物理量が取りうる最大値は無限大ですかい?
質量とか長さとか電流とか力とかの物理量ってのは、最小値はゼロ(絶対値で)で良いんですけど、最大値としては無限大の値を取ることがありますか?
われわれが今いる宇宙のなかでの話にしてほしいんですけど、素人的に考えると、質量という物理量は宇宙の総質量を超える値を取ることができない(それ以上は意味無い)と思うんですよね。計算過程で一時的に100万倍程度になっても良いけど、つまりこの場合は無限大ではない。かな。
一方、長さなんてのは、宇宙空間で適当な曲線ってのを考えて、トポロジーとかなんとかで、ぐるぐる回り続ける線の長さを表そうと思ったら取りうる最大値っては、際限なくて、無限大ってのもありえんのかな、と。
条件:
1.今の、この宇宙の中での物理学としてください。(ビッグバン仮説を是としてください)
2.理論物理学でお願いします。(数学でごまかさないでください)
3.物理量によって、最大値有限と最大値無限がある場合、それぞれ一つづつ教えていただければ結構です。
実はね、時間という物理量の最大値は無限大かどうかを知りたいんですけどね、まず、それ以外の物理量の最大値ってのを教えてもらって、あとはね、こちらで想像しようかなって思っているんです。
どうぞよろしくお願いします。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
お礼、ありがとうございます。
>1.ビッグバン宇宙仮説を採用したので、最初は宇宙全体の質量は有限である。
いいえ。開いている場合、密度無限大で大きさ無限大から始まったと考えてよいです。
>2.宇宙が膨張してるので、観測可能な宇宙の外側にも天体が離れてゆく。
その通りです。
>3.しかし、観測可能な宇宙の質量と観測不可能は宇宙の質量は、有限であり、「不定」である。
観測不可能な部分では質量の総量は無限大です。密度は有限ですが大きさが無限大ですから、掛け合わせたものも無限大です。
>1.宇宙は閉じていない。
おそらくそうです。
>2.したがって、宇宙はBig Freezeに向かう。
おそらくそうです。
>3.Big Freezeに向かうが、永遠にBig Freezeにはならない(漸近線問題)
物理量は時間も含めて連続ではないので、有限の時間で絶対零度になると思われます。
>4.したがて、すべての物理量のうち、時間のみは無限に、、、(?)待てよ、やっぱ漸近線問題かな。
それでも(局所)慣性系での時間は今までと何も変わりません。それを使って張り巡らせた系で計算しても何も変わらないでしょう。時間の流れがなにかに漸近するということは、やはりブラックホール表面での時間停止くらいでしょう。これとて、ブラックホールに対して自由落下すればその制限はなくなりますが。
熱的死に関する流れはおそらくこんな具合です。熱的死に近づいても、偶然のエントロピー低下で起こっていた最後の核融合も燃料が尽きて終わる。しかし、ブラックホールの事象の地平面からのホーキング輻射は止まない。やがてブラックホールは次々に輝きだす。そしてそれらも終わり、宇宙は静まり返る。しかし、その後に陽子があちこちで崩壊を始め、またもや宇宙を明るくする。それが尽きて、ようやく宇宙は本当の熱的死を迎える。
他の方へのレスですが気になりまして。
>ブラックホールの近くでは空間が曲がっているために、そこから発せられる無限の重力はブラックホールの近傍以外に効力を与えることがなく、
確かにブラックホールは事象の地平面という時間の止まった面で覆われており、あらゆる因果関係はその向こう側から出てくることはありません。しかし重力は出続けています。これは、超新星爆発を無視して静かに収縮してブラックホールになると単純化して考えた場合、遠方から見ていてブラックホールになる前と後で重力の強さは変わりません。よくある計算問題が示す答えを言えば、最初からブラックホールの中心に全ての質量があるとして計算した重力の強さはブラックホールになる前後はもちろん、その星のあらゆる修すく過程で変化はしません。
