ケインズが「一般理論」を書くに当たって、大恐慌の下での経済の動きを注意深く観察したところでは、投資の水準の方も利子率によっては、さほど影響されない。つまり、大恐慌のような極端な不景
気の下では、利子率がいくら下がったところで、投資は一向に増加しなかった。だから、投資も利子率により決まると考えるよりは、ビジネス環境や企業戦略に従って「独立」に決定されると考えた方が良い。つまり経済理論モデルにとっては外からのデータとして与えられると考えた方が妥当である。そうするとどうなるか。
今、ビジネス環境や企業戦略に基づいて、「独立」に投資が決定されたとする。外から投資の水準がデータとして与えられたということだ。今度はその投資に一致するように貯蓄の水準が決まる必要がある。ただし、貯蓄は利子率ではなく所得に依存するのだから、この時利子率の調整によって投資と一致する水準に貯蓄が決まるのではなく、国民所得の調整によって、貯蓄が投資と一致する水準に決まるのである。このようにして、投資と貯蓄の一致が達成されるということは、つまりは国民所得自体が投資によって決定されるということである。たとえば、投資水準が減れば、それに合わせて貯蓄水準も減らさなければならないから、国民所得が減らなくてはならない。これがまさにケインズ革命の中核となる洞察である。…
というケインズ解説を読んで、かなり分からなかったんですが、
>投資に一致するように貯蓄の水準が決まる必要がある。
というのはなぜですかね?貯蓄の一部が投資に回るから、それを逆に言っているのでしょうか?
>国民所得の調整によって、貯蓄が投資と一致する水準に決まるのである。
というのはどういう意味ですかね?貯蓄と投資の関係を成立させるために、国民所得を調整する必要があるということ?貯蓄と投資の関係が、国民所得より優先するということ?
そもそも、貯蓄の一部が投資に回るのであって、一致する必要はないのでは?なんで一致する話になってるの?
>国民所得自体が投資によって決定されるということである。
これも同じような感じでよく分かりません。
後段の部分が特に、投資が先にあって、それに応じて国民所得が決まるという書きぶりに見えて、すごく逆説的に感じたんですが…ケインズは本当にそんなことを言ったんでしょうか?だとして、なぜこの部分がケインズ革命の中核と言えるのでしょうか?
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
政府や外国貿易のないマクロ経済を考えると、財市場の均衡は
Y=C+I
のとき達成されるというのはよいでしょうか?左辺は所得あるいはGDP,右辺は消費プラス投資、つまり総需要です。いま、消費Cを左辺に移行すると
Y-C =I
となる。左辺は所得から消費を差し引いた値、つまり、消費されない所得=「貯蓄」です。均衡においては貯蓄と投資が等しいことを表わしています。貯蓄と投資が等しくないとどうなるか?たとえば、貯蓄のほうが投資より大きいとどうなるか?
Y-C > I
Y>C+I
となり、総産出より総需要より大きいことを意味し、たとえば「意図しない」在庫が積み上がり、企業は在庫を調整しよとし、生産を落とし、結局
Y=C+I
が成立するまで、Yが減少するという「調整」が続く。そうした「意図しない」在庫が存在しない状態を、つまり貯蓄と投資が等しいような状態を「均衡」というのです。
いま、ケインズが考えたように、消費は所得の大きさによって決まるとする、たとえば、単純化のため
C=a + bY
と表わされるとしてみます(消費関数)。すると、S≡Y-C = Y-(a+bY) = -a +(1-b)Yとなり、貯蓄Sも所得Yの関数となる。
真ん中の式は
-a +(1-b)Y = I
Y=(I+a)/(1-b)
となり、所得あるいはGDPは投資の大きさによって決まるという式が得られます。投資は所得以外の要因によって決まるとし、消費が所得によって決まるなら、投資の大きさがGDPを決定していることになる、ということです。
なるほど!勉強になります、ありがとうございます。
それとですね、この本には、「不況時に公共事業をやるのが広く一般にケインズ政策だと思われがちであるが、それはケインズ思想の周縁に過ぎない。この話(質問文の話)こそがケインズ革命の中核である」という風に、この部分を特筆するような書き方がされていたのですが、なぜこれこそがケインズ革命の中核である、と言えるんでしょうか?
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