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お世話になります。
熱応力の説明にはよく「材料の温度が上昇した場合、膨張係数にしたがって膨張すべきところを拘束されていると生じる応力」などという説明がなされていますが、これが正しいとするともし拘束されていない場合には温度変化があっても応力は働かないのでしょうか、詳しい方ご教示願います。

A 回答 (6件)

「もし拘束されていない場合には温度変化があっても応力は働かないのでしょうか」


に対してはyesです。
ただし、熱応力の定義に述べられている内容を裏返して、
「膨張すべきところを拘束されていなければ」という条件が付くことはうっかり忘れないように注意が必要です。

拘束として考えられるものとして外的なものと内的なものが考えられますが、
外的なものはイメージしやすいと思うので省略して、内的なものについて考えてみます。

 材料の内部で拘束が生じる例としては、
 1つには温度の不均一な状態(温度勾配)があります。
これは微小な領域を考え、更にその中に境界面を任意に設定したとき、境界面の一方と他方との間で
温度による膨張の度合いが異なることにより境界面内方向で互いに同一の膨張となるように弾性的な
応力を生じさせてバランスさせると言うことでそのような応力が生じます。これは固定ではないのですが(接している2領域の)材料がくっついているという特性から来る変形に対する制約です。
 もう1つの例としては温度は均一であっても領域によって温度膨張率が異なる場合が挙げられます。この場合は
ある温度で応力が生じていなくても温度がそこから変化すれば温度による膨張の度合いが異なることは最初の例と同じなので全く同様な考え方で応力が生じることが分かります。(バイメタルはこのような応力で変形します。)
 上の2つを組み合わせると様々な状態での温度応力が考えられます。


 任意の形状に対して、熱膨張係数が全領域で一様でかつ一様に温度変化を与えた場合、
上と同様な考え方をして、
任意の微小な領域を考え、更にその中に境界面を任意に設定したとき、境界面の一方と他方との間で
「温度による膨張の度合いが同一なので」境界面内方向で応力を生じさせることはない
と言うことが分かります。要するに領域内で温度応力は生じません。
 実際の構造物では熱膨張係数が全領域で一様でかつ一様に温度変化をすると言うことはないので必ず何らかの温度応力が生じることになるでしょう。
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 #3です。

単純化して、一方向の熱膨張のみ考えます。

 添付図上段にあるように、一様断面の物体の場合は、一斉に同じ長さ伸びる(伸びれる)ので、外部拘束がなければ熱応力は発生しません。

 添付図下段の変断面の場合も、一様断面と同じように帯で分割して、近似して考えます。分割が無限に細かければ、正解に収束するだろう、という発想です。

 変断面では、帯の長さが違うので、それぞれの帯は違った長さ伸びます。もし帯どうしが自由に動けるなら、下段の右端のようになるはずです。図中の赤ラインは、隣り合う帯の接合面で、膨張前は、左右の帯で接合面の長さは一致しています。

 熱膨張は、帯の長さに比例するので、膨張後では接合面の長さが左右で違います。しかし本当は一体なので、膨張後も接合面の長さは一致するはずです。そうすると、膨張後も接合面の長さを一致させるために、帯の左側面には引張が(左隣の帯がより長いから)、右側面には圧縮が(右隣の帯がより短いから)働いて、長さを揃える事になります。これが自然な「拘束」となり、熱応力が発生します。

 熱応力は、十分ゆっくり加熱され、物体内部の温度勾配がなくても、物体形状により一般的に発生します。今は単純化して考えてますが、それでも思ったより複雑な応力状態になりそうだというのは、わかって頂けると思います。

 厳密には3方向の熱膨張を扱う必要がありますので、通常は有限要素法などに持ち込んで、数値的な近似計算を行っている次第です。手計算できるのは、梁くらいで、これは梁が一方向に著しく長く、他の方向の熱膨張を無視できるからです。それでも変断面になると、やはり厄介です。
「熱応力の考え方」の回答画像5
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ANo2です。