ありがとうございます。
無限という概念に関しては、数学では認めない論理が自然界の記述にまかり通っている気がしてならないのですが、これは、やはりちゃんと学問をしないと分からないことなのでしょうね。
No.6
- 回答日時:
時間に関して回答してもいいのですね。
標準理論で確定的に言えるのは、宇宙は閉じているか開いているかどちらかだということです。
以前は閉じていると考えられていました。これは空間2次元で言えば球面です。まっすぐ進んで行っても、終わりはありませんが、面積は有限です。物質があっても密度も有限ですから、その量も有限×有限でやはり有限です。
時間は一応終わりがあります。宇宙が膨張していることはご存じでしょうが、閉じた宇宙では物質の万有引力に負けて、収縮に転じます。最後には一点に凝縮されます。ここで時間は終わります。
ただし、人間が感じる時間の進み方について、解釈がいろいろあります。ホーキング博士は最初、宇宙が膨張する方向でしか人間は時間を感じられないと考えていました。宇宙が収縮に転じると、人間の感覚時間も逆転するということです。しかし後になってホーキング博士は考えを変え、宇宙が収縮に向かっても感覚時間は反転しないとしました。
宇宙が開いている場合は、無限大が絡みます。膨張するこの宇宙では、膨張する後退速度が光速度に達したところまでしか観測できません。しかし、その外も宇宙です。どこまで行っても果てはありません。つまり、最初から!大きさは無限大です。
物質の総量は無限大です。時間も無限大まで進めることができます。つまり終わりがありません。
閉じていると考えられていた宇宙が、開いていると考えられるようになったのは割と最近です。しかしそれでも宇宙の膨張はだんだんゆっくりになるはずだと考えられていました。このとき、無限大まで時間を進めたとして膨張がどうかということですが、その場合に後退速度が0になるか、0より大きいかが問題でした。結果は0になるでした。確率的にあり得ないことが起きているので、研究が進んでいます。
さらに最近、膨張が減速的ではなく加速的だということが分かりました。これをどう考えるかは一定した解釈がありません。宇宙がやはり閉じていていずれ収縮に転じるという人もいれば、どんどん加速していって、1000億年後には惑星系がなくなり、2000億年後には原子さえ存在できないと考える人もいます。前者であれば時間は終わりがあり、後者では時間に終わりはありません。
示唆に富んだ回答ありがとうございます。
>最初から!大きさは無限大です。
私はこの部分に引っ掛かります。
大工の浅知恵ですけどね、
1.ビッグバン宇宙仮説を採用したので、最初は宇宙全体の質量は有限である。
2.宇宙が膨張してるので、観測可能な宇宙の外側にも天体が離れてゆく。
3.しかし、観測可能な宇宙の質量と観測不可能は宇宙の質量は、有限であり、「不定」である。
と考えちゃうんです。
上記1.は、ビッグバン仮説を採用・不採用の以前に、数学上の概念である「無限」が自然界(=物理)の世界に実在するとは言えない(証明不能である)。無限量の実在が証明不能であるかぎり、有限である。なんとなれば、われわれの観測可能な宇宙は有限だから、観測不可能な宇宙も有限と考える方が自然。
もうひとつ、これは、自分の考えがまとまらないの部分ですが、
1.宇宙は閉じていない。
2.したがって、宇宙はBig Freezeに向かう。
3.Big Freezeに向かうが、永遠にBig Freezeにはならない(漸近線問題)
4.したがて、すべての物理量のうち、時間のみは無限に、、、(?)待てよ、やっぱ漸近線問題かな。
漸近線問題は通常、時間の関数としての漸近線問題ですよね。
時間自体が漸近線問題の対象になるかな?
