
初めて質問させていただきます。
ごく一般的な光学顕微鏡なのですが、倍率が大きくなるにつれて、外見の長さが対物レンズでは長く、接眼レンズでは短くなっています。これはなぜなのでしょうか??
対物レンズは倍率を上げたときの分解能(NA)の関係で試料に近づけるため??と想像してみたのですが、接眼レンズについては(レンズは2枚として)対眼レンズは一定の位置にあるとして、視野レンズの位置が変わる理由がわかりません。
文章で説明するのは難しいとは思いますが、専門用語を出していただいてかまいませんので、どうぞよろしくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
まず顕微鏡の仕組みですが、
物体-対物レンズ-対物レンズ像-接眼レンズ-目のレンズ-網膜
という一連の流れになっています。
中には対物レンズが無限遠に像を結ぶ顕微鏡もありますが、ここでは簡単に像を一度結ぶとして考えます。
物体側からレンズまでの距離をL1とし、レンズから像側までの距離をL2とし、レンズの焦点距離をfとすると、
1/L1+1/L2=1/f
という関係があり、さらに物体の大きさに対する像の大きさはL1:L2になります。つまり、20倍に拡大したいときには、L1:L2=1:20になれば良いわけです。
つまり、L2=20L1となります。
今倍率をaとすると、L2=a×L1となります。
ここで、顕微鏡ではL1+L2=Lの距離が倍率に関わりなく一定になるようにしています。
つまり、低倍率で見て、対物レンズを高倍率に変更してもそのまま像が見えるようにしてあるわけです。
すると、
L1=L2/a=(L-L1)/a
という関係が成立する必要があります。変形すると、
a=(L-L1)/L1
という倍率aの式が導かれました。
つまり単純に言うと、倍率を上げるためには、L1を小さく、つまり物体とレンズの距離を縮める必要があるわけです。
故に対物レンズは倍率の大きいものほどL1を小さくする必要があるため、長くなります(取り付け位置であるレボルバは変化しないので)。
接眼レンズの方はこの接眼レンズの焦点距離をf2として、目の焦点距離をf3とします。
接眼レンズの方は大ざっぱに言うと、対物レンズで作られた像を一度平行光にして目に入射して、目のレンズで今度は集光する働きになります。
このときの倍率は、f2=f3のときには、対物レンズの像の大きさと網膜に作る像の大きさは同じになります。
では異なるときにはどうなるかというと、倍率(ここでは対物レンズの像と網膜上の像の大きさの比率とします)をbとするとb=f3/f2になります。
(詳しくは2枚のレンズで結像光学系を作ったときの作図をすればわかります)
さて、倍率bが大きくなると言うことは、人間の目のf3は変化しないので、f2が小さくなることになります。
つまり、対物レンズの像にたいして、接眼レンズは近づかなければなりません。
これが理由です。
距離関係を()で表すと、
物体-(L1)-対物レンズ-(L2)-対物レンズ像-(f2)-接眼レンズ-(平行)-目のレンズ-(f3)-網膜
となります。
実際の接眼レンズは複雑なため、その構造によっては必ずしも短くなるとは限らないし、上記の接眼レンズと目の関係は多少単純化していますが、大ざっぱには上記のように考えてください。
この回答への補足
大変丁寧な回答をありがとうございます。
対物レンズについては、倍率を変えても像を作る位置を一定にしなければならない、ということですね。納得しました。
しかし、接眼レンズについてなのですが…。
>さて、倍率bが大きくなると言うことは、人間の目のf3は変化しないので、
>f2が小さくなることになります。
>つまり、対物レンズの像にたいして、
>接眼レンズは近づかなければなりません。
と、いうことは、「倍率が大きくなるほど接眼レンズの長くなる」ということですよね??
逆なのです。中学生用の問題集に「接眼レンズは倍率が高いほど短くなる」とあるのです。(その問題集はいま、手元にないので後でもう一度確認してみます。)
あと、レンズ2枚での結像なのですが、物体の光軸上から出た光線はいいのですが、光軸からずれたところからでる光線はどのように作図すれば良いのでしょうか??作図の仕方がわからないので、倍率についてもわかっていません。
申し訳ありません…。もう少し教えてください…。
No.3
- 回答日時:
接眼レンズと目のレンズの光学系は先の作図方法ではうまく作図出来ないので、
次のようにしてください。
・接眼レンズの物体面(対物レンズの像面)から接眼レンズの主点(レンズ中心)H2まで直線を引く。
・接眼レンズに接近させた目のレンズの主点H3から上記直線に平行な線を引く。
・上記直線と目のレンズの像面(網膜)との交点が結像点となる。
上記は、接眼レンズで一度平行光となり、目のレンズで再度集光されるという光学系の作図方法で、簡易的には上記で作図できます。
では。
No.2
- 回答日時:
>「倍率が大きくなるほど接眼レンズの長くなる」ということですよね??
逆です。
対物レンズの像が形成される位置は、鏡筒に対して決まった位置に出来るわけで、その位置は、接眼レンズ取り付け部より鏡筒内部の方にあります。
つまり、
対物レンズ像-(f2)-接眼レンズ
のf2がのびると、接眼レンズはどんどん鏡筒よりも遠くにレンズを配置しないといけません。
逆にf2が短くなると、接眼レンズは固定されている対物レンズ像に近づくために短くなるわけです。
つまり、倍率が大きくなる->f2は小さくなる->接眼レンズは近づく となります。
作図の仕方ですが、
簡単なレンズ1枚を考える場合(顕微鏡の場合も一度結像さていますので同様に出来る)、レンズの光軸上の点をHとおき、
物体側の点OからHを通る直線を引き、像面との交点Iまでの直線が主光線となります。
レンズが光軸に垂直に配置してあるときには、物体面と像面は光軸に垂直で、距離関係はレンズの公式1/L1+1/L2=1/fで求めます。
このレンズの中心と光軸の交点Hは正式には主点と呼んでいて、厳密には幾何的な中心ではありません。
ただ、左右対称なレンズであれば幾何的な中心に一致します。
非対称の場合はややこしくなります。
さらに複数のレンズを組み合わせて一つのレンズとして機能させる場合は、主点位置は設計次第でどこにでも動かせますので、簡単ではありません。
では。
いや、納得しました。ありがとうございます。
私は接眼レンズは鏡筒内(接眼レンズ取り付け位置より下)にあるのだと勘違いしてました。そうではなくて、鏡筒より上にあるのですね。で、接眼レンズの前側焦点は常に対物レンズによる像の位置にある。と。
本当に何度もありがとうございました。やっとすっきりしました。
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