
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
まず、口径の関係ですが、実は表記が必ずしも実際の弾の大きさとは関係がないかもしれない、ということがあります。
ご承知の通り、ライフリングがなされた砲には、厳密に言えばライフリングの山から山へ測った「口径」と谷から谷へ測った「口径」の2種類があるわけです。
このへんの「はかり方」は実は国やらメーカーによってまちまちであるので、数ミリ程度は誤差の範囲内です。
因みにソ連-ロシア軍は敵に比してやや(ミリ単位ぐらいで)大口径の砲を好む傾向があります。一説には砲弾の鹵獲再利用が念頭に置かれている(実戦でそうした例もある)からとも、カタログ上有利にみえるからともされますが・・・。
さて、第2に、WW2で一旦120ミリまで拡大した戦車の砲口径が一旦縮小したのか、という点についてですが、これはポストWW2における戦車の発展史と関連があります。
つまり、でかい砲に重装甲、ただし速度や展開能力は無視するという「重戦車」(ISシリーズはその最たるモノですが)は結局それほど役には立たない、走攻守のバランスの取れた中戦車の裔であるMBT(主力戦車)こそ保有すべきである、という思想に到達するわけです。
この段階で、できあがった「主力戦車」は主に技術的な側面から、砲の口径が100ミリ前後(第一世代戦車で90ミリ、第2世代で100ミリ)程度に収められます。これは、例えば、パワーユニットの関係だったり、重量を抑える(かわりに機動力を持たせる)という考えのためだったりします。
つまり、WW2に於ける120ミリ級の砲はかなり無理をして積み込んだ代物で、戦後れーせーになって考えると、その無理のせいで使いにくく、いったんは廃れてしまった、それが為に砲口径は一時的に“退化”したようにみえるわけです。その後、エンジン出力の向上などによってバランスを取った上で120ミリ級の砲が積めるようになりました(が、それ以上は先述の通りちょっとやる気が出ない)。
最後に、ソ連側の戦車技術についてですが、これは砲に対するある程度の先進性(滑腔砲の採用)など、西側の戦車開発に対してインパクトを与えることは多々ありました。まあ、敵なんだから当然と言えば当然の話ですが・・・
No.6
- 回答日時:
固定観念というか「でかい方が良い」という単純極まりない幻想に囚われすぎのようですねぇ。
ラインメタル系の120mm滑腔砲も、デビュー当時からずいぶん改良が進んでいます。
当初の44口径(L44)から52口径へ長砲身化(因みに、単純に「長く作れば良い」というモノではなく、長砲身化に伴い、軽量であり、より高圧に耐えられるような材質やエネルギーロスの少ない構造など研究・開発が必要=コストに反映される)され威力が増していますし、砲弾もコア(弾芯)の素材・形状や推進薬の成分など随分進化しています。更にFCSを含めたヴェトロニクスの発達など、30年前に比べ、総合力は別ものといっていいほどの存在になっています。
また、事実として、中東戦争、湾岸戦争、イラク戦争など、個々の戦車戦においては、西側120mm砲搭載戦車が東側125mm砲搭載戦車に後れをとったという話しは聞いたことはありません。
>なぜチーフテン登場まで西側は122ミリ砲を搭載しなかったのでしょうか?
逆にお聞きしたいのですが、2mmの違いでどれくらいの性能差がでるんですか?これだけ拘るというのなら、根拠があるんでしょうから、後学のため教えてくれませんか?
まあ、たった2mmといっても、再設計しなけりゃならないし、生産設備も作り替えなけりゃいけませんねぇ。
砲弾も含めて装備体系そのものの見直しも考えなければいけません。
ストレートに言うと、ガキの喧嘩じゃあるまいし、すでに十分な能力を持っているのに、ただの”見栄え”だけを気にして無意味に大口径化するのは国力の無駄使いであり、小学生以下の発想としか言えないでしょう。
あ、そういえば、T-72は125mm砲だった(ごめん、#5のT-72の120mm云々は間違い)から、当のソ連自身がすでに、122mm越えを果たしていますね。
この回答への補足
ソ連は第二次大戦中に122ミリ砲を実用化したのになぜ西側は戦後かなりたってからようやく120ミリ砲を搭載したのですか?
かなりの時期センチュリオンだったし、ソ連より遅れた理由は何ですか?
