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増幅回路の設計を行うことになりちょっと行き詰っています。

フォトダイオードから出力されるDC成分:0.1mA、AC成分:0.05mAの電流のうち、
DC成分を除去し、AC成分:0.05mAだけをVオーダーまで増幅させる回路を
製作することになりました。

ちなみにそのAC成分の周波数は100Hz~200kHzぐらいです。
そのため増幅回路も200kHz程度の帯域は必要となります。

現在のところ、
(1)電流-電圧変換回路(PDと抵抗で構成)で100倍に増幅。
(2)AC結合の増幅回路(1000倍くらい?)でVオーダーまで増幅。
という構成で設計してみようと考えています。

しかし、ここで仲間から
(1)の部分で1000倍に増幅させてしまい、(2)での増幅回路のゲインを100倍に
するのはどうか?
と言われました。

私自身、回路設計の経験がほとんどなく上と下でどちらが良いか分からず
悩んでいます。どちらの構成のほうがノイズが少なく、かつ周波数応答のよい
回路を設計できるでしょうか?

皆様のご意見を伺いたいです。
何卒よろしくお願い致します。

A 回答 (8件)

ANo.5の2番目の回路にある、OPアンプを使った光電流-電圧変換回路の利得の周波数依存の式を紹介します。

この式を使えば、いろいろな周波数でのゲインを計算できますし、どの部分が周波数特性を決めているのか(周波数特性を伸ばすにはどうしたらいいか)が分かると思います。

変換利得(光電流に対する出力電圧) G [V/A] は以下のようになります。

   G = R/√[ { 1 + 1/A0 + ( 2*π*f )^2*C*R/GBW }^2 + { 2*π*f *( 1/GBW + C*R/A0 ) }^2 ] --- (1)

√ は { 1 + 1/A0 + ( 2*π*f )^2*C*R/GBW }^2 + { 2*π*f *( 1/GBW + C*R/A0 ) }^2 にかかっています。f は周波数 [Hz] です。A0 はOPアンプのオープンループ利得、GBW [Hz] はOPアンプの利得周波数積 です。C [F] はフォトダイオードの静電容量+配線の静電容量+OPアンプの入力端子の静電容量、R [Ω] は帰還抵抗(電流-電圧変換抵抗)です。

LM6361 の場合、A0 の最悪値はデータシート2ページのDC電気的特性の表のAVOL に書かれていて、負荷抵抗が 10kΩのとき(負荷抵抗が充分大きいとき)、2900 という値になっています。GBWの最悪値はデータシート3ページのAC電気的特性の表の GBW に書かれていて、その値は32MHzとなります(この表の上下段の数値の意味がよく分からないですが、32のほうが最低値と思われます)。

式(1)から周波数帯域(利得が3dB落ちる周波数)が計算できますが、結果が複雑になるので近似を行います。A0は非常に大きいので、これが周波数特性に大きく影響することはありません(式(1)で計算してみると分かります)。したがって、式(1)で A0 がかかっている項は無視できます。そうすると

   G ≒ R/√[ { 1 + ( 2*π*f )^2*C*R/GBW }^2 + ( 2*π*f */GBW)^2 ]

となります。利得がDC利得の 1/√2 倍になる(利得が 3dB落ちる)周波数で、その値 fmax [Hz] は次式で表わされます。

   fmax = √{ √( 8*GBW^2*C^2*R^2 + 4*GBW*C*R + 1 ) - 2*GBW*C*R - 1 }/( 2*√(2)*π*C*R )

最初の √ は{ } にかかっていて、次の √ は( 8*GBW^2*C^2*R^2 + 4*GBW*C*R + 1 ) にかかっています。C = 40pF = 40×10^(-12) F、R = 1kΩ = 1000Ω、GBW = 32MHz = 32×10^6 Hz とすれば fmax = 2.56MHz になります。R = 10kΩ なら fmax = 904kHz になります。C はフォトダイオードの静電容量だけでなく、配線の静電容量とOPアンプの入力端子の静電容量を加えた値になります。OPアンプの入力端子の静電容量はデータシート2ページのDC電気的特性の表のCINで、典型値は 1.5pF ですからあまり影響しません。配線容量は同軸ケーブルなどを使うと大きくなるので注意が必要です(1mあたり100pFくらいの静電容量があります)。R = 1kΩで C = 1000pF のとき fmax = 576kHz になります。周波数特性を伸ばすには、OPアンプのGBWを大きくすること、C*R を小さくすることです。

周波数特性を良くするために R を小さくすると変換利得 G が小さくなってしまいますが、変換利得をもっと大きくしたいときは、後ろにOPアンプを使ったAC信増幅器を入れて、そこで利得を稼ぐ構成にします。そのほうが全体の周波数帯域は広くなります。
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>フォトダイオードのアノードとカソードを逆に接続しても動作するのでしょうか?符号が反対になるだけですね?


