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水素電極の電池の問題で塩素が発生しない理由

2009年の東北大の化学の問題を解いています(重要問題集73ページ、150の(4))。著作権に配慮してコピーを載せるのはやめときます。人から質問されて私自身も答えられませんでした。非常に初歩的なことがわかっていないだけなのかも知れませんが、高校の知識でわかるように教えてください。
学校で水素電極による電位差測定装置というのは習っていませんが、(3)までは一応意味がわかりました。(4)でMが銅の場合と鉛の場合について聞かれています。イオン化傾向を考慮してそれぞれE2が正極・負極となることはわかります。鉛の場合については納得したので、銅の場合について、E1側の塩化物イオンを無視して良いのかどうかを聞きたいです。

E1: H2 → 2 H+ + 2e-
E2: Cu(2+) + 2e- → Cu

ということまではわかるのですが、「電極E1で水素の供給を止めたときの化学反応はどうなるか」という問いがわかりません。電子を放出するもの(酸化されるもの)として H2 がなくなると、代わりに Cl- が電子を放出する、という反応は起きませんか?

E1予想: 2Cl- → Cl2 + 2e- ・・・式☆

私も「溶液中にハロゲン化物イオンがある場合、電池の負極でハロゲン単体が発生する」と習ってはいませんが、水素電極は初めて見るので、「電池は電気分解と逆だと考えれば良い」と思って、電気分解の場合のハロゲン存在時のルール通り考えてみました。
式☆ はとても自然な気がするのですが。私の「電池と電気分解は表と裏」という考えがそもそも誤解だということでしょうか。
それは、「外部から強制的にある程度(5Vとか?)以上の電位差を与えた場合(電気分解)には式☆の反応が起きるが、塩橋でつながっているだけの電池の場合には、自発的に式☆の反応が起きることはない」「自発的に起こるには H2 と Cu のイオン化傾向の差が小さ過ぎる」ということでしょうか。

解答では、「電極E1の水素の供給を止めると、電極E1の反応が止まる。すると、外部回路を通じた e- の移動もなくなる(後略)」「(水素供給を止めたとき)電極E1及びE2では化学反応が起こらない」となっていますが、私のハロゲン化物イオンについての考えのどこからおかしいのかを教えてください。よろしくお願いします。

「水素電極の電池の問題で塩素が発生しない理」の質問画像

A 回答 (5件)

電池は自発的に進む反応


電解はエネルギーを与えて無理に起こす反応

ということですから,電池では「無理なく」進む半反応式を採用します

前の方が書かれているとおり,塩素は極めて陰性が強く,単体より塩化物イオンで居る傾向が強いので
そう簡単には単体に戻りたくないのです

その反応が自発系である電池ではなかなか起こらないということになります


逆に電気分解ではエネルギーが与えられますから
起こりにくい単体化もおこります


電解では電池につながる陽極では直結している極が直接電子抜かれますから

極が解けやすい(電解陽極第1選択肢)

で解けにくい極なら単原子1価の陰イオンから電子を抜くのが手っ取り早いので
ハロゲンが標的になり,ハロゲン単体が析出します(同,第2選択肢)

それも存在しなければ大量に存在する水の電解(第3選択肢)



Cl2 ⇔ Cl- + 2e-

は確かに可逆ですが大いに右に進もうとするはずで
戻る反応が銅極のような感受性に乏しい金属を相手として
起こることは考えにくいということでいいのではないでしょうか

この回答への補足

今後この質問をご覧になる「高校生にとって」どれが最も助けになる回答か、という視点でBAを選ばせていただきました。
niousさん、ごめんなさい。感謝しております。

補足日時:2014/05/10 11:01
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この回答へのお礼

org1さん、ご回答ありがとうございます。

高校化学の範囲で「なぜこうならないのか」の理由がいろいろな角度から欲しかったので締め切りを遅らせていましたが、
まさに的確な補足説明をありがとうございました。


「電池は自発的に進む反応
 電解はエネルギーを与えて無理に起こす反応」

やっぱりそうなんですね!
私の認識不足・学習不足でした。勝手に「仲間」だと思い込んでいました。


「塩素は極めて陰性が強く,単体より塩化物イオンで居る傾向が強い」
なるほど、niousさんがおっしゃっている電位差も、陰性の強さのことだったのですね!
もしかして、イオン化傾向と、電子親和力?(ほぼイコール、電気陰性度?)は、表裏一体と思っても良いのでしょうか? これを機会にもっと深く勉強してみます。


「逆に電気分解では、起こりにくい単体化もおこります」
このあたりが正に、かゆいところをかいていただいたようで助かります!


