No.4ベストアンサー
- 回答日時:
再度登場させていただきます.selferです.
正直gauseさんの研究の意図が理解し切れていません.大雑把な流れとしては……
(1)高齢者を対象として「自己効力感」尺度を実施
(2)総得点の中央値を基準にして高群と低群に分ける
(3)高群と低群の二群で,改めて,「自己効力感」のそれぞれの項目で差異があるかを調べる
でよろしいのでしょうか?
もしこの流れであるならば,自己効力感高群は,一般にどの項目においても低群に比べて「はい」と回答する確率が多いですよね? つまり各下位項目の得点を高群と低群でt検定をして,有意に高群>低群になると思います.
というよりはならないとおかしいと思います.というのは質問紙を作るときには,たくさんの項目の中から,自己効力感高群の得点>低群の得点であるものを統計的に確認されたものを採用しているからです(いわゆる項目分析です).
よって,先で確認したgauseさんの研究の流れでは「……質問紙が妥当かどうかの確認を改めてするのか? だとすると,ほとんどの項目では有意な差がでないとまずいだろうなあ(出ると嬉しいんだろうなぁ)」と思ったりします.でも,ほとんどの項目で有意差が出て困ってらっしゃるんですよね??
……というわけで,gauseさんの研究意図がよくわかりません.
gauseさんが「高齢期において注目すべき、特に有意差のでる項目があれば,注目すべきことかな?」というのは……
うーん,例えば,「大学生では自己効力感は全ての項目で有意な差が出る.しかし高齢者では自己効力感は必ずしも全ての項目では有意差は出ないのではないか? つまり,同じ自己効力感の高い人であっても,年齢によって異なる特徴があるのではないか?」ということを調べるのでしたら……まあ,注目すべきことなのかもしれません.
ただし,その研究目的を達成するためには,大学生と高齢者とで得点を比較しないといけないと思いますが……
さて,因子分析についてですが,正確に説明すると莫大な文章量を必要としてしまい,そもそも文章だけでは説明し切れません.よって,今の話の流れと関連した部分だけ,非常に(不正確で)大雑把な説明をしたいと思います.後で専門書で勉強してください.
因子分析の使用目的の一つに「複数の変数の類似度を調べる」というものがあります.因子分析は相関係数をベースにして計算を行っています.
── 科目ABCDEの相関行列(架空):1 ────────
科目A 科目B 科目C 科目D 科目E
科目A 1.00 -0.34 0.98 -0.44 -0.24
科目B -0.34 1.00 -0.34 0.53 0.63
科目C 0.98 -0.34 1.00 -0.35 -0.32
科目D -0.44 0.53 -0.35 1.00 0.54
科目E -0.24 0.63 -0.32 0.54 1.00
─────────────────────────────
※歪んでいたら図表をコピーして「MSゴシック」などの等幅フォントで表示して下さい.
この相関行列を,数値が低いものを消して,あれこれ並べ替えてみると,
── 科目ABCDEの相関行列(架空):4 ────
科目A 科目C 科目B 科目D 科目E
科目A 1.00 0.98
科目C 0.98 1.00
科目B 1.00 0.53 0.63
科目D 0.53 1.00 0.54
科目E 0.63 0.54 1.00
─────────────────────────
となり,変数「科目A」と変数「科目C」とが非常に関連がある,ということがわかります.これは相関行列を手作業でいじったものですが,先程の相関行列データを因子分析にかけると……
─────────────────────────
主因子法・バリマックス回転後の因子負荷量
因子1 因子2 共通性
科目A -0.20 0.98 1.00
科目C -0.20 0.97 0.98
科目B 0.84 -0.17 0.74
科目D 0.75 -0.29 0.65
科目E 0.87 -0.09 0.77
固有値 2.12 2.01
寄与率 42.36% 40.26%
累積寄与率 42.36% 82.62%
─────────────────────────
のように数値として表現されています.この表より,五つの変数は「二つのグループに大きく分けられ(因子が二つあることから)」「因子1グループには科目B・D・Eが,因子2グループには科目A・Cが大きく関連(所属)している(数値は,その因子への関連度を示している)」
ということが読みとれます.
