民法の第162第2項に、『10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。』とあります。
この『善意であり、かつ、過失がなかったときは』とは、どういうことでしょうか?どのような意味なのでしょうか?何(誰)の善意か、何(誰)の過失なのでしょうか?
これらに絡んで、今、ある共有の土地があったとします。これの上に、共有者の1人(Aとします)が家を建てることができ(Aが共有地の上に家を建てることを各共有者が認めたとしてです)、建てた時から10年間が無事に過ぎ、その間、各共有者が共有地に、自身の持分がそれぞれあることをAに通知、確認をしなかった場合、共有地はAが手続することにより、Aの所有になるという理解で良いのでしょうか?
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
まず162条2項は他人の物ではなく不動産です。
善意とは他人の物であると知らない事(自分の物だと思う事)で悪意とは他人の物だと知っている事です。過失とは普通なら気ずくはずなのに気ずかない場合などのことです。すなわち占有者が自分の所有物であると信じ、且つ、占有者がそう信じるについて過失がないことです。
後段の質問ですが、まず自分の物であるとは単独所有であるかないかで善意か悪意であるか考えます。家を建てることを各共有者が認めたと記述があることから、Aは共有者が居る事を知っていた(悪意)であるから手続き(時効の援用)をしてもAの所有とはなりません。
こういう質問をしたのは法律の勉強中なのでしょうか、それとも何か現実に問題を抱えているからでしょうか?もしそうなら、具体的に質問したほうが良いと思います。
早速ご連絡いただき御礼申し上げます。
Aの所有にならないのは、Aが共有地の上に家を建てることを各共有者が認めたということが大きかったですね。
現実に抱えている問題となっています。
No.7
- 回答日時:
No.5です。
>よくわからないのですが、自主占有ではないのですか?
共有とは、概念的には自己の持分については自主占有、他者の持分については他主占有という構成ですから、共有者の一人による占有だけでは共有という権利のあり方から見て、全体の自主占有ではないと判じたわけです。
ご承知の通り、共有は持分に応じたという制約下ながら「共有物全部の使用が認められた権利」ですから、共有者の一人の占有状態を以って時効取得を認めることは権利の性格上そぐわないと判断されたのだと思います。
なお、「共同相続人の一人が、単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、その管理、使用を専行してその収益を独占し、公租・公課も自己の名でその負担において納付してきており、これについて他の相続人が何ら関心をもたず、異議も述べなかった等の事情の下においては、前記相続人はその相続の時から相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したものというべきである。」という判例(最判昭47・9・8民集26-7-1348)がありますが、他の相続人が何らの関心がないという特殊なケースだと思われます。
なお、不動産の時効取得は関係者の同意ないし判決無しには登記が難しいことを付記します。
No.6
- 回答日時:
ロコスケです。
質問者さまの
>しかし、条件によって、20年間経てば所有できるのではありませんか
を始めとして時効取得に関して解釈の誤解をされておられます。
これらは、「自分の所有物として」という前提があるのです。
共有者が認めたのは、無償で使用を許し(使用貸借)ただけです。
使用貸借で使っている土地を自分の所有物と解釈するには無理が
あります。
それと余談ですが使用貸借の場合、家を壊す事になっても家の立ち
退き料は請求できません。
早速ご連絡いただき御礼申し上げます。
実は、各共有者は、共有者Aの使用を無償で許していたわけでもないのです。一時、共有者Aは、一部の共有者に対し、賃料というか、使用料というか、それを支払っていました。その一部の共有者が共有者Aから、賃料をもらっていたことがあったと立証できれば、このことは、土地は皆の共有地であることを共有者Aは知っていたのだという立証になるように思えてきました。
No.5
- 回答日時:
取得時効を援用するためには、所有の意思を以って占有するという「自主占有」が要件となりますが、所有の意思は、占有者の内心の意思によってではなく、占有取得の原因である権原または事情により、外形的客観的に定められるべきものとされています。
その辺から、大審判昭和12.11.17判決全集4輯23巻7頁で、
共有所有者の一人による共有物の占有は、権原の性質上自主占有ではないと判示しています。
共同所有についての権原判断によるものです。
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