こんばんは。
いま、「歴史劇画 大宰相(画:さいとうたかを 原作:戸川猪佐武)」を読んでいます。その9・10巻でわからないことがあるので質問させていただきます。
・9巻 135ページ
「中曽根は、金丸が防衛庁長官、国土庁長官だった時、意にそわない言動をとったことがある……」 「以来、ふたりは犬猿の仲である……」
→この中曽根の言動は、どの様な状況下での、どの様な言動だったのか
→そして、このふたりはどの様に犬猿の仲だったのか
・9巻 259ページ
当時の鈴木首相が組閣の際、次世代の実力者のひとり、中曽根康弘に対して、
「これからは、行政改革を内閣の命題としたい。そのためには、実力ある人の力を借りなければならない。ぜひ行管庁長官を!! ……」 「私が外遊の時は、あなたに臨時首相代理を、お願いする!」
→臨時首相代理という重要ポストは普通、大蔵相や通産相などのポストにいる人に託されるのが普通ではないのか。また、この時に、中曽根にその役が廻ってきたのは何故なのか
・10巻 346ページ
鈴木首相が次期総裁選に出馬しないことを受け、混乱する自民党内で調整に走る二階堂進が総理・総裁分離論を持ち出したことに対して、中曽根が、
「内閣と党の一体化こそ、政党政治の本来の姿です! 分離論は認められない!!」
→三権分立の原則に於いて、議会のシステムの一部である党と、内閣の一体化に言及してしまうことは、政治家の思想として問題はないのか
よろしくお願いいたします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
・最後の10巻に関して
政治制度として議院内閣制を採用している以上、元来我が国の政治権力分立は厳密な三権分立ではありません。国政選挙において多数派を占めた政党が、同時に内閣を構成するのが議員内閣制の本来の趣旨である以上、その趣旨を厳密に貫くのであれば「内閣と党の一体化」は通常の状態です。したがって、例えば、昨今の英国の政策決定機構と米国の政策決定機構を比較していただければ分かるように、三権分立原則に忠実に則る米国型大統領制は、その政策決定のスムーズさにおいて極めて弱体的であり、逆に英国型議員内閣制の方が政策決定に際し強いリーダーシップが発揮出来ることになります。尚、三権分立を忠実に履行しないからといって、必ず国家権力が極端に増大し社会に対して過度に浸透するようになるとは当然言えません(司法権の独立が認められなくなると話は変わってきますが)。
しかしながら日本の場合、自民党独自の派閥政治システムが実体として存在していた(している)以上、加えて法制度上の問題に伴い、「内閣と党」の実質的乖離が往々にして発生してきました。日本において、米国型大統領制の方がリーダシップが発揮できるという発想が広まったのもそのためだと思われます。何れにせよ、「内閣と党の一体化こそ、政党政治の本来の姿です! 分離論は認められない!!」という発想は議員内閣制下での強力なリーダー像を欲する政治家にとっては、ある意味当然のものでしたでしょうし、我が国が厳密な意味での三権分立制でない以上、とりわけ問題があるというものでもないと思われます。
No.2
- 回答日時:
・9巻 135ページは分かりません。
10巻 346ページはNo1の方が適切な答えを出していますのでパス
・9巻 259ページについて考えてみました。
小渕首相が亡くなってから内閣法の規定が変わり、臨時首相代理予定者を指定することになり(5名で順位あり)状況が変わったが、それまでは臨時首相代理をはじめから指名する場合と、その都度臨時に指名する場合があった。はじめから指名する場合でも公示された場合は副総理と呼ばる様になるが、副総理と言う正式名称があるわけではないそうです。この場合は閣内の実力者で、No2と認識されたと言うことです。これに対して口頭の場合は実力者として認める、副総理並みに扱うと言うことを言っているのであっても、閣内に他の実力者がいたり、年齢や経歴的に少し劣る場合にはこのような処置がとられることがあったと言うことです。政治家としても実力者として認め、副総理並みに扱うと言われればうれしいでしょうし、自尊心をくすうぐられるでしょうから。
特に鈴木内閣には伊藤正義が外相で入閣しているので、中曽根の副総理はありえなかったと思います。伊藤は大平首相死去時の臨時代理で、実質的には首相ですし、大平後継の鈴木内閣は伊藤が入閣することにより後継内閣としての正当性があるわけで、この伊藤を差し置いて中曽根を正式な臨時代理(副総理)として官報に公示することはありえなかったのではないでしょうか。(伊藤は短期で辞任したしまうのですが)
まぁ、首相外遊には外相が同行するのが一般的ですから、伊藤はいないわけで、そうなれば中曽根が臨時代理は無理が無いことになります。と言うことは中曽根は閣内NO3と言うことになるのかもしれませんが。
また、「この時に、中曽根にその役が廻ってきたのは何故なのか」については、閣内には河本敏夫もいたが、中曽根は「三角大福中」と呼ばれた実力者の一人で、内閣総理大臣になっていない最後の一人で派閥の長なであること(河本は三木派のNo2)。河本が大平福田の40日抗争に、福田三木連合として反主流派に属したこと。田中大平VS福田三木の抗争の中で中曽根の動向が大きいこと。政界最大の実力者の田中角栄が次期の総理として中曽根を想定しだしていたことなどから臨時代理が回ってきてもおかしくなかったと言うところではないでしょうか。
>臨時首相代理という重要ポストは普通、大蔵相や通産相などのポストにいる人に託されるのが普通ではないのか。
前記の伊藤正義が官房長官で臨時代理に就任しているように、外相・蔵相・通産相が臨時代理になると決まっていたわけでもありません。特に近年は官房長官の位置付けが高まり、官房長官が任命されることも多くなっています。当時も、実力者が重要ポストに就かない場合もあり、臨時代理=重要ポストの大臣と言う図式があったわけでもありません。実力者や重要大臣だからこそ忌避されることもあるのですから。
以上参考までに。
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