ここらへんで、哲学に登場してもらう必要がありあそうですね。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
物理学もいろいろなので、ジャンルを限定しませんと答えられない点もあるかと思います。
特殊相対論はいかがでしょう?普通の物質はタージオンと呼ばれていて、速度の上限は光速度です。正確に言うと光速度未満の速度になれます。
光はルクソン(ルクシオン)と呼ばれていて、いつでもどこでも光速度です。
無限大がからむのはここからです。常に光速度以上の速度となっているものが理論的にはあり得るとされており、それはタキオンと呼ばれます(お聞きになったこともあるではないでしょうか?)。
このタキオン、光速度以上なんですが、無限大の速度にもなれます。出発したとたん、どんなところへも到達できるのです。そこまでではありません。無限大より速くなることができます。
ただし、以前に詳しい人に聞いたのですが、速度が無限大になった場合だけは数学的にどうしようもないそうです。つまり、物理学で計算できないということです。
さて無限大より速くなっていきます。これは、一瞬で到達するより速い、つまり出発する前に到着するのです。当然ですが過去へ戻ります。このためタキオンが実在すればタイムマシンが作れると考えられています。
しかしこれにも上限があり、光が「到着地から出発地」までに届くよりも先に到着はできません。ある人はこれを「マイナス光速」と呼びました。うまいことを言うなあ、と思います。
勝手にジャンルを限定してしまい申し訳ありませんでした。もし気になっておられるジャンルで私ごときで分かるものがあれば、回答いたしますので、補足欄でなんなりと仰せつけください。
この回答への補足
ありがとうございます。
今回の質問は、時間は未来方向に無限なのか、有限なのか、という疑問に端を発しています。
(ビッグバン宇宙仮説を読み、過去方向へは有限である、と知った為、未来方向が気になって、、、)
哲学のカテゴリーで質問したところ、
「初めのあるものには、かならず終わりがあるのでR ピリオド」でした。
天文学のカテゴリーでは、
「宇宙が終わるとき、時間も終わります」とのこと。
それぞれ、解りやすい回答でした。
一方、この宇宙で各種の物理量が無限という値を取り得るのであれば、時間という物理量も無限という値をとると仮説でき、逆に、この宇宙で物理量が取る値は有限の値のみ、ということであれば時間も哲学や天文学が答える様に上限=(おしまい)が有るという仮説ができます。
物理のカテゴリーですから、物理の範囲で考えようと思っています。
物理学の定義は、
「自然界に見られる現象には、人間の恣意的な解釈に依らない普遍的な法則があると考え、自然界の現象とその性質を、物質とその間に働く相互作用によって理解すること(力学的理解)、および物質をより基本的な要素に還元して理解すること(原子論的理解)を目的とする」(Wikipedia)
大工も、現地・現物主義ですからこの定義が気に入っています。。
しかるに、理論物理学は「理論」という接頭辞が付くからでしょうか、ともすると「自然界の現象」から逸脱した議論に発展してしまうような気がします。
すなわち、「元来の物理学の議論」を包含する「論理の集合」を定義し、「元来の物理学の議論」の補集合をとって、これに、例えばタキオンなど、新しく命名し、その性質の議論を開始する。
これでは、補集合をとった時点で「自然界の現象」という物理学の領域定義から逸脱しているのではないでしょうか。
ですから、私は「アインシュタインの速度制限」を守りつつ、空間の曲率=0として、そのうえで、この宇宙の物理量である時間が未来方向に無限なのか、有限なのか、知りたいです。
なにか、考えるヒントが有れば、是非、ご教授いただきたく。
No.4
- 回答日時:
#1です。
> ブラックホールの物質密度の例が、下記の回答者さんからでていますが・・・
> ・・・「質量÷極めて小さい体積」
> =「無限と言っても差し支えないほど大きな密度」
> という意味でしょうか。
少なくとも今の理論体系では中心密度は厳密に無限大です。
くりこみも不可能です。じゃないと「特異点」にならないので。
