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マンキューマクロ1(入門編)の第3章で、競争的企業の意思決定で、利潤最大化条件から、生産物価格P、資本レンタル料R、賃金Wが与えられたときに、K、Lを選択する手順が説明されています。本では、K、Lのそれぞれを別々にどう選ぶかという手順が示されているのですが、次のように考えてはいけないのでしょうか。

企業としてはK、Lをどのようにも選ぶことができるわけですから、たとえばKをa単位、Lをb単位の生産要素セットを購入するとしたら、その購入数も任意に選べるはずです。このときのYの生産量をc単位とすると、規模に関する収穫一定の想定から、生産要素セットと生産量は比例しますので、もしも、Pc>Ra+Wbだったら、解は発散します(=ならば不定、<ならば0)。
あとでオイラーの定理から利潤は0とされているので、解は不定となりそうです。
生産要素セットの購入ができない理由は何でしょうか。

A 回答 (5件)

>マンキューマクロの第3章は企業による生産要素需要量決定を説明できていない、ということになりませんか。

これが質問の趣旨でした。

規模に関して収穫一定で、かつ「長期」の場合は、生産の決定自体が一意には定まらないので、当然!要素需要も一意に定まらないことはこれまで見てきた通りです。もう少し一般的な生産関数(規模に関して収穫逓減する)を考えてみましょう。このとき利潤最大化の一階の条件はすでに見たように
PFL(L,K) - W = 0    (*)
PFK(L,K) - R = 0    (**)
であり、これらをLとKについて解けば, LとKにたいする(要素)需要関数
L=L(W/P,R/P)  (***)
K=K(R/P,W/P)  (****)
が得られる。通常の生産関数の仮定(各要素に関する収穫逓減のような)のもとでは、通常の需要関数の性質ーーLは、PとRを所与としたとき、Wの減少関数、Kは、PとWを所与としたとき、Rの減少関数である等の結果ーーが得られる。もう少し具体的には、生産関数がコブダグラス型で与えられたときを考えてみましょう。
つまり、
Y=F(L,K)=L^α・K^β,    α+β<1
としてみよう。すると(***)と(****)はそれぞれ
L=[α(P/W)・(α/β)^β・(W/P/R/P)^β]^(1/(1-α-β)
K=[β(P/R)・(β/α)^α・(R/P/W/P)^α]^(1/(1-α-β)
となる(別に難しくないので確かめてみてください)。
規模に関する収穫一定のときは、α+β=1となり(右辺式の分母がゼロになる)、この需要関数は意味を持たない。なお、規模に関して収穫逓増(コブダグラス型ならα+β>1の場合)なら、そもそも完全競争が成立しないので、完全競争の前提のもとでは規模に関しては収穫一定あるいは逓減である必要がある。
以上のような場合でも、あなたは、(*)と(**)を同時に解く、あなたの言葉でいうと「セットとして」解いているのではないか、というかもしれませんが、それをいうなら、消費者の効用最大化からX財、Y財にたいする需要関数を導出するときだって同じことで、XとYを「セット」で求めていることを思い出してください。X財の価格Pxを縦軸に、X財の需要量Qxを横軸にとって描かれた、右下がりの需要曲線は実は他財の価格Pyを所与として描かれているのです。X財への需要量がPxだけで決定されているわけではありません。
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この回答へのお礼

重ねての懇切丁寧なご回答に感謝いたします。
「当然!要素需要も一意に定まらない」というお答えをいただいたところで、ひとまず私の疑問は解決済みといたします。ありがとうございました。

あと、私が「セットとして」と申しましたのは、「方程式を連立させた解として」という意味ではありませんでした。
非負実数x、任意の正定数βとするとき、KとLの数量の組合せ(x、βx)を「生産要素セット」と呼び、この生産要素セットの非負の実数単位で購入する、ということを意味しておりました。すると収穫一定の仮定により、費用最小化条件を入れなくても、最適セット需要数は∞・不定・0になる、と思ったのです。ただ、このような説明ではわけがわからないものと反省しておりますので、どうかこの点はご放念ください。

