No.1ベストアンサー
- 回答日時:
興味深く,且つ重要な質問であると思います.
普通オリジナリティというと独創的とか他の人が考えつかないことを考えたとか結果だけに注目した意味に使われています.この場合天才について考えないことにします.天才がどうしてそのようなことを可能にしたかはもしその理由がわかってもほとんど参考にならないからです。
夏目漱石はオリジナリティを内発性と訳していたと思います.漱石は長い歴史を持つ日本の文化が惜しげもなく捨てられていくのを悲しく思っていたのではないかと思いますが当時の日本人にオリジナリティが欠けていることを悲痛な思いで見ていたのではないでしょうか.つまり漱石はきっかけは外から来たにしても自分の頭ので十分に熟成させて自分なりの結論を出すことをオリジナリティと考えていたと想像されます.それではどうしてオリジナリティが独創性というように考えられるのでしょうか.それは自分の頭の中で熟成させるようなことは他の人はあまりやらないので,結果的に独創的なことになるからだと思います. 自分の頭で考えないで外国で流行しているものにすぐ飛びつくというのが最もオリジナリティがないということになるのだと思います.
漱石の内発性のお話はとても興味深く読ませていただきました。これは造り手の視点からすると内発性、傍観者の視点になると独創性になるのではないかな、と思います。それから主体性というのも内発性に非常に重要な関わりを持っていると思います。主体的な姿勢というのが、物事を自己の意思に基づいて選択出来る状態だとすると、結果的にそういう姿勢は、うけうりや流行への迎合と結びつく可能性が少なくなるのだと思います。主体的な模倣、特にその後の生産活動においては、模倣する対象のよさを完全にとりいれながら、個人的嗜好を含む自分の環境とその要求される事に基づいて修正していく(例:セザンヌの模倣→キュビズム)、ということからも解ります。
キース・リチャーズ(でしたっけ?たぶん)の言う、「完全なオリジナルは存在しない」、というのも、結局は文脈の流れから、どうしてもその生産物の中には他と共有する事象が含まれる、ということなのだと納得できます。これも、彼の造り手としての立場からの内発性ゆえの言葉なのだなぁ、と思いますけれども、絶対的な視点のオリジナルはそういう意味で存在しないともいえますが、相対的に見て、やはりオリジナルは存在すると思います。日本の室町時代に建てられたお城などは、確かに古代から取り入れてきた中国の建築様式の流れはありますが、オリジナルなものだと思います。
ここで、オリジナリティ(内から見て内発性、外から見て独創性)のある作品、というのは完全に作家の主体性に基づいて造られた物であるということが解るのですが、そんなこと、言ってみれば当たり前でしたね(笑)。いやしかし、他人の評価や、お金や、社会のお決まり事等といったさまざまな要因が、そういう当然のことをできなくしていることってよくありますものね。
とにもかくにも話は逸れる一方なので、最初の質問に戻らせていただきますと、いろんな作家がいる中で、例えば、ゴッホやバスキアやバルザスやフロイドなどのように、どのようにしてもああいう絵しかかけなかった人達もいれば、ピカソなどのように幾つにもスタイルを変えることのできたもいたということは、無意識的にも、意識的にもオリジナリティは表現されるのかな、と結論づけるようになりました。どうもありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
又お邪魔します。
私も自分の課題として考えているわけですが、こんな話を聞いたことを思い出しましたので書いてみます。ある日本のメーカーが、あるオランダ(だったと思います)が作っていた製品の特許が切れたので、その製品と同じものを作って自社製品として売り出したのだそうです。そしてそれなりに良く売れるので気をよくしていたところ、ある日そのオランダの会社から抗議の手紙が来たのだそうです。特許の問題はないのに変だなと思いながらさっそく読んでみると、あなたの会社はその製品を作るために存在しているのか。そんなことはないでしょう。わが社がかつて作っていた製品を貴社が作ることは貴社のoriginalityではないでしょうという文意だったそうです。それを読んだ担当者は勿論オリジナリティはオランダの貴社にありますという返事を出したそうです。折り返し返事が来て言うことにはオリジナリティとはいわば貴社の設立の趣旨から出てきたものではないですかという皮肉なものだったということです。
よっぽどそのオランダの会社はその製品が他社で作られるのが気に食わなかったんでしょうね^^。度々お付き合いくださりありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
三度目のコメントになりますが,主体性という言葉が出てきたので,あるいは参考になるかもしれないと思い,少し書いてみます。
創造性というと何か価値のようなものと結び付けられる様に思います.これはパテントとかプライオリティという制度なり概念と関係してきますが創造性というのは時間的前後関係とはむしろ相反するものではないかと思われます.つまり創造性の中の新しいというのは時間を超越して新しいのであって古くなるものではないわけです.古来学者や芸術家は業績や作品を広く公表することを嫌っていました。ところがパテントやプライオリティという制度によって真の創造性が持っている、時間を超越しているという性質が隠されてしまったと考えられるのではないでしょうか.きわめて興味深いのはこれと同時に作品や業績に価値(御金に換算できるような?)が付加されたように思われることです.
主体性というのは実は他の物の役に立たないという特徴があると思います.ここにも大きな逆説がありそうです.主体性というのはその主体性のためにのみ存在しようとしています.しかしそれは原理的に無理であるので主体性は何か役に立つものを代理に使わなければなりません。この結果生じるものが創造性であろうと考えています.
