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私は日本の高度経済成長時代の公害問題のように経済発展と環境破壊とは密接な関係があると思います。
ただ、私はこの程度の知識しかないのでいろいろとこの関係を詳しく説明してもらえませんか?

A 回答 (1件)

環境問題と経済発展の関係は一大テーマですが、


一くくりでにはできなくて、3つの種類に分けられるといわれます。
立場上、途上国の経済成長を優先する論調に聞こえてしまうかもしれませんが、

(1)1つ目は、経済が成長するほど問題が改善するタイプ。
…というと意外に思われるかもしれませんが、水道や衛生設備が整備され、
雑菌や感染症の健康被害が削減されることは人間の衛生上で非常に重要です。
また、暖房などの燃料も、薪から石炭へ、石炭から石油・ガス・電気へと
現代的な燃料に変わるほど、有害物質を吸引する健康被害は減少します。

因果を決めるのには無理な部分も大きいと思いますが、
WHOの世界マップで被害状況の推計を見てみるのも興味深いかもしれません。

・WHO推計マップ 不安全な水・衛生設備・公衆衛生原因の死者数…アフリカ・南アジアで深刻
http://www.who.int/heli/risks/water/en/wshmap.pdf
・WHO推計マップ 非意図的な中毒の死者数…開発途上国で深刻
http://www.who.int/heli/risks/urban/en/uapmap.pdf
・WHO推計マップ 室内汚染(固体燃料の煙)の死者数…開発途上国で深刻
http://www.who.int/heli/risks/indoorair/en/iapma …

ちなみに、気候変動の被害でも、対策費も乏しい熱帯の
貧しい開発途上国が一番大きい影響を受けるのではないかと言われます。

・WHO推計マップ 気候変動の死者数…熱帯の途上国で深刻
http://www.who.int/heli/risks/climate/en/climmap …

森林破壊でも所得水準が低い開発途上国には先進国とは異なる事情があり、
家庭用熱源である薪の需要が人口と共に増大し、森林減少を招いているとされます。
森林の違法伐採の問題も、ある程度所得水準が改善されなければ、
相対的な儲けが大きいため、取り締まりが難しい部分もあるといわれます。

・FAO推計マップ 森林減少…南米・東南アジア・アフリカで伐採が深刻、北半球は森林増加
http://www.fao.org/forestry/foris/data/fra2005/k …

(2)2つ目は、経済がある程度まで成長すると悪化して、
それ以上に成長すると改善するタイプ。
大気汚染物質や産業排水による水質汚染がこのタイプに該当します。
ある程度豊かになるまでは、工業化が進行するほど、
排気ガスや産業廃水が放出されて環境汚染が悪化しますが、
それ以上豊かになると、対策が進んできて環境汚染問題は縮小します。
環境汚染と経済成長の関係が逆U字型になるのではないかという仮説を
環境のクズネッツ曲線といいます。
ある程度は経済的な地盤が整った時期の方が、
市民の要求水準が高まって環境に関心が集まり、対策は進むと言われます。
経済成長と共に、脱硫設備などの汚染浄化装置の
技術が発達してきた面もあるかもしれません。
ただし、もちろん、公害問題を克服しようとした努力の成果なのであり、
経済が成長すれば環境問題は自動的に解決するから
対策をしなくていいとかいった強引な結びつけをされても困ります。

・東京都、1970年からの大気汚染物質濃度の改善
http://www-gis.nies.go.jp/graph/tokyo.html
・アジア都市の大気汚染データ…新興国の大気汚染は先進国よりも深刻
http://www.cleanairnet.org/caiasia/1412/articles …
・WHO推計マップ 都市大気汚染の死者数…ヨーロッパは少なく、東アジアは深刻
http://www.who.int/heli/risks/urban/en/uapmap.pdf

(3)3つ目は、経済が成長するほど悪化してしまうタイプ。
二酸化炭素排出量や資源消費量。
所得水準の高い国ほど1人当りの負荷は大きくなる傾向があり、
(1)(2)よりも対策は難しく、世界の抱える問題となっています。

なお環境汚染と「経済成長率」の関係の話は私は知りませんが、
所得水準次第で話は違うのではないかと思います。
中国やインドは経済成長率が高く環境問題も深刻ですが、
経済成長率が低い開発途上国が環境問題を免れているかというと、
分野にもよりけりですが、先進国よりも色々と問題はいっぱいあります。
逆に、台湾や韓国の90年代は、7%以上の高度経済成長下でも、
以前よりも公害対策を進めてきているかと思います。
経済成長といっても、どの部門が成長しているか次第でも話が違います。
鉄鋼業や石油化学工業などの重化学工業を主体とする
経済成長では環境への負荷が大きいですが、
サービス産業を主体とする経済成長では環境への負荷は小さくなります。
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