私は死刑制度については賛成であり、絶対無くすべきではないと考えています。
しかし、刑法などの法律を全く学んだ事がなく、きっと偏った考えで賛成している部分がかなりあると思います。
そこで、死刑制度反対の考えのお持ちの方に、どうして死刑が悪いのか、お考えをうかがって死刑について自分なりにいろいろ考えてみたいと思いました。
多分刑というのは、被害者感情を満足させるためのものではなく、あくまで被告をどうするか、ということを中心に作られてると思いますので、被害者や、一般人の感情からすれば死刑にして欲しい!と思ってもそうはならないことが多い、、と推測します。
しかしそれでは、被害者はずっと泣き寝入りみたいで、理屈では分かっても感情的に全く納得できないんですよね。
ですから、、こういう理由で死刑に反対なんだ、と言う考えをまず聞いてみたいと思いました。
ここで死刑の是非を問うとか討論するとか、そう言う趣旨では全くありませんので。。
あくまで反対される方の考えを冷静に知りたいだけです。
よろしくお願いします。
No.1
- 回答日時:
まずはじめに考えるべきなのは、「人は人を殺して良いのか」という問題です。
「どんな理由があっても、人は人を殺すべきでない」という道徳的・哲学的・宗教的信念を持つ人にとっては、死刑制度が悪であることは議論の余地がありません。
次に考えるべきなのは、「刑罰の本質は何なのか」「刑罰の目的は何か」という問題です。
刑罰は犯罪者を教育・矯正するためのものだと考える人は、犯人を殺してしまう死刑の意義を認めることが出来ません。
また、刑罰は犯人が行った悪事に対する応報だと考える人にとっては、純粋に犯人の行為だけを評価して刑罰を決定すべきだということになります。こういう立場の人が必ずしも死刑制度に反対とは限りませんが、世間でよくある被害者(およびその遺族)の感情・事情を考慮せよという議論は、そういう人には納得しがたいものになります。
もうひとつ考えるべきなのは、「人間は死刑制度を適正に運用できるか」という問題です。
殺してしまった人間は絶対に生き返りませんから、冤罪で死刑にしてしまうと取り返しがつきません。
真犯人を死刑にするのはやむをえないと認める人であっても、間違った人を殺してしまう可能性を考えて死刑制度反対の立場をとる場合があります。
こんなところでしょうか。
d-yさん、貴重なご意見ありがとうございます。
「人は人を殺して良いのか」
「人間は死刑制度を適正に運用できるか」
なるほど、、
こんな事は今まで考えた事が無かったです。
死刑は、「国家による殺人」という記述は目にしたことがあるんですが、結局は人が人を殺す事ですからね。。
冤罪で死刑という問題は常に付きまといますね、そうするとその可能性がある以上死刑は無くさなければならない。。。
大変参考になりました!
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
死刑制度を考える際、刑法の考え方として大きく二つの考え方があることを踏まえる必要があります。
一つは「応報刑論」。ハンムラビ法典の「目には目を、歯に歯を」で知られる考えで、人を殺すような奴は同じように死を与えるべきだとなります。もう一つは、「教育刑論」で、どんな悪人も然るべき方法で啓発すれば、まともな人間になるはずだ。だから、刑務所は罰を与えるのではなくて、善人に教育(洗脳?)するところだということになり、死刑はありえません。(教育が行き届かず、死ぬまで収監される場合はあるかもしれませんが。)ちなみに、批判の的の少年法は、原則この「教育刑論」の考え方が大幅に取り入れられています。おまけで付け加えれば、もう一つ「社会防衛論」というのもあって、悪人は社会のゴミだから、とりあえず(あるいは罪の重さに関係なく永遠に)閉じ込めてしまおうというものもあります。
結局、近代刑法は基本的に上の「応報刑論」に基づいているので、死刑が存続してきたわけです。実際、教育刑論もわからんではないですが、この考え方では罪の重さと刑の重さがリンクしないので、罪刑法定主義の観点からも問題が多く、採用されるところが少ないわけです。
さて、死刑廃止論は、ずばり「教育刑論」や「社会防衛論」から導き出されることもあるでしょうが、現在ではそんな暴論はあまり取られません。したがって。「応報刑論」の修正として出てくるわけです。
そうだとすれば、人殺しには死刑しかないだろうということしかないのですが、観点を変えると、誤審の問題もあるし、被告の人権といったこともあります。たとえば、人殺しを死刑にして、それが誤審だった場合、徹底した「応報刑論」に立てば、その判事を殺すのか、という結論が導かれてしまいます。人権にしても、個人報復を認めていない時点で、守るべき法益に対応する人権の制限と言った場合、死刑だけは制限でなく、剥奪となることを説明できません。言い換えれば、近代社会では完全な「応報刑論」は最早不可能なので、すでに「教育刑論」等の修正を受けているのです。
こうなれば、「歯に歯を」にこだわる必要はないので、他の刑と一線を画すような重大な結果をもたらす死刑は廃止すべきだという意見が生きてきます。
で、私が思うのは、死刑は廃止した方がたぶんいいのだろうが、問題はそれに相応する刑がなければいけないと思います。ただ、終身刑にすればそれでいいのか、終身刑を設けてしまえば、何のために収監するのか、本人にとってもわからないのではないか、というようなことを考えると躊躇します。一方、悪人の罪とその人間性は本来関連性がないので、生かしておけば、それが刑務所内でもその人生をまっとうできるのではないか(相当な精神力のある人だけだろうが)、とも思います。ただし、被害者感情も無視するわけにはいきませんが、それだけで走るのは危険です。被害者感情を重視すれば、個人報復を認めるほかなくなるのでしょうから。
mimicimicさん、哲学のところでもお世話になりました、、今回もとてもためになる貴重なご意見を頂き、心より感謝いたします。
近代刑法が「応報刑論」に基づいているなんて、本当に驚きました。なぜなら、、少年は除くとしても、他の刑があまりに軽いからです。
人を殺しても10年ぐらいで出てこられるんですよね?
