これ何て呼びますか Part2

できる大人のモノの言い方大全」という本を読んでいたら、「『お』珍しくもございませんが、どうぞお子さま方へ」という一文があったのですが、この『お』の使い方は合っているのでしょうか。
なんだか馴染まない響きだなあと思い、考え始めたら訳がわからなくなりました。


珍しくもない、と判断している人は、この文だとあくまでも語り手のように思います。なのに「お」をつけても良いのでしょうか。

「ございません」とすでに丁寧な表現も使っていることを考えると、くどすぎないでしょうか。

「珍しくない」のは自分が差し上げる物なのに、そこに「お」をつけて良いのでしょうか?

そもそも「めずらしい」という言葉に「お」をつけるものでしょうか?
「お優しい」など、形容詞に「お」をつける事があるのはわかっています。また、「(貴方がここにいらっしゃるなんて)おめずらしい」と言ったような表現を、古い本で読んだ気もします。
ただ、現代日本において、「めずらしい」に「お」を使う文章はみないようにも思います。

内容的には、(あなた様にとっては)珍しくもない(と私には思われる)けれど、といった気持ちで、「珍しくもない」に「お」をつけたのだろうなあと、推測はしているのですが…。

一応「御(お)」の用法を明鏡国語辞典で調べたものの、この件に関しては確信が持てなくて…。

というわけで、文法的に正しいのかどうかと、その理由を教えてください。

質問者からの補足コメント

  • どう思う?

    4人の方からのご回答を頂いたおかげで、疑問点が整理できましたので質問を修正します。
    1そもそも本件の「お」は尊敬語か謙譲語か美化語か。
    2尊敬語の場合
    尊敬の対象に関する事物や状態に対して使うのが本来の用法だが、本件は自分側の事物の状態に利用。としても相手方に及ぶ場合は(下記3参照)可能(適切)か。
    3謙譲語の場合
    自分側の事物や動作に「お」「ご」をつけても、それが他人に及ぶものであれば、適切な謙譲用法(明鏡国語辞典)だが(例:ご挨拶申し上げる)、形容詞につける場合も該当するのか。
    4美化語の場合
    4−1
    「過剰に付けると幼稚・慇懃無礼・冗長に感じられたり、自分側に尊敬の「お」を使っていると受け取られたりする場合もある」(明鏡国語辞典)とあるが、これに該当して、不適切ではないか。
    4−2
    「珍しい」に「お」をつけるのは、慣用に馴染まず不適切ではないか。
    (例:◯おきれい、×お醜い)

      補足日時:2016/01/30 18:57
  • どう思う?

    上記補足の通り、皆様のおかげで当初曖昧だった質問を修正できましたので、もう少しだけおつきあいください。
    最初こそ
    ・相手に差し上げるものとはいえ、自分が上げるものについて「お」を使うのって、自分を持ち上げているようにも受け取られない?使い方としてそもそもあってる?あってるとしても適切?
    ・「珍しい」に「お」を使うのって珍しいなあ(でも、なくはないしなあ)
    ・「お珍しくもございませんが」って、くどすぎない?
    という感覚的な疑問だったのですが、調べ直すと、「お」の用法って結構難しいものなんだなーとしみじみしています。これを機にきちんとした日本語を勉強したいのでよろしくお願いします。

      補足日時:2016/01/30 19:08
  • みなさまとても丁寧にご回答くださった中で、回答のうちの1つだけを、ベストアンサーとして選ぶというのは、私には荷が重く、とてもできることではありませんでした。気持ちとしては全てがベストアンサーです。本当にありがとうございました。

      補足日時:2016/02/01 18:23

A 回答 (8件)

敬語の中心はまず動詞、ついで名詞です。

「形容詞(や形容動詞)」はいわば付随的なものに過ぎません。
 動詞の場合、誰「が」行く。誰「が」誰「に」言う。誰「が」何「を」する。のように、「主格」(主語)や「対格」(目的語)がはっきりしており、敬語においては「誰が」を立てる時は動詞の形を「行く」→「いらっしゃる」、「する」→「なさる」と変えて「尊敬語」とします。「誰に」を立てる場合は「言う」→「申し上げる」と変えて「謙譲語」にします。一番分かりやすいと思います。

