No.3ベストアンサー
- 回答日時:
実際に以下の順序で結合が変化するというわけではありませんが、分子軌道法的な「考え方の順序」にしたがって説明します。
C-I結合を形成する際に、炭素原子とヨウ素原子が、それぞれ1個ずつの原子軌道を供出します。
その2個の原子軌道が重なり合うことによって、2個の分子軌道が形成されます。すなわち、軌道の総数は変わりません。
電子には波としての性質があるために、上述の軌道の重なり合いの際に、その「位相」が同じになる場合と反対になる場合があります。
その結果、安定な軌道(結合性分子軌道)と不安定な軌道(反結合性分子軌道)が生じます。
それらは、同一の軌道の組み合わせ(C由来のものとI由来のもの)によって生じたもので、しかもσ結合に使われるものですから対称軸が一致します。結果的に、反結合性軌道は結合性軌道とは反対方向を向くことになります。
CとIは結合を形成するために1個ずつ、合計2個の電子を持ち寄りますので、それらを収容するには結合性軌道が1個あれば十分です。
したがって、通常は、不安定な反結合性軌道に電子は入りません。
なお、No.1のご回答にもありますように、Iの側にも反結合性軌道の片割れがあるはずです。
この回答への補足
ここが分からなかったのですが説明してくれませんか。>それらは、同一の軌道の組み合わせ(C由来のものとI由来のもの)によって生じたもので、しかもσ結合に使われるものですから対称軸が一致します。結果的に、反結合性軌道は結合性軌道とは反対方向を向くことになります。
補足日時:2005/11/14 23:43No.6
- 回答日時:
No.5の補足です。
>斥力が働いているから、反結合性軌道は電子密度の高い結合性軌道の反対方向に・・・
斥力というのは結果であって、反結合性軌道の形状が優先します。ああいう形の軌道になることによって斥力が発生すると考えた方が妥当だと思います。
No.3について
実際に結合ができるかどうかは別として、1対の原子間に結合性軌道と反結合性軌道ができます。
結合性軌道や反結合性軌道は、その1対の原子(ここではCとI)のそれぞれがもっている原子軌道を組み合わせることによってできた軌道です。位相というのはその組み合わせ方だと思って下さい。
組み合わせ方が違うと、その結果として出来てくる軌道の形も異なってきます。
すなわち、位相というのは、よく+と-の符号で表現されます。たとえば、CがIと結合を作るために+の側をIに向けていた場合に、Iも+をCの側に向けていれば、位相の一致した状態になり、その結果として結合性軌道ができあがります。
ところが、Iの軌道の符号が逆転し(乱暴なたとえですが、軌道が裏返ったようなイメージを持ってもらえると良いかもしれません)、-の側をCに向ければ、C-I間で軌道が打ち消し合って、結果的に反結合性軌道を生じることになります。
この時に、結合のために使われる軌道の組み合わせは同じなのですが、一方の位相が逆になっている(裏返っている)ために、両方の合わさった結果は結合性軌道ではなく反結合性軌道になるということです。
位相は違っていても、同じ軌道であると考えて下さい。
No.5
- 回答日時:
No.3の補足です。
強固な結合を作るためには、各原子(ここではCとI)の軌道は、それらの重なりが最大になるような方向に伸びることになります。これが結合性軌道です。その際に、Cの側の位相とIの側の「位相」は一致しています(このあたりがわかりにくいかと思いますが、結合を形成するための条件を満たしている、すなわち、2原子間に引力が働くと考えて下さい)。
反結合性軌道というのは、個々の原子(すなわちここではCとI)に由来するものの形は同じですが、位相が逆になっている(すなわち、結合を形成しない、あるいは斥力が働くと考えて下さい)ということです。
すなわち、反結合性軌道は、結合性軌道と同様に、結合軸を対称軸としていますが、結合性軌道とは逆の方向に伸びているということです。
この回答への補足
説明ありがとうございます。ここは、斥力が働いているから、反結合性軌道は電子密度の高い結合性軌道の反対方向にはねかえされるようにして存在していると理解してよいのですか。あと、NO.3で説明していただいた>同一の軌道の組み合わせ(C由来のものとI由来のもの)というのが何がどうして同一なのか、分からないのですが、説明してもらえないでしょうか。お願いします。
補足日時:2005/11/17 00:00No.4
- 回答日時:
2つの原子が接近して重なる場合を、位相と重ねることで理解しやすいp軌道を例に考えてみましょう。
