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Diracのδ関数について教えてください。公式(定義)のひとつに

2πδ(x)=Σexp(inx) , (n= -∞,・・・, -2, -1, 0, 1, 2, ・・・, ∞)

がありますが、右辺の n についての和を、整数のかわりに半奇数(n= -∞,・・・, -3/2, -1/2, 1/2, 3/2, ・・・, ∞)と変えた場合、この級数はδ関数と何らかの関係がつけられるものでしょうか?

A 回答 (2件)

超関数はフーリエ変換やフーリエ級数を使って扱うのがしばしば便利で、ご質問もその範疇のものです。


2πδ(x)=Σexp(inx) , (n= -∞,・・・, -2, -1, 0, 1, 2, ・・・, ∞)
これは周期2πを持つ周期的δ関数のフーリエ級数展開を表しています。つまりδ(x)は|x|=0,2π, 4π, .... 以外では0になっていて、
∀x (δ(x) = δ(x+2π))
という性質を満たします。

右辺の n についての和を、整数のかわりに半奇数(n= -∞,・・・, -3/2, -1/2, 1/2, 3/2, ・・・, ∞)と変えた場合をD(x)とすると、
D(x) = Σexp(i(n+1/2)x) , (n= -∞,・・・, -2, -1, 0, 1, 2, ・・・, ∞)
=exp(ix/2)Σexp(inx)
=2π exp(ix/2)δ(x)
です。ゆえにD(x)は
|x|=0,2π, 4π, .... 以外では0になっています。また
D(x+2π) = 2π exp(i(x+2π)/2)δ(x+2π)
= 2π exp(ix/2)δ(x+2π)exp(iπ)
= 2π exp(ix/2)δ(x)exp(iπ)
= -2π exp(ix/2)δ(x)
= -D(x)
だから
∀x (D(x) = -D(x+2π))
です。そして、
D(0) = δ(0)
ですから
D(x)は周期4πを持ち、|x|=0, 4π, 8π,... ではδ(x)と同じで、|x|=2π, 6π, ... では-δ(x)と同じである、そういう関数になります。

ちなみに、周期的でないδ関数はフーリエ変換
2πδ(x) = ∫exp(itx) dt (積分は-∞~∞)
で表されます。
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この回答へのお礼

stomachmanさん、こんにちは。とてもわかりやすい説明ありがとうございます。
nを1/2ずらしてδ(x)に関係付けたわけですが、もとの場合とnの取る値の範囲がずれた影響はないのでしょうか?(といっても、-∞+1/2~∞+1/2 をどう考えればいいかよくわかりませんが・・・)

お礼日時:2001/11/07 01:57

stomachman さんの完璧解答があるので,蛇足の補足ですが...



> nを1/2ずらしてδ(x)に関係付けたわけですが、
> もとの場合とnの取る値の範囲がずれた影響はないのでしょうか?
>(といっても、-∞ +1/2~∞+1/2 をどう考えればいいかよくわかりませんが・・・)

単純に考えるなら,すべての n について和を取っているのですから,
すらしても影響はありません.
ただし,もう少し慎重に考えると,無限和に注意しないといけません.
n をずらすのは和の順序を変更するのと同じことで,
無限和で項の順序を変更するには注意が必要です.

δ関数は普通の関数ではなく,stomachman さんが書かれていますように超関数ですが,
とりあえずは積分核+極限操作と考えて置けばよいでしょう.
こういう立場なら,
exp の中味に -ε|n| という強い収束因子(ε>0)を加えておいて和を収束させ,
「おとなしい」関数との積を作って積分してからε→0 とすれば大丈夫です.
そもそも,もとの Σexp(inx)が通常の意味では収束しませんよね.

なお,今の周期的δ関数は基本周期が -π<x<π ですが,
周期関数でなくて定義域を -π<x<π に限定してしまっている
(しばしば暗黙の内に)場合もありますので,ご注意下さい.
具体的問題に関してδ関数が出てくる場合にどちらになっているかは
その問題の設定によります.
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この回答へのお礼

siegmundさん、こんにちは。蛇足どころか丁寧な補足をありがとうございます。
ご指摘のように、δ関数の実用としては Σexp(-ε|n| +inx) としておけばOKですね。
細かな点の注意もしていただき恐縮です。

お礼日時:2001/11/08 20:32

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