量子重力理論が完成すれば特異点問題も解消する可能性はありますが、
今のところ完成のめどは全く立ってません。
> 物質が重力でつぶされて原子核のまわりの電子の回転半径がゼロになったとしても、
> 原子核そのもの、電子そのものの体積はあるでしょうから、
電子「そのもの」のに体積があるという証拠は今のところありません。
だからこそファインマンとかが頑張ったわけですが・・・
少なくとも今現在、量子電気力学とのズレは観測されてないので
電子「そのもの」に体積があるとする根拠は何もありません。
> 「無限と言っても差し支えないほど大きな密度」を、
> 方程式を扱うときの簡便さ(理想化)のために
> 無限大の概念としておく、と理解しました。
>
> 他の物理量もきっと同じような感じで、
> 無限と言っても差し支えないほど大きな値をとるときに、
> 無限大という概念を導入しているのであって、
> 数学でいう無限じゃないですね。きっと。
今のところ「数学でいう無限」です。
量子論が間違っていればおっしゃる通りかもしれませんが、
そんなことを考えるのはナンセンスです。
また、簡便さでいえば無限大など出ないでくれた方が
遙かに簡便です。というか、無限大は扱えません。
この回答への補足
sewingcough先生のご説明に関して三日間考えた結果、大工の早合点に気がつきましたので、お詫びかたがたご報告いたします。
大工の常識でしたから、「空間が曲がる」ってことを理解していませんでした。
すなわち、
ブラックホールの中心で物質密度が無限になったら、どんなに離れている地球にも無限の重力が来て、あっという間にブラックホールに吸い込まれてしまう、、、、。
と誤解していたわけです。
だから、先生のおっしゃる「無限」というのは、「有限で極めて大きな値」に違いない、と思っちゃったわけです。
三日間考えた結果気がつきました。
ブラックホールの近くでは空間が曲がっているために、そこから発せられる無限の重力はブラックホールの近傍以外に効力を与えることがなく、結果、地球上でわれわれが生きていることができる。
そういうことですね!
大工の世界には、「生兵法は怪我の元」っていう戒めがあったのに、まさに生兵法でした。
似非科学マニアの限界を感じるとともに、先生のご説明に反発していた自分を不明を反省します。
ごめんなさい。
そしてありがとうございました。
大工の早合点を隅までお読みいただき、補足の説明ありがとうございます。
また、質問にいち早くお答えいただいたのにお礼が後先になり申し訳ございせん。
大工の常識だとね、たとえば「透明ガラス」。
設計士:「高窓のガラス、透明ガラスにしといてくださいね。」
大工:「了解しやした。透明ガラス入れときます。」と言ってね、可視光透過率90%のガラスを入れちゃうの。
設計士と大工が示し合わせて施主さんを騙しているわけじゃなくてね、目的から見て許容範囲の透明度の「不透明ガラス」を「透明ガラス」と呼んでいるってことです。
だもんだから、物理屋さんの方でも、目的からみて許容範囲で「有限の物質密度」を「無限大の物質密度」と呼んでいるんじゃないかと早合点しました。
「特異点」ってのがどうも得意じゃないんですけど(ダジャレです)、本当に無限大の物質密度があるってことになると、いくつかの疑問が払拭できないです。
大工の前提:
1.この宇宙の総質量は有限である。
2.ブラックホールは宇宙の一部である。
3.密度の定義は、「密度=質量÷体積」である。
4.割り算で、分母=0は認められない。
大工の常識ではどうも辻褄が合わなくて、ブラックホールで物質密度が無限大になるためには、上記の前提のうち、どれかが覆ってしまいます。
また、違う角度からの質問ですが、「特異点」っていうのは、「そこでの計算の辻褄が合わない点」って言う事であれば、特異点での物質密度は「解らない」ってのが正しいのではないでしょうか?
それから、原子核の体積は「一番小さい水素原子の原子核でも半径1フェムトメートル」ほどあるっていうじゃないですか、だから電子の体積が無くても、やっぱり体積はゼロにはならないように思えるのです。
原子核もつぶされて素粒子だけになると体積はゼロってことがおこるのでしょうか?