ご教授、有難うございました。

お礼日時:2016/02/23 15:49

では、LもKも自由に選択できる(長期の問題)としましましょう。

マンキューが説明しているのはこういうことだと思うのですよ。企業の技術(生産関数)をY=F(K,L)で表わすと、利潤Πは
Π=PY-WL-RK=PF(L,K)-WL-RK
であるが、利潤最大化の1階の条件は
0 = ∂Π/∂L=∂Π/∂K
すなわち、
PFL(L,K) - W = 0    (*)
PFK(L,K) - R = 0    (**)
ここで、FL(・)=∂F/∂L、つまりF(・)のLについての偏微分、FK(・)も同様にF(・)のKについての偏微分。(*)と(**)を連立させて、LとKについて解くことによって、利潤を最大化する(L,K)を求めることが出来る。いまそのような解(L,K)が1つ見つかったとしよう。すると、任意のαに対して、(αL,αK)も解であることはこれを(*)、(**)のL,Kのところへ代入すると
PFL(αL,αK) - W = 0
PFK(αL,αK) - R = 0
が成り立つことよりわかる。理由は、FL(・)、FK(・)はオイラーの定理によってF(・)が1次同次なら、ゼロ次同次だからだ。このようにして、(L,K)が利潤最大化する組なら、(αL,αK)の組も解であり、解は無数にあることになる、別の言葉でいうと、解は不定ということがわかる。
マンキューの説明は、利潤最大化の一階の条件(*)と(**)を導くところに関しての説明ではないか?(*)を言葉で言うと、Kをある値においたとき、Lの限界生産物の価値PFL(L,K)が賃金Wに等しくなるようにLを選択する、となる。(**)についても同様。このように説明したからといって、(*)と(**)を別々に解くことにはならない、むしろこれらを連立方程式として同時に解く、つまりあなたのいうところの「セットとして」解くことを意味しているのです。
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この回答へのお礼

お手数おかけして申し訳ありません。
さて、そうなりますと、マンキューマクロの第3章は企業による生産要素需要量決定を説明できていない、ということになりませんか。これが質問の趣旨でした。

お礼日時:2016/02/22 15:24

いわれていることがやっと分かりました。

何度でも質問ください。そのほうがずっと回答しがいがあります。
「長期」と「短期」というのをすでに学んでいますか?「短期」とは、一部の生産要素があらかじめ定められたレベルで固定し、自由に選択できないような「短い」期間をいい、「長期」とは、そのような固定的要素も含めて、すべての生産要素が自由に選択できるような、「長い」期間のことを指す。たとえば、工場なような生産要素はいったん建設されてしまうと、状況が変化しても拡張したり、縮小したりしようとしても、すぐに実行できるわけではなく、時間がかかる。いま、Y=F(L,K)の技術(生産関数)で生産される財を考えてみましょう。長期的には、企業はLとKを自由に最適の水準に設定することができるが、いったんKをK0の水準に設定してしまったら、たとえば、財の価格Pが下落したからといって、すぐには(すなわち「短期」においては)Kの水準を変えることはできない。(償却されるのを待つか、あるいは工場を売却することになるが、大きな取引費用がかかる。)Lの雇用水準を変動させて対応するしかない。すなわち、短期においてはKは固定要素、Lは可変要素であるといってよい。企業は短期的には、LとKの選択を自由にできるのではなく(あなたの言葉をつかうと、(L,K)をセットで選択するのではなく)K=K0(一定)のもとで、Π=PF(L,K0)-WLーRK0をLを選択することで最大化することになる。最大化の一階の条件は、P∂F(L,K0)/∂L = Wとなる、Lのレベルを選択することである。
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この回答へのお礼

度々のご回答ありがとうございます。
ただ、質問のタイトルにありますマンキューマクロの本をご確認いただきたいのですが、当該章は「長期」を想定した章で一般均衡を紹介しておりますので、「短期」と「長期」を明示せずに混在させているわけではありません。
それに、Lを所与としてP∂F/∂K-R=0という議論もしているので、Kも自由に選んでいることになり、「短期」の話であったと考えることは難しいと思うのです。

お礼日時:2016/02/22 00:05

>KとLのセット購入が可能ならばKとLの最適量を求めることができないわけですから、セット購入は排除されていないとまずいはずですが、その理由がわからない、



あなたのおっしゃっている「セット購入」とは何でしょうか?私にはどういう意味なのかさっぱりわからない!
生産関数が1次同次(規模に関して収穫一定)のときはーーオイラーの定理が適用可能な関数は同次関数だけですーー利潤最大化生産量は、(与えられた)価格が最小コストより小さい場合ーーこのときは利潤最大化生産量はゼローーを除いて一意には定まらない。価格が最小コストより大きい場合には利潤最大化生産量は無限大(数学的には利潤最大化生産量は存在しないという)、価格が最小コストと同じ場合は利潤最大化生産量は不定(つまりどの生産量を選んでも利潤はゼロで同じ)ということです。
なお、あなたがマンキューのやり方だというやり方をしても、同じことです。利潤最大化生産量は一意に定まらないので、生産要素にたいする需要も一意には定まりません。