明らかに殺意があった場合は死刑にしても良いと思うんですが。
飲酒運転でひき殺した場合も、まぁあきれるほど刑が軽いので、「教育刑論」の立場から成り立っていると錯覚するほどです。
誤審の問題は確かにそうですね。
被告の人権、、これについては考えた事が無かったです。
なるほど。。。
被告にも人権なるものが付加(?)されているかと思うと、どうも納得できませんが、人権は憲法で保障されているとしたら、それと死刑との兼ね合いも難しいところですね。。
心情的にはには被害者感情を満足させたいところですが、そうすると個人報復を認めることとなり、これも難しいところです。
法律素人の私にはとても勉強になるご回答でした。
どうもありがとうございました!
No.3
- 回答日時:
大学の時に試験で死刑についての問題がありました。
正解はありませんということでした。
ただし、必ず考えなければならないのは
「執行したら間違いを訂正できない?」ということでした。
陪審員?らしき制度の話もでていますが、この点は考えておく必用があります。
私は廃止の前に考えるは終身刑が必用だと思います。
死刑との差があまりにも大きいと思います。
死刑ではなくとも、世の中にだすべき人でない場合もあります。
darkengelさん、貴重なご意見をありがとうございます。
>執行したら間違いを訂正できない
他の方も書いていらっしゃいましたが、やはりこのミスが最も大きな事由なんでしょうね。
終身刑は死刑があっても導入してほしいぐらいです。
まして死刑を廃止したらなおさらです。
No.4
- 回答日時:
私自身は死刑制度についての是非はまだ自分の結論は出ていません。
その中で、反対派の主張のうち考えさせられるものがありますので、いくつか答えたいと思います。1.冤罪について
冤罪はたとえ死刑でなくても人生の貴重な時間を奪うことには変わりないので、死刑の有無にかかわらず冤罪撲滅は必要で、特に死刑がという意見はおかしな話です。確かに一部そういう主張をする人もいますけど。
死刑制度があっても、疑わしい事例では執行を当面見合わせるという方法もありますからね。
そもそもだからこそ疑わしきは罰せずなのですから。
2.人が人を殺すという倫理・宗教上の問題
これは人それぞれの価値観ですから、なんともいえません。
個人的にはこれを理由として死刑廃止とすべきではないと考えています。
人を殺すような犯罪を行ったものにまで、対象とすべきなのか?が疑問だからです。
3.人を矯正するのが目的であるという考え方
私は必ずしもそういう目的だとは思っていません。それであれば初めから深く反省しているひとはどうなるのでしょう。軽くすることはあってもやはり懲罰を受けるという考え方はあるはずです。
4.本当に懲罰として適当なのか?
死んでしまえば楽になるという考えは人間誰でももっています。それが自殺という考え方を生み出しています。
そういうなかで、もっとも重い懲罰が本当に死刑なのか?という疑問です。
現在の日本では死刑の次は無期懲役で「無期」とは期間を定めないという意味でしかありませんので、現実には出所することも可能で、本当の意味での永久に投獄されるわけではありません。
もし本当の懲罰を考えるのであれば、一生投獄された状態で、一生過去の自分の過ちについて自然死を迎えるまで後悔と反省をしつづけるという方法の方がより重罪ではないか?
また被害者にとっても望ましい刑ではないか?
という考え方もあるのです。
まだ私も結論が出ていない話ですが、まあよーく考えてみる必要がある問題ですね。
mickjey2さん、非常にわかりやすく貴重なご意見を頂きました。
ありがとうございます。
1 冤罪の撲滅が完全に不可能な以上、冤罪によって死刑になってしまう人も論理的には存在してしまう。
だから死刑は反対なんでしょうね。
つまりすべての冤罪はもちろん無くすべきだが、生きていさえすればそれが晴れるかもしれないが死んでしまってはすべてが終わり、とこう考えるのでしょう。
2 これは私もmickjey2さんと同じ考えです。
人が人を殺すという倫理的問題があり、難しいところですが、例外規定として(悪質な)殺人者には国家が殺すことを認めるべきだと思います。
(しかし、国家も人である、という問題を孕みますが)。
3 矯正については、、これが功を奏しているとも言え、そうでないともいえるので何とも分かりません。。
4 果たして死刑が一番重い刑か?
