プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

私は29歳の個人事業主です。

一方で、実家で経営している同族会社の取締役になっていて、また大株主になっています。

しかし、自分では知らない間に株主になっており、過去に行われたはずの配当など、内容は全く知りません。ですから、確定申告ではそうした収入があっても申告していないことになります。実家と関係も悪く、脱税(自分自身としても、実家の脱税の片棒を担ぐのも)したくないので、役員を辞任し、保有している株式を全て譲渡(あるいは売却)しようと思っています。

その旨を実家に伝えてあるのですが、実家側では処理をしようとしません(理由はややこしいので省略します)。

そこで自分自身でそうした作業を進めようと思うのですが、そもそも会社の定款も財務状況も自分の保有株数も知りません。役員は内容証明で辞意を伝えれば良いと聞きましたが、株式については財務状況や保有株数を確認してから取るべき措置を検討しようと考えています。大株主なのだから本来何でも閲覧できるのでしょうが、現住所と実家とが遠隔地であり、また実家との関係がとても悪いので、接触は必要最低限にしたいのです。

そこで質問です。

◇会社に直接連絡をとることなく定款の閲覧することは可能でしょうか
◇同じく財務状況を知ることは可能でしょうか
◇同じく保有株数を知ることは可能でしょうか
◇譲渡の際に考えられるトラブルはどんなものがあるでしょうか
◇現状で直ちに役員を辞任することで不利益を被るケースが考えられるでしょうか

よろしくお願いいたします。

A 回答 (3件)

 結論的には、定款閲覧、財務状況調査、保有株式数調査、株式譲渡、役員辞任のいずれのご請求も法律上は不可能であり、marotchiさんがおとりになり得る手段は、


・ 会社を被告として株主権不存在確認請求の訴えを提起すること
・ 会社を被告として役員就任登記の抹消登記手続請求の訴えを提起すること
以外にはないと思われます。

1 marotchiさんは株主か
 株主の地位を取得するためには、会社設立時に株式引受の手続(商法169ないし172条、175条、176条)を履践するか、新株発行の際に株式引受の手続(同法280条の6の4など)を履践するか、他の株主から株式を譲り受ける(同法204条1項本文)必要があります。
 しかし、marotchiさんは、「知らない間に株主になっていた」とのことですから、株式引受の手続をとられたわけでも、他の株主から株式を譲り受けられたわけでもないと思われますので、そもそも株主ではありません。

 仮に、marotchiさんのお名前が株主名簿に記載されていたとしても、その記載は実体を全く欠いていますから、法律上はなんの効力も持ちません。

 そうすると、株式を譲渡されることは法律上不可能です。
 marotchiさんとしては、「迷惑料として譲渡代金をもらえないのか」とのご疑問をお持ちになるかもしれませんが、こうした「迷惑料」は、不法行為に基づく損害賠償(民法709、710条)として別途ご請求になる必要があり、本件の株式の帰属とは無関係な問題です。

2 定款閲覧、財務状況調査、保有株式数調査について
 定款は、会社の本店及び支店に備え置かれ(商法263条1項前段)、株主(端株主を含む。)、会社債権者、親会社の株主は、会社に対し、その閲覧または謄写を請求することができます(同条2ないし4項)。
 しかし、marotchiさんは株主ではなく、上記のいずれにもあたらないわけですから、定款の閲覧等をご請求になることはできません(もっとも、会社が任意に応じてくれれば、閲覧されることも可能です。あくまで法律上強制することはできないというにとどまります。)。

 計算書類等(同法282条)や株主名簿(同法263条)についても、定款と同様、閲覧等をご請求になることはできません。

3 役員辞任について
 株式会社の役員に就任するためには、株主総会により選任され(商法254条1項、280条1項)、就任を承諾する必要があります。
 しかし、marotchiさんは、役員への就任を承諾されたことはないようですから、そもそもmarotchiさんは役員ではありません。したがって、辞任することもできません。

 もっとも、役員でないのに役員として就任の登記をされた者が、故意または過失によりその登記の存在を承諾したり(最高裁昭和47年6月15日判決)、その登記の存在を知りながら是正措置をとらずに放置した(最高裁昭和55年9月11日判決)場合には、自己が役員でないことを事情を知らない第三者に対して主張することが許されず(同法14条類推)、会社が第三者に損害を与えた場合に、第三者から損害賠償を請求される(同法266条の3、280条1項)おそれがあります(*)。

4 対応策
 したがって、marotchiさんとしては、速やかに自己が株主でないことを明らかにされるとともに、役員就任登記を抹消するよう会社にご請求になる必要があります。
 会社側が任意に株主名簿の記載の抹消(または株主権不存在の確認)や役員就任登記の抹消登記手続に応じてくれればよいのですが、これまでの会社の対応からすれば、訴えによってこれらの手続をご請求になる必要に迫られる可能性も十分にあります。

 仮に、訴えをご提起になる場合、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所が管轄裁判所となりますから(民事訴訟法4条4項、8条2項、裁判所法24条1号、33条1項1号)、訴訟代理人には弁護士しか選任できません(民事訴訟法54条1項本文)。

 これらの点に加え、本件が親族間の紛争であるという微妙な側面を有していることからすれば、私としては、弁護士にご相談になることをお勧めします。
 市役所などが主催する無料法律相談もありますし、下記参考URL→「法律相談窓口」→「法律相談センター」とリンクをたどっていただければ、各地の弁護士会のサイトへのリンクが置かれています。

