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No.2
- 回答日時:
山(山林?)の売却に際して確定測量が必要だなんて誰が言っているのでしょう?
日本人にとっては,”土地”というのは重要で,面積がちょっと違うだけで何十万円(場所によってはもっと)の違いが出てくるほどに高価な財産だったりします。でもそれは土地全般について言えることではなく,都市部や住宅地にある宅地等に限られたことだったりします。
その価値あるものの価値を示すために,土地の境界には境界標が設置されていたりもするんですが,価値があるがために境界標を勝手に設置することはできず,もしも設置するとしたら,隣地所有者にも確認してもらったうえで設置をし,その結果土地の地積(土地の面積)が変わるようであれば,その登記もすることになります。
でも山林や原野って,そんなに価値はないですよね。下手をすると固定資産税もかからないレベルの価値しかありません。そんな土地のために,隣地所有者に立ち合いを求めて境界標を設置する人なんてまずいませんし,そのためにお金をかける人もいないでしょう(境界確認に際して,隣地所有者が遠方にいるようであれば,現場に来てもらうための日東旅費を負担することになるだろうし,既存の境界標の有無の確認や測量については土地家屋調査士に依頼することになる)。
登記簿に表示されている地積だって,いつそれが算出されたものかだってよくわかりません。いつ測られたものかわからない,登記簿の前身である土地台帳の地積(その地積は坪表記)を平米換算して得られた結果をそのまま登記しているだけで,それだけの地積が実際にあることの確証がないんです。それどころか,その山林が現地のどこにあるのかすらわからない山林だってあったりするんです(登記所備え付けの公図がそもそも正確ではないので,現地の地図と照合しても位置を特定できないことがある。地図には土地の正確な境界なんて表示されていないのでそれは当然のことなんだけど。しかも相続で承継されている山林については,所有者である相続人が,その山林の場所すら知らなかったりする)。
隣接山林との境界が不確定だから境界標なんて設置できないし,設置しても埋もれちゃってわからなくなることがある。境界がわからないから測量なんてできないし,それを無理やりにしようと思えば,周辺地一帯を含めて,境界標のある土地の境界標や,公的な基準点からGPSを駆使して境界不明地を囲い込み,その範囲にある土地の所有者全員(いったい何十人,何百人になるんでしょう)に立ち合い協力を求めて境界標を入れていくといった作業が必要になると思われるものの,価値のない山林なんて相続の登記をするだけ無駄といった発想から所有者不明土地になっている山林がものすごく多いので,それをすること自体が事実上不可能です。
こんな事実があるにもかかわらず山の確定測量をしなければならないだなんて,どこの誰が言うんだろうという感想しかありません。
山が個人所有の場合で,その山で災害が起こったときであっても,国や自治体は,その山林の災害に即時介入することはできません。所有権が排他的権利であるために,所有者の許可を得ない介入は,その所有者の権利侵害になってしまうからです。逆にいうと,その山の所有者が全責任を負うことになります。せめて相続の登記や住所変更の登記でもしていてくれれば,自治体からの連絡もできそうですが,所有者不明土地になっている山林についてはそれもできません。すぐ目の前で,人が生命身体の危機に陥っているような場合でない限り,緊急避難条項も適用できないので,現行法制ではどうしようもないんですね。
そこで今年の4月に法改正があり,施行時期は2年内でいますぐではありませんが,相続の登記と所有者の住所変更登記については義務化されることになりました。条文規定では10万円以下の過料もあることになっています。
またそれに併せて,相続人が所有を希望しない土地については,法務大臣の承認を得て国庫帰属させるための相続土地国庫帰属制度がスタートするはずです。
とりあえずはこの相続土地国庫帰属制度の開始を待ってみてはどうかと思います。
【参考】令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント
https://www.na-shiho.or.jp/media/2245/%E4%BB%A4% …
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