No.1ベストアンサー
- 回答日時:
αへリックスは分子内の構造ですが、プリオンのβシートの場合は分子間の構造になります。
βシートをとることにより難溶性となり、aggregation を起こします。分子間のβシート構造はプロテアーゼに認識されにくいこともありますが、難溶性であることもプロテアーゼで切断されにくい大きな理由だと思います。それからαへリックスからβシートに変わる理由ですが。まだ仮説の段階だと思いますが、βシート構造を鋳型として、αへリックスからβシートに変わると考えられています。ですからβシート構造のプリオン(異常プリオン)で汚染された食品を食べるとBSE(人の場合はクロイツフェルト・ヤコブ病)が感染する可能性があると考えられています。
この回答への補足
「プリオンのβシートの場合は分子間の構造になります。」
下記URLでは分子内構造のように表されていますが… 確かに一般的なβシートは分子間の結合構造の1つです。しかし,異常プリオンは分子内に逆向きにβシート構造があるためにそれが結合しているのだと思っておりました。良いURLが見つかりませんでしたが下記を参考にしてください。
http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/chem8/prion …
我が家の子供の話では,「βシート構造の方が強固な結合で,熱・酸等の影響も受けにくく,立体構造も変化しにくい。だから酵素の活性中心にくっつかないんじゃないの…。私は知りません。」これが本当かどうか判断する知識を残念ながら持ち合わせませんので質問した次第です。
No.4
- 回答日時:
一年以上前に大学院講義で聞きかじったことを少しだけ…。
正常プリオンが異常プリオン化する際の分子シャペロンになるのは異常シャペロン自身であると考えられています。
すなわち、異常プリオンは一塩基のミューテーションにより、αへリックスよりもβシートのほうが安定なわけなんですが、その異常プリオンが正常プリオンと接触すると、単独でαへリックスを形成するよりも異常プリオンとなってβシートとなって異常プリオン同士でくっついているほうが安定であるとか。
さらに、異常化してしまったプリオンは別の正常プリオンのシャペロンとなって…という話でした。
異常プリオンはそのβシートによる分子間結合でいわゆるアグリゲーションをおこして…。
分子シャペロンと言うのは、結局のところ、化学で言う触媒みたいなもので、より安定なタンパクに組み変わるのを手伝うみたいな感じなので、この場合は役に立たないんじゃないかと。
ちなみにこの講義の教官はβシートブロッカーなるものを開発中だとか。
この回答への補足
この欄をお借りして,回答下さった皆様にお礼申し上げます。未だ完全には解っていないことを,さらに生化が嫌で逃げ回っていた基礎知識のない人間に優しく解説してくださいまして有り難うございました。
補足日時:2004/10/05 16:54fujishiroさん,お元気そうで何よりです。研究の方は順調でしょうか。私は,未だ年寄りの冷や水ですが,こんな自分に理解できない質問を相変わらずしています。
異常プリオン自身が正常プリオンを異常プリオンに変えるシャペロンなわけですか。だから指数関数的に異常プリオンが増加するのですね。
また,皆さんがおっしゃってるβシートによるアグリゲーションがやはりキーワードのようですね。
有り難うございました。
No.3
- 回答日時:
イメージとしてですが、
正常プリオンは球状で分子同士の相互作用が少なく、蓄積しない。
異常プリオンは分子内に大きなβシートが形成されることにより板状になり、分子同士が相互作用しやすく、蓄積されてしまう。
と考えています。
正常プリオンが異常プリオンに変換される過程にはいくつ仮説があるみたいでして、
1、正常プリオンに異常プリオンが一分子結合しヘテロダイマーを形成し、正常プリオンが異常プリオンになる説
2、異常プリオンが複数分子凝集したところに正常プリオンが結合し、異常プリオンに変換される説
など
上記のどちらもそれなりに証拠があるようです。時間が経つにつれて正常プリオンが異常プリオンになるスピードは速くなり、異常プリオンの割合も増えていきます。