「 Cl2 ⇔ Cl- + 2e-
は確かに可逆ですが大いに右に進もうとするはず」

「銅極のような感受性に乏しい金属を相手として起こることは考えにくい」

非常にわかりやすかったです!


org1さんのご回答にベストアンサーを差し上げたいところですが、
先に3度ご回答をくださったniousさんをベストアンサーに選んだとしても、
お二人とも悪く思わないでください。
数日後に締め切ります。

お二人ともありがとうございました。

お礼日時:2014/05/05 23:02

org1です



ありがとうございます
一応高校教員の端くれなので

ベストアンサーは先の方でお願いします

頑張って下さいね
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この回答へのお礼

応援ありがとうございます。

がんばります。

お礼日時:2014/05/06 21:49

結局は Cu^2+ が Cl^- を酸化不能、つまり Cu^2+ + 2Cl^- → Cu(s) + Cl2(g) という反応が起こらない事が分かればよいのです。



もしこの反応が起こるならば、塩化銅(CuCl2)を水に溶かすと直ちに上の反応により Cu(s) が生じ Cl2(g) が発生する事になりますがそんな事実はありませんよね。理由としてはそれで十分でしょう。
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この回答へのお礼

3つともたいへん参考になりましたが、最後のご回答が特にわかりやすかったです。

助かりました。
1週間ほど他の回答も待ってみてから締め切りらせていただきます。
ありがとうございました!

お礼日時:2014/05/01 23:21

酸化還元系 という考え方があります。

例えば、

Ox + n・e^- ⇔ Red
単極電位:E=E゜‐(RT/nF)・ln(aRed/aOx)、これはネルンストの式と呼ばれる。

ここで Ox は酸化剤、Redは還元剤です。電気化学で扱う化学電池というのは基本的に「2つの酸化還元系」から成り立っており、電池の起電力は 2つの単極電位(E) の差になります。

問題で H2 の供給を止めたとき、2H^+ + 2e^- ⇔ H2(g) の酸化還元系に於ける H2 が無くなってしまうので、もはや酸化還元系とは云えません。

気体を何も供給しないのであれば、不活性電極であるPt(Ox) と 対になる(Red) が溶液中に存在しないので酸化還元系が1つしか存在しない事になり、理論的には電池には為り得ません。

Pt|H^+, Cl^- || Cu^2+|Cu

気体を供給せずに電池を作るならば例えば次のように溶液中に酸化還元系を加えます。

Pt|Fe^3+, Fe^2+ || Cu^2+|Cu ;(標準起電力)=‐0.43V

電池になるかどうかは、このように考えるしかないのですが、高校化学のレベルを超える気がします。

なるべく高校化学の範囲で答えるつもりが、専門的で分かり難い説明になってしまい申し訳ありません。尚、当方は携帯から回答している為に、この程度しか答える事が出来ない点を御了承願いたく存じ候。
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この回答へのお礼

こんばんは。再度のお返事ありがとうございます。
ケータイからだったのですか。先のお礼文が長くなってすみませんでした。

確かにおっしゃる通り、高校化学の範囲は超えているような気がして、私には難しかったです。しかし、さらに詳しくご説明くださった誠意に、心より感謝いたします。


酸化還元「系」というキーワードでもう少し調べてみます。
しつこいようですが、電気分解も酸化還元系でしょうか?

