No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「科学は、客観でありうるためには、感覚を経ないでつくられた概念からではなく、感覚によってつくられた概念から出発しなければならない。
科学は、その出発点における定義を構成する諸要素を、可感的な与件から直接に借りなければならないのである」(デュルケーム1895)そのように客観の学として構想された社会学は、なにを具体的な研究対象とするのか。デュルケームによれば、社会はそれを構成する諸個人には還元されない固有の『実在』性をもっているはずであり、このことがかれの社会学の第二の特徴であった。社会学が対象とする法や契約、連帯、習慣、宗教、倫理、行動規範などは、諸個人の外部にありながら、諸個人の行動を規制する集合表象であり、社会現象であるというのである。
「行動と思考の集合的諸様式は諸個人の外部に『実在』性をもっているということ、そして諸個人はあらゆる時点に置いてこれに従っているということに尽きる・・・」(ib)
(人類学的思考の歴史 竹沢尚一郎より『』は引用者)
難しい問題ですね。
よく難解な本の解説に、決まり文句のように、この本が難解なのは扱っている問題が難解なのである、伝々・・
という言い訳を目にしますが、この回答にも同じ言い訳をしたい気がします。
さて、『実在』に関しては、その内容がプラトンでしたか、イデア的な考えではなく、上記引用に見られるような、存在の一種の形式として、この回答で使用している事を、お断りしておきます。
上記の引用は社会学の対象としての社会の『実在』に関して述べている部分ですが、社会というのも一種の関係のようなものです。こで述べられている事は、対象として研究対象とするためには、その対象が存在していないとしたら、科学として成り立たないジャン。そこで、関係について研究しようとする場合も、研究の対象として関係にも『実在』してもらわないと困るわけですね。
ただ、有名な話では、イギリスの元首相サッチャー女史は、社会は存在しません、存在するのは個々のの個人・・・などと仰ったとか。
こうした議論は、『存在か非存在』『実在か非実在』といった二項対立や白黒をつけるような形になって、どちらかと言えば不毛な議論になってしまうのではないでしょうか。私としては、存在や実在にも各々温度差があるんじゃないのかな、などと予想しています。以下は、パースの形而上学からの一説
「それらの性質は多様性、一様性、そして多様性から一様性への移行である。多様性から一様性への移行によって私が意味しているのは多様性が経験のほとんどあらゆる部門で何度も繰り返されるや習慣を形成する傾向を示すということである。これらの習慣は統計的一様性を生み出す。その統計の中で取り上げられる事例の数がそれらの多様の程度と比較して小さいとき、法則は極端に粗雑なものとなるだろう、しかしその数が一兆にものぼれば、すなわち百万の三乗、あるいは分子の場合がそうであるように、それよりも遙かに多いときは感覚的に認知できるような、法則からの逸脱はない。」
誤解を恐れず、思い切って言ってしまえば、質とか存在も、量や数の問題ジャン、と。
難解な問題です、くれぐれも鵜呑みなされませんように、全く自信なし。
この回答への補足
「関係命題は、一般には、一つまたはいくつかの主語ー述語命題と、形式的には、論理的に同値ではない」(ラッセル、論理的原子論)
「伝統論理学はあらゆる命題は主語ー述語形式であると主張しているので、関係の実在を認めることができない。つまり、あらゆる関係は、見かけ上関係付けられている関係項の持つ性質に還元されなければならないというのである。」(外部世界はいかにして知られうるか)
へーゲル主義者ブラッドリーの「内的関係」に対するラッセルの批判です。
この後「非対称的関係」という例を持ち出して論駁してゆくのですが
。
ブラッドリーの「現象と実在」は面白そうなのですが、翻訳本が見つからない。
ちなみにメルロ・ポンティの「眼と精神」はホワイトヘッドの宇宙論に影響を受けて書かれたものらしいですが、ホワイトヘッド著作にはしばしばブラッドリーの名が引用されています。
他に何か気づかれましたらよろしくお願いいたします。
fishbowl66さん、ご回答ありがとうございます。
>こうした議論は、『存在か非存在』『実在か非実在』といった二項対立や白黒をつけるような形になって、どちらかと言えば不毛な議論になってしまうのではないでしょうか。私としては、存在や実在にも各々温度差があるんじゃないのかな、などと予想しています。
こう締めくくるのは如何でしょう。
実在はわれわれの持つパースペクティブに投げ込まれることによって真理の判定を受けるのである。
また後ほど補足させていただきます。
No.7
- 回答日時:
お礼と補足、拝見いたしました。
成る程、勉強になりますね。
ラッセルのいう、関係命題とは、そういうものですが、勉強不足でした。
それにしても、危うい綱渡りのど真ん中に来てしまったでしょうか、戻るも地獄、進むも地獄。
どっちみち、地獄なら、進むしかありませんね(笑。
関係命題がそういうことだとすると、ラッセルの最初の文は
AはBよりCである、は、AはBである、と違う。
これって、項目数も違うし、構造も違うから、当たり前すぎるじゃない、なんで、ラッセルさんが、わざわざこんな当たり前のことをいうの。
綱渡りの途中ですが、此処で一息入れて、再度、お礼と補足を点検。
これは重い=これはあれより重い。此処でしょうか?
