NHK特番『新シルクロード 第2集・トルファン灼熱の大画廊』
を見ておりますと、
11世紀ごろに描かれたウイグル仏教壁画の「誓願図」
が紹介されていました。
この「誓願図」には釈迦の前世の姿が描かれていたとのことです。
ぬかるみを前に立ち止まる燃燈仏を通すために自分の髪の毛を地面に敷く青年
キャラバン隊の隊長
などなど。
質問1
仏教誕生時(釈迦が悟りを開いたとき?)に
すでに前世の話があったのでしょうか。
それとも、後世に仏教が広まるときに、付随して生まれたのでしょうか。
後世とするなら、それは具体的には、いつの時代、どこの場所でしょうか。
質問2
いろいろな仏教には様様な宗派がありますが、
釈迦の前世の話は全てに共通でしょうか。
宗派や時代によって、特有の物語はあるでしょうか。
質問3
釈迦の前世の話は、トルファンの場合は壁画で残っておりましたが、
壁画で表すことは、ウイグル仏教独特のものでしょうか。
他にも例えば、文字(経典?)、紙に書かれた絵や
立体的な像として表されることはありますか?
あれば、それはなんと言う名前でしょうか。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
質問1に関してplaymobilさんの経験を積むという解釈がわかりやすいと思います。
ゴータマ・シッダールタとして生まれる以前に仏だったという説と弥勒菩薩の降臨のようにインドで生まれたのちに仏としての悟りを開いたという説があるのですが、五十一段の位を得ていれば、六道輪廻の外に出られるため菩薩としての修行が長かったとも考えられます。やはり経験を積んでいたということですね。「釈迦の前世」の話ですが。回答を書いた後でいろいろ調べたり、考えてみたりしたのですが、前世があったという事実を踏まえた上で、仏教の方便として当時のインド周辺の風習にあわせて説法したと思われます。宗教というものはえてして教祖となる人間が特別視されがちです。キリスト教のイエスしかり、イスラム教のマモメットしかり。新興宗教の教祖でも自分とは違う人間と見てしまうでしょう。仏教を説いた釈迦にしても、いくらすべての人間に悟りを開く方法があると説いても釈迦は特別だから悟りを開くことができたのだと思われてしまうと仏教のすべての人を救うという教えが伝わらなくなってしまいます。
そこで、playmobilさんが書いている通り、
>トルファンの壁画にあった、釈迦の前世がキャラバン隊の隊長というのは、交易都市ならではの発想なのかしらと思ったものですから。
当時のインドの風習であったカースト制度を打ち破るために、いろんな身分の人物として前世を生きたが仏としての悟りを開くことができたという法話をしたと思われます。キャラバン隊の隊長というのは一種の方便が壁画として残ったのでしょう。
その意味で「釈迦の前世」が生まれた時代は釈迦が説法をしていた時代。つまり、生きて説法をしていたとき。また書き残した人たちは釈迦の死後何度も仏典の編纂が行われていますから、弟子たちによって代々口伝で伝えられていたお経を紙に書き残した人たちと考えるのが自然でしょう。
前世の話で有名なのは、釈迦が前世で虎に体を与えて悟りを開くという話があるのですが。正確な出典はネット検索ではわかりませんでした。申し訳ないです。
この回答への補足
>前世の話で有名なのは、釈迦が前世で虎に体を与えて悟りを開くという話
私も少し調べてみました。
法隆寺が所蔵する玉虫厨子に捨身飼虎図、施身聞偈図が描かれているそうですね。
厨子(仏像などをおさめる箱形の容器)となると、絵画でなくて工芸品か・・・。
http://www10.ocn.ne.jp/~mk123456/nara/hou.htm
曼荼羅みたいに立体(像)がないのかしら?と思いました。
たくさん物語がある中で、確かに型(パターン)がないと立体化は厳しいかな。
>当時のインドの風習であったカースト制度を打ち破るために、
>いろんな身分の人物として前世を生きた仏としての悟りを
>開くことができたという法話をしたと思われます。
>その意味で「釈迦の前世」が生まれた時代は釈迦が説法をしていた時代。
>つまり、生きて説法をしていたとき。
>また書き残した人たちは釈迦の死後何度も仏典の編纂が行われていますから、
>弟子たちによって代々口伝で伝えられていたお経を
>紙に書き残した人たち
納得いたしました。「釈迦の前世の話」とは
様様な人へ仏教の教えをわかりやすく伝えるために、
すでに成立当初から、プレゼン用に用意されたお話ということですね。
(何をもって成立の瞬間とするか難しい問題ですが…)
そして、広がるに連れて、その場所、その時代にあった話が
生まれた可能性があるということですね。
それが具体的にどこか、いつか、どんな話かというものは
既に研究者のレベルのように思いました。
私は教えていただいたレベルで概要をつかめたので満足です。
本当にありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
質問3に関して。
そして少し、質問1について。ジャータカ、といいます。ネットで検索してもたくさんかかってきますよ。
輪廻転生は仏教以前からインドにあった思想なので、その多くを仏教が引き継いだ、と考えるのが自然でしょうね。
ありがとうございます。早速調べました!
