No.3ベストアンサー
- 回答日時:
塩素と塩化物イオンは違います。
混同しないでください。塩素ガスは第一次世界大戦で毒ガスとして使われたほど毒性が強い物質ですが、塩化物イオンは生体に必須のイオンです。
一般に、物質単体とその化合物では、性質がまったく異なります。
「塩素」という名前だけで危険と判断しないようにしてください。
ここからはわたしの見解。
錆は、鉄が水分と反応して発生します。具体的には、鉄表面に付着した水分が酸化還元反応を起こさせ、鉄を酸化します。
このとき、塩が水分に含まれていると、水が電気を通すようになります。水が電気を通すと、錆を起こさせる酸化還元反応が早く進行するようになります。ちょうど電気分解で金属電極がぼろぼろになるように。
そのため、塩気が多い海岸付近では錆が多く発生します。
食塩は水分を含みやすい(潮解性がある、という)、また海岸付近は湿度が高い、という要素もあるかもしれません。
ステンレスは、鉄にクロムを加えたものです。さらにニッケルを加えることによって、より錆に強くなります。
クロム18%、ニッケル8%のものが、よく使われています。
ステンレス製品をよく見ると、18-8と書かれているものがありますが、この表記は配合比を表しています。
作用としては、鉄に添加されたクロムやニッケルが表面で硬い酸化皮膜を作り、それ以上の腐食を抑えるという説明がなされます。
ただし、傷がつくと酸化皮膜の下の酸化されてないところがあらわになり、錆が発生します。
下は、ステンレスについての解説ページです。
参考URL:http://www.jssa.gr.jp/ws01.htm
塩分が、水を水素と酸素に分解して、その酸素と鉄が結びつく手助けをする、と
いうことですね?なんかすごくわかりやすいです!
ステンレスがさびにくいのは、添加されたニッケルとクロムが鉄の表面ですでに
酸化してくれてるからなんですね。
紹介してくださったページの、「保護膜に傷がついても、まわりに酸素があれば
簡単に再生する」というのもすごいですね。酸化を逆に利用するなんて。
とても参考になりました。ありがとうございました!
No.6
- 回答日時:
>SUS304という種類で
また.間違えたようです。306が間違いでしょう。
>1)水分と鉄が化学反応してヘキサアコ鉄(2)イオンという状態になっています。
>Fe+6H2O=Fe(H2O)6 [2+] +2e-
Cl-は.電荷が強いマイナスなので.Fe+を沖合いに引き付ける傾向があります。
沖合いに移動中の鉄原子と界面で.Cl-と反応して可溶(イオン)化(FeCl.残りは適当に水和した錯体や金属結合が残っている錯体(たかく錯体)).Cl-は簡単に外れて.水和してFe(H2O)6になるようです。
が.この過程のδgを計算しようとして.かって挫折したことがあります。
界面科学を考えると.金属単体が水和することは確率的に困難で.片面がOHかH2Oの状態を考え.次に.金属原子が沖合い方向へ移動.ここで水和反応がおこり.次に.水和反応生成物(またはその後の関係反応生成物)が.金属表面に付着・吸着し.錆が育って行きます。
金属と水との直接反応は.ごく低温・低圧の環境でのみ捕まえられますが.1気圧程度の圧力や55モルという高濃度の水の場合には.界面での片側だけOHがついた反応中間体を考えないと.反応速度をうまく説明できないようです(これを確認しようとしてδGの計算をしていたのですが.計算できず挫折しました)。
反応速度…???なんだか難しそうな計算ですね…
金属のことを専門に研究なさっているのでしょうか?
二度も回答していただきありがとうございました!
*******ご回答くださった皆様へ*******
素人の目から見ると、「鉄がさびる」というのは単純な現象に過ぎなかったんですが、
皆さんの懇切丁寧なご回答のおかげで、実はすごく奥が深~いものなんだなぁと
とても勉強になりました。
100%文系人間の素朴な疑問に答えていただいてありがとうございました!
No.5
- 回答日時:
いえいえどうして、難しいことです。
>どうして塩分が酸化を促してしまうのか
まず鉄が錆びるのは次の反応によるものです。
(1)水分と鉄が化学反応してヘキサアコ鉄(2)イオンという状態になっています。
Fe+6H2O=Fe(H2O)6 [2+] +2e-
(2)水分と酸素、そして上記(1)のe-(1価のマイナス電荷を帯びている電子)が反応して
O2+2H2O+4e-=4OH[-]
(3)上記(1)と(2)が反応して、鉄イオンが還元され水酸化鉄(2)になります。
Fe(H2O)6[2+]+2OH[-]=Fe(OH)2<水酸化鉄(2)>+6H2O
(4)水酸化鉄(2)はさらに酸化して
2Fe(OH)2+1/2O2=2FeOOH<水和酸化鉄(3)>+H2O や
3Fe(OH)2+1/2O2=Fe3O4<四酸化三鉄>+3H2O
となります。
水和酸化鉄(3)はイオン化しているFe[2+]の電子2e-と反応して
6FeOOH+2e-=2Fe3O4+2H2O+2OH[-]
となります。
式最後のOH[-]は(1)のヘキサアコ鉄(2)を還元するので、これらのサイクルが繰り返します。
その結果、鉄の腐食が内部へ進行するわけです。
塩素イオン Cl[-]は非常に活性が高いので、OH[-]よりもヘキサアコ鉄(2)を還元するのでこの錆のサイクルをよりいっそう進めます。
>ステンレスがさびないのは
確かにStainless=Stain(錆)+less(無し)ですからね。
他の方と重複しますが、鉄にクロム(Cr)を8%以上入れると、クロムが酸化し薄い膜となって内部を保護します。(不動態皮膜といいます)
よく見かける18-8ステンレスというのは、耐食性を高めるためにクロム(Cr)を18%、ニッケル(Ni)を8%を成分とした合金です。
ステンレスも塩素イオンなどによって穴が開いたように局部的に腐食が進行します。(孔食)
専門的で丁寧な説明をありがとうございます(^^)
ヘキサアコ鉄…はじめて聞く言葉です。ただ単純に鉄→酸化鉄と直接
変化していくのでなく、たくさんのプロセスを経てるんですね。
塩素イオンが水酸化イオンより活性が高いために、ただ水気があるよりも
塩分があるほうがより早く酸化してしまうのもよくわかりました。
ありがとうございました!