つまり、これは重い、と言った時に、すでに他の何かと比較している、と。
それに対して、これは赤い、という命題は、これだけで成立している、と。
このような意味合いなのでしょうか、
しかし、これも結構危ない綱渡りのような気がします。
一番の心配は、このような議論の先に、「関係項を離れた関係の実在」に対する答えが出てくるのか、
心配になってきました。
回答者が回答者の役割を果せなくなったら、ウルトラマンを呼ぶんでしたっけ、違うか。
真面目な話、回答者は質問の意図が良く分からなくなっています、
この書き込みを見て、役に立たないようなら、スルーして下さい。
この回答への補足
fishbowl66様ご回答いただきありがとうございます。
ウルトラマンは現れないようですね(笑)。
ウルトラマンが現れないのはそもそもウルトラマンというものが存在しないからでしようか。
「ウルトラマンは存在しない」とか「ウルトラマンは存在する」といった存在命題と「この花は赤い」といった単称命題では論理的な形式は違うとラッセルは言うんですね。
fishbowl66様が仰っておられるのは「文」の形式のことであると思うのですがラッセルは「命題」の論理的な形式のことを問題にしているんです。
ですから「これはあれよりも重い」といった命題もブラッドリーとラッセルでは論理的な形式が違うということなるんです。
それでなぜ私が「内的関係」と「外的関係」について質問しているのかと、論理哲学論考4・122から4・126を問題にしているからです。
また補足させていただきますので、まあ暇つぶしだと思って付き合ってくださいよ(笑)。
少しブラッドリーの議論を紹介いたします。
「・・・ある性質Aは別の性質Bと関係している。だが、このいるということで我々はなにを理解するのだろうか。「Bと関係して」いるのがAだというのではなく、Aが「Bと関係して」いると主張しているのである。同じように、Cは「Dの前」だと言われ、Eは「Fの右手に」あると言われる。だがそれを解釈して、「Dの前」がCである、「Fの右手」がEであるとするとき、我々は恐怖にたじろぐ。いいや、我々は関係は事物と同一ではないと答えるべきだろう。それは事物に本来備わった、あるいは属しているある種の特性に過ぎない。困った我々は使うべき言葉をであるではなく、有しているとする。だが、この対応はほとんど体をなさない。問題になっているのが有しているの意味であることは明らかであり、真面目に取り上げるまでもない喩えを除けば、どんな答えも存在しないように思える。そして、我々は古くからのジレンマから解放されない、つまり、事物と異なったものを属性と断ずるなら事物にそれ自体ではないものを帰することになるし、事物と異なっていないものを属性とするならなにも言っていないことになる。」
そもそも関係というものは自己矛盾であり不可能なものだというわけです。
これに対するラッセルの反論が、
「関係命題は、一般には、一つまたはいくつかの主語ー述語命題と、形式的には、論理的に同値ではない」(ラッセル、論理的原子論)
ということです。
No.6
- 回答日時:
例えば「これはあれより重い」と言うならば、私たちは「これ」と「あれ」の関係ではなく「これ」の性質を定めているのだと。
いえいえ、「これ」は「重い」を問題にしています。
「関係命題は、一般には、一つまたはいくつかの主語ー述語命題と、形式的には、論理的に同値ではない」
主語ー述語命題というのはそうした属性を表現しているのに対して、関係命題は「あれ」と「これ」の間の関係を問題にしているということです。
ですから後者は主語をひっくり返して「れはこれより軽い」と表現することも可能で、「これは赤い」といった主語ー述語形式の命題とは異なった形式を備えているということです。
No.5
- 回答日時:
No.4様
>はたして重さは関係なんだろうかと言う疑問があるからです。
