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裁判所の不動産競売について、教えてください。

競売で不動産を競り落とし、支払いを済ませると、それまで登記簿にずら~っと並んでいた差押やら抵当権やら根抵当権やらがさらっと吹き飛んで、権利関係がきれいになりますよね。

だけどそういうめんどうな登記がすべて吹き飛ぶとの決まりになっているものでもないらしく、例えば買戻特約の登記とかは自動的には消えず残ってしまう旨、裁判所のパンフレットには説明があります。

【疑問】
家賃債権差押命令は新しい所有者に受け継がれるのかしら?

【状況】
・競売にかかっている建物には賃借人が居住している。
・建物の家賃債権に差押命令が出ている。
・家賃に差押がかかっていることを賃借人は知っている。

【質問】
・この不動産の買受人は、賃借人から家賃をもらうことができますか。それとも、前所有者の債権を差し押さえた債権者に家賃をもっていかれてしまうのでしょうか。

A 回答 (5件)

 これはかなり難しい問題です。



 場合を分けて考えます。

 まず,家賃の差押えが,担保権による物上代位に基づく差押えの場合ですが,この場合には,競売が,担保権実行の場合(担保不動産競売)でも,債務名義に基づく場合(強制競売)でも,もととなる担保権が消滅しますので,競売建物の所有権が買受人に移転した時点で,差押えの効力がなくなります。したがって,家賃の差押えの効力は,買受人に承継されません。

 ただし,形式的には差押えの効力が続いていますので,賃借人が以上の法律関係を理解して,家賃を譲受人に支払ってくれればよいのですが,そうでない場合には,差押債権者に,家賃の差押命令の申立ての取下げを求める必要があります。差押債権者がこれに応じない場合には,賃借人に家賃の供託を求めたうえ,差押債権者と差押命令の無効確認訴訟をするなど,何らかの訴訟上の手段を採る必要があります。

 次に,家賃の差押えが,債務名義に基づく強制執行の場合ですが,この場合で,賃借権が抵当権に対抗できない場合,すなわち,最先順位の抵当権の設定よりもあとに賃貸借がなされた場合(ただし,いまだにかつての短期賃貸借が残っている場合がありますが,この場合には,抵当権に対抗できる賃借権になります。)には,買受人に所有権が移転した時点で,賃貸借が無効になります(最高裁昭和46年3月30日判決)ので,その時点で差押えの効力がなくなります。すなわち,差押えは買受人に承継されません。

 問題は,差押債権者に対抗できる賃貸借の場合(最先順位の抵当権よりも前に引渡しがなされた賃借権)ですが,この場合には,直接適用できる判例が私の調べた限りでは見当たらないのですが,最高裁平成10年3月24日判決という判例があり,これは,賃料の差押命令が効力を生じた後に,建物を譲渡した場合には,譲受人は,建物を譲り受けて賃貸人の地位を承継するが,その場合であっても,建物の賃料債権を取得したことを差押債権者に対抗できない,としています。

 一般的に,競売も,その性質は売買とされていますので,家賃が差し押さえられている建物が,競売によって所有権が移転した場合であっても,この判例が適用される可能性が高いと考えられます。

 そうすると,差押債権者(最先順位の抵当権者)に対抗できる賃借権の家賃を差し押さえた場合には,差押命令の効力は,買受人に事実上承継される,と言うことになる可能性が高いということになります。
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この回答へのお礼

「差押債権者に対抗できる賃貸借」ですか。
う~ん、すんません、そろそろ私の能力を越える内容になりました。
そういう物件を検討する場合は、慎重に調べ、必要に応じて専門家への相談も検討します。

ありがとうございます。

お礼日時:2008/04/19 09:42

#3です。


既に発生している賃料債権は、その差押債権者が取り立てることができることはあたりまえです。
買受人が代金納付したあとでは、「差押債権者」「債務者(貸主=所有者)」「第三債務者(借主)」の関係が崩れているわけですから、債務者(貸主=所有者)の変更があっても「差押えの効力あり」ではないです。
また、買受人の基ととなる競売が抵当権実行であろうと債務名義によるものであろうと、所有することに代わりはないので、これを考慮する必要はないと思います。(warthogさんのご質問が「対、賃借人の問題」ではないので)
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この回答へのお礼

いやその、だからね、、

お礼日時:2008/04/19 09:54

 ANo.1の回答者です。

私の回答の事例は、既に発生している具体的な賃料債権を差し押さえた場合の話であり、ANo.2さんの事例は、抽象的な賃料債権(弁済期が到来すれば具体化する将来的な賃料債権)を差し押さえた場合の話です。実際に問題となる事例は、ANo.2さんのあげた事例でしょうね。確かに考えると難しい問題です。
 
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この回答へのお礼

自分の不動産を競売にかけられてしまう人物は、多くの場合経済的に破綻しているばかりか、家庭が混乱破綻していたりするものです。さらに競売にかかった物件、とくに安価な物件に居住している賃借人もなんらかの問題をかかえた人物であることが極めて多いという印象があります。
このため、物件と、それをとりまく人物はきわめて複雑な様相を呈していることが少なくありません。

いっぽう、競売に関係する法律とその運用は極めて強力かつ明快で、十分な準備をしてかかれば、必要以上に恐れる必要はないと考えています。

それでも、やっぱ法律は視点を広げると、考えるべきポイントが多いってことですね。

ご解説ありがとうございます。

お礼日時:2008/04/19 09:53

この疑問は、賃料の差押えとは何か ?