 名詞の場合は「接頭語」(お、おん、ご)や「複合語」(「貴社」「拙宅」)または「代名詞」に依存しており、一部「お」が「尊敬」なのか「丁寧」なのか、「謙譲」(この用法については疑問点が多い)「美化語」なのかの識別がややこしい。

 問題が多いのは「形容詞」(「形容動詞」は活用は違うが働きは同じなので一緒に扱います)です。
No.2での回答は、かなり我流の解釈でしたが、あとで「日本国語大辞典」を見て、一部は妥当なものであったという確信が持てました。そういうわけで、No.6では辞書の紹介をしたわけです。しかし、この辞書でもそれほどはっきりした説明はなく、「お」が「形容詞」につく例を並べているに過ぎません。その内容に補足を加えるなら、次のようなことになります。

 「形容詞」は動詞などと違って、その主格が人間中心になっているわけではありません。特に、「珍しい」はほとんどの場合、事物や状況が主格になり、(例「この花は珍しい」「こんな困難に出会うことは珍しい」)「あの人は珍しい」は言わなくて、「あの人が来るのは珍しい」というのが普通です。
 こんな文法の根本的な話をするほどの知識はないので、このくらいにして、実例に移ります。

 「珍しい」は人間の「属性」(性質・状態のことであり、これが形容詞の本質と言われます。)を言うのではなく、もの{贈り物)の属性です。主格は物ですが、「珍しい」と感じるのは人間です。ここでは打ち消した「珍しくない」と感じるかも知れないのは贈られた人であり、贈る人は取り敢えずは「珍しい」と思って贈りました。ところが相手はそうではないかも知れないと気を遣ってこういったのです。もし、これが美化語の「お」なら(「物」を菓子と仮定して)「お菓子」と遣うのが当たり前です。これは辞書の説明にある『(イ)(相手や第三者の属性、状態を表わす語に付けて)その人に対する敬意、同情などを表わす。現代では主に女性が用いる。』に相当します。「そんな言い方は適当でない」というのなら、同感です。しかし、そういう使い方をする人は、辞書が指摘しているように、昔から存在したのでしょう。

 ここの回答に現れた形容詞(形容動詞を含む)のうち、「あいにくだ・大層だ・寒い・暑い・やかましい・忙しい・美しい・静かだ・早い・確かだ・自由だ・勝手だ・立派だ・優しい・熱い・堅い・恥ずかしい・若い・嬉しい・ゆっくりだ・さびしい・いたわしい」のうち、こういう使い方ができるのは、「お忙しい」・「美しい」・「お静か」・「お早い」・「ご自由に」「ご立派な」・「お優しい」・「お若い」・「ごゆっくり」・「おさびしい」・「おいたわしい」などと考えます。
 「あいにくだ・大層だ・寒い・暑い・やかましい・確かだ・勝手だ・熱い・堅い・嬉しい」などが遣われない理由が省略します。
  
