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No.2
- 回答日時:
王水に溶けない、または表面だけ侵される金属は、他にはニオブ、タングステンがあるようです。
つまりバナジウム族元素についてニオブ、タンタルが、第VI族a元素についてタングステンが、白金族元素についてルテニウム、ロジウム、イリジウムが王水に耐える元素になります。siegmundさんの御回答と同じく、私も白金族元素とその他の元素では状況が異なると思います。白金族以外の元素では不動態を作ることが王水に耐える理由で、白金族元素については確定的なことはわかりませんが、おそらく塩化物のできにくさ、また生じた塩化物の水への溶解性などが関わっているのではないかと考えています。
金の王水への溶解機構については、発生機の塩素によるものといわれています(王水の中に生成している塩化ニトロシルNOClによっては、100℃においても侵されない)。参考文献(※)には
「……金の溶解は式(3.8)に示すような単塩の生成のほかに、式(3.9)および式(3.10)に示すような錯塩の生成によって、大いに助けられている。
Au+3/2Cl2=AuCl3 (3.8)
AuCl3+Cl-=[AuCl4]- (3.9)
Au+3/2Cl2+H2O=[AuCl3O]-- + 2H+ (3.10)
」
と書いてあります。それに対して、王水に不溶のルテニウム、ロジウム、イリジウムの塩化物は金属を塩素気流の中で赤熱させて作られるようですが、これらの塩化物の無水物は水にも酸にも溶けないようです。
つまり、金は塩素と容易に化合し、その塩化物は水に溶けて錯塩を作ることができるが、ルテニウム、ロジウム、イリジウムは塩素と化合しがたく、その塩化物も水に不溶ということが、王水に対する反応性が異なっている理由ではないでしょうか。表面に生じた塩化物が不動態となっていることも考えられます。
以上は今の段階での推測に過ぎず、私も専門家ではないため詳しいことはわかりません。
(※)参考文献
千谷利三:新版 無機化学,産業図書,昭和34年.
(内容はやや古いですが、詳しい製法など具体的な記述が多くてわかりやすく、私が気に入っている本です。旧版は昭和22年発行のようで、名著と思います)
溶解機構についての丁寧な回答をありがとうございました。
僕なりにもう少し調べてみたところ、どうも、Moについても難溶性とのことでした。
さらに、Crについては、Cr2Nは難溶性ということがわかりました。
NOClの存在が関与していることについては知っていましたが、[AuCl3O]2-については知りませんでした。
そのような機構だったのですね。
まだまだ勉強不足なようです。
私なりには硝酸のほうが関与しているのかと思っていたのですがどうやら見当違いだったようです。
参考文献調べてみます。
私は一応化学屋のはしくれなのですが、専攻が生物化学で金属関係については全く見当もつかず、困っていました。本当にどうもありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
物理屋の siegmund です.
こういうことは素人ですが,昔々単なる興味で調べたことがあります.
もう一度,理化学辞典など見てみました.
○ タンタル
フッ化水素酸以外の酸に不溶
酸に不溶であり,強酸とくに硫酸に対する耐食性が強く,
150℃の発煙硫酸でないと溶けず,耐酸性は貴金属以上である
○ イリジウム
水,酸,王水に不溶.
○ ロジウム
熱硫酸,加熱した王水に可溶
○ ルテニウム
水,酸に対しては安定であるが,空気を含む塩酸と王水には徐々に溶ける.
なるほどね~.
youyouyou さんの書かれているとおりですね.
上の4つのうち,タンタルと他の3つ(貴金属)はちょっと状況が異なるようです.
溶ける溶けない,は王水中で金属状態が熱力学的に安定かどうかで決まります.
あとの3つが王水に溶けない(溶けにくい)のは,
この熱力学的理由によるものだろうと思います.
不動態を作ると,熱力学的に金属状態が不安定でも反応が進まなくなります.
タンタルは不動態を作っているように思います.
> イオン化傾向の強い金ですら溶かせる王水
イオン化傾向の小さい,ですよね.
専門家の方の回答を待ちたいところです.
回答をどうもありがとうございました。
やはりタンタルは不動態をつくるのですね。
他は熱力学的安定性ということでこれについてはまったく考えていませんでした。
ひとつ利口になりました。
ロジウムについては粉末状だと徐々に溶けるらしいです。
>イオン化傾向の小さい,ですよね.
そのとおりです。初歩的なミスです。
書き間違えました、すいません…。
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