生産関数が2要素ーKとLーのときは数学的に少し複雑ですが、生産要素が1つー労働ーしかない場合に、生産が規模に関して収穫一定だったらどうなるか考えてみるとよい。この場合はわかりやすい。生産要素が1つで、かつ規模に関して収穫一定に従うときは、生産関数はリニアになり、aを定数として、生産関数は
 Y = aL
と表わせる。したがって、価格P、賃金Wに直面している生産者の利潤は
 Π = PY - WL = PY - WY/a = (P - W/a)Y
となる。この場合も、最適生産量は、価格が最小単位費用より小さい(P<W/a)の場合(この場合は最適生産量はゼロ)を除いて、一意には定まらないのです。
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この回答へのお礼

重ねてのご回答、誠にありがとうございます。
まず、「セット購入」と申しましたのは、KとLはR+で自由に購入可能ですから、たとえばKを2単位、Lを3単位入った「生産要素セット」なるものがあるならば、これも非負実数の単位数の範囲で自由に購入可能です。
No.1でのご回答では、Y1単位の生産をもたらすような生産要素投入量の組合せのうち、費用最小となる組合せとして{Kをa単位、Lをb単位}という例を出してくださいましたが、この「生産要素セット」も非負実数の単位数の範囲で自由に購入可能です。
つまり、KとLの決まった数量の組合せを生産要素セット、と呼んだのです。

その上で、規模に関して収穫一定ですから、0となる場合を除いて生産要素セットの最適購入量は一意に決まらないというのは、ご説明いただいた通りですし、私の質問本文にも書かせていただきました。

ではおまえは何が聞きたいのかということになりますが、マンキューの教科書では、他方の生産要素投入量を一定とすれば、その生産要素に関しては限界生産力逓減になりますので、通常のミクロの手順通りに、価格が与えられたときに、実質生産要素価格=限界生産力となるように、利潤最大化生産要素投入量が一意に決まる、という説明が入るので、この記述自体がおかしいことになるか、そうでなければ、「セット購入」を考えた方がおかしいのか、いずれかになると思うのですけど、どうでしょうか、というのが質問の趣旨でした。

私の質問文が至らないために、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

お礼日時:2016/02/21 19:08

マンキューの本は手元にないので、その説明がどうなっているか知りませんが、生産関数Y=F(L,K)が1次同次である(規模に関して収穫一定)であるとき、生産要素の組(L,K)の選択は以下のようになる。


まず、1単位の生産物を生産する生産要素の組(L,K)の中から費用
 C=RK+WL    (*)
を最小化する組を選択する。図で説明すると、Lを横軸、Kを縦軸にとって
 1=F(L,K)      (**)
を満たす(L,K)の組の軌跡を描く。これをY=1(生産1単位)に対応する等量曲線(生産の無差別曲線)という。等量曲線(**)は原点に対して凸の、右下がりの曲線だ。
つぎに、そこへ等費用曲線(直線)(*)を描く。等費用直線は(*)を
 K = -(W/R)L + C/R
と変形するば、明らかなように、傾きが-W/Rで、縦軸の切片がC/Rの右下がりの直線だ。等費用曲線はCをパラメータとして互いに平行で、無数に存在する。いまY=1等量曲線と等費用直線の一つとが互いに接する点を(L,K)=(a,b)と書くと、aは生産物1単位を生産するに要するLの量であり、bは生産物1単位を生産するに要するKの量を示し、
 Wa+Rb ≡ c
が生産物1単位を最小費用で生産するときの費用(最小単位費用)だ。したがって、生産物価格Pがこのcより大きいか、小さいかに応じて

P > c ならば、最適生産量は無限大(最適生産量は存在しない)。
P < c ならば、最適生産量はゼロ。
P = c ならば、最適生産量は不定。

となる。したがって、企業が生産物をY単位だけ生産するときの、生産要素LとKに対する需要量はL = Y/a, K = Y/b、すなわち、(L,K) = (Y/a,Y/b)となるが、上の結果より
P < c ならば、(L,K)=(0,0)
P = c ならば、 (L,K)= (Y/a, Y/b)
P > c ならば、 (L,K)=(∞, ∞)あるいは最適需要量は存在しない。

生産関数がたとえば、コブダグラスならaとbを具体的に求めることができる。生産関数がY=L^α・K^(1-α)で与えられたとして、aとbを求めてみてください。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。ただ、私が伺いたかったことは、費用最小化条件を入れたとしても、KとLのセット購入を認めるならば、最適な(=利潤最大化をもたらす)Y、K、Lが得られない(発散、不定、0のいずれかになる)し、オイラーの定理を入れれば、不定になるのではないか、ということでした。教科書では、Lを一定としてKの最適量をその限界生産力=R/Pとなるように、Kを一定としてLの最適量をその限界生産力=W/Pとなるようにして導きますが、KとLのセット購入が可能ならばKとLの最適量を求めることができないわけですから、セット購入は排除されていないとまずいはずですが、その理由がわからない、ということでした。
意味のとりにくい質問文で申し訳ありません。

お礼日時:2016/02/21 15:01

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