この因子分析という手法を自己効力感のデータに対して適用したとします.もし因子が一つしかでなければ「それぞれの項目は基本的には同じことを調べているに過ぎない」ということがあきらかになります.
しかし,gauseさんが考えているように「自己効力感である項目では差があって,ある項目では差がない」ということを調べるのであれば,全体としては同じ自己効力感尺度ではあるものの,項目によってある程度明確な違いがある,ということが証明されないといけませんよね? 項目Aは自己効力感の「○○」という側面を,項目Dは「△△」という側面を調べているということが確認できなければなりません.
この「○○」や「△△」というのが因子分析の因子に相当します.つまりもし自己効力感尺度で「○○」と「△△」という二つの因子が確認できて,それを踏まえて,「高齢者では,○○に属する項目の総得点では有意差はあったが,△△に属する項目の総得点では有意差がなかった」という結果ならば,「なるほど,高齢者では自己効力感は全ての面で差があるわけではないのだな」という興味深い主張ができるかもしれません.
その主張をするために,因子分析による複数因子の存在の確認が必要となるわけです.
重ねて丁寧な回答をお送りいただき、感謝しています。selferさんのアドバイスを読みながら、自分がやろうとしていたことが、意味のないことだと気がつけました。実は、専門学校生の自己効力感も測定してみたのですが、それも明確なテーマがあってのことではなく、漠然と高齢者の得点とどの程度の差があるのかな?と思ってのことでした。
自分の甘さを痛感しています。
もう一度、論文内容を検討してみます。
ところで、厚かましいお願いですが、t検定、F検定、カイ2乗の違いを簡単に説明して頂くことは、できませんでしょうか?ここ半年ほど、統計を勉強しているのですが、ピンとくるものがありません。
お願いばかりで申し訳ありません。
No.6
- 回答日時:
>t検定、F検定、カイ2乗の違いを簡単に説明して
この質問の内容が幅広くなっている気がしますので,新しい質問をたてられたらどうでしょうか? 確かに最初に,t検定とχ2検定の違いの説明を要求されていますが,gauseさんの質問に対する本題の回答は得られたと思いますので,より多くの回答者さんを呼ぶために,明確なタイトルで新質問されることをお勧めします.
t検定,F検定,χ2検定について簡単に説明すれば,それぞれt分布,F分布,χ2分布と呼ばれる分布を使った検定法ということにすぎません.ただし,主として心理学領域では,少数標本の二つの平均値がt分布に即していることから「t検定=二標本の平均値の差の検定」として認知されているに過ぎません.
以前,t検定とχ2検定について別の質問で回答したことがありますので,参照して下さい.
<t検定>
・http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=533145
<χ2検定>
・http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=555636
No.5
- 回答日時:
再度書きこみします。
卒論でもなんでも、「質問紙ありきの研究」では絶対に面白いものは書けません。
質問紙を使うという事は必然的に量的研究になりますが、量的研究の目的は仮説検証にあるからです。
そのため質問紙を使う前に「どのような変数を」「どのような対象に」などの仮説をしっかり構築する必要があります。
まだ夏休みに入ったばかりですから今から勉強をして、
仮説を練り上げる時間はあるでしょう。
今回取ったデータを破棄する事も勇気ですよ。
もしgauseさんが大学院受験をするのならば、自信を持って卒論を提出できるようになるのが重要ですしね。
再び、丁寧なアドバイスをありがとうございます。
もう一度、研究目的を明確にして取り組みなおします。
興味深い研究になるよう、がんばってみます。
No.2
- 回答日時:
こんにちは.卒論,頑張ってください.
気になった点があるので回答させていただきます.
gauseさんがお使いになられる「自己効力感」調査紙は,一因子の質問紙,つまりは「自己効力感総合得点」のみが算出されるのでしょうか? それとも,総合得点の他にも「○○の側面における自己効力感」「△△における自己効力感」のように下位因子も測定が可能なのでしょうか?