  「青空文庫」からの検索。
わぬばかりに、「そのお若さでお芝居がお好きとはお珍しい。御感心ですこと」とお世辞を言ってくれるので、   田中英光「オリンポスの果実」
てるんですよ。」と矢代は母に云った。「畑を? お珍しいことね。そんな手で出来ますか。」と母は笑った。   横光利一「旅愁」
鼠を使って、芝居をさせるのです。」「それはまたお珍しい。」 こんな具合で、二人の間には、少しずつ、会   芥川竜之介「仙人 143」
いらっしゃいまし――おや! これは鳥越の若様、お珍しい……」 釣られて源十郎が振り向くと、三座の絵看   林不忘「丹下左膳 」
うがあって、おや! これはこれは乞食の旦那様、お珍しい! はて、どちらへ?――ぐらいのことが、スラス   林不忘「丹下左膳 」
駈けあがって障子をガラリ、「まあおさよさん! お珍しい!」 とニコニコ顔のおしん、これでうちの亭主野   林不忘「丹下左膳 」
阿弥陀仏。」と生若い声を出す。「さて、どうも、お珍しいとも、何んとも早や。」と、平吉は坐りも遣らず、 泉鏡花「国貞えがく」
赤紫斑入りの腕なんて、女房の腕として、あなたもお珍しいでしょう、きょうは見事なんだのに。惜しいこと。   宮本百合子「獄中への手紙」
       五「これは、これは、丹下の殿様。お珍しいところで――その後は、とんとかけちがいまして」  林不忘「丹下左膳 」
いたように言いかけたが、すぐ気がつき、「これはお珍しい! どうしてわたしどもがここにまいっていること   林不忘「丹下左膳 」
いる松沢という店の主人庄五郎であった。「おや、お珍しいところで……。お前さんも御参詣でしたか。」と、   岡本綺堂「恨みの蠑螺」
へ、不意に一人の珍客が訪れました。「これはまあお珍しい、梶川さん、ようこそ」と、例の居間で奥方から笑  中里介山「大菩薩峠 29 」
うおしやして……今頃……でも、まあ御無事で……お珍しい。さアさアお上りやしておくれやす」「さあ、どう   宮本百合子「播州平野」
がんりきの兄さん」「お勢ちゃんかい」「なんて、お珍しいんでしょう」 お勢さんは、大きな体を揺ぶって出   中里介山「大菩薩峠 24 」
学生となってゆく姿をよく覚えているそうで、マアお珍しいと売ってくれました。インク一つに、これ丈の因縁   宮本百合子「獄中への手紙 」
「へい」と木戸番の爺は云った。「これは杉様で、お珍しい」「たっしゃでいいな、一年ぶりだ」「旦那様もお  国枝史郎「剣侠」
…トタンに今の夕立で御座いましょう。店には格別お珍しいものも御座んせんし、先生も雨上がりをお待ちにな   夢野久作「悪魔祈祷書」
?」「イエ、巷談師」「アッ。コーダンシ。これはお珍しい。ウーム、なるほど」 と顔を見て感心していた。   坂口安吾「巷談師」
(櫻田本郷町のHさんへ)―― 今日はほんとうにお珍しいおいでゝ、お歸りになつてから「お前は今日よつぽ   水野仙子「冬を迎へようとして」
待合室より出で来たるにはたと行きあいたり。 「お珍しいじゃございませんか」 駒子を連れて、片岡子爵夫   徳冨蘆花 「不如帰 小説」
んとうに驚いてしまいました。でもまあほんとうにお珍しい……ただいまこちらのほうにお住まいでございます   有島武郎「或る女 2(後編)」
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この回答へのお礼

わざわざいろいろ調べてくださってありがとうございます。OKATさんは「珍しい」の主語ではなく、判断者を基準に使うということだったんですね。
用例のうち、田中英光さんのやつは、それこそ「過剰に付けると幼稚・慇懃無礼・冗長に感じられたり、自分側に尊敬の「お」を使っていると受け取られたりする場合もある」をおかしく表現したもので、他は概ね、尊敬すべき相手方の動作(顔を出したこと)ことを「珍しい」と表現しているパターンですね。
大変面白く拝見しました。本当にありがとうございました。

お礼日時:2016/02/01 18:09

個人的見解ですが、基本的には (著者の)勘違い と判断するのが妥当でしょうね。



まず、謙譲語というのはあり得ませんから論外です。
謙譲語1の【自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう
先の人物を立てて述べるもの。】という定義からもそれは明らか。
<敬語の指針>15ページ
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/so …
「珍しい」という形容が「相手に向かう」という解釈は無理でしょう。

>「(貴方がここにいらっしゃるなんて)おめずらしい」

は現在でも使われていると思います。
この場合、「珍しい」というのが「貴方に関する状態」なので尊敬語として機能しているわけです。
しかし、
「『お』珍しくもございませんが、どうぞお子さま方へ」は、「(たとえば)菓子などに関する状態」を指している。
つまり、尊敬語としてもあり得ません。

残るは美化語ですが、「(たとえば)菓子などに関する状態」に対する「珍しい」という形容詞を美化するのは自然だろうか、という問題になるでしょう。
私は、美化語としても機能させるべきシチュエーションではないと思います。
自分が活けた花を客人に見せながら「お美しい花でしょう?」のように言うか? といえば、たぶん言わないでしょう。
美化して言うという利点以上に、自分側の事物に対する尊敬語と受け止められる危険を避けようとする無意識が働くのが一般的ではないかと思います。
ただ、「お暑うございます」のような表現はしますね。
これは形容詞の美化語と言って良いのでしょう。
「自分側の事物に対する尊敬語と受け止められる危険」が無いために使えるのではないか、と思います。
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この回答へのお礼

質問の仕方が曖昧だった中、意をきちんと汲んで下さったこと、そしてそれに対して、非常にわかりやすくご回答くださったこと、本当にありがとうございます。すごくスッキリしました!

