前回質問させて頂いた際、一部内容が違っていたのでもう一度質問させて下さい。どうぞ宜しくお願いします。。
父が、彼の所有する土地を35年ほど前からご近所のAさんに月極で地代を頂いて貸しています。
Aさんはこの土地に長屋を建て、第三者に貸して家賃収入を得ていましたが、
建物の老朽化に伴い長屋の住人はすべて退去しました。
Aさんはこの長屋を建替える・もしくはリフォームする予定もなく、
父にこの建物の権利を、土地のおよそ半分の金額で買い取るよう求めてきました。
「賃借人は契約終了時に目的物を原状回復して返還すべき義務を負う」
というのが法律であるようですが、
この場合、Aさんがこの長屋を取り壊し、その経費を負担し、
さら地にして父に返してもらう というのは法律上無理なのでしょうか。
当方まったくの素人です。
どうぞご指南下さいますよう、宜しくお願いします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
そもそも建物買取請求権(借地借家法13条1項)の立法趣旨(何故この条文が作られたか、ということ)は、建物を建てた借地人の投下資本の回収、建物取り壊しによる国民経済的観点からの損失防止、契約更新の間接的強制にあると言われています。
本事案につき、以上3点につき検討します。
・借地人の投下資本の回収
A氏は、35年近くもの間長屋から家賃収入を得ていたわけですから、既に投下資本は回収しているものと思われます。
・建物取り壊しによる国民経済的観点からの損失防止
築35年の建物で、屋根は瓦がずれて雨漏りしているため、常にビニールシートがかけられており、第三者の目から見ても人が住める状態ではないような建物を取り壊すことに、国民経済的損失ということは観念できません。
むしろ建物を取り壊し、その後の土地を有効活用することこそが、国民経済的観点からも望ましい形だと思います。
・契約更新の間接的強制
賃貸借契約の終了を切り出したのがA氏であるということは、当然A氏に今後契約更新する意思はないことになります。
以上を纏めると、借地人(A氏)の投下資本回収は既に済み、国民経済的観点からもむしろ建物取り壊しが望ましく、借地人(A氏)が望んでいない更新を間接的に強制させる必要もない、ということになります。
つまりこれは、取りも直さず、借地人に建物買取請求権を行使させる必要はない、ということを意味します。
よって、本事案では、この建物に関しては特別法(借地法借家法)を適用する必要はなく、民法の原則に戻り、賃借人には原状回復義務(建物収去義務)が生じるものと考えます。
つまり建物取り壊しにかかる費用はすべて、賃借人(A氏)負担ということになります。
※この結論部分は、あくまで個人的見解ですので、異論も多々あるところだとは思います。
また、私見である結論を百歩譲って、仮にA氏に建物買取請求権が認められるとしたとしても、借地法13条で定められているのは、時価での買取請求ですので、恐らくは築35年の建物自体の価値、評価はゼロまたはそれに近いごく僅かな金額だと考えられ、A氏の法外な要求額はてんでお話になりません。
ただ、この場合(A氏に建物買取請求権が認められる場合)は、その後の建物の取り壊し費用は、父の負担という流れになるものと思われます。
以上、これらのことを踏まえ、一度弁護士にご相談なされることをお勧めします。
まずは、市役所等で行っている無料法律相談程度のものでよいかと思われます。
A氏については、一度は説得し、それでもだめならば、彼が何か法的手段を講じてくるまで、彼の言う法外な要求は蹴り続けていればよいかと。
いずれにせよ土地を父に完全に明渡すまでの間は、彼も地代は払い続けていかなければなりませんので。
早速のご回答、本当にありがとうございます。
私にでも分かるよう、易しくかつ丁寧にご説明頂き、ただただ感謝しています。
弁護士の先生のところへ出向くにも、こちらが状況を全く把握出来ていなければスムーズなお話が出来ないと思いここで質問させてもらったのですが、heartpapa様のおかげで準備が整いました。
ご提案いただいたように、ご回答いただいた意見を参考にし、
父と無料法律相談所へ行ってみます。
長きに渡り親切にご指導頂きまして、本当にありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
借主(A氏)は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
(民法616条 598条)※「できる」となっていますが、賃借人の義務でもあります。
これは、賃貸借終了時の賃借人の原状回復義務を定めた規定ですが、建物所有を目的とする土地の賃貸借には、特別法である借地法が優先して適用されます。
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者(A氏)は、借地権設定者(父)に対し、建物その他借地権者(A氏)が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。(借地借家法13条1項)
※この条文は、強行法規ですので、この規定定に反する特約で借地権者(A氏)にとって不利なものは、無効とされます。(同16条)
A氏は、これを根拠に建物の買取を請求してきているわけです。
そこで、ご質問者に補足要求ですが。
・この土地の賃貸借のもともとの契約期間(35年前の契約当初に定めた期間)はどのぐらいだったのでしょうか?