おそらく,いずれの質問紙であっても,標準化された質問紙であるならば因子分析によりその妥当性が検討されていると思います.
ここまで書いて何が問題となるかといいますと,その因子分析により確認された「因子に属する項目の総合点」については妥当性があるといえますが,それぞれの下位項目の得点を直接検討できるかの妥当性には疑問があります.
例えば,全部で項目が20あるとして,そのうちの項目Cは,ごく普通に自己効力感の高い人と低い人を区別できる項目かもしれません.しかし,項目Dについては,「【非常に】自己効力感の高い人」と「それ以外」の区別をする項目かもしれません.この項目の場合,「ちょっとだけ高い人」は「それ以外」群に弁別されてしまいます.
このようにそれぞれの項目が,どのような基準で弁別するのかどうかに注意しないと,それぞれの下位項目に対してt検定をするのは危険だと思います.
自己効力感の総合得点で「高い群」と「低い群」にわけたとしても,高い群には「非常に高い」から「少しだけ高い」と幅があります.ゆえに,先の項目Cにおいて,総合で高い群の人の得点の分散が大きくなってしまう,要するに,不適切な項目であるかもしれないのです.
以上の理由から,それぞれの下位項目を単独で分析するには注意が必要で,そのために,多くの研究者は下位項目ではなく総合得点を分析対象とするのです.
もしかすると,t検定の結果が予想通りではなかったのは,このためかもしれません.
どうしても単純な「自己効力感」得点だけではなく,もう少し細かく分析したいのであれば,因子分析をされて,その因子ごとの得点でt検定をされるのはどうでしょうか?
とても丁寧なアドバイス本当にありがとうございます。
早速ですが、私は「一般性セルフエフィかシー尺度」を使用しました。16項目の質問に「はい」「いいえ」で答えるものです。
この調査を高齢者を対象に行い、16点満点で点数化しました。対象者は77名で、その総合点数の中央値で、高得点群と低得点群にわけ、どの質問項目において有意な差がでるのかを知りたいと考えていました。
でも、selferさんのアドバイスを読みながら、この尺度はもともと因子分析されているもので、私が今やろうとしていることは、意味のないことのようにも思えてきました。
ただ、高齢期において、特に有意差のでる項目があれば、注目すべきことかな?とも思うのですが???
加えて、因子分析の方法、意味するところが、理解できていません。もしよかったら、教えていただけますか?
勉強不足で申し訳ありません。
私自身、selferさんのアドバイスで、考えるヒントを頂いたような気がします。
No.1
- 回答日時:
「はい」と「いいえ」だけだと、名義尺度に近いですね。
それでt検定をやっている論文もあるので悪いとまではいえませんが、あまり好ましくもないと思います。t検定は間隔尺度以上でないと適用してはいけませんから。(心理検査でよく使う5件法なども厳密には順序尺度ですが便宜上、間隔尺度として統計を行なっています。) gauseさんのデータなら、統計的にはt検定よりカイ2乗の方が向いているかもしれませんね。Excelでのやり方ですが、計算式を打ち込む以外の方法は知りません(でした)。でもExcelのヘルプで検索したら使う関数が分かったので、やってみてください。またフリーで簡単な統計ソフトにSTARというのがあるので、これを使うのも手です。
しかし大学ならSASかSPSSくらいありそうなものなので、卒論だったらそういうものを活用して欲しい気がします。
t検定とカイ2乗の違いですが、t検定は平均の差に有意差があるかどうかを調べます。カイ2乗は度数(人数)のばらつきが期待値よりも有意に偏っているかを調べます。詳しいことは統計の本を見てください。ただ私の経験上、カイ2乗のほうがt検定以上に有意差は出にくいです。特に被験者が少ない場合は。
参考URL:http://www.kisnet.or.jp/nappa/
早速、回答を頂きありがとうございました。
今回、t検定でやってみたら、ほとんどの項目において有意差がでてしまい、混乱してしまいました。
統計の本も、あれこれと見るのですが、なかなかピンときません。もう少し、気合をいれてがんばらないといけないと自分でも反省しています。
参考になりました。本当にありがとうございました。
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