殺人未遂も成立しません。
つまり、不能犯で無罪。
しかし、日本の刑法学の通説では具体的危険説というのが通説で、
一般人の誰がみても生きていると考えるような死体を
殺そうとした場合は、殺人未遂が成立します。
SEEANEMONEさん、ご回答ありがとうございました。お礼が遅れて、申し訳ありません。
SEEANEMONEさんのご回答のお陰で、「未遂と不能犯」が定番のテーマであることが分かりました。とても参考・勉強になりました。
少しずれるかもしれませんが、「具体的危険説」という言葉は#5さんのご回答にもありましたが、法律用語って、ひとつひとつの言葉は難しくなくても、意味が法律ならではで面白くも難しいのですね~!
(たとえば「善意」という言葉も、一般とは違う意味で用いることを割りと近年知りました。)
ご回答の内容、よくわかりました。本当にありがとうございました!
No.5
- 回答日時:
この場合学説では、未遂犯か否かの判断の基礎資料を「客観的に存在した全事情」とする立場の具体的危険説と、行為の当時に一般人が認識出来たであろう事情と、行為者が特に認識していた事情を基礎に、一般人が結果発生の危険を感じるか否かを基準に判断する立場の具体的危険説というものに分かれています。
前者の場合、客観的事情とは、客体(打撃を与えられた人)が既に死んでいるという場合、死体を殺害することは出来ないので、死体を生きている人と誤信して打撃を加えても常に殺人の不能犯(不処罰)となります。
後者の場合、この場合、行為の当時に一般人が認識できたであろう事情とは、一般人ならばその人が生きていると判断するか、それとも既に死んでいると判断するかということです。一般人が生きていると判断するのであれば、行為者が打撃を加える行為は、一般人からみて生命侵害の危険性を感じる行為であるから殺人の未遂犯となり、他方死んでいると判断するのであれば、死体に打撃を加えても一般人が生命侵害の危険性を感じないので、この場合殺人の不能犯(不処罰)となります。
裁判判例では、犯罪行為の性質上、結果発生の危険を絶対に不能ならしめるものか否かによって不能犯と未遂犯を区別しています(最高裁判例昭和25・8・31)。
jyukenn-jさん、ご回答ありがとうございます。お礼が遅くなって大変申し訳ありません。
さすが専門家の方ですね!最初ご回答を拝読したとき言葉等が正直少し難しかったのですが(すみません^_^;どどどど素人なもので)、読み返すとわかりました。
判断によって回答も異なるんですね。その判断をどうするかが、法律の難しいところなんでしょうね…。
大変参考になりましたし、興味深く読ませていただきました。不十分な質問にご丁寧な回答、本当にありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
>ある小説を読んでいて浮かんだ疑問なのですが、
ホント、素朴な疑問ほど得てして鋭いポイントをつくもの、と感心してます(笑)
それで…
・「殺した」人は、相手が「既に死んでいること」を知っていた
・第三者が見ても、明らかに死体に見える
・事実として、実際に相手は既に死んでいる
ということでいいでしょうか?
その場合「殺した」に相当する行為の態様によって、
死体損壊罪が成立する場合もあればしない場合もあります。
(「殺す」行為と死体を損壊する行為は必ずしも一致しないので)
なお、上記3つの前提の成立が危うくなると、問題はぐんぐんややこしさを増し、
底なし沼がおいでおいでしますので(笑)ここでは省略します。
(そういや、学生時代の教官は、1講ぶん90分の大部分を使って説明していたなぁ)
nep0707さん、ご回答ありがとうございました。お礼が遅くなり、大変申し訳ありません。
確かに質問の発端は、#4にお書きいただいたように「生きているものと思って…」でしたが、そもそも条件や前提によって答えが変わるということを全く知りませんでしたので、ご回答大変参考になりました。
本当にありがとうございます。
#4の方に、改めてお礼をさせていただきますね。(明日になるかもしれません、どうかご容赦ください。)
拙い拙い質問に「素朴な疑問ほど得てして鋭いポイントをつくもの、と感心してます(笑)」のお言葉、嬉しかったですf^_^*
No.1
- 回答日時:
既に死亡していたことが立証できれば”死体損壊罪”では?
この回答への補足
この場をお借りして、皆様、早速のご回答を本当にありがとうございます!
本当に素朴な疑問で質問させていただきましたが、全く知らなかったことを教えていただき大変大変参考になります。
特に多数のご回答にあった「不能犯」について、ネットで調べてみたところ、不能犯と未遂犯の話は法律界では頻出のテーマのようですね。
そこで新たに疑問が出たので、本当にすみませんがもう1点だけ質問させてください。
今度は「既に死んでいることが明らかに分かっている場合」の話です。
ここのご回答でも、ネットの説明でも、「その場合は不能犯で、罪に問われない」とあります。
とはいえ、死体をどんなにメチャクチャにしても(たとえば車で轢くとか…汗)不能犯だから無罪になるのか?というと、どうもそうはならない気がするのです。
この場合は#1さん、#2さんのおっしゃるような「死体損壊罪」が当てはまる、という理解でよろしいのでしょうか?
それとも、これもあくまで呪いの人形と同じような扱いになるのでしょうか。
ちょっと最初の質問とずれてしまいましたが、何卒よろしくお願いします。
皆様のご回答をきちんと理解できていない故の間抜けな質問でしたら申し訳ありません。
後になりますが、皆様にお礼をきちんといたします。
u-ROMさん、早速のご回答ありがとうございました。お礼が遅くなり、大変申し訳ありません!
私の質問がかなり不十分だったことがわかりましたf^_^; 皆様のご回答を総合すると、どうやら私が読んだケースでは「殺人未遂」に該当するようです。
しかし、「死体損壊罪」について全く無知でしたので、ご回答をもとに調べてみて勉強になりました。
どうもありがとうございました!
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