これが判れば納得できます。
例えば、建物所有者をAとして、AがBにその建物を貸し、AはBから賃料をもらっていました。
一方、AはCから借金しており、返済がないとします。
その場合に、CはBの賃料を差し押さえて直接に取り立てることができます。
今回の場合は、Cが競売の申立人か、他の者の競売かわかりませんが、競売によって、Aから買受人(Dとします。)に所有権が移転すれば、Aは所有権を失いますから、最早Bに賃料は請求できないことになります。
そうしますと、もともと、CはAのBに対する賃料債権を差し押さえていたのに根底がなくなってきました。
Bから見れば、今までAに支払っていたが、差押えでBに支払うようになっていました。
更に、新所有者Dが現れればDに支払わなければならないわけです。
そのようなわけで「新しい所有者に受け継がれるのかしら?」は「No」です。
なお、競売に関することなら、私を含め専門家が多数います。
Yahooの「不動産競売のこと、何でも聞いて」の掲示板にお越し下さい。
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この回答へのお礼

ご投稿ありがとうございます。

お礼日時:2008/04/19 09:54

 賃借権が新所有者にに対抗できる場合として回答します。

通常の旧所有者から新所有者へ不動産を譲渡する場合でも、旧所有者が借主に対して有している既に具体的に発生している賃料債権は、当然には、新所有者には譲渡されません。旧所有者と新所有者との間で、その具体的に発生している賃料債権を譲渡する契約を締結して、旧所有者が借主に対して債権譲渡の通知等をする必要があります。
 これに対して、旧所有者から新所有者に不動産の所有権が移転した後に、具体的に発生する賃料債権は、当然、新所有者が有することになりますので、不動産の所有権移転登記さえ済めば、新所有者は借主に賃料の請求ができます。
 したがって、不動産の所有権が競売により移転した場合であろうが、家賃債権が差し押さえられた場合であろうが、考え方は同じです。なお、差押えられた債権を旧所有者が新所有者に譲渡することは可能ですが、差押命令が第三債務者(借主)に到達する前に、その債権譲渡の通知(内容証明郵便等による。)が第三債務者に到達しないかぎり、第三債務者は新所有者に賃料を払っても、差押債権者に対抗できないので、差押命令が取り消しされない限り、新所有者が第三債務者に賃料を払ってもらう可能性は低いです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

おおむね、私が調べた限りでもそうでした。
新所有者が旧所有者から賃貸借契約を承継しなければならなかったとしても、旧所有者が持っていた賃料債権がひとりでに新所有者へ移りはしませんから、新所有者が自動的に第三債務者になることはないでしょう。

じつは、私が今検討しているのは「(A)が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。ただし、代金納付日から6か月間明渡しが猶予される。」の物件でして、占有者の賃借権が新所有者に対抗できません。うっかり当方で占有者と新たな賃貸借契約を結んだかのようなやりとりとか、そういうヘマをしないように気をつけつつ6か月を待ち、粛々と引渡し命令を申し立てれば、占有者や旧所有者、そして差押賃料とかの問題を忘れて再出発することも可能です。占有者が追跡できたら、6か月間の使用料を請求するのもいいでしょう。

ただし、それを実行するのは最悪の場合です。
引渡し命令をもらった以上、強制執行断行にかかる出費は覚悟しなければなりませんし、自らすすんで空室をつくり、リフォーム費用さえ物件取得の初期費用にのせることにもなります。

占有者が店子に足りる信用を持った人物であると当方が判断することが前提ではありますが、所有権が移りしだい、占有者と当方で普通に賃貸借契約を結んで、月々の家賃が新所有者へ渡りはじめれば、それがいちばんよいのです。

問題になるのは、占有者が店子に足りる収入や支払いの節度を備えていても、上記の法的問題をじゅうぶん理解できない人物かもしれないことです。占有者は見込み客ですから、法律上の権利を行使するとかの関係になるのではなく、仲良くしたい。

占有者が生まれて初めて裁判所から受け取った書状が「差押」だったとしたら、占有者本人に金銭的な実害がないとはいえ、彼/彼女はひどく驚き、警戒しているでしょう。法律家のタイトルを持たない私が「法律上の面倒はクリアされました。安心して私に家賃を払ってください。」と説得したところで、それが通用するかどうかを一番心配しています。

お礼日時:2008/04/19 08:45

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