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心理的なストレスを受けたときの心拍数の上昇の生理的メカニズムは脳から副腎髄質へ、そしてノルアドレナリンが放出され自律神経が活性化され、心拍数が上昇するらしいんですが、これは運動したときの心拍数の上昇と同じ生理的メカニズムといえるんですか?おしえてください。

A 回答 (1件)

こんにちは。


メカニズムとしては全く同じものだと思います。
このような反応を起こしているのは、自律神経の「交感神経系」の方ですよね。
まず、順番を整理しておきますと、脳から信号が送られるのは副腎ではなく、交感神経の方です。脳から送られた信号で交感神経が活性化することにより、初めて副腎髄質での内分泌が促進されますので、体内にノルアドレナリンが分泌されるのはそのあとです。
ですけど、心筋の活動を活性化させるのは交感神経ですから、質問者さんの仰る、「自律神経の活性化が心拍数を上昇させる」というのも、「ノルアドレナリンの放出によって自律神経が活性化する」というのも、両方とも間違いではありません。
どうしてかと言いますと、このような伝達には系統が二つあり、その2系統が並行して起こるからなんです。

まず、ひとつは、
(1)外的ストレスなど、知覚中枢による状態の認知が行なわれることにより、
(2)その信号は自律神経を司る視床下部に送られ、交感神経が活性化される。
(3)活性化した交感神経の働きにより、心筋の運動が促進され、心拍が上がる。

もうひとつは、上記の(2)番までは同じなんですが、
(3)活性化した交感神経の働きにより、副腎髄質からノルアドレナリンやアドレナリンが分泌される。
(4)血管内に分泌されたノルアドレナリンとアドレナリンは心筋に受容され、心拍数が上がる。
(5)体内に放出されたノルアドレナリンによって交感神経の働きが更に強まる。

この2系統は同じ目的のために同時進行するものなのですが、ごちゃ混ぜになっていては混乱してしまいますよね。そして、ノルアドレナリンの分泌が自律神経を活性化させるというのは、交感神経自身がノルアドレナリンを受容して活性化することができるからなんですが、これは交感神経が副腎髄質に分泌させたものを交感神経自身が自分で使うという、言わばフィードバック効果のようなものなんです。ですから、飽くまで順序は、交感神経の活性化の方が先ということになります。

もうひとつややこしいのは、交感神経が心筋の運動を促進させるために放出するのもノルアドレナリンだということです。こちらは、ホルモンとして分泌されるのではなく、神経伝達物質として放出されるものです。
副腎髄質から血中に分泌されるのは、飽くまでホルモンとしての役割を果たすもので、ノルアドレナリンの他に、アドレナリン、ドーパミンなども分泌されます。この3つは「カテコールアミン」と総称され、心筋だけではなく、血管、気管支などの表面で受容され、血圧の上昇や呼吸量の増加など、様々な生理作用を活性化させることにより、交感神経と協力してストレスに対処します。

このカテコールアミンは、「ストレス物質(ストレス対処物質)」などと呼ばれていますが、激しい運動のあとでも、血中や尿での濃度の上昇が検出されるそうです。
先に説明しました伝達経路に「運動による心拍の増加」というのを当てはめるのならば、(1)番のところの「外的ストレスの認知」が「内的生理状態の認知」に代わるだけで良いと思います。
激しい運動をすると、酸素や糖が消費され、血中内で二酸化炭素や乳酸など代謝物の濃度が上がります。内性感覚器官からそのような信号が送られますと、知覚器官の判断によって自律神経に命令が下ります。ひとたび自律神経(交感神経)に命令が下るならば、それ以下のメカニズムは全て一緒ですよね。ノルアドレナリンもちゃんと分泌されています。ですから、緊張して心拍が上がるのも、運動をして心拍が上がるのも、原因が違うだけで、その生理的メカニズムは全く同じということになります。
外から与えられた刺激を「外的心理的ストレス」と言うのに対して、激しい運動に対応するときの生理状態を「内的生理的ストレス」と考えれば分りやすいのではないかと思います。

ただ、全く同じものといっても、生理的ストレスに対するこのこのような反応は身体の恒常性を維持するためのものであるのに対し、逆に外的ストレスの方は緊急事態に対処してわざわざ自分の生理状態を変化させるという違いがありますよね。
更に、もうひとつの違いを述べるとするならば、生理的ストレスの方は、このような生理作用によってしだいに緩和されてゆくのに対し、外的ストレスというのは、幾ら心拍を激しくしても、その原因を排除しない限りなくならないということです。このようなことから、外的ストレスというのは慢性化しやすく、病気の原因にもなるんだそうです。
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