・途中で、契約期間の延長(契約更新)はあったのでしょうか?
・更新があったとすれば何回ぐらいで、それそぞれの年数(それぞれの更新時に取り決めた延長する期間)は?
・この賃貸借契約の終了は、父、A氏のどちらから言い出したことなのでしょうか?
・土地のおよそ半分の金額とは、およそいくらぐらいの額でしょうか?
すべて、わかる範囲で結構です。
この回答への補足
・この土地の賃貸借のもともとの契約期間(35年前の契約当初に定めた期間)はどのぐらいだったのでしょうか?
**父とA氏との契約以前に、祖父とA氏の父との間で契約されていた土地だそうです。戦前?もしくは戦後あたりから畑を貸していたらしく、祖父が亡くなった時に父は土地を相続し、A氏の父が亡くなられたときには上にあった畑をA氏が受け継いだかたちで、その後A氏が長屋を建てたのです。
互いに契約書を交わしたこともなく、祖父の代に口約束のような形で畑を使わせてあげ、地代を貰っていたようです。
ですので、土地を貸している期間は、合計すると60年を超えるのだと思います。
・途中で、契約期間の延長(契約更新)はあったのでしょうか?
・更新があったとすれば何回ぐらいで、それそぞれの年数(それぞれの更新時に取り決めた延長する期間)は?
**契約期間がそもそも話し合われずここまできたので、満了もしくは延長・更新という話は今までにありませんでした。
・この賃貸借契約の終了は、父、A氏のどちらから言い出したことなのでしょうか?
**A氏です。
・土地のおよそ半分の金額とは、およそいくらぐらいの額でしょうか?
**土地の評価額がおよそ3000万円なので、父とA氏が6対4の割合でとの先方の言い分でおよそ1200万円を要求されているようです。
土地の上に建っている古い木造建築の長屋は、もう誰も住んでいません。
屋根は瓦がずれて雨漏りしているため、常にビニールシートがかけられており、第三者の目から見ても人が住める状態ではありません。
A氏と同じような状態で、何件か月極で貸したままの状態になっている土地がありますが、いずれA氏のように買取を求めれるのかと思うと気が気でなりません。
どうぞ宜しくお願いします。
わかり易く、かつ詳しいご回答、ありがとうございます。
借地法というものが優先して適応されるゆえ、A氏がこのように申し出ていたのだということがわかり、とても勉強になりました。
補足の件ですが、父が帰宅する今晩、本人にしっかり確認した上で補足として書き込みをさせて頂きますので、引き続きご指南頂ければと存じます。
どうぞ宜しくお願いします。
No.1
- 回答日時:
「長屋」を建てた時の「契約内容」によると思います。
「現状のまま引き渡し」という契約内容であったらば難しいでしょう。
そういう契約がなかったのであれば通常は「借りた時の状態」の復旧して引き渡すのは一般的かと思います。
むろんこの解体・撤去費用は、借地人持ちです。
おそらくこの費用が出せないあるいはもったいなくて「建物の売却」を持ちかけてきているのかと思われます。
ただ状況がわからないので安易に「出来ます」とも言い切れませんので、市役所などで行われている無料法律相談などを利用されて専門家の意見を聞かれた方がよろしかろうと思います。
ご回答ありがとうございます。
もっと詳しく父から聞いて、私もきちんと法律について勉強しなくてはいけないなと痛感しています。
皆さんのご回答のおかげでどういったことについて調べれば良いのかがわかりました。
本当にありがとうございます。
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