

No.3ベストアンサー
- 回答日時:
gern と gerne の違いについての質問はこれまでにも何度も出ていて、私も複数回答えています。
本題に入る前に、基本的なところで誤解があるようなので、そちらを先に押さえておきます。
gern/gerne は前置詞ではありません。副詞です。変化はしません。
前置詞も変化しないので、質問文は二重の意味で誤りということになってしまいますが、形容詞とでも間違えたのでしょうか。
品詞の分類と認識は文法の基礎として大事なので、確認しておいてください。
さて、副詞は変化しないので、gerne は gern の「文法的な変化形」ではありません。
gern と gerne は全く同一の語で、二つのヴァリエーションに過ぎません。
したがって、複雑な変化の法則に「どちらでもいい」というケースが加わるわけではありません。
形容詞や動詞の変化は、いくつかの例外を除けばみな文法で決まっていますが、
副詞である gern と gerne は、意味、文法、文体すべての面で全く同じであり、使い分けの規則はありません。
ドイツ語を始めたばかりならそれだけを覚えてもらえれば十分なのですが、気になるようなので少し詳しく書きます。
ドイツにも、ここと同じような質問サイトが多数あります。
そのほとんどに、gern と gerne の違いについての質問が投稿されています。
ドイツ語を学ぶ外国人からの質問もありますが、ドイツ語を母語とする人からの質問も多くあります。
回答者たちは文法の専門家ではなく、ごく普通のネイティブ・スピーカーなので、
個人的な印象や意見が多く投稿され、主張はかなりバラバラです。
こういう質問がありました。
ドイツで文筆の仕事をしている人ですが、自分の著作の中に gerne を使ったところ、
編集者から、「gerne は方言であり、ドイツ語の書き言葉ではないので gern を使うように」と要求されたそうです。
その編集者は、「最新の小説などで gerne を使っている例があるのなら挙げてみなさい」とまで言ったそうです。
ドイツには、Dudenという有名な辞書の出版社があります。
そこの辞書は日本で言えば広辞苑のようなもので、多くのドイツ人が日常的に信頼して使っているものですが、
その辞書には、gern も gerne も違いはなく同じように使えるとあり、質問者もそれを確認済みでした。
回答者の中には、その編集者の意見に同意する人はいませんでした。
実際、最近のドイツ語の書籍の電子版で検索をかけてみると、
同じ作品内で gern と gerne はほぼ同じくらい使われている例はいくらでもあります。
ただし、どういう場合が gern でどういう場合が gerne かという法則性は見出せません。
ドイツのサイトの回答者の中にも、いくつかの書籍を調べてみて、gern と gerne の出てくる頻度が全く同じか、
あるいは gerne の方が多いものもあるという報告をしている人がいました。
gern のほうが gerne よりもエレガントだと感じている人もいましたし、全く正反対の意見の人もいましたが、
全体的にはどちらも使うという意見で、むしろgerne の方を好むという人の方が若干多いくらいでした。
以前見た別の質問サイトでは、gerne は子供が使う言葉だと回答しているドイツ人もいました。
地方によって違うという意見も当然ながらありました。
ただいずれにしても、今はもう gern しか使われていないし使ってはいけない、という編集者の主張は暴言と言えます。
しかし、gern のみが正しいと思い込んでいるドイツ人やドイツ語ネイティブはかなり多いようです。
スイスに文法専門のサイトがあり、専門家によって製作、運営されているのですが、
ここには文法家が回答してくれる質問コーナーがあります。
そこにも、「gern と gerne のどちらが正しいかという議論が仲間うちでされていて、
その中の一人は、gerne などという言葉は存在しない、gern だけが正しい、と主張しているのですが、
gerne という言葉はないのでしょうか?」という質問が寄せられていました。
文法の専門家の回答は、「このサイトのドイツ語辞書には gern と gerne の両方が載っており、
ほかのドイツ語辞書も同様です。存在しない言葉は辞書には載せません」となっていました。
さらに、「意味的にも文体的にも全く違いはなく、gern だけが正しいという説は聞いたことがありませんし、
何の根拠もありません」という回答が続いていました。
確かに、現代では gern の方が多く使われる傾向があります。
先ほど Duden という辞書を挙げましたが、同じ Duden 社から出ている「文体辞典」には、
「gern, (seltener:) gerne」と表記されていて、gerne の方が使われる頻度が少ないとされています。
また、ベルリンの科学アカデミーがネット上で運営している辞書でも、gern が見出し語になっており、
gerne は口語(umgangsprachlich)という表記です。
ただ、この傾向が自然なものなのかどうかには疑問もあります。
ドイツでは、新聞、雑誌、放送局などの編集部が独自に方針を決め、
特定の単語や表現を限定的に使用してほかを排除することがあります。
その選択が必ずしも良いものでなくても、大衆が毎日読んだり聞いたりしていくうちに、
だんだんそれが標準になり、正しいと思われてしまうということが実際に起きているようです。
先ほどの編集者の話を読んでも、かなり強引に gern に統一させようとしているように感じるので、
もしかするとそういう事情も背景にあるかもしれません。
たとえば、Duden と同じくらい信頼されている Wahrig という辞書では、
逆に gern を引くと「gern = gerne」とだけ書いてあり、その下に gerne の見出しで意味が出ています。
gerne の方が正規の形という表記です。
ヨーロッパでもっとも発行部数が多い Spiegel というドイツの週刊誌がありますが、
その Spiegel のホームページにドイツ語に関するコラムがあり、やはり gern と gerne が取り上げられています。
ここの記事が一番わかりやすいのですが、gern と gerne では、gerne の方が古い形だとあります。
