No.6ベストアンサー
- 回答日時:
私は私である、私=私、リンゴはリンゴである、リンゴ=リンゴ、というのを同一性命題とか、トートロジーといって、無内容だと考える人がいますが、違います。
酒井智弘の「トートロジーの意味を構築する」という本によれば、トートロジーは無意味ではなく、何らかの意味をもっています。
たとえば、酒井智弘は「イチローはイチローだ」というトートロジーをあげていますが、そこには「イチローは衰えたとは言っても、さすがにイチローだ」という意味を含んでおり、決して無内容なんかではない。
ハイデガーには「同一性と差異性」という本があり、同一性命題の最初と後のことは別のことを言っているといっています。
つまり、最初の私と後の私には「差異」があり、必ずしも同一というわけではない。
もし、本当に同一ならば、私は私であるという必要はない。
私というだけで済む。
なぜならば、私が私と言明した時にあらかじめ私は私という形式的な同一性が、あるいは論理的同一性が含まれているからです。
自分のことを自分と同じと思っていなかったら、自分と、あるいは私というわけがない。
だけど、リンゴはリンゴであるという場合は、私は私であるという場合と同じとは言えない。
なぜならば、私の場合は私が私であるという直観を有しているけど、リンゴの場合は私は内的直観を有していないから、外から同定しなければならない。
リンゴの諸性質、属性を列挙して、一つのリンゴともう一つのリンゴとを比較対照し、同一かどうか判断しなければならない。
私の場合は直観によって知れることでも、リンゴの場合は直観によって知ることができないから、余計な回り道を経なければならない。
No.8
- 回答日時:
westnileさん、こんばんは。
切り口を、必然的真理/偶然的真理(ライプニッツ)と、主観/客観にして、論じましょう。
A「まずこういうところに君は気づくだろうか。『私は私である』も『リンゴはリンゴである』も同一律になっているから恒真だということに。つまり、これはライプニッツの言うところの必然的真理として自明なことなのだよ」
B「ええ、そうでしょう。だから反論は難しいと思っているのです」
A「では、主観と客観は同じものだろうか。それらは異なるものではないかね」
B「そうですね。異なると思います」
A「では、揺らぎやすいものと揺らぎにくいものに分けるとしたら、主観は揺らぎやすいものに、客観は揺らぎにくいものに属すのではないかね」
B「どういうことでしょうか」
A「アッシュの同調実験をみれば、主観というものは揺らぎやすいものであるということに君も同意できるだろう」
http://homepage3.nifty.com/interlink/news-45.html
B「主観は揺らぎやすいものですね」
A「それでは、これはどうかね。私という自分の心については、主観的にしか知ることはできないのではないかね。それに対してリンゴは客観的に知ることができる」
B「おっしゃる通りです」
A「そうすると、『私』については主観的に揺らぎやすい認識をしていて、それでは不安であるから、人は自己同一性を求めようとするのではないかね」
B「そのようです」
A「また、『リンゴ』については客観的に揺るぎない認識ができるのではないかね。だから誰にとっても同じ『リンゴ』となるように言葉の意義を定めていくのではないだろうか。素人は素人なりに、専門家は専門かなりにではあるだろうけれどもね」
B「はい」
A「ぼくたちは、表現の形式が同一律であり恒真だと考えた。これは必然的真理で自明であるとね。だか、そのあと、『私』については揺らぎやすい主観、『リンゴ』については揺らぎにくい客観として、事実の真理(偶然的真理)について同意してきたのではないかね」
B「はい、そのとおりです」
A「だとしたら、『リンゴがリンゴであることとが、自明であり、揺るぎない事実である』と(客観事実として)認識することと同じように『私が私であるというこのアイデンティティー』を捉えることはできないのだ。揺らぎやすい主観的事実なのだからね」
B「おっしゃるとおりです」
No.7
- 回答日時:
こんばんは
私も独学で哲学を勉強中の者なのですが。