追加のご質問にお答えします。
宇宙空間で浮遊している物体であっても温度勾配があれば、それに応じた熱応力が発声することになります。
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この回答へのお礼

freulein様
早速の、ならびに何度もご回答いただきありがとうございます。
ポイントは温度勾配ということですね、よくわかりました。

お礼日時:2012/03/28 08:51

 普通に言う、材料力学の範囲内でお答えします。



 とりあえず細長い梁を考えます。棒としての梁は、単純に一本のバネにおきかえても良い事は、ご存知と思います。このような場合、熱膨張(線膨張)は、バネの自然長の変化をもたらすだけなので、外部からの拘束がなければ、熱応力は働きません。

 外部拘束があると曲がってしまうよ、というこのケースの典型的が、線路のレールです。熱応力って、じつは作用するとでかいんですよ。なのでレールでは、それを防ぐために一定間隔に隙間を設けて、敷設されます。確かレールを枕木に固定する鋲の穴にも、隙間があったはずです。これが#1さんの例になると思います。

 ところが外部拘束がなくても、熱応力が働く場合があります。#2さんの例は正しいのですけど、ふつうの材料力学では、「温度変化の急速さ」は考えません。ふつうの材料力学はあくまで「静力学」なので、急速さ=加熱速度に含まれる時間要素は無視されます。無視して良いように、「十分ゆっくり加熱された」状況しか考えません。しかしそれでも、熱応力は発生します。

 さっきの梁の左端の断面が梁軸方向に直角で、右端の断面が軸線に対して角度を持ち、左端の断面が地面に固定されているような場合です。このような場合、梁の全長に比べて断面幅は小さいので、断面方向の材料長さの変化は、全長に比べて相対的に小さいですが、断面の各場所での軸方向への材料の熱膨張による長さ変化は、梁の全長が長ければ長いほど、それに比例して大きくなります。

 断面方向で、材料が一斉に同じ長さだけ膨張できないために、これが自然な拘束になります。つまり一様な形状を持ってない材料には、原則としてみな熱応力が発生する、という事です。熱応力の恐ろしさは、断面幅/全長のような相対比に比例するのでなく、全長のような絶対値で決まってしまう事です。だから糸のように細い梁を考えたとしても、それが変断面である場合、熱応力は決して無視できなくなります。


 熱応力のこの性質のために、それ以外の構造計算は全てクリアしたのに、この一点のために設計計算で頭を痛める、という事態もあり得ます。

この回答への補足

ddtddtddt様
早速のご回答ありがとうございます。
後段部分がもっとも知りたいところなのですが、細い糸状のものではなく大きさや形があるごく普通の物質について、一様に温度上昇した場合必ず熱応力は発生するという理解でよろしいでしょうか。
ご回答いただければ幸いです。

補足日時:2012/03/27 19:03
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「拘束されている」という言葉を誤解しておられるようです。

「外部から何らかの手段で熱膨張が拘束されている」と捉えるのではなくて、外部からの拘束が一切ない条件で材料表面と内部とで、温度変化が急速のため「温度差が生じて、その結果(熱)ひずみが生じ(つまり熱膨張が表面と内部とで拘束され)ること」に由来して熱ひずみ・熱応力が生じるものとお考え下さい。

この回答への補足

freulein様
早速のご回答ありがとうございます。
拘束について誤解があるというご指摘ですが、ではたとえば無重力状態にある宇宙船の中で実験したとして、浮いている材料を加熱した場合を考えた時、熱応力は発生するという理解でよろしいでしょうか。
ご回答いただければ幸いです。

補足日時:2012/03/27 18:59
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自由膨張と言われるように、膨張係数にしたがって膨張し、応力は生じません。

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この回答へのお礼

AoDoc様
早速のご回答ありがとうございました。
よくわかりました。

お礼日時:2012/03/26 23:49

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