時間の超越のお話についてですが、これは創造性の特に芸術分野における美学的要素において頻繁に起りえることだと窺います。美的価値は新古関係な人間(知的生命体)の本来備わっている肯定的感覚や良心といったものに訴えかけるもので、創造性の内的要素、と捉えることが出来ると思います。それに対して、外的要素、つまり、時代(その環境とそのときに必要とされる物事)によって変化し、物質的なもの、俗に言う「スタイル」といった表面上において認識可能にする要素に関しては、これは避けることが出来ないながら、時代の相互関係の中に存在するものだと思われます。ちょうど、精神と肉体の関係ですね。昇華された精神は時間の影響を受けない、ということだと思います。
そこに、美的価値、内的な精神性においての価値、に人々が惹かれるのは当然で、まさしく其れ故の芸術であったわけで、そこに存在価値があるのは当然のことになってくるかとは思います。しかしながら、オリジナリティ(ここでは独創性)というものをそれと認識させるのは創造性の外的要素で構成される訳で、これは時代の流れに影響され(古くもなり新しくもなる)、その出現の必然性は文脈によって説明されます。現代美術においてオリジナリティが最重要視されてきた傾向は、(余談ですが)個人的には精神的価値を軽視しているようで疑問を感じます。時間に淘汰されるものを最優先させるのは同意しかねる、といったところです。現代の社会制度はそういった精神的価値を守ろうという流れと外的価値の重要性を評価しようという流れがあり、残念なのは客観的な価値の尺度というのは今のところお金ぐらいしかない、というのが現状なのだということではないでしょうか。
主体性というのはその造り手の精神に宿る生命が本来持っている生殖本能の行動原理に付随するものなので、もちろん物質的に役に立つわけはないですけれども、間接的には、その者の持つ姿勢が他に与える影響というものは計り知れない、ということがありますね。歴史に残る先駆者たちを見れば彼らの主体性がどれほど他に影響を与えてきたか一目瞭然です。ただ、主体性はその者の持つ行動原理のために存在(親子関係)するので、例えば、ベクトルが創造性に向いていれば創造的に、破壊性なら破壊的に働くのはごく自然の事だと思われます。
再びご登場ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
私事ですが…
何かを想像しようと「意識」し、創造は「無意識」から出てきます。意識し経験の中から、あるいは人生の全てから、知人の経験意見、あるときはどこか見た何か映像、情報…その全てに意識をめぐらし、刺激し、目の前の粘度をこねる様に考えをめぐらし、疲労し、何かの瞬間に無関係な事実と根拠の無い構想が生まれます。考えようと意識したあとは無意識的に「何か」を探していると言う…そうやって自分を追い詰めた(られたTT)時、想像されるアイディアは、後で見ても何故思いついたか分からないものが多いです。その時の自分の出せる120%の力が出る、そんな事もあります。自分を「天才」だと「錯覚」し自分を信じ、必至で考えます。
そうすると、「!」と浮かんだりしますね、その前の行動やしていることは全く関係ないことが多いですよ^^;見た目はただぼー…としているようにしか見えないので悲しいですけど(笑)
サルバドール=ダリの有名な話を思い出します。彼はカンバスの前に椅子を置き、そこに座り手には「スプーン」を持ち眠りに付くそうです、そうしてうとうと…寝入った瞬間落ちたスプーンの音で目が覚める、彼はその寝入り時に見た夢を描き続けたそうです、夢は空想と似ている、疲労によって脳の視床の機能が弱まり(外からの情報を無意識的に選び選択している・体は1つしかないから)外部のあらゆる情報が脳へ入り、脳からは視床より押さえられていたあらゆる情報が脈絡も無く出てくる、そういった中から「ひらめき・有用な考え」が浮かぶとも聞いたことがあります。
私の場合、常に何かを引き出そうとしているので(もう癖ですねこれは)脳は疲労気味なのかもしれませんTTネタが出ないと非常に苦しいです。アイディアの世界は規則がありません、言い換えると何をしてもよい、更に言うと、答えは1つでもないし、どれが間違っているのもありません、そして、だからこそ「誰にもどうしたらいいか」聞けないのです。どうすればいい?と聞きたいことでしょう、ですが、基礎は教えれても、その後の世界は「無限」です。自由であるがゆえに先が見えないのですね。
う?長いぞ?意味の分からない事ですみません^^でも「何も無い所から何かが出る」その苦痛は思いついた時は快感そのものですね(だからやめられない)脳内麻薬でっぱなしーー;
そうですか、脳内麻薬出っ放しですか。羨ましいです^^。そうですか、創造は無意識から出てきますか(納得)。アイディアについては確かに誰に教わるということではないですよね。オリジナリティについてですが、誰も思いつかないアイディア=オリジナリティということでお話されている、ということでよろしいでしょうか。とりあえずそういう風にこちらで勝手に解釈しています。
元々の質問の意図としましては、オリジナリティ溢れる作品は、作家が意図的にオリジナリティがあるように見せようとしてそうなったのか、それとも一生懸命作った結果、勝手にそうなっちゃったのか、が知りたかったところなのですが、よくよく考えてみると、両方のケースがあるのだな、と今は思うようになりました。ダリのお話は興味深く読ませていただきました、大変ありがとうございました。
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