「私が私であるというこのアイデンティティーは」と云う自己の概念は、時空間に関係なくいつでも同じだけれど、「リンゴがリンゴである」と云う五感による自己の認識では、時空間が変わればリンゴは変化するので、同じリンゴを認識できることは決してありえない。
よって、自己の概念に囚われると、時空間と共に変化する現実の認識があいまいになり、観察力の低下へと繋がる。
人間は何時もどんなことに対しても、良くは知らないと云う思考が必要で、自己の概念と観察物の違いを確認しなければならない。
No.4
- 回答日時:
この問題はメビウスの帯。
「私が私である、と言う事は自明の理であり、揺るぎないで事実である」と言う事に反論は出来ない、とする立場の人は、メビウスの帯を一周した人であり、反論する人は半周した処で止まっている人である。
そのリンゴは腐るか食べられるかして無くなるまでリンゴであり、「私」は死ぬまで「私」である。
No.3
- 回答日時:
「私は私」「リンゴはリンゴ」という言明を、トートロジー
と言います。
確かな事を言っているようで、実は何も言っていません。
たとえば「リンゴはリンゴ」というのは、「もしそれが
リンゴならば、リンゴだと言える」という事でしかない
のです。
実際、リンゴを拡大して見ると陽子と中性子、電子の
集まりであり、それはコップやあなたと全く同じ材料
(=存在)であり、ただ並び方の違いに名前をつけて
いるだけの話であり、確かな「存在」ではありません。
「いや、並び方であってもリンゴである以上確かだ」と
反論された方がいましたが、「たとえばあなたが立つと
『ホゲ』、座ると『ウペ』と名付けたとして、ホゲは
『確かな存在』ですか?」と問いました。
立ったり座ったりしたら、ホゲになり、ウペになり、
ちっとも『揺るぎない事実』ではありません。
リンゴが「確か」というのは、リンゴがリンゴだけに
しか見えない、その人のバカさが『確か』なだけです。
(階層現象性:認識体(脳)>細胞>分子>原子>素粒子
>クォーク>超弦(量子))
No.2
- 回答日時:
こんにちは。
《自我》という言葉は 哲学の用語としては 《わたし〔なるもの〕》のことです。それに限られます。
《アイデンティティー》という言葉を出されたとき その意味では 《わたし〔がわたしであること〕》ですから 用法にあやまちはないと思います。
以上は 確認です。
さて 《反論》は無理です。そういう観点からの見解です。
なぜなら
★ 哲学初学者です。どうぞよろしくお願いします。・・・
☆ という発言にあって それは質問者が《わたしは / わたしが》と語っているからです。むろんその部分は 省略されています。
つまり 《わたし》は そのときすでに証明されています。
質問者の内面において確定しました(させました)し その発言を受け取ったわれわれ回答者も このようにやり取りをする現実において その《質問者のわたし》を確認しこれを受け容れているからです。
リンゴはさすがに自分のことを《わたし》とは名乗りませんが。
No.1
- 回答日時:
問題を少々改訂します。
命題:
「私」が「貴方」でないというこのアイデンティティーは、リンゴAがリンゴBでないのと同じように自明であり、揺るぎない事実である。
考え方:
これは解像度の問題となります。
解像度とは観察者がどの程度細かく観察するかという程度を示すものです。
まず、後段のリンゴAとリンゴBの同一性ですが、これはリンゴ研究者であれば(解像度が良ければ)リンゴAとリンゴBを識別できるので命題は真になりますが、一般の人間(解像度が低い)であれば、命題は偽となります。
一方の「私」と「貴方」の同一性ですが、観察対象が観察者であることから解像度が極めて高い訳で、解像度が高いが故に「私」と「貴方」が同一ではないと判断できるわけです。
もし、見ず知らずの宇宙船の船長が望遠鏡で「私」と「貴方」を見た場合には、リンゴAとリンゴBが一般人にとって識別不能であると同様に識別不能(=アイデンティティーが無い)というとになります。
哲学とか論理学では1と0のブール代数的な判定に陥りがちですが、この命題を納得するためには、1と0ではなく、解像度という極めてアナログ的な視座を持つことが重要と思います。
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