お礼日時:2016/02/01 18:21

お 【御】 「日本国語大辞典より」 用例を全部上げると長くなるので(7)以外の用例を省略します。



〔接頭〕
(1)体言(まれに用言)の上に付いて、尊敬の意を表わす。現在では、相手に対する敬意とともに、それが相手のもの、相手に関するものであることを示す。「お手紙を拝見する」など。「お前」「お坐(まし)」「お許(もと)」→おん・み。
(2)((1)の変化したもの)体言の上に付いて、尊重、丁寧の意を表わす。現在では、語感を和らげて上品に表現しようとする気持をこめても用いる。、
(3)女性の名まえ(男性の場合は童名)の上に付けて、尊敬、親愛の気持などを表わす。中世以後の用法。「おきく」「お千代」など。
(4)(動詞の連用形を伴い、その下に「遊ばす」「ある」「なさる」「なる」「になる」「やす」「やる」などを添えた形で)その動作の主を敬っていう尊敬表現となる。
(5)(「お…なさい」の省略形)動詞の連用形の上に付いて、目下の者に対する軽い命令を表わす。
(6)(動詞の連用形を伴い、その下に「する」「申す」などを添えた形で)自分の動作の及ぶ相手を敬う謙譲表現となる。
(7)形容詞、形容動詞などの上に付ける。
(イ)(相手や第三者の属性、状態を表わす語に付けて)その人に対する敬意、同情などを表わす。現代では主に女性が用いる。
*とはずがたり〔14C前〕一「御いたはしければ、御つかひな給そと申たれば」
*御湯殿上日記‐文明一八年〔1486〕二月二三日「御さひしきとて、御むろなしまいらせらるる」
*滑稽本・浮世風呂〔1809?13〕二・上「『夕(ゆふべ)は嘸(さぞ)おやかましう』『アイ、ゆふべはおねむかったらうね』」
*春迺屋漫筆〔1891〕〈坪内逍遙〉壱円紙幣の履歴ばなし・五「向ふより来りて迎ふる人あり。存外おゆっくりでござった、主人待兼てござる、あちらへあちらへと愛想笑ひしての取持」
*青春怪談〔1954〕〈獅子文六〉夜風「すると、まだ、お若くていらっしゃるのね」
(ロ)(自分の心情を表わす語に付けて)謙譲、卑下の意を表わす。
*古活字本毛詩抄〔17C前〕一「男は祝着に候など云へば、女はをうれしう候など云と同事ぞ」
*滑稽本・浮世風呂〔1809?13〕三・下「ハイサ、もう、お耻かしい事でござります」
(ハ)ある状態を丁寧に表わす。「今日はお寒いですね」
(ニ)(形容動詞の語幹や動詞の連用形を伴い、その下に「さま」を添えた形で)相手に対する同情や慰めの気持を表わす尊敬表現となる。「おあいにくさま」「お気の毒さま」「お疲れさま」など。
(ホ)(名詞、形容詞、また形容動詞などの上に付けて)からかい、皮肉、または自嘲の気持を表わす。「お熱い仲」「お粗末でした」「お寒い限りだ」

『語誌』
(1)接頭語ミ(御)に、さらに敬意を加えたオホミ(大御)が語尾の母音を落としてオホムからオホンとなり、さらにオヲン、オオン、オンを経て、オを生じたものと思われる。
(2)このオは、中古和文にはオマシ(御座)、オモト(御許)、オモノ(御膳)、オムロ(御室)など、頭子音がマ行音である語に冠して現われるが、その他の語に用いられるのは、中世、室町時代以後のことと見られる。
(3)漢字で「御」と表記されることが多く、「御」は、オ、オン、オホン、ミ、ゴ、ギョの複数の読みが可能であるため、その読みを決定しかねる場合が多い。現代では、おおむね、ゴ、ギョは漢語に、オン、オは和語に用いられる。なお、「ロドリゲス日本大文典」では、Von (ヲン)は書きことばや荘重な話しことばに、Vo (ヲ)は話しことばや日常の会話に使われる、とされている。
(4)もともと体言に付く接頭語であるが、(6)(7)のように、中世以後には形容詞や動詞に付く例が現われる。 ◎この項が重要です
(5)(2)の丁寧語、美化語としての用法は、中古の貴族女流の用語にさかのぼるが、いわゆる女房詞でしきりに用いられ、「なすび─おなす」のような語末の省略、「おするする」(→「するする【二】」)のような擬声語の名詞化などが見られる。なお、現代語では「おビール」「おリボン」など、外来語に冠する例も見られる。

