光電効果に関して教科書の記述にこうあります。
・金属板を飛び出した光電子の運動エネルギーは様々な値になるが、最大の運動エネルギーは【光の強さ】に関係なく、光の振動数νだけで決まり、νが大きいほど大きい。
・単位時間あたりに飛び出す光電子数は【光の強さ】に比例する。
【光の強さ】とありますが、これは大変おかしな記述だと思います。こんな安易な記述をしているからみんな物理が嫌いになるのではないかと・・・
それはさておき、そもそも光の強さをどのように定義しているのか全く説明がありません。たぶん明るい光ほど光が強いという意味かと思います。光は波であり、振幅や振動数という要素があり、振動数は分光器などで計測できることは習っているのですが、振幅についてはどのように求めるのかは習っておりません。
参考書で調べましたところ、波のエネルギーは「振幅の2乗と振動の2乗に比例する」とありますが、教科書で言いたいことを推測すると、光ではこれは成り立たず、光のエネルギーは振動数νに比例する、ということでしょうか?ということは、光以外の波のエネルギーは振幅の2乗と振動の2乗に比例し、光(電磁波)のエネルギーは振動数に比例すると完全に区別していいということでしょうか?
つまり光は波であるが、音波のような波とエネルギーの式が完全に異なるという理解でよろしいでしょうか?
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
その説明で光の強さというのは、振幅でしょうね。
同じ振動数なら、振幅が大きいほど明るくなります。光を波動現象だと見做す場合、光のエネルギーは「振動数×振幅の大きさ」に比例します。振動数が高いことも、振幅が大きいことも、同じように光のエネルギーが大きくなることに寄与します。
光電効果は、光が波動現象だとすると、おかしな点があります。ご承知ではあるでしょうけれど、復習的に申し上げると、光が波動なら周波数でも、振幅でも、どちらを大きくしても飛び出してくる電子は、各々の速度も、数も増えるはずです。
しかし、そうならない。光の振動数だけを高くすると、飛び出す電子の数は変わらないが、電子の速度が増える。光の振幅を大きくすると、飛び出す電子の数が増えるが、電子の速度は変わらない。
そこで光電効果では光は粒子性を持つとし、光が波動であることも疑いようはないので、両方の性質を兼ね備えた光量子だという説をアインシュタインが提出しました。光電効果では光の粒子性が強く出ているということです。以下、光量子は光子と名前が変わっていますので、光子と称します。
振動数は光子1個当たりのエネルギーに関わり、振幅は光子の数に関わるとして、光電効果を説明しました。光子のエネルギーEはνを振動数、hをプランク定数として、
E=hν ―(1)
になります。光でのエネルギー授受がhνの単位で行われる、つまりnを自然数として、nhνになることは、アインシュタインの光量子仮説以前に、温度と色の関係の実験などで判明していました。光子という量子があり、1個ならエネルギーは(1)になるとしたのがアインシュタインです。
一方、特殊相対論では質量mの物体の運動量pとエネルギーの関係式として、以下の式が導出されています。
E=√(m^2c^4+p^2c^2) ―(2)
光子は質量が0だとされるので、m=0とおけば、
E=pc ―(2)
です。(1)と(3)から、
hν=pc ∴p=hν/c
が出ます。こうしたことに電磁気学は出て来ません。光電効果は電子が関わる現象ですけれど、電磁気現象ではないといってもいいものです。
光子の説明が曖昧になりがちなのは、量子力学では光子をきちんと説明できないものだからです。特殊相対論化した量子力学でもできません。さらに先の、場の量子論という物理学で扱います。最も初歩の非相対論的な量子力学でも、具体的な説明はやりづらいです(イメージ出来たら分かっていない、と言われるほど)。それより不可解なので、誰も説明しないのです。上記の光電効果の説明も、実は単純化された、不正確で大雑把なものです。
>つまり光は波であるが、音波のような波とエネルギーの式が完全に異なるという理解でよろしいでしょうか?
光が量子化されたように、音も量子化されます。フォノンと呼ばれます(原子レベルの振動現象などでよく使われる)。光速度ではない点でフォノンは光子と異質ですが、量子である点では同じです。
音も粒子といった、不可解なものが量子力学です。特殊相対論も、時間や空間が伸び縮みするというとっつきにくさがあります(基本的な部分なら、数式はそれほど難解なものは用いずに済ませることも可能)。高校物理でどこまで正確に説明するかは、難しい問題だと思います。光電効果などは、トピック的なこととして「そういう現象もある」で妥協するというのも、どうしてなのかという興味からすれば不満は出ますが、やむを得ない方針なのかもしれません。
P.S.
なお、(2)で速度が0だとすると、運動量pも0になり、
E=mc^2
という、有名な公式が出ます。さらに、速度vの物体の相対論的な運動量は例えば、
p=vE/c^2 ―(4)
で表されることを使うと、質量0の物体の速度vは、(2)よりp=E/cですから、
E/c=vE/c^2 ∴v=c
と必ず光速度になるということも出ます。
No.8
- 回答日時:
>hν→[J] c→[m/s] ですので hν/C →[J・s/m]
>ところが運動量の単位は[kg・m/s]
>この時点で単位の関係が破たんしているかとも
>思ってしまうのですが
1 Jとはカ1 Nと距離1 mの積です。
1 N=1 kg m/s^2 ですから
1 J=1 kg m^2/s^2
これを速度の単位 m/sで割ると
1 kg m/s となり 運動量の単位と―致します。
No.5
- 回答日時:
「光電効果」は、アインシュタインが「光量子仮説」で初めて満足のいく説明ができた、ということで有名です。
つまり、それまでの「光は波」ということではうまく説明できず、「光は粒子である」と仮定すると説明がつく、ということです。
アインシュタインは、これでノーベル賞を受賞しました。(相対性理論でノーベル賞をもらったのではありません)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E9%9B%BB% …
No.3の「お礼」に書かれた
>光が粒子とみなさないと困ることって何なのでしょうか?
