[ 加計学園 ] 白紙からやり直されるべきである理由ーその３：誰も責任を取らない。

Question

現在、加計学園獣医学部新設について、認可すべきか否か文科相の設置審議会で審議されています。
国家戦略特区の基本方針は、『 産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成 』であることはみなさんすでにご存知のとおりです。
加計学園の獣医学部新設も、当然その要件に合致している必要があります。
そのため、いわゆる石破4条件も閣議決定されました。（2015年6月30日）
【 石破4条件 】
a.現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、
b.ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、かつ、
c.既存の大学・学部では対応困難な場合には、
d.近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。

ところが、加計学園が、こうした要件を満たしているか否かについての検証がまったくと言っていいほど為されていません。
つまり、加計学園獣医学部が『 産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成 』に資するようなものではない、あるいは石破四条件を満たすような大学でなかったとしても、誰も責任を負わないことになっているのが現状です。
文科省の官僚は「大学設置審議会では、加計学園が石破４条件を満たしているか否かまでは審議の対象とはならない」という趣旨の発言をしています。
https://www.youtube.com/watch?v=KfUew4RitRw（１：５４頃）
（2017年8月16日:民進党　加計学園疑惑調査チームヒアリング）
また、林文科相は「石破4条件」は検証せず認可判断を行なう、と言っています。
https://www.youtube.com/watch?v=owp_mtRepuU
（2017年8月8日)
文科省側がこうした判断をするのは、「石破4条件」を無視しても良いという意味ではなく、内閣府の諮問会議から挙がってきた段階で「石破4条件」はクリアされているという認識が基になっているようです。
しかし、これは全くの誤解。
内閣府の立場としては、現状は文科省告示（平成十五年三月三十一日）の第１条２項『 医師、歯科医師、獣医師、教員及び船舶職員の養成に係る大学等の設置又は収容定員増でないこと。』
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20030331006/k20030331006.html
という【規制を外しただけ】である、という認識。
加計学園獣医学部が「石破4条件」を満たしているか否かは、あくまで文科省の決めることだと言っている。このことは、上記の民進党・加計学園疑惑調査チームのヒアリングで、内閣府の塩見参事官が明言しています。
https://www.youtube.com/watch?v=KfUew4RitRw（１：５０頃）
つまり、内閣府主導・官邸主導・総理主導と言いつつも、彼らの立場としては単に（従来からあった文科省の）規制を外しただけであり、どんな内容の大学ができるのかといった点に関してまでの責任は一切持たない、と言っているのです。
極論すれば（案外極論では無さそうなのが怖いのですが）、加計学園獣医学部が結果的に「ペットのお医者さん養成学部」になったとしても、知ったこっちゃない、と言っていることになる。
要するに、加計学園獣医学部が国家戦略特区の基本方針に合致したものであるか否かという点については何の検証もされておらず、誰も責任を持たないわけです。
このような、府省庁間の責任のなすり合い・無責任を背景にした大学ができるというのは、国民にとっても、そして何より当の加計学園そのもの及びそこに入学する学生にとっても極めて不幸なことではないでしょうか。
内閣府は全ての設計図を手に入れているはずです。
文科省の設置審議会に下駄を預ける前に、各省庁を主導しつつ、国家戦略特区の基本方針に合致したものであるのか否かという点について、新たに検証する（または改めて検証しなおす）べきだと思います。
こうした現状から見て、加計学園の獣医学部新設は、最初に戻って白紙からやり直されるべきであると思うのですが、みなさんはどう思われますか。