>他の例ではどうでしょう。
お珍しい =上記辞書の (7)形容詞、形容動詞などの上に付ける。(イ)に相当する尊敬語でしょう。
お恥ずかしい=(7)の(ロ)に相当する謙譲語でしょう。
お懐かしい=上に同じ
お安い=(7)の(ハ)に相当する丁寧語(聞き手尊敬)でしょう。
お高い=上に同じ
 「お安い」「お高い」の例は「美化語」(ある学者は「上品敬語」と呼びました)という方が当たっているかも。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
No.5での真魚さまのご意見に対するご見解、参考になりました。手元の辞書には、例えば「お手紙」など文脈によって「お」の意味が、尊敬にも謙譲にも美化語にもなる場合があるとあったので、言い切れるものなのかなあと思っていたところでした。

日本国語大辞典は小学館のものでしょうか。詳しい引用ありがとうございます。
補足の方で質問を修正させて頂いたので確認ですが、
OKATさまは前回のご回答と合わせると、「お珍しくもございませんが」の用法に関しては、珍しい(珍しくもない)の主語自体は、その時点では自分に属する「物」だけど、その価値判断の主体が相手と取れる場合は「相手の属性、状態」をあらわす語と捉えていらっしゃる、ということでよろしいでしょうか。
謙譲語としての用法だと、自分側に属する物であっても相手側に及ぶ物に対して「お」を使うことはできるようなのですが、尊敬語には直接その言及がなく、本件のように、自分側が相手にあげる物に対する形容詞の場合に、どこまでが「相手の属性、状態」の範疇なのか疑問だったので、勉強になりました。

お礼日時:2016/01/31 15:00

「お(御)+形容詞」の例で、「お忙しい」「御立派」は敬語の指針では尊敬語としていますね。

相手がお忙しい/ご立派ということで。

他の例ではどうでしょう。
お珍しい
お恥ずかしい
お懐かしい
お安い
お高い

相手を立てているわけではないし、自分を立てているわけでもない。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
他の例も、文面次第で、相手を立てて使う場合もあれば、謙譲語として作用する場合もありますね。

お礼日時:2016/01/30 22:32

"文法的に正しいのか"はわかりません。



>「『お』珍しくもございませんが、どうぞお子さま方へ」という一文があったのですが、内容的には、(あなた様にとっては)珍しくもない(と私には思われる)けれど、といった気持ちで、「珍しくもない」に「お」をつけたのだろうなあと、推測はしているのですが…。
⇒ 私にとっても、あなたにとっても、もしかするとあなたの子にとっても、珍しくないだろうと私は思っているが、(珍しいかどうかよりも、子供にとっては、なにもないのは残念だろうと私は思うので)、どうぞお子様達にお持ち帰りください。という気持ちだろうと思います。 ただ、このような場合、普通は【珍しくもございませんが、どうぞお子さま方へ】と言って、【お】は接頭させないのが違和感が起きない表現だと思います。

> 形容詞に「お」をつける事があるのはわかっています。
⇒ お優しい言葉を、お寒い日が、お熱い仲で、お粗末な品ばかりで、良いものと思うのですがお高いですね、ああお美しい、など、言わないことはないです。

⇒ 「お」を形容詞に接頭することで、自分が軽口(口が軽い、前後のみさかいなくしゃべってしまう傾向があること)であることを示し、強い皮肉や強い批判をしているのではないし、馬鹿にしているのでもないので、その言葉を相手が真剣に受け取って欲しくないけど、ちょっと自分の気持ちを出しているんです、という隠れた意味を込めるケースもあります。 あなたたちお熱いのね、まあお美しい、さぞやお高いのでしょうね、とてもお偉い方からお言葉をいただけまして、そのようなお優しいお心遣いをいただいて、それはお気の毒様でした(これは形容詞じゃなかった)、お堅いこと言わないで、 :「お」を接頭させると、ストレートに表現するよりも、客観性・正確性を重視して評価しているという側面が薄れて、"発話者の単なる心情や感覚"を軟らかく表現したいだけという感じがします。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