さらに調べていくと、最も古い形は gerno でした。
gerno から gerne に変遷し、その後末尾の –e が脱落するようになったというのが歴史的な流れです。
そして、ドイツ語に限らずどの言語でもそうですが、話し言葉というのはどんどん短くなる傾向があり、
gerne の末尾の –e のように文法的に何の役割もしていないものは自然と消滅していくものだということです。
ただ、この –e の脱落は近年になって始まったことではなく、数百年前にすでに起きています。
にもかかわらず、いまでも gerne の語形が十分残っているのは、存在価値があるからでしょう。
gern よりも gerne の方を好むドイツ人がまだたくさんいるのも、歴史的な変遷からいえば理解できることで、
元の形は gerne、 gern は本来省略形なのです。
では、gern と gerne は単なる好みや地方による差だけで、使い分けが全くないかというと、これはかなり微妙な話です。
たとえば、前後にほかの単語がなく、単独で使われる場合は gerne の方がよいというドイツ人が目につきます。
誰かに何かをしてあげて、Danke! とお礼を言われた時、「どういたしまして」の意味で一言返す場合は、
Gern! よりも Gerne! を使うことの方がずっと多いという印象はあります。
しかし、同じく「どういたしまして」の意味で使う Gern geschehen という言い回しの場合は、
Gerne よりも Gern の方が多用されると傾向があると思います。
しかし、「お茶を一杯いかがですか」と勧められたとき「喜んで」と返す時は、
gern の形もよく聞きます。この場合はどちらでもよいと思います。
文末や文の切れ目の前に出てくる場合も、gerne になる傾向が若干あるかもしれません。
単語の並びについても、母音が続くから、子音が続くからという単純な法則は立てられませんが、
たとえば「喜んでします」という場合は、 gern tun よりも gerne tun の方が発音しやすく感じます。
ネットで書籍検索をしていると、単語の並びは全く同じなのにもかかわらず、
gern を使った文と gerne を使った文の両方がすぐそばで使われていることがあります。
これらを注意深く見ていると、文全体の流れやリズム(音節の数)の関係で変えていると思われる例が時々あります。
また、gerne の方を改まった言い方、もしくは強調的な表現として、
gern の方をくだけた口語表現として使っているように感じられる文章もあります。
しかし、いずれにしても規則化はできません。
どちらにしてよいか迷う場合は gern を使っておけばよいでしょう。
ドイツ語をたくさん読んだり聞いたりしていくうちに、
この言い回しの場合は gern をよく聞くなとか、
この場合は gerne と言うことが多いなと感じることがあると思います。
そうやって感覚的に慣れていくしかないでしょう。
ありがとうございます。
すみません。副詞/前置詞の間違いは申し訳ありません。言い訳は致しません。
多くのやり取りがあるこの違いに早く気づいたことは自分でもうれしく思います。
この使い分けには、歴史があるということと、最後に仰られた「感覚的に慣れる」ことに
感動を覚えました。
精進していきたいと思います。ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
なぜgerneになったのかはもう覚えていません。
ただ山仲間の友達に聞かれると、
Ja! Ich bin gerne bereit.、またはお道化て
Jawhol! Ich bin gerne bereit.と答えていました。
(Jawholは、„Verstanden?“ – „Jawohl, Herr Leutnant“の様に
ミリタリーでよく使われます。)
それがスイスに近い南ドイツでは普通だったのか、山仲間では
そうだったのか、または gern bereitとすると、n-bと続くので
発音し難かったのからかは、もう分かりません。
今となっては「古い奴ほど、古い表現を好むものです。」
あっしらも消えて行くのですかね~、としか言いようがありません。
楽しく学習出来、ありがとうございます。
冗談ですが、Leutnant 殿には gern bereit ! の方が長靴の踵をカチッ!!と合わせる情景が目に浮かんできますが。
dr.Doktor(Professor?)の人たちには柔らかく流れるのがいいのかもしれません。
ところでこれも余談ですが私は、山岳兵のあの Edelweiß の帽章が好きです。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
gern も gerne も変わりはありません。
次のHPに gern oder gerne ? としてQ&Aがあったので、
回答部分を参考までに訳しておきました。
「回答は簡単で明確です。意味に付いてもスタイルからも
違いはありません。朗報の形とも標準語です。今日では
eの無い形(gern)を聞いたり読んだりする事が多くなって
います。」
<Die Antwort ist einfach und eindeutig:
Es gibt keinen Unterschied, weder von der Bedeutung noch
vom Stil her. Beide Formen gehören zur Standardsprache.
Heutzutage hört und liest man immer öfter die Form
ohne e (gern).>
ちなみに、私はgerne派です。
大変ありがとうございます。
一つのTEXTにページが離れた例文として記載されていますが、
このような解説がありませんでしたので、質問させて頂きました。
いろいろな「変化」に振り回されている私には、「どちらでもいい」
という選択も加わることになります。
愚問します。
現在は、gernの形が多い由ですが、まだ(?)gerne派と仰るのは
どうしてでしょうか?
言葉の繋がり・響きなどが良いからでしょうか?
最初の出会いがgerneだったからでしょうか?
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