生物Iの体液の浸透圧調節についての分野で質問です。
よく、外液の塩濃度と体液の濃度を軸に取ったグラフがあり、浸透圧の調節についての設問がありますが、これについて疑問があり質問させていただきます。
外洋性のカニ(ケアシガニ)は海水の濃度は一定で安定しているので、浸透圧の調節をする必要が無く、比例のようなグラフになりますよね。
一方、河口付近に住むカニ(ミドリイソガザミ)や川と海を生活域とするカニ(モズクガニ)では、浸透圧の調節が必要になるので、比例よりは横ばいのグラフになります。
ここで本題ですが、河口付近に住むカニは、河口ということで外液濃度も淡水から海水まで幅広く変化するはずなのに、濃度の高い部分では調節能を持たない変化を見せます。それはなぜなのでしょうか。
個人的な感覚でいえば、産卵時期だけとはいえ、一定期間海で生活するモズクガニのほうが高濃度域での調節能は無くてもよい気がするのですが・・・・。
根本的な認識の間違い等のご指摘を含め、助言いただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
甲殻類の浸透圧調節で低張側と高張側では全く調節機構が異なります。
淡水よりでは,ゾウリムシでもやっていることですが,水を排出すればよいわけです。しかし,高張側は水を海水から吸収するか,水を奪われないようにしなければなりません。二種類の調節機構があるわけです。カニは,淡水よりでは触角腺と呼ばれます腎管の一種で余分な水を排出します。これは汽水性のカニも淡水性のカニも行います。海水では,モクズガニは細胞内等浸透圧調節といって細胞内にL-アラニンやD-アラニン等を貯蔵し等張に保ちます。多くのカニはこの仕組みを持ちません。ザリガニも細胞内等浸透圧調節を行いますので飼育水の塩分をだんだん濃くしてならしますと海水中でも立派に飼育が可能です。
ここからは私の考えですが,汽水域で長く生活していると,細胞内等浸透圧調節機構は必要なくなり捨て去ったのではないかと思っています。また外洋性のカニはさらに触角腺も失ったのではないでしょうか。
○細胞内等浸透圧調節
http://www.origin-life.gr.jp/3004/3004221/300422 …
回答ありがとうございます。
それよりまず、モクズガニを平気でモズクガニと表記してしまった自分が恥ずかしいんですが、訂正できないのでしょうかね・・・。
>ここからは私の考えですが,汽水域で長く生活していると,細胞内等浸透圧調節機構は必要なくなり捨て去ったのではないかと思っています。また外洋性のカニはさらに触角腺も失ったのではないでしょうか。
私の質問の一部はこのことが言いたかったのです。
海水があまりにも組成が安定しているため、調節する必要がなくなってその機能を捨てたのではないか、という点です。
調節能については、よく海水魚と淡水魚でも例が出ますし、体温調節も似たグラフになるので、それなりにはわかっているつもりですが、いまいち納得できていませんでした。
参考URLも含め、アドバイスありがとうございます。
No.6
- 回答日時:
No.5の方の回答に誤りが見られたので補足しておきます,
モクズガニは成長する場所を淡水に拡げ,繁殖と幼生の分散を海域に拡げた両刀使いの種です.
モクズガニの成体は繁殖のため海域へ下ってから死ぬまで留まるので,長期間(数ヶ月)海域に留まることになります.
繁殖は河口域(感潮域下部)から外海域まで広い範囲で行いますが,薄い塩分濃度の範囲で変動の大きい河口域の他.海域ではおもに潮間帯から浅い潮下帯にかけていますので,潮が引いて干上がった状態で取り残されることがよくあります.水分の蒸発しやすい潮間帯ではとくに塩分濃度が高くなりますので,高い塩分濃度に対する耐性はこの時役立つようです.
河口域に出現するカニでも高塩分耐性のないものは,潮間帯での生活に適応していないものだということができます.
