
行列Aに対して転置をA^{T}で表すとします。
Iを単位行列とした場合、AA^{T}=Iを満たす行列Aを直交行列と定義します。
参考にしている教科書(永田雅宜の「理系のための線型代数の基礎」)では、直交行列が正則であることの証明として、AA^{T}=A^{T}A=IよりA^{T}はAの逆行列であるため、直交行列は正則、とありました。
この証明に関して質問です。
AA^{T}=Iが成り立つとき、A^{T}A=Iが成り立つことは自明なのでしょうか?
ネットの記事ではAA^{T}=A^{T}A=Iを満たすAを直交行列と定義しているようなのですが、参考にした教科書では「AA^{T}=Iを満たす行列Aを直交行列」と、片方しか定義に使用していません。
AA^{T}=Iが成り立つとき、A^{T}A=Iが成り立つことは、成分計算で示したらよいのでしょうか?何か分かりやすい証明があれば教えていただけないでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
No.2 が正しい。
No.1 は、A に右逆元 A^{T} が存在するとき
左逆元 B も存在するならば B = A^{T} であることを示したが、
B が存在すること自体は示していなかった。
一般の半群では、A に右逆元が存在しても
左逆元が存在するとは限らない。
B の存在を示すには、行列積の固有の性質を使う必要がある。
正方行列 A に対してスカラー値を与える関数 det を、
A の列 a1,a2,...,an について線型で交代的で det I = 1 になるものと定義する。
その上で (∂/∂ai) det A を第 i 行に持つ行列を Δ と置くと、
AΔ = ΔA = (det A)I が成り立つ。
det A ≠ 0 のときは、両辺を det A で割れば
AB = BA = I, B = Δ/(det A) になっている。
det A = 0 のときは、det(AB) = (det A)(det B) という性質から
AB = I にも BA = I にも解 B は存在しない。
No.5
- 回答日時:
集合 G 上の二項演算 * で
結合法則 ∀a,b,c∈G, (a*b)*c = a*(b*c) が成り立つとき、
(G,*) の組を「半群」という。
また、G の元で ∀x, e*x = x*e = x を満たす e が在れば、
それを G の「単位元」と呼ぶ。
単位元が存在する半群を「モノイド」であるという。
モノイドにおいて、
r*x = e を満たす r を「x の左逆元」、
x*r = e を満たす r を「x の右逆元」と呼ぶ。
x の左逆元かつ右逆元であるような r を「x の逆元」と呼ぶ。
No.1 に示したとおり、一般の半群において、
右逆元が存在すれば、左逆元は存在する場合にも高々ひとつであり、
左逆元はその右逆元と一致する。このことからただちに、
半群に x の右逆元と左逆元が少なくともひとつづつ存在すれば
x には唯一の(両側)逆元が存在することが判る。
よって、群の定義における逆元の要請
∀x∈G, ∃r∈G, r*x = x*r = e (しかも r は x に対して一意)は、
∀x∈G, ∃r1∈G, r1*x = e かつ∀x∈G, ∃r2∈G, x*r2 = e
(r1, r2 の唯一性も一致も仮定しない)に緩和してよい。
もっとも、そんな細かい差に拘る場面は普通はないが。
実際、単位元を持つ半群で例えば以下の演算表を持つものについては、
e a b c
----+--------------------
e | e a b c
a | e a b c
b | b c e a
c | b c e a
任意の元に対して右逆元は存在するが、
a, c に対する左逆元は存在しない。
このように、単位元を持つ半群一般については、
右逆元が存在したからといって左逆元が存在するとは言えない。
行列計算において、右逆行列が存在すれば左逆行列も存在する
という事実は、行列に固有の事柄であって、
行列の性質に基づいた証明要する。それが No.3 である。
No.4
- 回答日時:
ついでに
【右逆行列と左逆行列は同一】
右逆行列をB
左逆行列をCとすると
AB=E ①
CA=E ②
①に左からCを書けると
CAB=C→B=C なので
左逆行列が存在すればそれは右逆行列と同じものです。
【逆行列は一個】
正方行列Aに異なる右逆行列が2個存在すると仮定すると、上の証明から
左逆行列が存在すれば
AB=BA=E ①
AB'=B'A=E ②
B'×①
B'AB=B'E=B'
(B'A)B=B'
EB=B'
B=B'
となり仮定と矛盾します。
よってAに対し逆行列は一個です。
以上のように「右逆行列が存在する時左逆行列も存在する」
が証明の要であることがわかり、これさえクリアできれば
いろんなことが割と簡単にわかります。
でも「右逆行列が存在する時左逆行列も存在する」
の証明は、割と証明が面倒な幾つかの行列式の
基礎定理が必要なので、突き詰めてゆくとめんどくさいです。
つまり古典的随伴行列の性質を究めれば
逆行列を究められます(^^;
改めて回答読ませていただきました。
「右逆行列が存在する時左逆行列も存在する」の証明は後々学習するとして、その重要性は理解できました。これに関しては残課題として後々理解したいと思います。ありがとうございました!
No.2
- 回答日時:
>AA^{T}=Iが成り立つとき、A^{T}A=Iが成り立つことは自明なのでしょうか?
力技ですが、古典随伴行列の行列式分のーが右逆行列であり
かつ左逆行列であることは、ちょっとめんどうですが証明できます。
これと逆行列の唯一性の証明をあわせると
正則な任意の正方行列Aとその右逆行列Bとで
AB=BA=E
が成り立つことが証明できます。
直行行列に限りません。
詳しい説明は教科書を参照して下さい。
線形代数の本はたいてい
AB=BA=E
をAの逆行列の「定義」としてて
AB=EかつBA≠Eの成り立つBの存在が
気になったりするのですが
幸い、そういうものはありません。
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