
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
純粋な金属を考えます。
単位胞(unit cell)に一つの原子があるようにすることができます。説明を易しくするために電子線回折を考えます。外部から飛んできた電子へのある格子点R(ベクトル)のPotential Energyをv(r-R)としましょう。rは飛んでくる電子の座標でこれもベクトルです。結晶全体からのPotentialはV(r)=Σ(R)v(r-R)...(1)
です。ここでΣ(R)はRについて足し合わせている、という意味です。このPotentialは任意の格子ベクトルR'だけ結晶をずらしても変わりません。従って
V(r-R')=Σ(R)v(r-R'-R)
=Σ(R+R')v(r-(R+R'))
=Σ(R)v(r-R)=V(r)...(2)
つまり電子の感じるPotential EnergyはV(r-R')=V(r)という並進対称性があります。このような周期関数は
V(r)=Σ(K)V(K)exp(iKr)...(3)
の形のFourier級数に展開できます。(3)でr→r+Rとおけば
V(r+R)=Σ(K)V(K)exp(iK(r+R))...(4)
これがV(r)に等しくなるためには
exp(iKR)=1すなわちKR=2πでなければなりません。KはRの逆格子ベクトルである、ということです。Fourier係数V(K)は逆変換
V(K)=(1/vc)∫(cell)V(r)exp(-iKr)dr...(5)
で与えられます。vcは単位胞の体積で積分は単位胞全体にわたって行います。
電子の状態を波数ベクトルk(2πを波長で割った大きさ)の平面波と考えると(1)のPotentialによって波数ベクトルk 'の状態に散乱される遷移確率は行列要素
<k '|V|k>=∫φk '(r)*V(r)φk(r)dr...(6)
の2乗に比例します。ここで
φk(r)=exp(ikr)
とおき、さらに(3)を用いるならば
<k '|V|k>=∫exp(-ik 'r){Σ(K)V(K)exp(iKr)}exp(ikr)dr
=Σ(K)V(K)∫exp{i(k+K-k ')r}dr...(7)
です。(7)はk+K=k '以外は消えます。この関係がミソなのです。Potentialの形がどうなっているかは問題でなく周期性だけが必要なのです。
さて、弾性散乱ならばkとk 'の大きさは等しくなります。
ここでベクトルの絵を書いていただくと分かるのですが、x軸にマイナスθの方向にkベクトル、プラスθの方向に同じ長さのk 'ベクトルを書きますkとk 'の先端をkからk 'に向かって引いたベクトル考えると当然x軸に直交しますが、k+K=k 'よりこれが丁度Kのベクトルになります。そして
|K|=2|k|sinθ...(10)
となります。ここで説明を省いて恐縮ですが、逆格子ベクトルKに垂直な格子面の間隔をdとすると|K|=2πN/dとなりますからλ=2π/|k|が波長であることを考慮すると
2dsinθ=Nλ...(11)
になります。これがBraggの条件になるのです。
X線もこれと同じだ、というので勘弁できないでしょうか?
No.1
- 回答日時:
反射といっていますが、実際は反射ではないのでその点は理解しておいてください。
実際の現象は、一般には回折といわれる現象です。
(個人的には回折ではなく散乱というべきだというのが持論ですが。)
物質にX線を当てるとX線が原子内部の電子を振動させ、その結果、各原子から球面波(正確には球面波に似た球状に広がる波)を出します。この球面波を観測する位置で寄せ集めてみると、互いに強めあって回折X線が検出される位置と回折X線が検出されない位置があり、回折X線が生じる条件を調べると、ブラッグの式
2d sinθ=nλ
になっているということです。ブラッグの式になるように角度θを選ぶと、入射角と反射角が等しい、いわゆる“光の反射”と同じ関係になっているので、用語として“反射”が使われます。が、上述のとおりこの現象は反射ではありません。計算そのものは干渉の計算と全く同じです。
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