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- 回答日時:
真空管は、FETと似て、グリッドをカソードよりもマイナス電位にしないと、電流がどんどん流れてしまいます。
このため、電流を制限することと、動作点を直線性の良いあたりに設定するために、クリッドをカソードにたいして
いくらかマイナスになるような電圧を与えておく訳です。これがバイアスです。
グリッド入力にマイナスの直流分を加える(グリッドバイアス)か、カソードをプラスにかさあげするか(カソードバイアス)。
カソードバイアスでは、管自身のプレート電流によってバイアスがかかる回路が作れます。これが自己バイアスです。
一種の電流負帰還ですから、安定性は高いのですが、電源利用の点で損をし、特性的にも若干劣ることがあります。
固定バイアスは、別にバイアス用の電源を必要とするため回路が複雑で、厳密な調整が必要です。
プッシュプル回路では、2本の管の動作点がなるべく近い必要があります。これは、歪みの点と、出力トランスの直流磁化の問題からです。
基本的には、自己バイアスの回路では、調整不要です。ただし、プッシュプル回路の場合は、一応、測定しておく方が良いです。
固定バイアスの場合は、通常は、調整用の可変抵抗がありますので、ここを回して、使用する管によって、所定の電流にあわせます。調整手順はバイアス回路によって異なります。
回路や使用する動作点によって、最適なバイアスの量は異なりますから、基本的にはメーカの保守資料を見るのが良いでしょう。
判らない時には、真空管のマニュアルと回路を見比べて算出します。この場合は、くれぐれも、真空管の最大定格を越えないような注意が必要です。
現在の真空管での動作電流を測定して、これに合わせるのは危険です。というのは、真空管の動作点は経時変化があるからです。
なお、メーカの推奨値が定格を越えた動作になっていたり、特性的に不適当と考えられる動作になっている場合も散見されます。
昔は真空管も安かったので、調整の手間をはぶいて簡素化する意図だったと思います。
この場合は、メーカの値を取るべきか、自分で算出した値を取るべきか悩むことになりますね。
また、同一型番の管でも、メーカや製造時期によって、特性が変わっていることがあります。真空管規格表の数値が絶対とは言い切れませんので、この点も注意が要ります。
必要な物ですが、最低、信頼できるテスターが要ります。
できれば、トランジスタ電圧計やデジタルマルチメータのような入力インピーダンスの高い物が良いです。昔は真空管電圧計と言いましたが。
この場合は、電流検出用に精度の高い数オームの抵抗を用意します。
調整結果の検証には、低歪の発振器、シンクロスコープ、歪率計があれば万全です。通常はここまでは必要無いでしょう。
なお、通常、真空管回路では、高圧がかかりますので、測定器の耐圧に注意してください。
具体的な作業ですが・・・ 普通の固定グリッドバイアスの場合で説明しますね。
プレートを流れる電流を測定すれば良いので、これをプレート巻き線の電圧降下から算出します。
通電していない状態で、巻き線の抵抗を測定しておきます。
ここから、オームの法則で、所定の電流の時の電圧を求めておきます。
バイアスをもっとも深く(マイナスに)しておいて、入力無信号で、スイッチを入れ、上記の電圧降下が生じるように電流が流れるよう、バイアスを浅くしてゆきます。
これをすべての管について、数回繰り返しおこないます。
カソードの電流を測るのが本来の方法です。
感度の高い電圧計があれば、カソードとグランドの間に数オームの抵抗を挿入して、ここに生じる電圧を測定します。
最初から測定用の抵抗の付いている回路もあります。高圧を扱わなくて済むので、私のお勧めの方式です。
昔の保守マニュアル等によく載っていた簡便な方法では、グリッド電圧が指定の電圧になっていることを確認するだけというのがあります。
この場合は、本当に所定の電流になっているか判りませんし、使用するテスターの内部抵抗の影響も恐いです。
不明の点があれば、聞いてください。
この回答へのお礼
お礼日時:2001/03/21 19:34
詳しい説明どうも有り難うございます。勉強不足なもので・・・
処で真空管アンプについてのわかり易い書式があれば教えて頂けないでしょうか?
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