はい動作します。符号が反対になるだけです。光電流はアノードから流れ出る方向です。ANo.5の2番目の図では、OPアンプの出力が+電圧になるようなフォトダイオードの向きにしてあります。
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9_G_RUTA_9と同一人物です。


パスワードが分からなくなってしまい、現在このIDを使用しております。

非常に参考になりました。
本当にありがとうございます。
I-V変換部もOPアンプを使ってみようと思います。
ちなみに教えていただいたOPアンプのI-V変換回路ですが、
フォトダイオードのアノードとカソードを逆に接続しても
動作するのでしょうか?
符号が反対になるだけですね?
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G_RUTA さんと質問者は同一人物ですか?



>PDと抵抗の構成のものと、OPアンプを使ったものとではどちらがよいか?
光強度の範囲が広い場合(光強度が大きい場合)はOPアンプを使ったほうが良いです。具体的にはR の両端の電圧が 0.2V未満なら抵抗だけ、0.2V以上ならOPアンプを使うという大雑把な線引きになりますが、測定精度(広いダイナミックレンジでのリニアリティー)を重視するのなら、両端の電圧の大小に依らずOPアンプ方式です。

以下の回路では、電流-電圧変換用抵抗 R に発生する電圧 [V] は i [A]×R [Ω] となりますが、感度を上げるために R を大きくした場合、R に発生する電圧が0.5V程度になると、フォトダイオードが導通し始めるので、光電流の一部(id)がフォトダイオードの中を通ってGND流れます。そうすると R に流れる電流は 光電流 i - id となって、R の両端の電圧と光強度が比例しなくなってきます(光強度を大きくしてもRの電圧が飽和してくる)。
      i →
     ┌─┬── Vout = R*i → 0.6V程度が限界
   id↓▼  R ↓i
     └─┴── GND

しかし以下の回路にすれば、光電流が大きくなっても、フォトダイオードの電圧が常に0Vに保持されるので、OPアンプの最大出力電圧まで、光強度に比例した電圧が得られます。
      i ←
  ┌── R ─┐
  │  ┏━┓ │
0V├─┨- ┠-┴─ Vout = R*i → OPアンプの電源電圧近くまで出る
  ▲┌┨+ ┃
0V ├┘┗━┛
  └────── GND

現在、浜松ホトニクスのWebページが見られない状態ですが、ANo.2の資料[2]にこの回路の特徴が出ていたはずですが、フォトダイオードの順方向電圧Vf [V] とフォトダイオードを流れる I [A] 電流の関係は
   I = Ip - I0*{ exp( e*Vf/k/T ) - 1 } --- (1)
で表わされます。Ip は光電流で、光強度に比例した電流です。第二項の I0*{ exp( e*Vf/k/T ) - 1 } の部分が id に相当します。最初の図のように、R を負荷とした場合、Vf = R*I なので
   I = Ip - I0*{ exp( e*R*I/k/T ) - 1 }
となります。これを I について解けば Ip と I の関係が出ます。この式を I について解析的に解くことはできませんが、Ip について解いて Ip と I の関係をグラフ化すれば関係が分かります。I×R が出力電圧 Vout なので、Vout と Ip との関係が計算できます。Ip が大きいと I と Ip は比例関係からはずれてきます。

OPアンプを使った回路ではフォトダイオードの電圧は常に0Vなので、式(1)で Vf = 0 としたもの
   I = Ip
になります。これは誤差を全く含みません。フォトダイオードに逆バイアスをかけた状態は、式(1)で Vf がマイナスの値になっている状況です。逆バイアス電圧が充分大きければ exp( e*Vf/k/T ) = 0 とみなせるので
   I = Ip + I0
となりますが(I0 は非常に小さいので Ip >> i0 ならリニアリティーは良好です)。

 
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inara1さん


貴重なご意見ありがとうございます。

ちなみにもう1つ質問なのですが
電流-電圧変換回路の方ですが今回のような
PDと抵抗の構成のものと、OPアンプを使ったものとでは
どちらがよいと思われますか?