そうだとすると、ゼロ割禁止則に抵触してしまうので、密度の定義自体が成立しなくなるような気もしますが、、、。
設問の立て方が間違っているのかもしれないのですが、なにかヒントをいただければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
No.2
- 回答日時:
他の所で成された質問者さんのご要請にお応えします。
以下に長い説明をしますが、その前に、結論をここでまとめておきます。全文をお読みになった後で、もう一度、この結論を読み直してみて下さい。
結論:無限大の概念の導入は、この宇宙で起こっていることを記述するのに大変強力な理想化の一つであるという経験則が在る。そして、その理想化によって、何か不都合があるような物理現象を見つけ出した物理学者は、歴史に残るような重要な仕事をしたことになる。今までの経験では、ほとんどの場合、その理想化で話が巧く行っているようであり、それなら、その理想化による効用を大いに利用させてもらおうではないか、というのが、物理学者にとっての無限大の役割です。
さて、物理学者にとって無限大の意味は数学者とは大分違います。物理学者は、ほとんどの場合、自分が今取り扱っている量より滅茶苦茶に大きい量を無限大、また、滅茶苦茶に小さい量を無限小と考えて計算しようとします。その量が極端に大きかったり小さかったりした場合は、その量を無限大やら無限小という、実際にはありもしない量で置き換えてしまっても、その結果に違いがあまり出ないであろうことを期待しているからです。もしその置き換えで、万が一、有限であることと無限であることの間に何か決定的な違いが起こることが発見できたら、その物理学者は歓喜することでしょう。数学的にはいくらでもそのような状況があるような論理構造物を考えることが出来るのですが、物理学者がこの現実の世界や宇宙を記述する過程で、そのような珍しい状況にお目に掛かることは、滅多に在りません。だから、そんな状況にお目に掛かったら、宝くじが当たったぐらい喜ぶはずです。
では、物理学者は、何故そのようなありもしない置き換えをするのか。それは、無限大とか無限小の概念を導入すると、連続と言う概念が使えるようになり、計算が桁違いに易しくなるからです。従って、ことの本質があからさまに見える可能性が格段に高くなります。このように、実際にはありもしない状況を考えて、ことの本質を抉り出す行為を、理想化と言います。無限大も無限小も、この理想化の一種である場合が殆どです。実際、連続であれば、微分や積分が出来るようになります。不連続の場合に、積分の代わりに級数を取り扱わなくてはなりません。また微分方程式の変わりに差分方程式を取り扱わなくてはなりません。ところが、それらは積分や微分方程式よりも桁違いに難しい演算なのです。そこで、実際には級数や差分方程式になっている場合でも、そのとびとびの値が極端に小さい場合にな、それを無限小なるもので人為的に置き換えて連続変数としてしまい、それを無限回足す行為として、積分で置き換えてしまうのです。そのような置き換えをすると、微分積分ばかりでなく、超関数というような途轍もなく高度で便利な量も扱えるようにもなります。
その辺りの理想化の意味を理解していない物理の専門家から、私は何度か次のような質問を受けたことがあります。例えば、熱力学の基礎を力学から説明する過程で、物理学者はしばしば「熱力学的極限」という極限操作を行います。それは、一先ず有限の数の気体粒子を箱の中に入れておいて、粒子の数とこの箱の体積の比を一定に保ちながら、その箱の大きさを無限大にして行く極限のことです。その結果、そこで起こっている物理現象を表す数学の中に連続変数が現れ、級数が積分で置き換えられ、演算の中に超関数等が現れて来て、その超関数の性質を論じることから、例えば時間の対称性の破れなどが、数学的に表現できるようになります。ところが、そのことを物理の専門家の前で説明すると、「この宇宙は有限の大きさではないのか。粒子の数も確か10の80乗個ぐらいの有限の数ではないのか。だから、熱力学極限などを取って論じることに意味があるのか」と聞いてくる人が時々います。ところが、そんな質問をする人に限って、物理学の理論として殆ど確立されている粒子の散乱問題では、無限の空間の中に数個の粒子が在ると仮定して、衝突前と衝突後の無限の時間の前後についての遷移を論じていると言う事実には、何も疑問を持っていないようです。また、トランジスタの原理を説明するために結晶内のエネルギー状態が帯構造(バンド構造)をしていることが本質的になることは知っているのに、その帯構造を得るためには厳密には結晶の大きさが無限大になっていなくてはならないことには無関心でいるようです。実際には、結晶は数ミリメートルと有限なのですが、その中の原子の数が余りにも多いので、あたかも無限個の原子からなっていると考えても、その違いが無視できることが、経験的に分かっているから、そのような理想化の下に計算をしているのです。
