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万葉集の柿本人麻呂作といわれている「淡海の海 夕波千鳥 汝が鳴けば 心もしのに 古思ほゆ 」は名作ですが、「夕波千鳥」漢語かと思いきや、全て和語らしいです。となると、人麿がその場で造語したのでしょうか。その頃からすでに日本語は熟語という観念があったのでしょうか。人麿の才能か、日本語の成熟のなせる業か、知りたいのです。

A 回答 (2件)

 巻三0371に「意宇の海の河原の千鳥汝が鳴けば我が佐保川の思ほゆらくに」という歌があり、時代的には人麻呂より下りますが、「○○千鳥汝が鳴けば」が固定した言回しであった可能性はなくはないと思います(「千鳥鳴く」は万葉の常套表現ですし、鳥を「汝が」ということも多く用例があります)。


 「夕波」の語は人麻呂に一例あるかぎりで、すくなくとも万葉に類例はありません。ただし漢文には、宮中楽五首五(張仲素)「奇樹留寒翠、神池結夕波」、 經琵琶峽詩(梁簡文帝蕭綱)「直去復疑前。夕波照孤月」など用例の見られる語です。人麻呂は漢文の影響をあまり受けていないといわれていますが、漢文的表現を和訳した可能性も捨てきれないでしょう。
 また人麻呂の意識として「夕波千鳥」という一語であったのか、「近江の海。夕波。千鳥。汝が泣けば」という三語の並立だったのかについても、疑問の残るところではあります。
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この回答へのお礼

詳しいご回答ありがとうございます。
まったく無から人麻呂が作ったのではないにしろ、やはり彼の天才的な感性から作られた歌だという気がしてきました。「ゆうなみちどり」という響きは本当に美しく、漢文的な影響の基に作られたのだとしたら、すぐに外国の文化を自分のものにできる日本の文化の能力の高さを改めて思い知ったしだいです。

お礼日時:2005/07/22 08:05

私の国文学の先生は夕浪千鳥は人麻呂の造語だと言っていました。


人麻呂と同じ時代に詠まれた歌をみてもあまり熟語を用いた作品は少ないですし、やはり人麻呂が創ったと考えるのが自然な気がします。
何にせよ、きれいな言葉ですよね。
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この回答へのお礼

ちゃんと学問的に検討されている事項だと聞いて、私の言葉の感性も捨てたものではないなあ、と変な自信(^^;)がつきました。
それはともかく本当にきれいな言葉だと思います。

お礼日時:2005/07/22 08:10

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