No.4
- 回答日時:
鉄が食塩でさびる話は、答えられていますので、
ステンレス鋼について少し補足しますと、
ステンレス鋼には種類がいっぱいあり、
代表的なものは、No.3の方が答えていられる18-8ステンレスです。
JISでは、SUS304という種類で、含まれる鉄以外の成分で、いろいろ種類があり、
一般的には、鉄の成分が少ないほど錆びにくいとみてよいと思います。
ステンレス鋼といっても、絶対に錆びないかといえば、そんなことはありません。
SUS304(Cr18%,Ni8%)では、耐食塩(海水)性は少ないです。
耐食塩(海水)を求めるなら、SUS316以上の材質にしなければなりません。
SUS316は、Cr18,Ni12%,Mo2.5%が含まれます。
見た目は、SUS304と変わりませんが、当然値段は高いです。
ステンレス鋼は、新しいときは、成分が違っても見た目は変わりませんので、
知らないと、だまされることになります。
簡単に見分ける方法としては、18-8(SUS304)位になると、磁石にくっつきません。
成分の悪いものは磁石にくっつきます。
余談ですが、私の知人は、家を新築したとき屋根の部品の一部をSUS304で注文し、
取り付けた後、磁石を持って屋根に登り、磁石にくっついたので、
取り替えさせたといっていました。
参考URL:http://homepage1.nifty.com/seas/database/sus/sus …
身のまわりのステンレス製品に磁石をくっつけてみたくなってきました(^ー^)
知識があると、よい製品が選べて、手抜き工事も見破れる!
やっぱり人間、勉強しとくに越したことないですね。
紹介していただいたページは、見てみたんですが、素人の私には
よくわかりませんでした(^^;)せっかく教えてくださったのにごめんなさい。
ありがとうございました!
No.2
- 回答日時:
>どうして塩分が酸化を促してしまうのか、がわかりません。
鉄の場合にかぎると.FeClという形の反応中間体は.Clが外れやすくて.容易に空気酸化を受けてFe2O3になり易いのです。
>ステンレスがさびないのはどうしてなんでしょうか?
表面に酸化クロム(酸化ニッケルかも)の膜ができて.この膜が存在している関係で.さびません。
>どういう加工をしてるのか、
単に鉄とクロムとニッケルと(物によってはモリブデンと)混ぜて解かしただけです。
>永久的にさびないのか
ステンは簡単にさびます。ただ錆かたが「こうしょく」という.結晶粒界が剥がれて穴ができてゆくという錆かたです。普通の306に酢漬けをいれておくと.緑色に酢が変色して.ある日突然穴があいて.中身がにじみでてきます。
反応中間体…結晶粒界…なにやらムズカシイ言葉がいっぱい(^^;)
でも鉄が酸化していくメカニズムはなんとな~くわかった気がします(ほんとか?)
ステンレスもさびるんですね。じゃあ、ステンレス製のボウルに酢の物を
長く入れて置いといちゃいけないってことですね!気をつけます。
ありがとうございました!
No.1
- 回答日時:
塩には,塩素が含まれています。
この塩素は非常に化学反応を起こしやすい上に,危険な物質でもあります。海水中にはNaClのかたちで含まれていますが,同様に冬時期に道に置いてある塩化カルシウムの除雪剤でも同様のことがおきます。因みに硫黄だと,もっと激しく反応します。車を買う場合は,少しの差額ですから,寒冷地仕様を買うのがお得です。バッテリーが通常の2倍の容量,車体裏は防錆仕様になります。
それと,ステンレスは錆びます。ニッケルとクロムと鉄の化合物ですから,強い酸にさらすと,実に簡単に錆びちゃいます。
チタンが一番錆びない,お手軽な金属でしょうか。もちろん金や白金は,化学反応力(イオン化傾向が非常に低い)が低い金属です。
さっそくのご回答ありがとうございます。
そういえば除雪剤は塩化物なんですよね…考えたこともありませんでした。
硫黄もだめということは、温泉地に車を放置するのも危ない?
車をさびさせる敵は予想外にあちこちにいるもんなんですね(^^;)
今のところ車を買う予定はないのですが、いずれ購入する時のために
ぜひ覚えておきたいと思います。ありがとうございました!
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