実はこの本、より適切な表現を学ぼうと思って手に取ったにもかかわらず、「間違ってはいないのかもしれないけれど、本当に適切なのかしら?」と感じる箇所が結構あったのです。(もちろん私が間違っているだけかもしれませんが。)

その中で、本件は、私が一番自信のない、

行動の主体は話者側だけど、行動の対象が相手方の敬語表現はただでさえ苦手なのに、本件は、さらにややこしく、動詞に「お」が付いているわけではなく、形容詞に付いており、「行動の対象が相手方の場合の敬語」と言えるのかも疑問。

何に、どの程度「お」を使うべきか、という感覚的な疑問(お綺麗はOKでもお臭いは変だし、やりすぎると逆に慇懃無礼だったり滑稽だったりしかねない)
の2点が混ざってたので、これを機会にちゃんと勉強し直そうと、自分でも調べた上で質問した次第でした。

>このような場合、普通は【珍しくもございませんが、どうぞお子さま方へ】と言って、【お】は接頭させないのが違和感が起きない表現だと思います。

私も個人的にはおっしゃる表現の方が良いのでは?と思いながら読んでいたので、勇気付けられました。

また、ニュアンスの差について、なるほどなーと拝見いたしました。
本当にありがとうございました!

お礼日時:2016/01/30 18:14

尊敬語のようでもありますが、相手を立てる用法でもないので、美化語と考えるのが妥当ではないかと思います。



明鏡国語辞典の第2版(平成22年12月1日)は、お【御】について丸々2ページにわたる記述があります。美化語の用例もありますが、残念ながら「お珍しい」の解説はありませんね。初版(平成14年12月1日)は新しい敬語の指針が出る前です。(図は記述量の比較です。青枠が初版、赤枠が第2版)

「敬語の指針」
 (平成19年2月2日 文化審議会 国語分科会 答申)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/ko …


5種類の敬語 (従来は3種類)

 1 尊敬語   「いらっしゃる・おっしゃる」型 … 従来の尊敬語
 2 謙譲語Ⅰ  「伺う・申し上げる」型 …………… 従来の謙譲語
 3 謙譲語Ⅱ(丁重語)  「参る・申す」型 ……… 従来の謙譲語
 4 丁寧語   「です・ます」型 …………………… 従来の丁寧語
 5 美化語   「お酒・お料理」型 ………………… 従来の丁寧語


1 尊敬語 (「いらっしゃる・おっしゃる」型)
   相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。

 <該当語例>
 [行為等(動詞,及び動作性の名詞)]
   いらっしゃる,おっしゃる,なさる,召し上がる
   お使いになる,御利用になる,読まれる,始められる
   お導き,御出席,(立てるべき人物からの)御説明

 [ものごと等(名詞)]
   お名前,御住所,(立てるべき人物からの)お手紙

 [状態等(形容詞など)]
   お忙しい,御立派

 【解説<略>】


2 謙譲語Ⅰ (「伺う・申し上げる」型)
   自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。

 <該当語例>
   伺う,申し上げる,お目に掛かる,差し上げる
   お届けする,御案内する
   (立てるべき人物への)お手紙,御説明

 【解説<略>】


3 謙譲語Ⅱ(丁重語) (「参る・申す」型)
   自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

 <該当語例>
   参る,申す,いたす,おる
   拙著,小社

 【解説<略>】


4 丁寧語 (「です・ます」型)
   話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。

 <該当語例>
   です,ます

 【解説<略>】


5 美化語 (「お酒・お料理」型)
 ものごとを,美化して述べるもの。

<該当語例>
   お酒,お料理

 【解説】
  例えば,「お酒は百薬の長なんだよ。」などと述べる場合の「お酒」は,1の尊敬語である「お導き」「お名前」等とは違って,<行為者>や<所有者>を立てるものではない。また,2の謙譲語Ⅰである「(立てるべき人物への)お手紙」等とも違って,<向かう先>を立てるものでもない。さらに,3,4の謙譲語Ⅱや丁寧語とも違って,<相手>に丁重に,あるいは丁寧に述べているということでもない。
  すなわち,上記の例文に用いられているような「お酒」は,「酒」という言い方と比較して,「ものごとを,美化して述べている」のだと見られる。
  この「お酒」のような言い方は,この意味で,前述の1~4で述べた狭い意味での敬語とは,性質の異なるものである。だが,<行為者><向かう先><相手>などに配慮して述べるときには,このような言い方が表れやすくなる。例えば,「先生は酒を召し上がりますか。」や「先生,酒をお注<つ>ぎしましょう。」の代わりに,「先生はお酒を召し上がりますか。」や「先生,お酒をお注ぎしましょう。」と述べる方がふさわしい。こうした点から,広い意味では,敬語と位置付けることができるものである。この種の語は,一般に「美化語」と呼ばれている。
「「お」の使い方が、文法的に正しいのか、理」の回答画像3
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
美化語として文法的には間違ってない、ということでしょうか。