PDを使った電流-電圧変換回路において
OPアンプを使うか使わないかの境界線のようなものはあるのでしょうか?
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LM6361 は利得帯域幅積(GB積)が、最悪値で35MHzしかありません [1]。

そのため 200kHzでのゲインは最悪175倍しか得られません(ゲインと周波数の積がGB積なので、ある周波数でのゲイン=GB積/周波数 になります)。したがって、9_G_RUTA_9 さんの方法はダメですが、「仲間の方法」ならゲイン100倍は大丈夫です。このシリーズのOPアンプにはもっと高速のLM6364 [2] や LM6365 [2] がありますが、LM6361 しか使えないのであれば、「仲間の方法」が良いです。

上の話は、電流-電圧変換後のOPアンプ回路の帯域の話ですが、「仲間の方法」の場合、電流-電圧変換での周波数帯域が200kHz以上ないと意味がありません。フォトダイオードは逆バイアスをかけないで動作させているとのことですが、そのとき、電流-電圧変換部分は資料 [4] のようにしているものと思います。逆バイアスをかけない場合のフォトダイオードの静電容量は、定格値(ある逆バイアスをかけたときの静電容量)よりかなり大きくなります [5]。この値が C [F] の容量で、電流-電圧変換用の抵抗値を R [Ω] とすれば、電流-電圧変換部分での帯域幅 fmax [Hz] (利得が3dB落ちる周波数)は次式で計算できます。
   fmax = 1/( 2*π*C*R )
C = 40 [pF] = 40×10^(-12) [F] ならば、fmax = 200 [kHz] = 200×10^3 [Hz] まで増幅するには R < 20 [kΩ] とすればいいことになります。R = 1kΩ とするという「仲間の方法」はこの条件を満足しています。 R = 1kΩ であれば、フォトダイオードから出力されるDC成分の 0.1mA が R に流れても、R の両端の電圧は0.1V と低いので、フォトダイオードの直線性(光強度に対する光電流の直線性)はそれほど悪化しません。

【結論】
R = 1kΩとして、その後、LM6361 で AC成分だけを 100倍増幅するという「仲間の方法」にしてください。

[1] LM6361データシート(PDFファイル3ページのAC電気的特性) http://www.national.com/JPN/ds/LM/LM6361.pdf
[2] LM6364データシート(PDFファイル3ページのAC電気的特性) http://www.national.com/JPN/ds/LM/LM6364.pdf
[3] LM6365データシート(PDFファイル3ページのAC電気的特性) http://www.national.com/JPN/ds/LM/LM6365.pdf
[4] フォトダイオードの特性と使い方(PDFファイル3ページの図2-4(a)) http://jp.hamamatsu.com/resources/products/ssd/p …
[5] 逆バイアスをかけることが前提のPINフォトダイオードの逆バイアス電圧と静電容量の関係(PDFファイル2ページ左下の「端子間電圧/逆電圧特性」) http://www.cohsei.co.jp/PDF/kodenshipdf/detector …
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inara1さん


回答ありがとうございます!!
色々と問題があるのですね・・・

OPアンプの型名ですがLM6361N(ナショナルセミコンダクター製)
を使用する予定です。

PDの容量ですが20pF程度です。ただ仕様のため逆バイアスは
かけられません。

色々と迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
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9_G_RUTA_9 さんの方法でも、仲間の方法でも、理想的なゲインは同じですが、実際には以下の問題があります。


 (1) 9_G_RUTA_9 さんの方法の場合
    AC結合の1000倍の増幅器は200kHzまで平坦なゲインが得られるかどうか。
    一般に増幅率を大きくすると高域でのゲインが低下するので、200kHzまでの周波数範囲で1000倍のゲインを得るには、
    利得帯域幅積(GB積)が200MHz以上の増幅器が必要です。
 (2) 仲間の方法の場合
    電流-電圧変換用の抵抗が大きいと、PD自身の静電容量の影響で高周波応答が悪くなります。
    電流-電圧変換用の抵抗を大きくすれば、その分 (2) のゲインを低くできるので、(2) での帯域は問題ないかもしれませんが、
    (1) の部分で帯域が狭くなってしまっては意味がありません。
考えている増幅器(OPアンプ?)の詳細(型番)と、PDの静電容量(逆バイアス時)と電流-電圧変換回路の抵抗値が分かれば、(1)と(2)のどちらが良いかお答えできます。
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