(「誤解を招きかねない」というのが正しいかもしれませんが(汗))
【パターンA】
<軌道> <位相>
_ _ _ _
/-\./+\ /+\./-\ ___/ ̄\ / ̄\___
\ /~\ / \ /~\ / \_/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄\_/
 ̄  ̄  ̄  ̄
↓原子同士が接近し、軌道が重なると・・・↓
- /\ - /\
/\./ + \./\ __/ \__
\/~\ /~\/ \/ ̄ ̄ ̄ ̄\/
\/
電子の波動が同じ位相で、双方の軌道が重なる場合
⇒ 軌道の重なった部分の波が大きくなる = 電子密度が上がる
【パターンB】
_ _ _ _
/-\./+\ /-\./+\ ___/ ̄\ ___/ ̄\
\ /~\ / \ /~\ / \_/ ̄ ̄ ̄ \_/ ̄ ̄ ̄
 ̄  ̄  ̄  ̄
↓原子同士が接近し、軌道が重なると・・・↓
/\ /\ /\
/ - .\__/ .+ \ ______/ \
\ ~/ \ ~ / \ /  ̄ ̄ ̄ ̄
\/ \/ \/
電子の波動が逆の位相で、双方の軌道が重なる場合
⇒ 軌道の重なった部分の波は相殺される = 電子密度が下がる
(相対的に、重ならなかった部分の電子密度が上がる)
「A」のように、2つの原子核の間で電子密度が上がった場合、電荷は「+-+」(→上の図の「+」等とは意味が異なるので注意)という並びになるため、結果的に2つの原子核は互いに引き寄せられる形になります。
従って、このようにして新たに生じた軌道を、「原子核同士を結合させる方向に働く軌道」、つまり結合性軌道と呼びます。
一方、「B」のように、2つの原子核の間で電子密度が下がると、電荷は「-++-」の並びになるため、原子核同士は反発する形になります。
このように「結合とは逆に、反発させる方向に働く軌道」を、反結合性軌道と呼ぶわけです。
・・・というのが、私の理解になります。
量子化学を専門にやられている方からみたらどう思われるかはわかりませんが(例えばこの例はp軌道だから位相と重ねたイメージを描けましたが、d軌道になると・・・)、まあ感覚的な理解という意味ではいいのではないか、と。
注: 図中において、
「.
~」は、原子核を意味しています。
No.2
- 回答日時:
結合性軌道に電子が入ると電子1つにつき0.5重結合増加したと数えます。
2つ入って1重結合です。
それと同じ原子の組の間の別の結合性軌道に2つ電子が入ればさらに1重増えてあわせて2重結合になります。
電子の入る順番はエネルギーの低いところから入るため、そうやって電子を入れていくと反結合性軌道にも電子が入ります。
反結合性軌道に電子が入ると、結合性軌道とは逆に電子1つにつき0.5重結合減少したと数えます。
つまり、結合の強さが弱くなるのです。
なぜ弱くなるかというと、同じ軌道には電子が2つまでしか入れないからです。
3つめはエネルギー的に不安定な軌道である反結合性軌道に入ります。
それでも3つまでは軌道が重なっていたほうが安定ですが、4つになると重ならないで原子同士でいたほうが安定です。
そのため、結合が形成されなくなります。
化学反応などで、別の分子が反結合性軌道にアタックしてくると、もともとあった結合がなくなって反対側に別の分子との結合が形成されたりします。
この回答への補足
ここから理解できなくなってしまうのですが、具体的にはどういうことなのですか。教えてくれませんか。おねがいします。>反結合性軌道に電子が入ると・・・
補足日時:2005/11/14 23:46No.1
- 回答日時:
CとIに限らずσ結合の時、結合の分子軌道は原子間に大きな電子密度の部分があり、反結合の分子軌道は原子の反対側に大きな電子密度がある形になります。
両者は元々二つの原子に属していた原子軌道なのですが、「混成」して安定な(エネルギー順位の低い)分子軌道(σ)と不安定な(エネルギー順位の高い)分子軌道(σ*)に組み替えられます。(本当は組み替えられるのではなく自然にそうなっちゃうのですが)
ところで、CのIと反対側に突び出した「反結合軌道」ですが通常は「使われない」のでCが他の原子と結びつくときに悩む必要はありません。
またIのCと反対側にも「反結合性軌道」が突び出しています。CとIの両側に突び出した反結合軌道は二つ合わせて1つの反結合軌道で、別々の軌道ではありません。
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