 ご期待に沿うような回答ではなく、申し訳ありません。
 ご参考になれば幸いです。
     ----------
* 取締役ではなくとも会社の主宰者として積極的に業務執行を行っていた者に対して、取締役と同様の第三者に対する損害賠償責任を負わせた裁判例(東京地裁平成2年9月3日判決、大阪地裁平成4年1月27日判決)があります。
 marotchiさんは、株主ではありませんから、法律上は何らの責任も生じませんが、名目上大株主でいらっしゃることから、会社の行為により損害を被ったと主張する第三者から責任を追及されるなど、事実上のトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

参考URL:http://www.nichibenren.or.jp/

この回答への補足

大変ていねいな解答をいただき、ありがとうございます。

>1 marotchiさんは株主か
ですが、私の記憶が確かなら、15-16歳の時に父に命じられて内容不明の書類に兄とともに署名捺印したことがあります。この時母が「私の持ち株を息子たちに振り替えるなんて私を信頼していない証拠だ」と憤っていたことを憶えていますので、おそらく実際に株主であろうかと思います。私の質問が誤解を招く表現でした。すみません。

>2 定款閲覧、財務状況調査、保有株式数調査について
実際に株主であれば閲覧権があるのではないかと思うのですが、その上で、あえて直接閲覧請求をしないとしたらどのような方法があるのか、という質問だったのです。

>3 役員辞任について
>4 対応策
役員であることの危険性をあらためて認識いたしました。実は司法書士に処理を依頼するつもりで相談したのですが、商法が絡むので第三者が動いても限界がある、本人が株主なら定款も財務状況も閲覧できるので自分で動くのが一番確実だ、と断られた経緯があります。最終的には裁判所に訴えを起こすことになるだろうとは思っていましたが、どうやらすぐにでも弁護士に相談してみる方が良さそうですね。

ちなみに、仮に株式の譲渡が成立したとしても、その譲渡代金をもらうつもりがあるわけではありません。あくまでも会社との関係がないことを公に確認するためです。それでも実家から金銭目当てだと勘ぐられてしまうのでしょうね。私の名義で実体のない役員報酬を計上しているかもしれないし、そうなると自分の責任を回避するために実家を告発しなければならないのでしょうか。つらいです。

いずれにしても、大変ためになる情報でした。
ありがとうございました。

補足日時:2002/04/04 02:18
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1 定款閲覧、財務状況調査、保有株式数調査について


 marotchiさんが現実に株主であるとすれば、No.1の拙答で申し上げたとおり、会社の本店において、定款、計算書類等、株主名簿(株式数も記載されています(商法223条2号)。)を閲覧または謄写されれば、定款の記載内容、財務状況、marotchiさんがお持ちの株式数をお知りになることができますが、これ以外の方法で私が思い至った方法をご紹介します。

 定款については、会社に対して閲覧・謄写を請求する以外に方法はないと思われます。
 ただし、定款の閲覧をお求めになる趣旨が、株式の譲渡に取締役会の承認を要するか否か(商法204条1項但書)をお知りになりたいということであれば、定款をご覧にならなくとも、会社の本店所在地を管轄する法務局で会社の登記簿の閲覧をご請求になれば、譲渡制限があればその旨が記載されています(商法188条2項3号、175条2項4号の2)。

 計算書類等や保有株式数については、会社が帝国データバンク社の調査に協力していれば、同社のサイト(下記参考URL)の「TDB企業コード検索」でヒットするはずですから、「TDB会社情報」をご利用になれば、会社の財務状況やmarotchiさんがどの程度の持ち株比率をお持ちなのか推測される手がかりとなるのではないかと思われます(持ち株数の情報まで提供されているかどうかは、確認しておりません。)。

2 株式譲渡の際の危険について
 この点について、私は詳細な知識を持ち合わせておりませんが、譲渡の対価は必要ないということであれば、会社に対して、marotchiさんがお持ちの株式を譲渡(贈与)されればよいと思われます(会社にとっては自己株式の取得となりますが、商法上の財源規整(同法204条の3の2第5項など)は課されないと解されています(最高裁平成5年9月9日判決)。)。

 お役に立つような情報ではなく、申し訳ありません。

参考URL:http://www.tdb.co.jp/
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

前の回答もあわせて、大変参考になりました。
自分でもいろいろ調べてみましたが、どうやら取締役の定数によって採るべき措置が変わるようなので、教えていただいたように登記簿を閲覧した上で、やはり直接会社に定款の謄写を請求しようと思います。

親切な回答をいただき、ありがとうございました。

お礼日時:2002/04/05 10:02

昨日投稿しようとしたら、書いている途中なるほどと思う回答がなされていたので、投稿を止めました。



でも、実際に株主であれば、また、話は違うかもしれません。

商業登記に記載されている範囲での定款の内容をしることはできると思います。でも、それは、会社の目的、商号、会社が発行する株式の総数、会社が公告をなす方法に限られます。

それ以外の定款の内容は、やはり会社に連絡を取る必要があると思います。

財務状況に関する帳簿閲覧、保有株式を知るための株主名簿の閲覧もやはり会社と連絡を取らないと無理だと思います。

株式の譲渡について、定款で株式の譲渡制限が定められていれば、譲渡にあたり取締役会の承認が必要です。でも、この場合も株式の譲渡自体つまり株主の地位を他人に譲れることには、違いありません。でも、こうなるとやはり会社と連絡を取る必要があります。

役員の就任についても、承諾されていたと解して良いのですね。

株式会社では、取締役の定数が3人以上とされています。また、定款でより多くの定数を定めることができます。

そこで、もしあなたが、取締役を辞任することで、3人または定款に定めた人数を下回るようなことになると辞任の登記は、できません。辞任しても、権利義務取締役として取締役のままです。

以上全くの素人考えなので、間違いが多いかと思いますが、お許しください。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

私が自分で何となく収集できた情報とほぼ同じ内容でした。あらためて確認することができました。

お礼日時:2002/04/05 09:56

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