武則天については↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%89%87% …
すぐに消えた感のある武則天ですが、
天皇という称号
国分寺制度
則天文字(水戸光圀の「圀」)
と、意外な影響を日本へ及ぼしています。
朝鮮半島へは影響がなさそうで、遣唐使経由とは思いますが、なんで日本にだけ影響が及んだのでしょう?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
「日本では則天武后の影響が残り、朝鮮ではなかった」として、その理由に、「朝鮮半島政権の伝統的な儒教精神の影響」をあげるのは無理だと思います。
朝鮮が、著しく儒教化したのは、李氏朝鮮の頃です。則天武后の時代に、新羅による半島統一戦争が始まりましたが、ちょうどその頃、新羅は二代続けて女王が立っています。日本にしろ、朝鮮にしろ、社会の最上層部には、儒教の影響自体は相当早くからあると思われますが、女王が立っている事自体、男尊女卑の傾向の非常に強い儒教は、社会の上層部ですら、その影響は表面的なもので、基本的規範にまだなっていなかった事の証左でしょう。ついでに言うと、儒教には、君臣の関係を強調する考えと、一方で「徳を失った王は、天によりその地位を追われる」という『革命』の思想が並存しています。前者を特に強調するのが朱子学で、李氏朝鮮が官学として保護したのもそれです。朱子学を、儒教全体であるかのように考えたり、あるいは、後世に朝鮮が著しく儒教的になった事を、それ以前に適用したりすると、歴史の常識から乖離してしまいます。さて、本題ですが、まず「天皇」という称号がいつから使われたかは、諸説ありますが、一番有力な「天武朝」という説に従うのなら、674年に唐の三代目皇帝の高宗が『天皇』と称した事との関連性は、たしかに想像はできます。天皇と称した頃は、実務に関する権限は相当程度武后が握っていたと思われるので、「天皇」という称号を選んだ決定に関して、武后の判断を重視するのは、無理ではありません。ただ、そういう想像に沿って、則天武后の意思が、日本での天武朝での「天皇」という称号に繋がった、と考えるとしても、日本側に「則天武后がやった事」という意識があったかどうかは、また別問題です。日本側は、隋から唐への王朝の交代を、そのまま「単なる交代」と受け止めていて、何の躊躇も無く、遣使を続けているので、王朝がなんであろうが、中国文化ならなんでもよい、と考えていた、と思った方が良いのではないでしょうか?であれば、天皇の称号は、偶々則天武后が実権を握っていた時の、中国の影響を受けた、と考えた方が合理的で、これから「日本が則天武后の影響を受けたのは何故か」という疑問を導くのは、あまり意味が無いかも知れません。(天皇という名前が道教的、則天武后は仏教寄り、というのはNo.2の方の言う通りです。但し、則天武后の仏教支持も、自分の権威付けの為の手段という要素もあるので、則天武后と仏教をあまり強く結び付けない方がいいかも知れません。)
国分寺については、朝鮮の状況は知りませんが、日本の国分寺創建についても、中国での前例候補は、則天武后の「大雲寺経」だけではありません。直接的には、則天武后の影響だったとしても、国分寺創建のような政策が、則天武后独自のものではなかった以上、これも「何故、則天武后の影響が?」という疑問につながるかどうか、少し考え直した方がいいと思います。むしろ、当時の中国の政策を真似した、その中の政策の中で一番影響が強かったのが大雲寺経、という程度に考えた方が真実に近いんじゃないでしょうか。
http://bird.zero.ad.jp/~zam77093/keii.htm
則天文字については、↓のサイトによれば、ある本に「朝鮮・日本の則天文字」という章があるようですから、朝鮮でも使用例はあったのじゃないでしょうか?これ以上は私にはわかりませんが。
http://snob.s1.xrea.com/l/20060913.html
ところで、則天武后は中国で始めて四文字の元号を使いましたが、日本の四文字元号は、聖武~孝謙・称徳の時代にのみ現れています。聖武天皇の頃は、光明皇后の発言権が強かったとされています。孝謙(称徳)天皇は、「道鏡を皇位につけよ」という宇佐八幡宮の託宣を偽物と報告した和気清麻呂とその姉の広虫の名前を、別部穢麻呂・狭虫に変えています。則天武后は、王前皇后と蕭前淑妃を処刑した時に、遺族の姓を「ウワバミ」とか「フクロウ」といった意味の名前に変えています。ですから、光明皇后や孝謙(称徳)天皇が、則天武后を意識していた、というのは、充分ありうる話です。ただのエピソードであって、仮に朝鮮にはそういう事がなかったとしても、「なぜ?」と疑問を持つ程のものではありませんけど。(偶々、女帝が出て、偶々その女帝が則天武后を意識した、というだけのこと)
最後になりますが、旧唐書に「則天武后が、国号を周に代え、聖神皇帝となのった」とはっきり書いてあります。則天武后が即位した事が歴史から抹殺されているとか、そういう抹殺が玄宗の頃から始まった、という事はないと思いますが…。王莽の『新』を王朝の交代と認識する一方で、則天武后の周はそうなっていないのは事実(前漢と後漢と、則天武后前後では、後者の方が遥かに連続性が高いのも事実)ですが、そういうのは『抹殺』とは言わないと思います。則天武后の即位は、ずっと昔から事実として受け止められています。
No.2
- 回答日時:
天皇という称号については武則天よりも高宗に影響を受けているのではないかといわれています。
天皇というのは道教の用語ですから、武則天が用いたのも慣例の範囲内であって、仏教を道教よりも重んじた彼女の政策とはあまり関係がないのではないでしょうか。則天文字は所謂辺境保存の法則ということだと思います。特に圀だけが残ったのには事情があり、國という字が惑と或という部分を共有するのが忌まれたせいだといわれています。格別則天文字であることが影響したわけではありません。
国分寺制度は武則天の政策がそのまま移入されためずらしい例で、仏教を重視する態度がほかの唐の皇帝と異っており、それが当時の日本の仏教偏重の態度とたまたま一致したことが大きいと思います(光明皇后を武則天になぞらえて地位を高めようとした藤原氏の画策であるという説もありますが)。もっとも国分寺制度がほんとうに大雲経寺をまねたものかどうかについては異説もあるようです。
No.1
- 回答日時:
朝鮮半島に則天武后の影響が伝わっていないという事実は確認していませんが、もしそれが本当だとすれば、朝鮮半島政権の伝統的な儒教精神の影響が考えられます。
儒教では家庭内では家長を中心とし、また国家では国王を中心としたハイアラキーを守ることが至成事とされ、これを侵すものを排斥するので中国でも則天武后が即位したことを見事に歴史から抹殺しています。朝鮮半島でも同じようなことが行なわれたのではないでしょうか。
この回答への補足
お礼の中の「健全」という言葉は、大国である中国(周または唐)へおもねらないという感じで用いました。話題になっている単語なので、念のため。
補足日時:2007/02/07 11:47回答ありがとうございます。
唐羅戦争の直後で、緊張関係にあったからかとも思いますが、この時期の儒教なら健全だったのでしょうね。後に小中華主義→事大主義と変質してしまいますが。
武則天の事跡は、玄宗皇帝のころから抹殺が始まっただろうと想像しています。
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