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%AF% …
No.5
- 回答日時:
長期間継続して海水域で生活するモクズガニ
モクズガニの生態に関しましては間違いです。モクズガニは淡水性のカニです。産卵にだけ海に下ります。陸と海を行ったり来たりするためには塩分濃度が極めて高くなります潮間帯を行ったり来たりすることになります。ですから一番浸透圧調節能力が必要なのです。
魚類で浸透圧調節能力の極めて高いものはウナギです。ウナギも潮間帯を通過する必要がありますので同じ理由で能力が高いのです。淡水と海水の境界の潮間帯とは塩分濃度に関して一番変動の激しい環境です。このご質問は生物というより無機環境のご質問かと思います。潮間帯がどんな無機的環境か検索してください。
回答ありがとうございます。
認識(モクズガニの生態について)の間違いが分かりました。
十分理解できました。
というより、理解していなかった自分が情けないです。
ありがとうございます。
No.4
- 回答日時:
suiran2ですが重要なことを書き忘れました。
淡水域と海水域を行ったり来たりする動物はなぜ浸透圧調節能が高いかということです。それは,淡水域と海水域の間は潮間帯等があります。この潮間帯は潮の満ち引き・日射や降雨の影響で,塩分濃度は大きく変動します。淡水から海水の2倍程の塩分濃度の範囲なのです。ですから一般的に汽水域や潮間帯等海岸線近くに生息して一時的にでも海から出ることが可能な動物の浸透圧調節能力は低塩分から高塩分までと極めて広い調節能力を持ちます。貝も移動できませんから極めて高い浸透圧調節能力を持ちます。
ガザミはどんなカニかご存じですか。足はヒレになり泳ぐカニで,浅瀬や陸には決して上がれません。モズクガニに近い生活形態で分かり易い例と思いましてアメリカザリガニをあげました。彼らはマングローブにも生息します。タイドプールから樹上までと生活域は大変広いものです。
回答ありがとうございます。
汽水域が濃度変化が大きく、調節能が高いということはわかりました。
ただ、件のグラフでは汽水域よりも生活と産卵を住みわけるモクズガニのほうが調節能が(グラフの上では)高いのです。
両者とも海水と淡水を行き来するようなものですから、調節能は高いのですが、私の感覚ではより長期間継続して海水域で生活するモクズガニは海水中では調節の必要がないのではないか、と感じてしまうのです。
グラフも示せず、疑問の部分を文章のみで表現しているのでよりわかりにくい質問になってしまっていることは重々承知ですが、丁寧に回答いただけていることに感謝しています。
ありがとうございます。
No.3
- 回答日時:
確かにそのとおりですね。
しかし、高い浸透圧調節能を持っているといっても
それは海水以上の塩濃度ですよね?
実際グラフを見てみると海水濃度付近の
三種のカニの調節能力は同程度です。
あえて言うのならば、モズクガニ以外の二種のカニの
すむ環境は、モズクガニほど大きく変化しません。
汽水域といってもそれほど淡水から海水ほどの変化が
毎日起こっているわけではないですし、カニ自身も移動します。
モズクガニの場合はある時期に完全に淡水から海水を
移動しなければなりません。また、普段は淡水。
産卵期は海水。と両方の環境に順応しなければなりません。
ですのでモズクガニは塩濃度に対応するレンジ、幅が広いことが
求められるのです。
ですからモズクガニの高塩濃度での対応能力は、ほかのカニよりも高いのではないでしょうか?
回答ありがとうございます。
確かに、海水以上の高濃度ですね。
現実はあり得ない状況ですよね。
汽水域というものは海水と淡水が層をなし、極端に組成が変化するものという認識があったので、そのあたりが誤認識につながったのかもしれません。
もう一度資料の確認をしてみます。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
外液の塩濃度と体液の濃度のグラフの読み方が間違えているのではないでしょうか?
ケアシガニの場合比例するというのは
浸透圧調節能力が弱いために
外液の塩濃度と自分の体液の濃度を
うまく調節できないのです。
逆にモズクガニは浸透圧調節が上手なので
外液の塩濃度が上昇しても
上手に体内の塩濃度を調節できるので
グラフが平らになるのです。
ですから あなたの言う「モズクガニの方が浸透圧を調整する必要があるのでは?」という考えは正解です。
参考URL:http://keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biol …
回答ありがとうございます。
ケアシガニは浸透圧の調節ができていないというのは分かります。
私の表現はそれをさらに突っ込んで海水は安定なので、結果的に調節する必要がないですよね?という考えです。
問題は、河口付近(常に濃度が変化)と一定期間で川と海をすみ分けるカニではすみ分けるほうが調節能が高いのはなぜか。という点です。
どちらがより浸透圧調節の必要があるだろうか?という視点は誤りなのでしょうか。
いずれにしても参考URLを含め、回答ありがとうございます。
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