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fetter&waleckaの有名な場の量子論の本である、
Quantum theory of many-particle systems
の中で(7.67)式のあとにこのグリーン関数はω平面の中に全実軸
に沿ってbranch cutを持つとありますが、branch cutというもの
が複素解析で習ったのですがまだあまりわかっていなく理解ができません。どなたか教えてください。

A 回答 (1件)

人名だから Fetter,Walecka と大文字で書きましょう.


今,手元に Fetter & Walecka がないものでハズしていないか不安なところもありますが...

多少荒い言い方ですが,branch cut はその線を越えるときに複素関数が正則でなくなる線です.
因果グリーン関数との関連で言えば,次のようなことです.
フェルミ粒子系の因果グリーン関数の分母の虚数部(大きさ無限小)は
フェルミ面より上の粒子に対するものと下の粒子に対するものとで
符号が違います.
前者では ω+iη ですし,後者では ω-iη です.
したがって,前者では実軸すぐ下で因果グリーン関数の分母がゼロになることが起き,
後者では実軸すぐ上でそれが起こります.
つまり,因果グリーン関数は複素ω平面の上半面全体で正則というわけには行きますせん.
同様に下半面全体で正則ということにもなりません.
解析的性質としては余りよくないものです.
これに対して,遅延グリーン関数では分母は ω+iηのタイプ,
先進グリーン関数では ω-iη ですから,
遅延グリーン関数は上半面全体で正則(branch cut は実軸すぐ下にある),
先進グリーン関数は下半面全体で正則(branch cut は実軸すぐ上にある),です.
これらは解析性が非常によろしく使いやすい..

では,なぜ解析性のよくない因果グリーン関数など使うのか?
それは,因果グリーン関数ですと摂動展開が Feynman ダイヤグラムを用いて行えるからです.
因果グリーン関数がわかれば,Lehmann 表示を経由して遅延,先進グリーン関数が求められます.

ところで,Fetter & Walecka のテキストに限らず,
ちょっと進んだ量子力学ではωを複素数として扱うのが普通です.
したがって,複素関数論のある程度の知識(学部の数学科向けでない程度で十分と思います)は必須です.
実際,Fetter & Walecka でも積分路を曲げたり,松原振動数の和を複素積分に書き直したり,
は使われているでしょう.
Fetter & Walecka は相当程度の高いもので,物性理論の院生くらいのレベルのテキストです.
余計なことかもしれませんが,
これくらいのレベルのテキストを読まれる方でしたら,
前に習ったところが必要になったのならご自分で複素関数論のテキストを復習する,
という姿勢が必要かと思います.
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