私が???と感じた理由は
1尊敬語として形容詞に「お」をつける場合、通常主語が尊敬の対象(か尊敬の対象に属する物事)なのにもかかわらず(「(あなたは)お忙しい」「(あなたは)お美しい」)、本件の主語は話者が差し上げる物だった。
2美化語の「お」としても、「美化語の『お』は過剰につけると(中略)自分側に尊敬の『お』を使っていると受け取られたりする場合もある」(明鏡国語辞典より引用)に該当するように(私には)思えた。
からなのだと、皆様のご回答を拝見する中で、気付きました。
美化語とのご判断なので、そうなると2の部分が個人的にひっかかるのですが、もうこれは
適・不適の問題として、個人的な感覚の違いですね…。

それにしても、明鏡国語辞典に、そんなにも大きな変化があったとは!私のは電子辞書(第2版2011年)なので新しい方だと思いますが、今度確認してみます!「敬語の指針」も勉強になりました。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2016/01/30 18:12

>内容的には、(あなた様にとっては)珍しくもない(と私には思われる)けれど、といった気持ちで、「珍しくもない」に「お」をつけたのだろうなあと、推測はしているのですが…。



 その通りです。「(あなたには)珍しいものではないでしょうが」の意味です。
「(この品物は、)珍しくはない」という属性は、「誰にとっても」ではなく「あなたにとって」というように、あなた側に付随するものですから、「お」をつけることができます。「わたしや、外の人には珍しくても」という条件の中で成立することになります。
 同じようなことは、「(貴方がここにいらっしゃるなんて)おめずらしい」と言ったような表現にも言えるわけで、「外の人が来るのは別に珍しくないけど」という気持が含まれています。これも「あなたに付随する」事柄だからいえるのです。
 似たようなことは、「お忙しい」「おやかましゅうございました」などもそういう理由からだと考えられます。「ここはお静かなところですね。」「お早くお帰り」「気はお確かですか(笑い)」すべて形容詞、形容動詞に関するものですね。
No.1の方のご回答にある「ご自由に」もその仲間で、「ご勝手に」もそうです。
 (動詞であれば、はっきりした「尊敬語」「謙譲語」がありますが。) 
 
 しかし、そういう言葉は必ず使わなければならいというものでもないでしょう。
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この回答へのお礼

相手の判断内容と推測されていることに「お」をつけているので、敬語の表現として文法的には誤ってない、というご意見でしょうか。

ご回答を拝見したおかげで、私が違和感を感じたのは、
1尊敬語として、形容詞に「お」をつける場合、通常主語が尊敬の対象(か尊敬の対象に属する物事)なのにもかかわらず(「(あなたは)お忙しい」「(あなたは)お美しい」)、本件の主語は話者が差し上げる物だった。
2美化語の「お」としても、「美化語の『お』は過剰につけると(中略)自分側に尊敬の『お』を使っていると受け取られたりする場合もある」(明鏡国語辞典より引用)に該当するように(私には)思えた。
からなんだと気付きました。

だから「おやかましゅうございました」の表現も非常に新鮮でした。「やかましい」が相手側の事情だったらそれ自体が大変失礼なので、多分やかましいの主語は話者側かあるいはどちらの側にも属しない物事。なので尊敬語としての「お」としては不適当にも思えますが、「あなた様にとってはやかましかったでしょうね。」といったところなのでしょうか。

興味深い例も含めて、ご回答ありがとうございました。日本語って奥深いですね…。

お礼日時:2016/01/30 17:34

ちゃんと書こうとするとたいへんなことになるので、まず結論を。


 形容詞に「お」をつける例はたしかにありますが、あまり多くはありません。多くは丁寧語(もしくは美化語)でしょう。
「お珍しい」も美化語と考えるのが妥当かと。
 ただ、「お珍しい」を自然に感じるか否かは、個人差が大きいと思います。
 上品な婦人がキラキラネームを聞いて「お珍しいお名前ですこと」と言うのはあるかもしれません。なんてお上品なかたなんでしょ。
「『お』珍しくもございませんが、どうぞお子さま方へ」
 は、「つまらないものですが……」と同様なので、おそらく謙譲語のつもりなのでしょう。それが「大人のモノの言い方」だと言うのなら、「ご自由に」としか言えません。