気になさらずにいて結構ですよ^^
この質問自体の情報が少なかったので、この直後の質問と関連しているのかなと思って例を出したまでです。
質問者様のお礼をみると純粋な主語ー述語命題に関してのもののようですから直後の質問とは関係なさそうです。
スルーでお願いします。
No.4
- 回答日時:
「関係命題は、一般には、一つまたはいくつかの主語ー述語命題と、形式的には、論理的に同値ではない」
「伝統論理学はあらゆる命題は主語ー述語形式であると主張しているので、関係の実在を認めることができない。つまり、あらゆる関係は、見かけ上関係付けられている関係項の持つ性質に還元されなければならないというのである。」
補足拝見いたしましたが、前半だけで、頭を痛めております。
ラッセルの文章は、関係の実在という立場で述べているように思いますが、私はあまり論理学、特に形式論理学とか、記号論理学とか、よくわからないのです。
そこで、上記の引用を、#2さんが述べている、重さと関連して、再度問題点に関して、分かりやすく説明していただけると助かります。
と、申しますのも、実は、このような他のご回答者様の回答に、あれこれ申すのはマナー違反でしょうが、私は、はたして重さは関係なんだろうかと言う疑問があるからです。
具体的に重さを取り上げたほうが、関係の実在に関しては、意見の交換が容易ではないかと思うのですが、如何でしょうか。
PS二週間以上、再回答が出来ないようでしたら、エポケーしていると、ご判断下されば幸いです。
この回答への補足
どうも補足いただきありがとうございます。
恐らくfishbowl66さんはこう仰りたいのではないでしょうか?
例えば「これはあれより重い」と言うならば、私たちは「これ」と「あれ」の関係ではなく「これ」の性質を定めているのだと。
No.3
- 回答日時:
No.1にて指摘があるように、「実在・存在」といった概念からして問題を孕んでいますが、関係と関係項といった言葉にて想定しうる概念のみで話を進めてみます。
(No.2にて指摘されていることをトレースしているともいえますが。。。)1.「関係」と「関係項」、たとえば、1+1=2にて、1や2を「関係項」とし、+や=を「関係」とする。
2.どんぶり飯+卵とじカツ=カツ丼といったような記述が受け入れられるとする。
3.1と2での+と=といった記号にて表される「関係」が、「関係項」によらずに(「関係項」に関わらずに)同一概念として捉えられるならば、+や=といった「関係」は、抽象的・普遍的な概念として関係項から独立していると考える。
といったところが一般的なのではないでしょうか?
2の
「どんぶり飯+卵とじカツ=カツ丼」
は、個人的には、おいしさのレベルで
「どんぶり飯+卵とじカツ ≪ カツ丼」
ですが。。。
「関係項」から独立した(任意の「関係項」を想定可能な)普遍的な「関係」概念が、「関係項をはなれて」といった概念に相当するとして、残る「実在するか?」が問題になるでしょう。
このことは、一つ後の質問
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa5316728.html
にも関連します。
関係項と密接に関連しあう関係、すなわち関係と関係項が表裏一体を為している場合には、「関係項が実在する」とすれば「関係も同時に実在する」と言わざるを得なくなります。
ところが、「関係項」からはなれて(から独立して、に関わらず)といった概念で「関係」が捉えられるとすれば、「関係項」を「実在」といった概念で捉えられるとした場合、「関係」について、「実在」を使用可能かどうかは「実在」の定義如何によることでしょう。
すくなくとも、概念レベルでは「関係項からはなれて存在する場合がある」と言えるのではないでしょうか?
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