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金属と半導体の接触において、p型半導体と金属のオーミック接触の原理が理解できません。n型半導体と金属のオーミック接触は理解できたのですが、p型になるとわかりません。n型の場合は、電子の動きを考えればいいので、金属からn型半導体に電子が動いて、フェルミン準位が増加するので、バンド図で、フェルミン準位が上がるのがわかります。ただp型の場合は、正孔を考えなければなりません。ただ、金属は電子しか移動しないので、どのように金属と半導体の間の正孔のやりとりを考えたらいいのでしょうか?金属から半導体へ、または半導体から金属へ、正孔が移動すると考えられるのでしょうか?参考書などを見ると、「n型と同様に考えると」っとしか書いておらず、私には理解できません。すいませんが、教えてください。お願いします。

A 回答 (3件)

質問は、「p形半導体が負電位で金属が正電位の時には半導体中には正孔が流れるはずだが、正孔がどうして金属からp形半導体側に供給されるのか」ということだと思います。


p形半導体が正電位で金属が負電位の場合には、p形半導体中の正孔が金属に達し、そこで金属からの電子が正孔に収まると解釈できます。また、n形半導体と金属の場合には、半導体からも金属からも電子が供給できるので、特に疑問とはなりません。
しかしながら、文頭に示した逆の極性の場合には、疑問が湧きますね。

教科書には、半導体と金属のオーミック接触を取り上げてないものもあるし、取り上げてもn形半導体を例にして、p形半導体を例にして説明しているものは少ないです。私が知ってる中では、例外的に次の文献で説明してます。
D.A.Fraser, 半導体素子の物理, 5.8.1項, pp,152-153, 丸善, S60
ただ、内容は他の教科書でもn形半導体の場合で説明しているようなバンド図を描き、金属の仕事関数がp形半導体の仕事関数よりも大きい場合には「界面は正孔密度が増加しているので、その中の正孔は金属の電子と容易に場所を交換することができる。バイアスが小さければその符号にかかわらず正孔電流が容易に流れる」と説明があるだけです。

さて、デバイスシミュレータを使う時、通常は電極条件(材質etc.)を何も設定しません。単に半導体領域の特定の箇所に電極があるとだけ指定します。シミュレータは、電極に接触する箇所の半導体のキャリア密度が熱平衡値であることを境界条件として計算します。その妥当性を議論した文献を見たことがないのですが、現在のデバイスシミュレータは誰もが信頼しているので、このデバイスシミュレーターが使っている状況がオーミック接触を最も的確に表しているのだと思います。

私は、昔 オーミック接合では再結合が無限大であると習いました。その後、そうではなくトンネル電流と解釈するのが常識となっていると教えられました。そのつもりで居たのですが、この質問を読んで改めて考えると、仕事関数の差だけでも、トンネル電流だけで納得できなくなりました。前者は本質問の疑問そのものですし、トンネル機構も必ず閾値があるはずだからです。
シミュレータの設定している条件は、再結合が無限大であるならば実現されます。しかしながら、無限大が付いた説明は何か胡散臭いです。

さて、IC以前の昔からオーミック接合を得るためには、次のことが効果的であることが知られてます。
1. 半導体側を高不純物密度にする。
2. 半導体表面を機械的に荒らす。

また、逆方向の耐圧特性を見る時、
3. 接合に欠陥があればショート状態になる
ことも、よく知られてます。ショート状態はオーミック状態と似たものです。

私は、オーミック接合は、この接合がきちんと出来てないことをベースにして考えた方が良いのではないかと思います。仕事関数の差に応じた遷移領域はごく薄い幅でしょうから、表面を荒らして付けた傷とか、電極金属が熱処理で半導体に食い込みの方が深くなることは(特にIC以前の時代には)むしろ普通だったと思います。
トンネル電流機構は、ICで電極金属の食い込みがないようにバリアメタルを半導体表面に付けるようになって、傷とか食い込みでは説明できなくなり、言い出され始めたのではないでしょうか。