ネルンストの式、というのは初めて聞きましたが、単極電位の差を求めて起電力を測る、という考え方はたいへん勉強になりました。電池も熱化学方程式みたいな足し算引き算の世界なのですね。
イオン化傾向の暗記術の中で「ひどすぎる借金」としてわざわざ H2 が加えられていることへの物の見方が変わりました。必然なんだなあ、と。


問題で H2 の供給を止めたとき、2H^+ + 2e^- ⇔ H2(g) の酸化還元系に於ける H2 が無くなってもはや酸化還元系と呼べなくなる、ということはわかりました。

それはつまり、
「代わりに Cl2(g) + 2e^- ⇔ 2Cl^-  ( 2Cl^- ⇔ Cl2(g) + 2e^- と書いても良いんでしょうか) が新しい酸化還元系となる」
と考えている私の発想が間違い、ということですね?

負極としたい側に気体を供給しない場合、水溶液中のマイナスイオンが酸化される、ということはないのですね。
まあ塩基性の溶液が
 4OH^- ⇔ O2(g) + 2H2O + 4e^- 
となって酸素発生したらおかしい気もします。

電池は単純に電気分解の逆ではない、ということがわかりました。
ありがとうございました。

お礼日時:2014/04/30 23:53

例えば H2 の代わりに Cl2 を供給して次のような電池を作ったとします。



Pt,Cl2(1atm)|Cl^-(1M) || Cu^2+(1M)|Cu

この電池の起電力は理論的には ‐1.02V になる筈です。しかし気体を何も供給しない場合には解答のように電池にはならないと思われます。それは Cl2 は Cu を酸化可能だが、Cu^2+ は Cl^- を酸化不能だからです。

Cu^2+ + 2e^- ⇔ Cu ;E゜=0.34V
Cl2(g) + 2e^- ⇔ 2Cl^- ;E゜=1.36V

0.34‐1.36=‐1.02V

Cl2(g) + Cu → 2Cl^- + Cu^2+
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この回答へのお礼

早速のご回答ありがとうございます。

「Cl2 は Cu を酸化可能だが、Cu^2+ は Cl^- を酸化不能だからです。」
という部分は、「なるほど、それが答えか。覚えるしかないのかな。」と納得いたしました。

ただ私が電池及び電気分解が苦手過ぎて、いくつか確認させていただきたいことがあるので、もしよろしければもう少しお付き合いください。

「H2 の代わりに Cl2 を供給して」という例えはわかりやすかったです。最初は「ん? Cl- の Cl2 を持ち出してきたら、正極と負極が逆になって、全然別の話になるのでは?」と混乱したのですが、紙に半反応式をいくつか書いてみたら、おっしゃっていることはなんとなくわかりました。
つまり、回路を右回し、左回しみたいなダイアルに例えると、
Cl2 なら(電子が)左回り、
Cl- なら(電子が)右回り(でも動かない)、
というワンペアと関係になっているのでしょうか。

あえて左回り(E1が正極となる場合)を書いてくださったことで(一見問題とは無関係そうでも)、

E1(正): Cl2(g) + 2e- → 2Cl-        ・・・式1
E2(負): Cu          → Cu(2+) + 2e-  ・・・式2
両極を足すと Cu + Cl2(g) → Cu(2+) + 2Cl- ・・・式3

という反応になるんだろうな、と解釈しました。
Cu^2+ + 2e^- ⇔ Cu  ・・・式4 ;E゜=0.34V
Cl2(g) + 2e^- ⇔ 2Cl^- ;E゜=1.36V
0.34‐1.36=‐1.02V
というご説明は目新しかったです。つまり、

■ 還元されそうな Cu(2+) と Cl2(g) の「もしも還元されたら」という式を並べて書いてみて、この2つのうちどちらが酸化剤として強いかを比べる ■

■ もしそうだとしたら、Cl- は酸化剤にはならないから、比較対象として考える必要がない ■

■ ‐1.02V の頭が -なら左回り、+なら右回り ■

ということで良いでしょうか?

私は実は、上記のような「両極を足すと」というような式があまり理解できていません。e- の係数を合わせて両辺相殺するだけ、という小手先の操作はわかりますが、いつも式の持つ意味をわからずに書いています。

Cu + Cl2(g) → Cu(2+) + 2Cl-
という式が書けること自体が、
「Cl2 は Cu を酸化可能だ」 という意味だ、と言って良い のでしょうか?