「釈迦の前世の話」はジャータカとか、本生譚というのですね。
様様な物語が書かれたサイトも見つけました。
『ジャータカ全集』なんていうものも刊行されているとは...
>輪廻転生は仏教以前からインドにあった思想
そうなのですか!
確かに一個人(生身の人間と見立てた釈迦)が打ち立てるには、
壮大な教義ですものね。バックグラウンドがあったと
考えたほうがしっくりきます。
また、その件については、別の機会にご質問させていただこうと思います。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
質問2についてはすべての宗派を知っているわけではないので意見を控えさせていただきます。
また、質問3については原典は一切経にあるということで理解してください。質問1についてです。一切経には釈迦は昔○○王子と呼ばれていた頃という話がよく出てきます。それは地球で悟りを開く前に別の場所(宇宙のほかの星かもしれませんし、別の世界かもしれません。六道の人間界です)でもこういう風に悟りを開いたという話です。
地球上では釈迦の前に正覚の悟り(仏の位)を開いた人間はなく、釈迦の後にも悟りを開いた人はいません。悟りとは実は五十二段階あり、五十一段が菩薩の位、五十二段が仏の位になります。ダルマさんで有名な達磨大師は面壁九年という厳しい座禅の修行を行い壊疽を起こした手足を切り取ることになりましたが、生涯で到達した悟りは三十八段までだったと言っています。さらに現在菩薩の位にある弥勒菩薩がトソツ天で修行を行っていますが、仏の位を得るまでには釈迦入滅後56億7千万年かかると言われています。人間の寿命ではとても無理ですね。
仏教というのは釈迦によって作られたものではなく、六道から解脱するための真理です。悟りは転生を繰り返しても残りますから(ただし、四十一段の仮乗の位まで到達しないと退転といって崩れます。四十一段以上は不退転といって崩れなくなります)、はるかな六道輪廻のうちに仏の悟りまで到達した人間が先達となり釈迦のように解脱の方法を説法などによって残していったものと思われます。
ただ、自力での修行はあまりにも厳しく、解脱までに気が遠くなるような時間が必要なことから、すべての仏は人間を救うことは無理だとおっしゃったようです。その中で阿弥陀仏だけが、すべての人間を救うと誓願を立て、一度菩薩の位に降りられて修行しなおした結果、観無量寿経にとかれた四十八の誓願を立てられ、他力による救済を確立されています。
この阿弥陀仏の救済は生前はっきりとした形でわかるもので、救済されると自分が今まで生きてきた前世のことがすべてわかります。
仏典にすべて書いてありますので、一切経を原典で読むことをお勧めします。
丁寧なご回答ありがとうございました。
質問1に関して、「釈迦の前世の話」は、教義の面でとてもよくわかりました。
釈迦が仏になった時が、五十二段目の悟りを開いたということで、
それ以前の前世で、五十二段目をクリアする前までの経験を積んで
いらっしゃった、故に「前世の話」が存在するということなのですね。
(間違っていたらご指摘ください…)
ただ、歴史学的に見て、仏教が成立したのは、
紀元前5~4世紀頃だと理解しているのですが、
「釈迦の前世の話」ができたのは、釈迦自身の話、
もしくはそれ以降だと考えました。
歴史学的に見て、「釈迦の前世の話」が生まれた時代と場所、
加えて、誰が言ったのか、誰が書き残したのかを
もしご存知でしたら、教えてください。
質問2にも関係するのですが、「釈迦の前世の話」は
おそらく原始仏教といわれている時代に既に固まったものだと
予想しているのですが、
伝播の最中に追加されたり、アレンジされたりしているのか、
大変興味があります。
トルファンの壁画にあった、釈迦の前世がキャラバン隊の隊長というのは、
交易都市ならではの発想なのかしらと思ったものですから。
また、質問3に関して、
「釈迦の前世の話」の原典は全て「経」にあるとのこと。
納得いたしました。
それを踏まえて、原典の「経」、今回の「壁画」以外の
表現はございますでしょうか。
もしご存知でしたら、教えてください。
もしカテゴリーが歴史であったら申し訳ございません。
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