これは私も考えました。
例えば教育大付属のあの事件、あいつは死刑になると思いますが、実はそれが一番(奴にとって)軽い刑なんじゃないか、、そう思うんですよ。
被害者は、もちろん極刑を望んでいるとしても、奴が自責の念で胸をかきむしるほど猛反省する人生を送ってほしい、そうとも考えていると思うんです。
そうなると、死刑だからといって一番重い苦しい刑にはなりえませんよね。
そうなってくると、被害者感情を満足させるのは死刑よりも、mickjey2さんがおっしゃるように「自然死を迎えるまで後悔と反省をしつづける」ことです。
じゃぁ奴を死刑にする意義は?
ますます混乱するばかりです。。
こんなに考えるヒントをいろいろ下さり、ありがとうございました!
本当、、よーく考えてみる問題だと思います。
No.5
- 回答日時:
死刑制度反対の主なものとしては
1.冤罪の場合に救えない。
死刑判決後改めて無罪となった例もあり、海外では
死刑執行されてから真犯人が見つかった例もあり。
2.法によるものと言えど国家が人を殺して良いものか?
3.死んでしまえば罪も償えない。
死刑囚は、一度も悔やむことも恥じることもなく
死んでいく者もいる。
4.自己判断で、どうせ死刑だからと、さらに自暴自棄に
罪を重ねる事がある。
「自分が死にたいが自殺は怖いから。殺人を犯し
死刑囚となって殺して貰う」等と供述した例も。
そして総合的に、死刑に犯罪抑止力がない。
制度があるから凶悪犯罪が減り、無いと増える・・・
という訳ではない。
と言った理由等があげられます。
私も元々死刑反対でしたが、昨今の犯罪を見ると「さっさと死刑にしてしまえ!」と思いたくなるような犯罪も多いですよね。
でも、例え私自信がそう思っていても、やはり死刑でさっさと死んで貰うよりも自分のしたことを考え、悔やんでほしいとも思います。
「死刑を廃し、終身刑を」と仰る方も見えますが、確かに10年20年でも反省出来ないならば30年でも40年でも一生かかって悔い改めよ!死ぬまで反省し続けろ!と思います。
gokuh_さん、貴重なご意見どうもありがとうございます!
他の方のお礼でも書きましたが、私も「死刑でさっさと死んで貰うよりも自分のしたことを考え、悔やんでほしい」と考える事もありますね。
しかし悔やむか悔やまないかは本人の問題なので、、
(某殺人教団の代表のように)悔やむことも反省する事も全くしない場合、これをこのままぶち込んでおくのも癪だし、死刑にしても楽に死んでしまうし、どうしたらいいんでしょうかねぇ。。
死刑に犯罪抑止力が無い事や、冤罪のことなど、存続をするにも問題が多いですが、自分の身内や愛される人が殺された時、それでも死刑を無くしてくれ、という自信は全く無いです。
No.6
- 回答日時:
死刑にまつわる感情について議論をさせていただきますと、『死刑』に関して、思いつくことは次のような事です。
1:あんな奴は死刑にしろ!
2:やった!死刑になった!(判決時)
3:スッキリした(執行時)
1,2についてはわかりやすいですが、3については
そういうものでもないみたいですね。虚しいというか、あいつが死刑になったって、○○ちゃんが帰ってくるわけではない・・・とか、死刑執行人の気持ちというのもありますし。
死刑の次にくる無期刑が実際には10数年、少年の場合は数年と、とても短いことが問題だと思います。
やはり終身刑というものがあり、懲役50年、100年という長い懲役があれば、死刑がなくても、遺族もかなり納得できるのかもしれません。
死刑は良くないと思うけれど、
20年もいなくても出てこれてしまう、という形では
なくすのも問題だと思うということです。
今度刑法が改正されるようですが・・・
tabasco285さん、貴重なご意見ありがとうございます。
死刑が執行された時のむなしさは、おそらく、犯人が自分の犯した罪の深さを恐れ、苦しみ、猛反省する事ができなくなった、と被害者が考えるからでもあると思うんです。
しかし、記者会見なんかで「ほっとしました」という意見も聞かれるので、もちろんスッキリはしなくても、生きていられるよりは早く死んでもらいたい、と考えてる被害者がいることも事実ですね。
そう言う言葉を聞いた時、「ああ、死刑があってよかった」と思います。
(死刑執行の目的が、被害者感情を念頭においてない事は充分に分かっていても、です)。
終身刑の導入は早急にして欲しいです。
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