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【SDGs】2030年に向けての持続可能な開発目標で石灰石で出来た紙がエコロジーだと紹介されていました。

石油由来のプラスチックペーパーや植物由来のペーパーより石灰石のペーパーが1番エコロジーって本当ですか?

世界の全ての紙を石灰石のペーパーに変えるとエコになるのですか?

A 回答 (1件)

残念ながら過渡期に見られる「浮かれ現象」です。



石灰石ペーパーは石灰石、CaCO3、の粉末をポリオレフィン樹脂で固めた物で、
それぞれの比率は約50:50です。

原料の石灰粉末の製造には、採掘、運搬、精製、粉砕(粉末化)のエネルギーが
必要です。樹脂には、当然プラスチック製造のエネルギが必要です。
両方のエネルギコストが樹脂より低いとは思えません。

粉末と樹脂を混ぜて、例えばトレーに成形する場合には、樹脂単体からなるトレー
よりも遥かに多くのエネルギが必要です。また、成形装置の保守管理も遥かに
困難なものに成ります*。紙も同様と思います。 *経験者です。

製品は、石灰石の比重が3.3で樹脂の比重が約1.0ですから、製品の比重は約2,2と
なります。遥かに重いのです。紙の比重は0.6~0.9程度と言われていますので、
1/3の厚みでなければ、重さ的には釣合いません。

最も問題に成るのがリサイクルです。
パルプからなる紙は、リサイクル体制が確立されています。日本では回収率80%
以上で、再利用率60%以上です。また原料となる木材も乱伐された物では無く、
管理伐採された物がほとんどです。その新鮮木材も再利用率60%強を補う40%弱で
間に合うのです。
石灰石ペーパはリサイクルルートもまだありません。それが紙のリサイクルルートに
混入すると大きな問題を引き起こします。石灰石ペーパの製品特性上もリサイクル
工程はエネルギ多消費となります。例、印刷インクの除去(紙と違い、まだ無い)、
樹脂の溶解(工業的にはできない)除去、粉末の再生(コスト的に確立されてい
ない)からです。

最終処分は更に問題です。
紙は、最終的には燃やすか投棄することが考えられます。燃やせば跡形も無くなり
ますがCO2の発生に関しては、元々が自然由来なので収支ゼロです(近似的に)。
石灰石ペーパは、燃やせば樹脂から発生するCO2があり、石灰石粉末が焼却残渣と
して残ります。投棄すれば、樹脂分が石灰石粉末により紫外線から保護されるので、
樹脂単体以上に長い期間その形を保ちます。河川や海に流された石灰石ペーパは
河川や湖沼や海の底に堆積します。紫外線が当たらない低温域なので1000年単位で
残るでしょう。

プラスチックや紙の環境問題に特効薬は無く、使用しその利便性を享受している
各個人が責任を持ち、社会的な連帯を保ち活動して行く他にありません。
過渡期に現れるデマゴーグには注意してください。
数か月前までは反プラスチックヒステリーで溢れていましたが、コロナ禍の為に
プラスチック製品が人の生活と健康を護る為にどれほど重要か再認識されてます。

元材料とその成形の専門家でリサイクルにも関わって来ましたが、上の内容は
次の記事を参考にした物です。一読してください。
http://www.alterna.co.jp/28503
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