また、連続の概念を導入しておくと、物理的な本質を探るための関数の性質を論じる時に、その変数を複素数にまで拡張することができるようになります。その結果、関数の性質を、複素平面のどの部分で無限大に成るかを探ることによって、分類できるようになります。そして物理現象をこの関数の分類に対応させることによって、この宇宙のいろいろな個性が探れるようになります。これも、無限大の概念の導入による理想化の効用の一つです。
さらに、無限大にはもう一つの効用があります。数学では、ゼロで割り算をすることが許されていません。それを認めてしまうと、1=2=3=、、、が 成り立つことが証明できてしまい、数学が頼りに成らなくなってしまうからです。また逆に、複雑な計算の何処かで1=2のような間違った計算をしてしまうと、その計算の中の在る量が無限大になってしまいます。従って、連続の概念を導入して物理量を計算しておくと、物理量に無限大が現れた時に、どうやら何処かで論理的な間違いをしているらしいとの見当がつきます。ですから、物理学者は無限大の出現に目を光らせております。そして、物理学の歴史を振り返って見ると、既存の論理構成では中々その無限大が取り除けない場合に、その問題は有名な問題とされ、注目をされて来た例がいっぱい在ります。
素人の頓珍漢な質問に真摯なご説明いただきありがとうございます。
普通の言葉でご説明いただいたので「大変良く解りました」と言いたいところですが、正直に申し上げると「解るところもありました」くらいです。
科学者だから「物理量に無限は無い」と断言しないだけのことで、「物理量に無限大が現れた時には計算間違いを疑え」ってことは、一般人の理解としては「物理要は最大でも無限大にならない」ものだと理解しておきます。
ブラックホールの物質密度の例が、下記の回答者さんからでていますが、物質が重力でつぶされて原子核のまわりの電子の回転半径がゼロになったとしても、原子核そのもの、電子そのものの体積はあるでしょうから、「質量÷体積ゼロ」では無く、「質量÷極めて小さい体積」=「無限と言っても差し支えないほど大きな密度」という意味でしょうか。
素粒子のレベルまでつぶれても同じことのような気がします。
この「無限と言っても差し支えないほど大きな密度」を、方程式を扱うときの簡便さ(理想化)のために無限大の概念としておく、と理解しました。
他の物理量もきっと同じような感じで、無限と言っても差し支えないほど大きな値をとるときに、無限大という概念を導入しているのであって、数学でいう無限じゃないですね。きっと。
ということは、私の類推ですけれども、時間という物理量も無限大にはならない「ことにしよう」と思います。
そして誰かが「時間は無限だ」と言った時には、そいつの頭の中を疑えば良いですね。
何年か前、仕事が暇な時に、ゲオルグ・カントールという人の伝記みたいな数学読み物を読んで、「無限よりも大きな無限がある」(アレフ0とかアレフ1とか)ことを知った時に、目から鱗が落ちた記憶があります。
今回は、「無限」は数学上の概念にすぎず、現実(=物理)の世界には無いのだ!(決めつけていますが)ということを知って、二枚目の鱗が落ちました。
高等学校では数学や物理は嫌いではありませんでしたが、残念ながら目から鱗が落ちるような感動・衝撃をうけた記憶はありません。
あと30年数年早く、この様な事を教えてもらっていたら、俺の人生、変わってたんじゃないか、と思うほどです。
本当にどうもありがとうございました。
追伸:先生の説明を読んでいて、今度は「無限小」って言葉にひっかかってしまいました。また寝られない夜になりそうです。時間は無限じゃないのにね、、、。
No.1
- 回答日時:
基本的に無限は出てはいけないことになってます。
だから朝永先生とか頑張ったわけですが・・・
でも、一応ブラックホールの特異点とかは無限大を許容しています。
今の理論では必ず物質密度が無限大となる点が生じてしまいます。
とはいっても「裸の特異点」は今のところ認められませんが。
ですので、特異点はかならず事象の地平線で隠れており
観測できないから「OK!」ってホーキングとか
ロジャーペンローズとかが主張しています。
「宇宙検閲官仮説」とかいう名前がついています。
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