 個人的には「お珍しい」を使うのは、皮肉限定です。
 いつも遅刻ギリギリで出社する後輩が、出勤時間の30分前に出てきました。
「こんなに(お)早い(ご)出社ですか。お珍しいことで」
 こういう「皮肉」をこめた用法もよくあります(↓参照)。
 あとは適宜リンクを張ります。必要に応じてたどってください。

【よくある誤用33──敬語編3 自分の行動などにつく「お/ご」】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n133134
==============引用開始
 なお、一つの語がいくつかの用法をもつ場合もあります。§48では、「お手紙」のように尊敬語・謙譲語I両方の用法をもつ主な語をリストしましたが、その中でも「おみやげ」などは、「先生からのおみやげ」(尊敬語)・「先生へのおみやげ」(謙譲語I)のほか「子どもへのおみやげ」のように美化語としても使います(あるいは、初めの二つも美化語と見てしまったほうがよいのかもしれません)。(P.124)
 接頭語の「お/ご」の解説のなかにある記述。「お/ご」は〈機能〉の面から見ると4種類ある。
1)尊敬語
2)謙譲語I
3)丁寧語
「お暑いですね」「お寒うございます」
4)美化語
 下記に書いたように、3つの〈機能〉をもつ「お/ご」はほかにもありそう。
673)緊急! 突然ですが問題です【日本語編92】──「お料理」「お手紙」の「お」の意味 【解答?編】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n150335
 本書の解説中にあるようにすべてを「美化語」と考えるほうがいいのかもしれない。

(略)

「お/ご」がつく言葉に関しては、下記あたりが参考になるでしょう。
【「お」「ご」の使い方になれる】
http://tensinohitomi.web.fc2.com/tadasiikeigo/No …
※細かい問題点はあるが、貴重なサイトだろう。細かい点は下記参照。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2738. …
==============引用終了

【「醜化語」の「ご」「お」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2138. …
================================引用開始
【引用部】
「お/ご」を付けて皮肉や茶化した表現とすることが固定化した例としては、「ご大層・ご乱行(らんぎょう)・ご乱心・おあいにく様」などがある。これらは美化語とも言いにくい(なお「おあいにく様」は皮肉でなく使う場合もないわけではない)。(P.376)
 これはかの有名な醜化語ですね(笑)。そうか「ご大層」以外にも醜化語限定がこんなにあるのか。
569)突然ですが問題です【日本語編67】──美化語の悪用 ご大層 ご苦労 お荷物【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2140. …
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1774719941&owner …
 ちょっと気になったのは〈なお「おあいにく様」は皮肉でなく使う場合もないわけではない〉って部分。どんな場合があるのだろう。
 ちなみに、P.382では〈皮肉や茶化した表現として固定化したもの〉として〈「ご大層・おあいにく様」など〉としている。
================================引用終了
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この回答へのお礼

美化語の一種として文法的に誤っているとまでは言えないけれど、どう取られるかは(適切かは)微妙、といったところでしょうか。
美化語という用法は辞典でチェックしていたものの、本件はそうだとしても、あまり見かけない表現だし、違和感があったところでした。
実はこの本、他にもちょこちょこと個人的には「ん?でもまあ感性の違いの範疇かしら?」と思うところがあったので、「ご自由に」とのご回答に「そうなりますよね…。」と思いました。

いろいろと調べて下さった上でのご回答、本当にありがとうございます。

ところで、2番目の引用で疑問になっている「おあいにく様」が皮肉にならない用法ですが、多分例えばAがBを訪ねたのにBが不在だったので引き返す時に、それを見送る人がAに対して「わざわざいらしてくださったのにおあいにく様でした」なんていうことがありますよね。皮肉ではなく謝罪と同情(労わり?)を示すために。ちょっと古い物語の商家のやり取りのシーンなどでは割と見かける表現です。
もしかしたらご覧になるかもしれませんので、一応こちらに付記させていただきます。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2016/01/30 16:54

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