ここから次の質問です。
おっしゃっていた仮定の電池で Cl2(g)の供給を止めた場合、私が考えていた反応を式で表すと

E1(負): 2Cl-       → Cl2 + 2e-    ・・・式5(式☆改め)
E2(正): Cu(2+) + 2e- → Cu          ・・・式6
両極を足すと Cu(2+) + 2Cl- → Cu + Cl2(g) ・・・式7

という反応でよろしいでしょうか。式7は式3の真逆だ、ということにはすぐ気づきました。
つまり自然界では ‐1.02V の数値が示す通り 式3の反応が起こるのが普通であり、式7の反応は触媒でも使わない限り起こらない、ということでしょうか。
いやそもそも、触媒で平衡が動くこともないし、平衡うんぬんを考える以前に、可逆ではなく不可逆な反応なのでしょうか。式7を立てること自体が間違いです?


せっかく、面倒な式を立ててくださいましたが、私は、
さりげなく 
Cu^2+ + 2e^- ⇔ Cu
と書いてくださっているこの ⇔ の意味をあまり正確にわかっていません。だから私が 式6 のようなものを書くときには、→ の方に変えさせていただいています。
⇔ の意味は、「正極なら 式6 のようになるし、負極なら 式2 のように左右逆になる」 という解釈で合っていますか。

「しかし気体を何も供給しない場合には電池にはならない」
「Cu(2+) は Cl- を酸化不能だ」

という理由は、ひとえに
0.34‐1.36=‐1.02V
という数値の符号が示している、という一点でよろしいかどうかを確認させてください。
ただそうなると、問題文中にその(0.34などの)ヒントが示されず、
「知っている人は解けるが、知らない人は解けない」という不公平な問題
のような気もします。問題文の写しを全文示せなくてすみません。

問題文に「なお、図の電位差計の抵抗は有限であり、微弱な電流が流れるものとする」と書いてあるのが、意外と大きなヒントなのでしょうか? 私は「無限だと何か都合が悪いのだろうな」という程度にしか気に留めていませんでした。


この問題を初めてみて、自力で 式5、式6を立て、式7 も導いたとすると、
むしろ、「Cu(2+) は Cl- を酸化『可能』だ」
と思ってしまいそうな気がします。これを否定するのに必要な知識は何だったのでしょうか。


こんな仮定を考えてみました。
質問で挙げた図の、水素供給を止め、電位差計の部分を電源とし、E1が陽極になるように右回りに電子を流したとすると、

E1(陽): 2Cl-       → Cl2 + 2e-    ・・・式5’
E2(陰): Cu(2+) + 2e- → Cu

という電気分解が起こりますよね? この式が合っているかどうかも気になり始めました。
でも、私にこの問題を聞いてきた人も私より化学ができる人ですし、ちょっと電気分解を知っている人の方が、この電池の問題のドツボにはまりそうな気がします。

■ 電気分解では 式5’の反応が起きるが、電池では 式5 の反応が起きない、という理由を、もう一度教えていただけないでしょうか。 ■


OkWave や 知恵袋 でも同じ年度の東北大の同じ問題で同じ質問を立てているのをいくつか見かけましたが、どうもしっくりきませんでした。
中には、「H2 が邪魔をするので、Cl- は白金電極に直接触れられないし、水素電極では電極表面上での化学変化は起きない」と回答しているものまでありましたが、歴代の質問者様たちが聞いているのは皆、H2 を止めた後のことだったと思います。「Pt が電気分解の陽極と同様と考えて、電池の負極となる」と考えたときに、0.34 や 1.36 などの数値など無で「だめだ、塩化物イオンは酸化されない」と気付くための肝を、お手数ですがもう一度教えてください。

つまり、「貸そうかな」の中にはハロゲン化物イオンは出て来ないですけれども、電気分解の際の陽極では、「電極が銀などなら電極が溶ける。電極が溶けなくてハロゲン化物イオンがあるなら、ハロゲン単体が発生する。ハロゲンイオンがないなら酸素が発生する」 ということは教えこまれました。
金属どうしのイオン化傾向の比較ではなく、金属と Cl2 や Cl- を比べたときに、この問題を解くのに必要な知識は何でしょうか? (重要問題集だから、ということも気になっています。何かしら、教科書で見落としていることがある気がします。)

長くてすみません。

お礼日時:2014/04/30 15:45

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