ということが、「光電効果」なのです。
次の観測される現象を統一的に説明する「仮説」が光量子仮説です。
(1)電子の放出は、ある一定以上大きな振動数の光でなければ起こらず、それ以下の振動数の光をいくら当てても電子は飛び出してこない。
(2)振動数の大きい光を当てると光電子の運動エネルギーは変わるが飛び出す電子の数に変化はない
(3)強い光を当てるとたくさんの電子が飛び出すが、電子1個あたりの運動エネルギーに変化はない
「光の強さ」とは、「光量子の数」に相当します。
高校物理のレベルでは、「光は波と粒子の二重性を持つ」という一般論までで、それ以上の詳細には踏み込まないということなのでしょう。
No.4
- 回答日時:
光の強さ=振幅、です。
単色なら周波数=色になりますね。
豆電球に乾電池1本つなげるのと、直列2本つなげるのでは、後者のほうが明るいですね。これを『光が強い』というわけです。で何が変わっているかというと振幅が変わっている、と考えるわけです。
光電効果は、振動数を低くすると振幅(光の強さ)をいくら大きくしても電子が出てこなくなる、というので不思議な現象だったわけです。
No.3
- 回答日時:
後、蛇足。
電磁場のエネルギーを厳密に定義しようとすると
マックスウェルの方程式に踏みこまなければならないし
、ベクトル解析も必要だから、高校の教科書では
お話程度の紹介しかできないと思いますよ。
大学の電磁気学の範疇ですね。
ありがとうございます。光が粒子とみなさないと困ることって何なのでしょうか?
粒子であるとするなら、運動量が保存されるといった式が出てきてもおかしく
はないかと思いますが、教科書の先を進めてみましたところ、光の運動量は
P=hν/C
とあります。この式の導出は一切なく、いきなりこうである、みたいに書いてあります。
大変拒絶反応を示します。これなどもマクスウェルの電磁方程式を習わないと理解できない
ということでしょうか?
hν→[J] c→[m/s] ですので hν/C →[J・s/m]
ところが運動量の単位は[kg・m/s]
この時点で単位の関係が破たんしているかとも思ってしまうのですが、
教科書には何の解説も書いてありません。ふつう誰でも疑問に思うことだと思うのですが…
(教科書ではこの時点で静止エネルギーの話はしていません。)
[J・s/m]=[kg・m/s] より、[J]=[kg・(m/s)^2]となり、
確かに静止エネルギー E=mc^2 と一致しますが、そうするとこの式は根本的に
どのような実験で発見されたのか・・・
とまぁ疑問点が尽きません。
No.2
- 回答日時:
光の強さとは単位時間に単位面積を通過する光のエネルギーです。
光電効果は、光が波であるという20世紀初頭の常識に
一石を投じ、光がエネルギーを持つ粒子(光子)である
ことを示しました。
1個の光子のエネルギーは hν は 光の周波数に比例します。
これと光の強さでは意味が違うことはもうおわかりかと思います。
光の強さは電場の2乗に比例します。これは電場を
音圧に置き換えれば音の強さと同じ形なので波としての
考え方はそう違わないです。
No.1
- 回答日時:
光は確かに波動です。
でも光は波動であると仮定して考えるとどうしても矛盾が生じてしまうんです。そこでもうひとつ、光は量子力学的な粒子であると仮定します。つまり、エネルギーをもった粒であると考えるんです。そして不思議なことに確かに光は粒子としての振る舞いも見せてくれるんです。光電効果の実験は光が粒子であると仮定したときの実験です。エネルギーが振動数νに比例するというのは、光のエネルギーが大きければ一粒あたりのエネルギーも大きくなるからです。そして、光の強さというのはここでは光粒子の個数と考えます。金属にアタックする光粒子が多ければ多いほどたくさんの電子がエネルギーを受け取り、飛びたしてくるというわけです。ありがとうございます。いろいろ考えてみましたがやっぱりちょっと納得がいきません。
光をあえて粒子と考えないと困ることってあるのでしょうか?
参考書などを見ると、当時知られていた波のエネルギーと光電効果の実験結果が
合わなかったので、アインシュタインは光を粒子と考えた、みたいな説明が多いです。
当時知られていた波のエネルギーは質点がある媒質を伝わる波から
エネルギーの式を導き出していたかと思います。しかし光の場合はそもそも
質点をもつ媒質など存在せず、同じ波でも電場の振動という全く異質のものです
から、当時知られていた波のエネルギーと合わないのは当然だと考えられます。
当時の物理学者もそれくらいのことは気が付いたのではないでしょうか?
にもかかわらず、光を無理やり粒子と考えるというのはどうかと思います。
波は波でも電磁波と質点をもつ媒質を伝わる波を分けて考えればいいだけの
話だと思います。
光電効果の実験から 電子の運動エネルギー=hν―W
で、左辺の単位はJであるので、電磁波のエネルギーをhν、電子のはがれにくさをW
のようにシンプルに定義すればいいだけの話かと思うのですが…
光をあえて粒子と考えるのはどうしても納得がいきません。
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