何にしろ、トンネル電流にしろ仕事関数差による説明しろ、「p形半導体が負電位で金属が正電位の時」には、正孔の移動だけでは説明が難しいと思います。接合領域で(自由)電子と正孔が再結合することが不可欠のように思えます。ショトキー接合では半導体と金属がきれいに峻別されてなければ特性がでません。反対に、接合領域の半導体が傷とか金属原子の侵入があれば、ショート状態、すなわちオーミック状態となるのはむしろ当然で、ややこしい理屈を持ち込むまでもないように思えてきました。
強いて理屈を付ければ、そういう乱れた半導体領域のアクセプタ不純物原子は周辺の電子を容易に最外殻軌道に取り込み易く、ドナー不純物原子は逆に最外殻軌道の電子を放出し易いとすれば、デバイスシミュレータが想定している状況が出現することになる。そうすれば、(1)の「半導体側を高不純物密度にすればオーミック接合となり易い」こととも整合します。私には、これがもっともらしい説明と思えるのですが、どうでしょうか。
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#1です。

ちょっと補足しておきます。

先ずオーミック接合の作り方について、3,4の中間段階として次の方法もあります。
5. 半導体表面に不純物準位または欠陥準位を形成し、ショットキー障壁を低くする、または電子のホッピング伝導経路を作る。


次に、質問文を読み返すと、ショットキー接合の順方向動作原理とオーミック接合を混同しているように思われます。
#1をよく読んでいただければ分かるように、これらは全く別物です。
n型半導体とのショットキー接合では、金属に負のバイアスを掛け、金属側のフェルミ準位を上げても、ショットキー障壁の高さは変わらないので、金属に注入される電子は半導体側へ流入することはできません。(逆方向)
しかし半導体側を負にすると、半導体のフェルミ準位が上がり、障壁が低くなるので、半導体に注入された電子は金属側へ流れます。

p型半導体の場合はその逆で、半導体に負のバイアスを掛けても、半導体に注入された電子は正孔を埋めてフェルミ準位を上げるだけで電流は流れませんが、半導体に正のバイアスをかけると、半導体から電子が引き抜かれて正孔が生じ、半導体のフェルミ準位を引き下げるので、ショットキー障壁が低くなり、あふれた正孔が金属側へ流れ出します。
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オーミック接合を理解する前に、先ずショットキー接合について理解してください。


ショットキー障壁を崩して電子の通過を容易にしたものがオーミック接合です。

多くの場合、金属の電子親和力(フェルミ準位)は半導体のバンドギャップの中にあります。
n型半導体と金属とを接合したとき、半導体のフェルミ準位の方が高いので、【半導体から金属へ】電子が流れ込みます。
ここで、金属の電子濃度は10の23乗(cm-3)台、半導体は10の18乗台以下なので、【金属のフェルミ準位はほとんど動かず】半導体全体のフェルミ準位が下がります。
但し金属と半導体との接触界面の仕事関数は変わらないので、元々の仕事関数の差がショットキー障壁として残ります。
そして、金属へ流れ込んで過剰となった負電荷により、半導体内の電子が押し返されて、半導体内部には正の空間電荷層が形成されます。
この空間電荷層の厚さは、ショットキー障壁の高さに比例し、半導体のキャリア濃度に反比例します。

オーミック接合は、このショットキー障壁の高さ、或いは空間電荷層の厚さを薄くして、電子が金属と半導体のどちらへも容易に通過できるようにしたもので、次に挙げるいくつかの方法を組み合わせて作られます。

1. 半導体のフェルミ準位にできるだけ近い電子親和力を持つ金属を選ぶ。
2. 半導体のキャリア濃度を高くして空間電荷層を薄くし、電子のトンネル確率を高くする。
3. 金属と半導体を合金化し、障壁をなだらかにする。
4. 接合面積を大きくし、抵抗を小さくする。


p型半導体の場合も同じで、正孔は電子の抜けた穴だと思えば理解は簡単です。
つまり、金属とp型半導体を接合したとき、金属から半導体へ電子が流れ込んで正孔を埋め、半導体全体のフェルミ準位が上がります。
金属では電子が欠乏した正電荷により半導体内の正孔が押し返され、半導体界面付近には負の空間電荷層が形成されます。
オーミック接合形成方法はn型と同じですが、正孔のトンネル確率は小さく、また金属の電子親和力は半導体のバンドギャップの上の方にあるものが多いので、1,2の方法は取りにくく、3,4の方法がよく取られます。
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