落合栄一郎先生の「放射能と人体」2014年3月20日発刊 ブルーバックス
を読みまして、どうしても理解出来ないところが有ります。
・p102(5.1.1 ベクレル値、シーベルト値への疑問)
「Bqは毎秒何個の原子核が崩壊するのかを表し、多くの場合、毎秒放出される放射性粒子(光子も含む)の数に匹敵する。
ただし、すべての場合にそう家庭できるわけではない。
なぜなら、崩壊する各の80%はβ崩壊するが、残り20%はβ崩壊の直後にγ崩壊するといったケースがあるからである。」
の下りと、
・p106(5.1.2 シーベルト値の不明確さ)
「ちなみに、cps値は必ずしもBqと同じではない。cps値は計器のカウントを生み出す効率に依存し、放射線の数と必ずしも一致しないこと、また、Cs-137のように原子核崩壊の80%がβ崩壊で、残り20%がβ崩壊に続くγ線放出というように、崩壊数と放射性粒子数が必ずしも一致するわけではないからである」
上記の様に、「80%がβ崩壊で、残り20%がβ崩壊後のγ線放出」
と言っています。
Cs-137は約90%以上がβ崩壊後、準安定同位体になって、γ崩壊するのだと思うのですが、この表記はどうの様なことを意味しているのか理解出来ず悩んでおります。
教えて頂けますと助かります。
よろしくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
専門ではないので、かな?という程度ですが、
セシウム137がβ崩壊してバリウム137mになり、そのバリウム137mの95%が半減期約3分のγ崩壊を起こす。
この半減期はご存知のとおり、1秒で起こるものもあれば3年経っても起こらないものがある。
『直後に』といっているのが、どの程度の時間を想定しているのかということになるのでしょうが、大雑把に1分程度でしょうか? セシウム137がβ崩壊した20%が『直後に』γ崩壊する、と言ってるのだと思います。
(まったく違っていたらすみません)
No.2
- 回答日時:
うーん。
正直なところ、私もこの文章だけでは理解できませんねぇ。まずCs-137については、No1の方が示されている通り、約95%がベータ線とガンマ線を、約5%がベータ線を放出するルートを通ります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%B7% …
>・p102(5.1.1 ベクレル値、シーベルト値への疑問)
については、
-----------------------------------------------------------------------------
「単一核種」1000Bqがあったからといって、必ずしも秒間1000本の放射線で終わるわけではない。
核種によっては崩壊後も放射線を出す核種が生まれるわけだから、その分を考えなければいけない。
(※実際には半減期だとか経過時間とかの問題もあるけど、概念的にはこんな意味かと)
※たとえば、Cs-137原子 1000個が放射性崩壊すると考えた場合、
安定同位体のBa-137になるまでには、Cs-137原子のうち、95%はベータ線+ガンマ線、5%はベータ線のみを出すわけだから、
950(β-,Cs137 -> Ba137m) + 950(γ,Ba137m -> Ba137) + 50(β-,Cs137 -> Ba137) = 1950個
と最初の原子数よりも多い本数になる。
------------------------------------------------------------------------------
という趣旨の文章だと思うんですが、それについてはその通りかと。
ただ、
「ただし、すべての場合にそう家庭(原文ママ)できるわけではない。」
という文言には疑問。
Bqの単位定義は記述のとおり、「1秒あたりの崩壊数」であって、上の話は、
「すべての場合にそう家庭(原文ママ)できるわけではない。」のではなく「崩壊しても放射能が減らないこともある(放射性元素が崩壊しても次の元素も放射性だった)」というだけの話。
割合の話はたとえ話だと考えて、ここの場面では無視してよいかと。
(具体的に核種名を書いているわけではありませんし、自分は知りませんけど実際あるかもしれませんし。)
>p106(5.1.2 シーベルト値の不明確さ)
について
>「ちなみに、cps値は必ずしもBqと同じではない。cps値は計器のカウントを生み出す効率に依存し、放射線の数と必ずしも一致しないこと
これは事実。計数効率といって放射線測定時には必ず出てくる問題です。
ただし、実際にはこれを解決するために、あらかじめ分かっている線源を測って効率を考慮して計器を調整しておきます。
(概念的には、100gの分銅を使って、はかりが100gを指すように調整するのと同じ理屈です。)
>Cs-137のように原子核崩壊の80%がβ崩壊で、残り20%がβ崩壊に続くγ線放出というように、
この割合が崩壊確率の話ならば、一番最初に書いたとおり、間違っていることになります。
崩壊確率にそってあえて書くと「β崩壊は100%(全部必ずベータ崩壊を経由するから)、ガンマ線放出が95%」といったところかと。
(合計が100%を越えるのは、前述したとおり、崩壊後も放射能をもった核種Ba-137mを経由するから。)
>崩壊数と放射性粒子数が必ずしも一致するわけではないからである
これは、スタートの核種から安定同位体である核種までにいたる、中途の崩壊数を考えに入れてないから一致しないといっているだけ。
先ほどの例でいえば、この文は「Cs-137 1000個から1950個の放射線がでるのだから一致しない」と言っているだけ。
(実際にはCs-137が崩壊してBa-137mができているので、安定同位体までにいたるトータルの放射性原子の個数は1950個になる)
長々と書きましたが「80%がβ崩壊で、残り20%がβ崩壊後のγ線放出」がどういう意図で書かれたのか、については、私には判断つきかねます。
(放射平衡とも考えたが、永続平衡として半減期から勘案するとガンマ線20%にならないような気がする。)
以上、参考まで。
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