No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「アセトンは不可逆」というのが、退色しなかったのか、発色しなかったのかが
わかっていない状況ではありますが(汗)
(スピロピランには興味があったものの、直接扱ったことがないもので・・・)
スピロピラン型⇔メロシアニン型の反応が可逆的になるか不可逆的になるかは、
溶媒和による安定化の程度の違いによると思います。
<光照射をしても発色しないとしたら・・・>
溶媒和によってスピロピラン型が安定化することで両者のエネルギー差が広がり、
光照射での励起によりスピロ炭素の結合が一旦切れても、
相対的に不安定なメロシアニン型への異性化を起こさず、再結合してしまう。
<発色したまま退色しないとしたら・・・>
溶媒和でメロシアニン型が安定化することで、両者のエネルギー差が縮まり、
本来スピロピラン側に偏っていた暗所下加熱時の平衡が、
メロシアニン側に移動した。(または共存 : 吸光度としては下がるが色は残る)
> 誘電率がどう関係するのか
誘電率や双極子モーメントは、「その分子の分極状態の指標」ということになります。
アセトンと酢酸エチルは確かに似た構造(アセチル基)を持っていますが、
メチル基の超共役の違い(メチル基の数)、及びメトキシ基の酸素による電子吸引の
有無により、分子全体の分極としてはアセトンの方が大きくなります。
<アセトンの超共役>
CH3-C(=O)-CH3
↓↑
CH2・H^+=C(-O^-)-CH3
↓↑
CH3-C(-O^-)=CH2・H^+
<酢酸エチルの超共役>
CH3-C(=O)-OC2H5
↓↑
CH2・H^+=C(-O^-)-OC2H5
溶媒分子の分極が大きければ、溶質の極性基との相互作用(→溶媒効果)も
その分大きくなります。
従って、誘電率の大きいアセトンに溶解させた場合は、
スピロピラン(又はメロシアニン)への溶媒効果による安定化が大きく、
結果的に不可逆反応になった、と考えられます。
※なお、スピロピランへの溶媒効果は、まだ研究途上のようです(下記参考URLを参照)
参考URL:http://www.tuat.ac.jp/~nakata/takayanagi/study/d …
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