αへリックスが実際どのようにしてβシートに変わるかはまだよくわかってません。βシートの結合エネルギーはαへリックスのよりも小さいのにわざわざβシートになるというのは不思議です。
以下ほんのちょっとだけ考えた自説ですが(専門ではないので)、
一度αへリックスをほどくエネルギーが必要ですから、もしかしたら分子シャペロンなども関係しているかも知れません。ちょうどへリックスがちょっと解かれたところに異常プリオンがやってくるのか、異常プリオンが正常プリオンに結合したあとにシャペロン様のタンパク質がやってくるのか・・・
正常なプリオンは32-35kDaくらいですが、異常プリオンにプロテアーゼを作用させるとN末端側の60アミノ酸残基程度が分解され、27-30kDaくらいのプロテアーゼ耐性を持つ核が残ります。正常プリオンでのこの領域は、前後にあるαへリックスのおかげできちんとした構造をとり、プロテアーゼ感受性を示すようです。また、本来プリオンには脂質が結合しており、異常プリオンがプロテアーゼ耐性を示すためにはこの脂質が残っていることが重要だそうです。
まとまらなくてごめんなさい。
Freeuserさん有り難うございます。Freeuserさんはご専門は何かわかりませんが,細かい方が(分子)専門のようですね。
Freeuserさん説は興味があるところです。分子シャペロンやストレスタンパク,これ自体私はよくわからないのですが,私はFreeuserさんと反対になぜそれらが,異常プリオンを修復できないのかなと思っていました。
異常プリオンもプロテアーゼの作用を一部受けるわけですか。「異常プリオンがプロテアーゼ耐性を示すためにはこの脂質が残っていることが重要だそうです。」細かいことは全く不得意な悪質な脳細胞でも,何となく感覚的に理解できました。有り難うございました。
No.2
- 回答日時:
直接の回答ではありませんが、報告内容とその解明された結果も併記します。
どうしてプロテアーゼの作用をという回答は既知のプロティナーゼkが作用する形態ではなくなったからということになると思います。耐熱、耐薬品の状態は単純に折りたたみの形態を反映しているだけだと思います。質問2は現象として判明していることからの推測が限界で、異常プリオンが複製されるときに原料として正常プリオンが使われているのかも知れません。
>BSEの病原体はプリオン(prion)と呼ばれる異常な蛋白粒子で,通常のウイルス粒子よりはるかに小さく伝染性を有する非定型なウイルスとも呼ばれている.
>病原性を有する異常なプリオンが入ると神経細胞の正常なプリオンに接触して次々に変性してしまう性質を有している.異常プリオン蛋白は神経細胞の細胞質に蓄積し、空胞を形成する.
>この病原性を有するプリオンは正常なプリオンとアミノ酸の配列が違うというのでなく単に蛋白分子の折りたたみ方が変形したものと言われている.
>病原性を有するプリオンはプロティナーゼKに耐性を有する糖蛋白より成り,神経細胞の表面にある正常な糖蛋白(PrP)を次々に変性して細胞を殺してしまい大きな空胞を形成する.また脳組織内にプリオン感染に特有なSAF(Scrapie associated fibril)と呼ばれるフィラメントを無数に形成する.
>BSEのプリオンは物理化学的処理に対して極めて強い耐性を有しており,細菌や一般のウイルスを不活化する温度や煮沸では殆ど不活化されない.
>特に乾熱に対しては強く130℃で30分間加熱しても不活化されないと言われている.OIEの基準では組織の大きさを5cm以下に細分したものを133℃以上,3気圧で20分以上の高圧滅菌が必要であるとされている(2).従って解剖や手術に使った器具も煮沸するだけでは危険で十分に時間をかけて高圧滅菌する必要がある.また,BSEを扱う実験室はP-3レベルの隔離施設が必要とされている(3).
>一般にプリオン病原体はイオンや紫外線の感作に対しても強い耐性を有している.薬品に対する耐性はまちまちで,ホルマリンでは不活化されず逆に病原性も固定されてオー
トクレーブで高圧滅菌しても不活化されなくなる.
>死体の処理は完全焼却が最も確実な方法である.
参考URL:http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/bse/bse1. …
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