No.5
- 回答日時:
#3です。
私の回答の中にも、105mm砲装備の海兵隊M60が120mm砲装備のイラク軍T-72を撃破した旨を書きこみましたし、#1さんの回答にも
>戦車の主砲は、単純に口径が大きければいい、というものではない
とありますね。
それなのに、何故
>冷戦時代においてアメリカは戦車開発でソ連に遅れをとっていたのですか?
という疑問が出てきたのかが、不思議なんですが???
もともと旧東側の兵器は、飽和攻撃という発想があり、数を配備することに重きを置き、性能よりも生産性を重視して開発されていました。一方で、旧西陣営はここの戦車の能力に勝るのみならず、地上兵力だけではなく航空機による対地攻撃能力の強化など総合的な戦力の充実に努めていました(もちろん、旧東側が研究・開発を怠ったわけではありませんでしたが、差はありました)。
さらに加えますと、湾岸戦争でM60、M1(初期に投入された海兵隊のM1は105mm砲装備)、チャレンジャー1などに対して、イラクの最精鋭たる大統領警護隊の戦車師団(T-72を優先装備し、個々の塀の練度も高い)が、まったくと言っていいほど「いいとこなし」だった事実もありますねぇ。
兵器の価値は相対的な能力に勝れば、それで十分です。
ハッキリ言ってしまうと、単なる比較のために大口径化を求めるのは、小学生レベルの発想か と。
No.4
- 回答日時:
先賢ご回答の理由の他に、口径の拡大が単純に威力の拡大に繋がらなくなった、という理由が挙げられます。
現在世界で主力戦車の主砲に採用されているのは多くが滑腔砲+APFSDSの組み合わせです。
従来の徹甲弾では口径が大きくなれば、それだけ投射できる弾丸が大きくなり、相手に与えるエネルギー=貫通力が単純に大きくなります。
ところが、APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)というものは、口径とは関係なく、細長い矢のような弾を超高速で相手にぶつけることで装甲に流体のように食い込む、という従来の砲弾とは異なる理論でできています。
このため、この「矢」は発射時の高速を維持するため、砲の口径より遙かに小さな径しか持ちません(その代わり抵抗が少なくなって遠距離でも高速を維持できる)。この場合、口径をでかくしたところで、威力はそれほど増さず、逆に面倒ごとを増すことになります。
このバランスが取れていたところが120ミリ前後(ロシア軍は125ミリを採用しています)だったわけです。
現に140ミリクラスは西側でテストしていますが、採用には至りませんでした。
ところが、近年ロシア軍が開発中の新型戦車は、口径の拡大した滑腔砲(130~150ミリ)を搭載するという情報があります。露助は何かを捨てることを決断したか、何かたった一つのさえたやり方を見つけたか、です。
また、メーンストリームではありませんが、重戦車の類ではソ連軍のKV-2が155ミリ砲(榴弾砲なので、単純な比較はしにくいが)を搭載しています。これはISシリーズより前に登場していますから、ある意味記録はハナから破られていた、とも言えます。
No.3
- 回答日時:
単に口径で比べるのなら、”空挺戦車”M551シェリダンやM60A2に搭載されたガンランチャーが152mmだけど、MGM-51シレイラというミサイルを発射するための口径で、砲としての威力は大したことがなかったので、少数が生産されただけでしたね(代わりがなかったシェリダンは長く現役にあったけど、ほとんど実戦投入はなかったし、M60A2は短期配備で終わりました)。
で、兵器なんてものは、単純に「強けりゃエライ」と言うモノではなく、より低コストな方が数を調達できる・同じ数を調達するのなら安価な方が税金を使わずに済む=国力を浪費しないので、想定される敵の装備より優位なものであれば十分であるという「相対的な存在」でもあります。
実際、湾岸戦争では、海兵隊のM60戦車の105mm砲で、イラク軍の”最新”のT-72を撃破していますし、広いサバンナで第2世代戦車を相手にすることを想定した南アフリカ軍の装輪装甲車両ロイカットなどは76mm砲(T-55」相手なら十分な破壊力を持ち、弾が小さい分、沢山の砲弾を搭載できる)を装備しています(105mm砲装備型も作ったけど、輸出用)。
あ、西側陣営としては、20年以上前から、次世代戦車の主砲として140mm砲の研究が進んでいましたが、冷戦終結により東西陣営の直接対決の可能性が低くなり軍事費が削減されたことのほか、車両の肥大化や1発30kg以上になる砲弾重量による兵の負担増加などの実用性の問題などから、140mm砲の開発は停滞し、120mm砲の改良にリソースが注入されています。
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