No.3ベストアンサー
- 回答日時:
占有訴権と物的請求権の具体的な適用例は次のようなものです。
〔占有訴権〕
1.BがAの自転車を盗んで支配下に置いた場合、盗人の占有も保護され、Aが実力で奪い返すことは認められない。そこでAが合法的に自転車を取り戻す権利としてa所有権に基づく自転車の返還請求権。bもうひとつが占有を奪われたこと対して「占有回収の訴え」による自転車返還請求権。
2.占有を妨害された場合は、Aの敷地に隣家Bの庭木が倒れこんだ場合、「占有保持の訴え」により倒木除去を請求することができる。
4.占有を妨害される恐れのある場合、Aの敷地に隣家Bの庭木が倒れそうな場合、「占有保全の訴え」により倒木防止措置を求めることができる。
〔物的請求権(物上請求権)〕
1.物権を有する者が、その物権の行使を妨げている者に対し、妨害の排除を求めうる権利。占有権の場合と同様、妨害の態様に応じ、返還請求権、妨害排除請求権、に分類。
2.(1)返還請求権は、建物所有者がその不法占拠者に明渡しを求めるケース
(2)妨害排除請求権は、土地所有者が地中に土管を敷設した者にその除去を求めるケース
(3)妨害予防請求権は、抵当権者が目的物を毀損等しようとしている者に、あらかじめその禁止を求めるケース
上記いずれの場合も、妨害者の故意過失を要しない。
3.また近年よく取り上げられる「騒音、日照阻害等の生活妨害に対する排除請求」は、人格権、環境権に基づく請求権と考える。
条文解釈に事案例をイメージするのは良い方法です。ただ、この資格試験の範囲が広いので試験対策としては個別に深く入りこむと、何年あっても時間が足りなくなります。
ありがとうございました。試験対策で深く入り込みすぎると…てのは、先生にも言われました。でも今は、それ以前の一個一個の解釈を再チェックしている段階であと試験まで少しなのにピンとこないところが多すぎてあせってる最中です。助かりました。
No.2
- 回答日時:
占有訴権と物権的請求権についての、具体的な例では、ありませんが、少し横道にそれた話を、書きます。
日本の法律は、明治維新以降、急激な近代化を目指した中から生まれてきました。
民法のその一つで、司法卿であった江藤新平が、当時のナポレオンのフランス民法典を原文のまま翻訳し、「フランス」を「日本」と置き換えて、日本の民法としようとしました。さすがにこれは、無茶なことで、フランスよりボアソナードを招聘(しょうへい)して、フランス法の影響を強く受けた民法典を編纂(旧民法)しましたが、あまりにも近代的すぎ、施行されませんでした。
次に、当時フランスに対抗し強国として台頭していた、ビスマルクで有名なプロイセンが、民法の草案を作成したというので、その草案をもとに他の国の民法も参考に現代の民法ができあがりました。そのプロシアの民法草案は、「ローマ法」をもとに作成されたものです。
シーザーが、エジプトのクレオパトラに惹かれていった時代の法律です。
このころ「所有権絶対」の考えがありました。
シーザーの例を考えると、シーザーは長くエジプトにいたようですが、「ローマ帝国」が平定していた土地の所有権は、ローマの貴族にあり、実際の統治は、その委任された人間が行っていたのですが、隣地に隣地の所有者が実際にいる場合は、委任された人間は、弱い立場にあったようです。そこで、生まれたのが、ポッセシオ(占有:Possesio)という、概念のようです。占有している事実だけで、所有権(ゲベーレ:Gewere)に対抗し、最終的にはローマ本国にいる貴族の所有権を保護しようとするものなのでしょう。(記憶があやふやな面もあるかもしれません)
こう考えると、この質問に答えるには、相当奥が「深い」と思われます。
そうそう、プロイセンの民法草案は、プロイセンでは、施行されませんでした。
現在の日本民法は、ローマ法の血を受け継ぐものです。
ありがとうございました。今、ちょうど社会科学も勉強しているので、おお江藤新平って関係してんだ、とチェック事項になりました。どうもありがとうございます。
No.1
- 回答日時:
占有訴権というのは、民法207条の通り、「占有を妨害され又は妨害されるおそれがある場合に、
占有者が妨害者に対して妨害の排除を請求する訴えの提起ができる権利」であり、
一方で
物権的請求権というのは、条文はないものの、占有権よりさらに強い物権には、
当然に占有訴権同様の権利があってしかるべきとの考え方から認められているものです。
判例における物権的請求権とは、
「所有権の円満な状態が他から侵害されたり侵害の恐れがあるときは・・・土地の所有者は、
その土地の現状に基づき隣地の所有者の権利を侵害しもしくは侵害の危険を発生させた場合、
その侵害または危険が不可抗力に基づく場合および被害者が認容義務を負う場合を除いて、
その侵害または危険が自己の行為に基づくか否か、自己の故意過失の有無を問わず、
侵害の除去または危険を防止する義務を負担する(大判昭12・11・19民集16巻1881頁)>」
というのがあります。
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