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ベンゼンのときは付加反応、シクロヘキサンのときは置換反応として、
それぞれ紫外線照射下で塩素と反応すると習ったのですが、
どちらもヘキサクロロシクロヘキサンが生成するのでしょうか?
また、ベンゼンヘキサクロリド(BHC)というのは、別名ですか?
名前がいろいろあってごっちゃになっています。よろしくお願いします!

A 回答 (4件)

補足します。


シクロヘキサンと塩素の反応はラジカル置換反応であり、その反応速度は中間体となるラジカルの安定性と関係してきます。
-CH2-からHがとれて生じたラジカルと、-CHCl-からHがとれて生じたラジカルを比較すると後者の方が安定であると予想されますので、同一の炭素に2個のClが置換する反応の方が起こりやすいと考えられます。
ただし、それに加えて統計的な処理も必要です。すなわち、前者においては2個のHが存在するのに対して、後者では1個のHしか存在しないので、仮に後者の反応速度が2倍であったとすると、実際の反応速度は1:1になります。つまり、前者でHは2個存在し、そのどちらが反応しても良いということですので、Hの数が2倍になれば、そこでの反応が起こる確率も2倍になるということです。

まあ、いずれにせよ、さほど選択性は高くないと思います。仮に、全部のHがランダムに置換されると考えてみれば、その結果として、6個の炭素のすべてにおいて、それぞれの2個のHのうちの一方のみが反応する確率は極めて低いことは容易に予想できると思います。
さらに、-CH2-と-CHCl-を比較して後者の方が多少なりとも反応しやすいということになれば、BHCが生じる確率は極めて小さくなると思います。

また、そもそもの話として。塩素とシクロヘキサンを6:1で反応させたとしても、シクロヘキサンに6個の塩素が導入されるとは限りません。すなわち、5個あるいは7個、さらには4個とか8個の塩素が導入されたシクロヘキサンがかなりの量得られると予想されます。メタンの塩素化においても、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルムのいずれかのみを高選択的に作るのは難しいですからね。

ちなみに、BHCというのは-CHCl-が6個、環状につながったもののことです。ヘキサクロロシクロヘキサンというのは、シクロヘキサンのHのうちの6個がClで置換されたもののことですが、-CH2-や-CCl2-となっている部分を含んでいてもかまいません。言い換えれば、BHCというのはヘキサクロロシクロヘキサンの1種と考えれば良いでしょう。塩素の置換した位置を特定して、「1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン」と呼べばBHCのことになります。

なお、シクロヘキサンが塩素と反応した時の生成物について聞かれたときには、とりあえず両者が1:1で反応したと考えて、クロロシクロヘキサンとHClが生じると考えるのが無難だと思います。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました!お礼が遅くなってすみません。
今まで計算問題を解くように反応式を眺めていたのですが、
本当はもっと様々な考え方によって捉えられるものなのですね。
安定性や反応速度など、自分の知識を総動員して反応式を見つめると、
今まで化学でバラバラに習ってきた知識は、すべてこの「→」の理解のためだったのか!と初めて実感しました。
とても丁寧でわかりやすい回答+目からウロコをありがとうございました。

お礼日時:2007/01/19 19:46

No.1です。



すみません、w-palaceさんの

> -CH2-と-CHCl-の共存下で前者が優先する理由はありません。

というのは、どのような根拠によるのでしょうか。

今回ご質問の系は、対象がアルカン(シクロアルカン)で、かつCl2から
生じたラジカルによって起こる反応なので、アルケンへの付加反応の
ようなマルコフニコフ則が適用される例というわけでもなく、水素原子と
塩素原子の大きさの差による立体障害が支配的となり、前者との
反応が優先するものと考えているのですが・・・。
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シクロヘキサンからBHCが生じる可能性は0に近いと思います。


つまり、BHCでは個々の炭素にHとClが結合していますが、シクロヘキサンから作った場合には、2個のClと結合した炭素が生じやすいはずです。
つまり、-CH2-と-CHCl-の共存下で前者が優先する理由はありません。むしろ後者の方が反応しやすいと思います。
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> ベンゼンヘキサクロリド(BHC)というのは、別名ですか?



その通りです。(慣用名になります)
http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0487c.html


> どちらもヘキサクロロシクロヘキサンが生成するのでしょうか?

生成させるのはどちらでも可能だと思いますが、シクロヘキサンの置換で
生成させる場合は、条件にもよるでしょうが1~6置換体の混合物となる
でしょうから、収率は悪いはずです。
(ベンゼンの場合、一旦塩素1分子が反応すると共鳴安定化が解かれて
 付加がより起こりやすくなって6置換体を得やすいのに対し、
 シクロヘキサンの置換の場合はそのような効果がないため;
 むしろ立体障害で多置換体の生成が阻害される可能性も考えられます)

*上に挙げたサイトでの「混合物」は、ヘキサクロロシクロヘキサンの
 立体異性体の混合で、ここでいう「1~6置換体」とは別のお話です。

α-体、β-体;
(ページ最下方の「[7]HCH(ヘキサクロロシクロヘキサン)類 」を参照)
http://www.env.go.jp/chemi/kurohon/http2003/sec3 …
γ-体;
(立体表示あり)
http://www.weblio.jp/content/%CE%B3-%E3%83%99%E3 …
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました!お礼が遅くなってすみません。
ベンゼン+塩素=・・・と、
受験問題を紙上で計算問題のように解いていたので、
収率など考えられていなかったのですが、
反応式に対して考え方が変わりました。
リンク先の立体構造が見られるサイトも面白かったです。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2007/01/19 19:26

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